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第24章 全てはアルタシャのために?
第1192話 いろいろと思わぬ助けが
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オレが全力で周囲の空間を癒やすと、その影響で廃神達のただれた姿が次第に人間らしいものに変わっていく。
『ああ……ありがとう……』
『これで我らも人として、あの世にいける……』
ある程度は理性を取り戻してくれた廃神達はこの世を去って行く。
それと同時に空間の亀裂はどんどん狭まっていくようだ。
もっともどちらかと言えば、オレが世界を癒やして亀裂を塞いでいる結果として、彼ら廃神はおこぼれで回復しているというところだろうか。
そして廃神達はどんどん消えていくが、それでも次から次へと押し寄せてくる。
間違いなくオレの存在を嗅ぎつけて殺到しているのだ。
全く数が減った様子がない。
何しろこれまで神造者が捨ててきた神々だからな。その全てが廃神になったわけではないとしても、相当な数なのは間違いない。
このままではオレも押し切られてしまいかねない状況だ。
もちろんオレに対して捧げられているものはもちろん、先ほど飛び込んだグレイスフル中央広場に向けられた力も注いでいるのだが、それでもいかんせん数が多い。
彼らが本来向かうべき死後の世界へと誘導はしているのだが、それにも限度というものがあるよ。
困った事に廃神達が殺到した結果、先ほどの亀裂はまるで閉じる様子がない。
むしろどうにか破裂を食い止めているに過ぎない状況だ。
もしもいまあの亀裂が弾けたら、世界そのものに甚大な被害をもたらすのは確実だ。
こうなったら全力投じて、亀裂を先に塞いでしまうべきだろうか?
だけどその場合、今はどうにか宥めている廃神達が今度こそ一斉に襲いかかってきて、こちらはひとたまりもないだろう。
しかし次から次へと押し寄せてくる廃神達を先に片付けるのはまず無理だ。その場合、間違いなくこちらが先に力つきる。
少し前、イロールの化身になるのは諦めたけど、今にして思えばそれも力になってくれていたか。
いや。その程度では全くの焼け石に水だろう。
ええい。大陸のあちこちから力を集めているはずなのに、まだまだオレは無力なのか。
『いいえ。そんな事はありませんよ』
「え? もしや?」
『こういう時ぐらいは『母』を頼って欲しいですね』
イロールの落ち着いた声がオレの脳裏に響く。いつもの事だけど、この女神はオレがどんなに大ピンチでも他人事のように落ち着いているな。
「それではあなたがこの廃神の相手をしてくれるのですか?」
『申し訳無いですが、わたくしにそれは無理です』
即答かよ!
相変わらずこの女神は頼りにならないな!
『わたくしの権能は癒しですが、そもそも彼らは負傷や病気によってあのような状態になったのではありません。だから癒やしの対象にもならないのです』
「わたしは彼らを癒やしているつもりですが、違うのですか?」
『あなたがここの領域に自らに捧げられた信仰を注いでいるからです。しかしそれは本当の神には出来ない事ですよ。なぜなら神の権能と無関係な存在に自ら捧げられた信仰を分け与えるなどという事は出来ませんからね』
言われて見ればその通りか。
街の神や山の神なら、自分の領域に力を振るう事が出来るが、この神造者の領域には本来は神造者しか力を振るうことは出来ないのだ。
『そのような事は未だ人の身に留まるあなたにしか出来ないでしょうね。だからわたくしもあなたを助力する事は出来ても、彼らの相手は不可能です』
「そうですか……」
どのみち頼りになる助力が得られるとは思っていなかったから、さほど失望はしなかったけどな。
『しかし我が信徒に呼びかけて、あなたに今以上の力を与える事は出来ます』
「ありがとうございます!」
とにかく今はこの領域を癒やし続け、廃神達もそれによって正気に戻すしか無い。
女神の助力を得たお陰で少しずつ亀裂が狭まり、周囲の空間も赤茶けた死の土地から、次第に生命が戻ってくるようにも感じられる。
もしかしたらいけるか?
だがオレの身体が次第に重くなり、力が抜けてくる事も感じられる。
やはりまだ捧げられる力が足りないのか。
改めて確認したところ、世界の亀裂は塞がりつつあると言っても、押し寄せる廃神達は相変わらずそこを押し広げようとしているのだ。
しかもこれは今、オレがいるグレイスフルだけでなく、他の神造者の支配地域でも同じなのだ。
大陸中で廃神を作り出してしまっていた神造者の支配地域全てで規模の大小はともかく廃神が暴れだそうとしているのは変わりない。
結局のところオレに出来るのは、ホンの僅かなことでしか無いのか?
『いえいえ。そんな事はありませんよ。わたくしには分かります』
「なにがですか?!」
『現在、あなたの化身達が動いています。彼女達はいずれもあなたと一緒になって、この世界に出来た疵を癒やそうと努めているのですよ』
「それは本当ですか?!」
思わず聞き返すと、イロールは少しばかり困った様子で首をかしげるいつものポーズを取る。
『あなたは最初からそのつもりで化身を大陸中に送り込んでいたのではないのですか?』
そんなわけあるか!
