異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第24章 全てはアルタシャのために?

第1113話 ドラゴンの背に乗って

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 オレの元にやってきたイオは、かつてドラゴンの仲間の元に戻った時よりも、かなり大きくなっていた。
 ドラゴンの生態についてはオレもよく知らないが、一年足らずの間だとすればもの凄い成長のはずだ。
 たぶんオレの魔力が影響したのだろうな。

「どうしてもアルタシャに会いたくてここまで来てしまったよ」

 イオはまるで『ちょっと散歩の途中で寄ってみた』と言わんばかりだけど、実際には大陸をほぼ横断してきているよな?
 それでも空を飛べるドラゴンにとっては大した事ではないのだとしたら、本当に人間とは桁違いの存在だと実感させられるよ。

「何でわたしのいるところが分かったのです?」
「もちろんアルタシャの匂いを追って来たんだよ」

 またあっさりと言い切ったな。
 いくら何でも無茶だとは思うけど、イオが通常のドラゴンの幼生よりも遥かに成長が早かったのは、オレが魔力を提供していたからだ。
 その魔力を追って来たのだろうな。
 オレ自身の有する魔力が桁違いだから出来た離れ業というところか。

「あなたの仲間のドラゴン達は止めなかったのですか?」
「うん。僕はもう一人前だと言ったら、納得してくれたよ」

 ドラゴンは同族同士でも縄張りを巡って争い、時には命まで落とすと聞いていたが、もしかするとオレの魔力を受けて急速に成長したイオが目障りになってきたので、他のドラゴンにとっては格好の厄介払いだったのかもしれないな。
 まあいい。こうなれば是非とも手助けしてもらうとしよう。

「イオはここから大陸の反対側までわたしを乗せて飛んでくれますか?」

 我ながら無茶な頼みだとは思うけど、今は他の手段が無いのだ。

「アルタシャの頼みというならいいよ」

 あっさりと受けてくれたな。
 もちろんイオにとってオレが特別なのであって、普通は人間を自分の背に乗せること自体あり得ないのだろう。

「さあ。どうぞ早く乗ってよ」

 イオはためらいこと無くその背中をオレに向ける。

「ありがとう」

 正直に言えばドラゴンの背中に乗って空を飛ぶのは怖い。
 だけどオレの場合は『蜘蛛登り』スパイダー・クライムの魔法があるので、落ちる心配は無いからどうにかなるか。

「アルタシャ様はドラゴンまで使役出来るのですか……」
「使役ではないです。イオもまた手を貸してくれる友人の一人ですから」

 ミツリーンは改めって感服した様子だ。

「これもアルタシャの神話を作るにあたって重要な要素だな」

 テセルは『神造者』として、オレの神話にイオをどう組み込むのか頭を回しているらしい。
 悪気はないのは分かっているが、その神造者にいま悩まされているオレの横でそんな事をつぶやく無神経ぶりには少々引いてしまうな。

「それではお二人とはこれでお別れ――」
「お待ちを! 私も一緒に行きます! 是非ともアルタシャ様のお力になりたいのです!」
「まさか置いて行くとは言わないよな? いや。このエリート神造者たるこの僕抜きで、どうやって交渉するつもりなんだ?」

 ミツリーンとテセルは強引に迫ってくる。
 連れて行くのは構わないのだけど、イオが同意してくれるかどうかが問題なのだ。

「イオはこの二人を一緒に乗せていいですか?」
「アルタシャ以外を乗せる気は無かったけど……まあ頼むと言うなら別にいいよ」

 自分は高貴なドラゴンだから、人間風情など乗せて飛ばないと言わなかったのは助かるな。
 まだまだ子供なので、そのような意識が無いのかもしれないが。

「それではお二人とも乗って下さい。ただし落とされないように気をつけて」
「は……はい……」
「この僕なら大丈夫……のはずだ」

 勢いでオレに同行するとは言ったけど、ドラゴンの背に乗って空を飛ぶ事はさすがに恐ろしいらしい。
 それは別にこの二人が臆病だからではなく、常人ならば当たり前の反応ではある。

「怖いのならば別に同行しなくてもいいですよ」
「とんでもないです!」
「だから僕抜きでアルタシャがやっていけるわけがないだろう!」

 二人はまるで競うかのように、イオの背中に乗る。

「それではしっかりとつかまっていて下さいよ。振り落とされたらお終いですからね」
「「……」」

 オレの警告に対し、一瞬だけ空気が固まるがどちらも降りはしなかった。

「もう飛んでいいのかい?」
「ええ。それではお願いします」
「分かったよ!」

 イオの合図と共に、その巨体は空に向けて跳び上がった。
 そしてオレの横では、テセルとミツリーンが揃って歯を食いしばりつつイオの背にしがみついていたのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 この時、オレは全く意識していなかったのだが、一連のやりとりはゴドーナ市の多くの住民達が注視していて、ここに新たな伝説が生まれたのだった。
 ドラゴンが衆人環視の中で着地し、飛び去った場所はドラゴンを崇拝する教団の聖地として管理される事となる。
 そしてドラゴンを呼び出し、その背中に乗って飛び去った美しき乙女の一行については、無数の噂が流れ、大勢の人間がめいめい勝手に自分達に都合のいい解釈を行い、激しい議論が行われる事となるのだった。
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