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第2話 両親大歓喜
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オレはさっそく、リビングにいた両親へ報告をした。
「兼人に異能が開花した⁉」
「いや、コレが異能かどうかは分かんないけど……」
父さんは興奮を抑えながらオレに確認する。
新聞を持つ手がプルプル震えているから隠しきれていないわけだが、気遣いは嬉しい。
「紅波の火球を受け止めたんだろう?」
父さんに聞かれて、オレはコクンと頷いた。
母さんは興奮を隠すつもりは全くないようで大きな声で宣言する。
「おめでとう、兼人!!! 異能開花の記念に、お赤飯を炊かなくちゃ!」
母さんはクルッと父さんの方に向き直ると、新聞を引っぺがしてその両手にそれぞれ自分の手を絡めた。
「あなた! 兼人がついにやったのよ! 喜んで⁉」
「喜んでるよっ! 当り前じゃないか!」
父さんと母さんは涙を流しながら抱き合った。
「「お゛め゛で゛どぉぉぉぉぉぉ゛~、兼人ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~」」
滝のような涙を流しながら声を合わせて祝われて、オレは若干引いた。
「う、うん。ありがとう……」
あまりの喜びっぷりに、オレは罪悪感に襲われた。
どんだけ両親に心配かけたんだ、オレ⁉
ちょっと涙が出ちゃいそう。
いや、ちょっと出た。
だけど唇を噛みしめて耐えるよ。
でもさー。
異能が発現しないのは遺伝が大きいっていうから、罪悪感はチャラだ。
あ、でもそうなると異能が開花したのは両親のおかけだな?
やっぱ感謝しなきゃダメか。
などと複雑な気持ちを抱えているオレの横で、妹の紅波も複雑な表情を浮かべている。
そして紅波は、吐き捨てるように言った。
「うちの両親、キモッ」
思春期の乙女心は複雑だ。
抱き合って号泣する両親に感動できるほど大人にはなっていないんだろう。
まぁどうでもいい。
紅波は紅波で勝手に大人になってくれ。
それよりも自分のことだ。
「あー、ところでオレの異能って何て言うんだろうな?」
せっかく異能が開花しても能力名が分からないと履歴書に書けない。
「さぁ? わたしも、あんなの見たことない」
紅波も首を傾げている。
オレは頭を掻いた。
「あー困ったなぁ。学生の頃なら学校で鑑定してもらえたのに。せっかく異能が開花したのに、これじゃ履歴書にどう書いたらいいか分からないんだが?」
「それなら役所で鑑定してもらえばいいんじゃない?」
紅波に言われて、オレは両手を合わせてパチンと叩いた。
「役所で鑑定してもらえば確かだし、適した職も紹介してもらえるかもしれないな。明日行ってくるよ」
こうしてオレは、異能を鑑定してもらうために役所へ行くことになった。
母さんは明るく弾んだ声で言う。
「とりあえず今夜は用意した晩御飯を食べましょう。今夜は兼人の好きなハンバーグよ」
「やった」
キッチンへと向かう母さんに言われて、オレは久しぶりに両腕を上げてバンザイのポーズで喜びを表現してみた。
隣で紅波が唇を尖らせてむくれている。
「ハンバーグは、私も好きだもん」
「父さんもだぞ」
父さんがフフフと笑いながら紅波の背中を押しながらダイニングテーブルへ向かう。
微妙なお年頃の紅波は、オレの異能が開花したのは嬉しいものの、主役がオレになったのが面白くないらしい。
いつまで経っても子どもなんだから。
高2は子どもでも問題ないし、妹は可愛いからいいけど。
反抗期ちょっと長くない? とは思う。
ちょっと肩をすくめて両手を広げ、溜息をついたら、紅波に睨まれた。
解せぬ。
とはいえいつものことなので、オレも2人の後に続いていつもの席へと腰を下ろして、美味しいハンバーグを楽しく食べたのだった。
「兼人に異能が開花した⁉」
「いや、コレが異能かどうかは分かんないけど……」
父さんは興奮を抑えながらオレに確認する。
新聞を持つ手がプルプル震えているから隠しきれていないわけだが、気遣いは嬉しい。
「紅波の火球を受け止めたんだろう?」
父さんに聞かれて、オレはコクンと頷いた。
母さんは興奮を隠すつもりは全くないようで大きな声で宣言する。
「おめでとう、兼人!!! 異能開花の記念に、お赤飯を炊かなくちゃ!」
母さんはクルッと父さんの方に向き直ると、新聞を引っぺがしてその両手にそれぞれ自分の手を絡めた。
「あなた! 兼人がついにやったのよ! 喜んで⁉」
「喜んでるよっ! 当り前じゃないか!」
父さんと母さんは涙を流しながら抱き合った。
「「お゛め゛で゛どぉぉぉぉぉぉ゛~、兼人ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~」」
滝のような涙を流しながら声を合わせて祝われて、オレは若干引いた。
「う、うん。ありがとう……」
あまりの喜びっぷりに、オレは罪悪感に襲われた。
どんだけ両親に心配かけたんだ、オレ⁉
ちょっと涙が出ちゃいそう。
いや、ちょっと出た。
だけど唇を噛みしめて耐えるよ。
でもさー。
異能が発現しないのは遺伝が大きいっていうから、罪悪感はチャラだ。
あ、でもそうなると異能が開花したのは両親のおかけだな?
やっぱ感謝しなきゃダメか。
などと複雑な気持ちを抱えているオレの横で、妹の紅波も複雑な表情を浮かべている。
そして紅波は、吐き捨てるように言った。
「うちの両親、キモッ」
思春期の乙女心は複雑だ。
抱き合って号泣する両親に感動できるほど大人にはなっていないんだろう。
まぁどうでもいい。
紅波は紅波で勝手に大人になってくれ。
それよりも自分のことだ。
「あー、ところでオレの異能って何て言うんだろうな?」
せっかく異能が開花しても能力名が分からないと履歴書に書けない。
「さぁ? わたしも、あんなの見たことない」
紅波も首を傾げている。
オレは頭を掻いた。
「あー困ったなぁ。学生の頃なら学校で鑑定してもらえたのに。せっかく異能が開花したのに、これじゃ履歴書にどう書いたらいいか分からないんだが?」
「それなら役所で鑑定してもらえばいいんじゃない?」
紅波に言われて、オレは両手を合わせてパチンと叩いた。
「役所で鑑定してもらえば確かだし、適した職も紹介してもらえるかもしれないな。明日行ってくるよ」
こうしてオレは、異能を鑑定してもらうために役所へ行くことになった。
母さんは明るく弾んだ声で言う。
「とりあえず今夜は用意した晩御飯を食べましょう。今夜は兼人の好きなハンバーグよ」
「やった」
キッチンへと向かう母さんに言われて、オレは久しぶりに両腕を上げてバンザイのポーズで喜びを表現してみた。
隣で紅波が唇を尖らせてむくれている。
「ハンバーグは、私も好きだもん」
「父さんもだぞ」
父さんがフフフと笑いながら紅波の背中を押しながらダイニングテーブルへ向かう。
微妙なお年頃の紅波は、オレの異能が開花したのは嬉しいものの、主役がオレになったのが面白くないらしい。
いつまで経っても子どもなんだから。
高2は子どもでも問題ないし、妹は可愛いからいいけど。
反抗期ちょっと長くない? とは思う。
ちょっと肩をすくめて両手を広げ、溜息をついたら、紅波に睨まれた。
解せぬ。
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