思わず内心でツッコミを入れてしまったが、神造者が自分達の支配地域にばらまいたオレのコピーがいま自らの判断で、世界に出来た亀裂を治そうとしているのか?
『ああ……ありがとう……』
『これで我らも人として、あの世にいける……』
ある程度は理性を取り戻してくれた廃神達はこの世を去って行く。
それと同時に空間の亀裂はどんどん狭まっていくようだ。
もっともどちらかと言えば、オレが世界を癒やして亀裂を塞いでいる結果として、彼ら廃神はおこぼれで回復しているというところだろうか。
そして廃神達はどんどん消えていくが、それでも次から次へと押し寄せてくる。
間違いなくオレの存在を嗅ぎつけて殺到しているのだ。
全く数が減った様子がない。
何しろこれまで神造者が捨ててきた神々だからな。その全てが廃神になったわけではないとしても、相当な数なのは間違いない。
このままではオレも押し切られてしまいかねない状況だ。
もちろんオレに対して捧げられているものはもちろん、先ほど飛び込んだグレイスフル中央広場に向けられた力も注いでいるのだが、それでもいかんせん数が多い。
彼らが本来向かうべき死後の世界へと誘導はしているのだが、それにも限度というものがあるよ。
困った事に廃神達が殺到した結果、先ほどの亀裂はまるで閉じる様子がない。
むしろどうにか破裂を食い止めているに過ぎない状況だ。
もしもいまあの亀裂が弾けたら、世界そのものに甚大な被害をもたらすのは確実だ。
こうなったら全力投じて、亀裂を先に塞いでしまうべきだろうか?
だけどその場合、今はどうにか宥めている廃神達が今度こそ一斉に襲いかかってきて、こちらはひとたまりもないだろう。
しかし次から次へと押し寄せてくる廃神達を先に片付けるのはまず無理だ。その場合、間違いなくこちらが先に力つきる。
少し前、イロールの化身になるのは諦めたけど、今にして思えばそれも力になってくれていたか。
いや。その程度では全くの焼け石に水だろう。
ええい。大陸のあちこちから力を集めているはずなのに、まだまだオレは無力なのか。
『いいえ。そんな事はありませんよ』
「え? もしや?」
『こういう時ぐらいは『母』を頼って欲しいですね』
イロールの落ち着いた声がオレの脳裏に響く。いつもの事だけど、この女神はオレがどんなに大ピンチでも他人事のように落ち着いているな。
「それではあなたがこの廃神の相手をしてくれるのですか?」
『申し訳無いですが、わたくしにそれは無理です』
即答かよ!
相変わらずこの女神は頼りにならないな!
『わたくしの権能は癒しですが、そもそも彼らは負傷や病気によってあのような状態になったのではありません。だから癒やしの対象にもならないのです』
「わたしは彼らを癒やしているつもりですが、違うのですか?」
『あなたがここの領域に自らに捧げられた信仰を注いでいるからです。しかしそれは本当の神には出来ない事ですよ。なぜなら神の権能と無関係な存在に自ら捧げられた信仰を分け与えるなどという事は出来ませんからね』
言われて見ればその通りか。
街の神や山の神なら、自分の領域に力を振るう事が出来るが、この神造者の領域には本来は神造者しか力を振るうことは出来ないのだ。
『そのような事は未だ人の身に留まるあなたにしか出来ないでしょうね。だからわたくしもあなたを助力する事は出来ても、彼らの相手は不可能です』
「そうですか……」
どのみち頼りになる助力が得られるとは思っていなかったから、さほど失望はしなかったけどな。
『しかし我が信徒に呼びかけて、あなたに今以上の力を与える事は出来ます』
「ありがとうございます!」
とにかく今はこの領域を癒やし続け、廃神達もそれによって正気に戻すしか無い。
女神の助力を得たお陰で少しずつ亀裂が狭まり、周囲の空間も赤茶けた死の土地から、次第に生命が戻ってくるようにも感じられる。
もしかしたらいけるか?
だがオレの身体が次第に重くなり、力が抜けてくる事も感じられる。
やはりまだ捧げられる力が足りないのか。
改めて確認したところ、世界の亀裂は塞がりつつあると言っても、押し寄せる廃神達は相変わらずそこを押し広げようとしているのだ。
しかもこれは今、オレがいるグレイスフルだけでなく、他の神造者の支配地域でも同じなのだ。
大陸中で廃神を作り出してしまっていた神造者の支配地域全てで規模の大小はともかく廃神が暴れだそうとしているのは変わりない。
結局のところオレに出来るのは、ホンの僅かなことでしか無いのか?
『いえいえ。そんな事はありませんよ。わたくしには分かります』
「なにがですか?!」
『現在、あなたの化身達が動いています。彼女達はいずれもあなたと一緒になって、この世界に出来た疵を癒やそうと努めているのですよ』
「それは本当ですか?!」
思わず聞き返すと、イロールは少しばかり困った様子で首をかしげるいつものポーズを取る。
『あなたは最初からそのつもりで化身を大陸中に送り込んでいたのではないのですか?』
そんなわけあるか!
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