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第3話 鑑定
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翌日。オレは役場へ鑑定を受けるために向かった。
秋といっても、夏と冬とを行き来するような不安定な時期だ。
でも今日は天気もいいし、夏日に近い気温だが風が涼しくてウォーキング日和。
公共交通機関と徒歩での移動にちょうどいい。
オレは足取り軽く役場の入り口を通った。
内部は天井も高く、受付カウンターがスッキリと並んでいる。
待合スペースには綺麗な椅子もあるし、通路も広い。
受付の奥には、パソコンやディスプレイの載せられたデスクが見えた。
最近の役場はこんななんだな。
オレはキョロキョロと室内を見回しながら、鑑定を受けるための受付カウンターを探した。
警備員らしき人にジロリと睨まれたが、睨むくらいなら目的の場所まで案内して欲しい。
25歳の無職を舐めんな。
大学受験に失敗して引きこもってた社会人経験ゼロのまっさらなオレは、なんも分からんからな?
マジでまっさらや。
森兼人、25歳。まだ何にも染まっていない真っ白な童貞処女です。
つーか、オレが引きこもっている間に男が処女か非処女かを問われる時代がくるとはな。
なんだよ、男が処女って。
などと愉快な思考を巡らせている間に、目的の受付に辿り着いた。
オレ、やれば出来る子だった。
「すみませーん」
「はい。なんでしょうか?」
オレが声をかけると、受付カウンターの向こうにあるデスクでパソコンを弄っていた男が振り返った。
整った中性的な顔立ちに長い銀髪。
この人はアレだな?
魔法使いだ。
現代の男は童貞処女のまま30歳を超えると魔法使いになれる。
そして美形なほど魔力が高い。
だから童貞処女ってなんだよ⁉
「あの、オレ、鑑定を受けたいんですけど」
「はいはい。鑑定ですね。じゃ、この書類に必要事項を記入してください」
この鑑定官、声まで美形だな。
そりゃ童貞処女を守ったら、魔法使いにもなれるというものでしょう。
だから童貞処女ってなんだよぉぉぉぉぉっ⁉
ちなみに魔法使いの鑑定官はわりといる。
役場と相性いいんだろうな。
オレは必要事項を記入した書類を、スラリと背が高く、美形なうえに性格も穏やかそうな鑑定官に書類を渡した。
「んー、森兼人さんね。えーと、小学校、中学校、高校、と。規定通り在校中に鑑定を受けていますね。成人後の鑑定は初めて、と。ではこちらの鑑定球に手を置いてください。あ、両手でお願いします」
オレは指示されたとおりに両手を鑑定球の上に手を置いた。
すると鑑定球は派手に光り、『大当たり―!』という録音された子どもっぽい声が役場のなかを響き渡った。
え⁉
オレなんかやっちゃいましたか?
秋といっても、夏と冬とを行き来するような不安定な時期だ。
でも今日は天気もいいし、夏日に近い気温だが風が涼しくてウォーキング日和。
公共交通機関と徒歩での移動にちょうどいい。
オレは足取り軽く役場の入り口を通った。
内部は天井も高く、受付カウンターがスッキリと並んでいる。
待合スペースには綺麗な椅子もあるし、通路も広い。
受付の奥には、パソコンやディスプレイの載せられたデスクが見えた。
最近の役場はこんななんだな。
オレはキョロキョロと室内を見回しながら、鑑定を受けるための受付カウンターを探した。
警備員らしき人にジロリと睨まれたが、睨むくらいなら目的の場所まで案内して欲しい。
25歳の無職を舐めんな。
大学受験に失敗して引きこもってた社会人経験ゼロのまっさらなオレは、なんも分からんからな?
マジでまっさらや。
森兼人、25歳。まだ何にも染まっていない真っ白な童貞処女です。
つーか、オレが引きこもっている間に男が処女か非処女かを問われる時代がくるとはな。
なんだよ、男が処女って。
などと愉快な思考を巡らせている間に、目的の受付に辿り着いた。
オレ、やれば出来る子だった。
「すみませーん」
「はい。なんでしょうか?」
オレが声をかけると、受付カウンターの向こうにあるデスクでパソコンを弄っていた男が振り返った。
整った中性的な顔立ちに長い銀髪。
この人はアレだな?
魔法使いだ。
現代の男は童貞処女のまま30歳を超えると魔法使いになれる。
そして美形なほど魔力が高い。
だから童貞処女ってなんだよ⁉
「あの、オレ、鑑定を受けたいんですけど」
「はいはい。鑑定ですね。じゃ、この書類に必要事項を記入してください」
この鑑定官、声まで美形だな。
そりゃ童貞処女を守ったら、魔法使いにもなれるというものでしょう。
だから童貞処女ってなんだよぉぉぉぉぉっ⁉
ちなみに魔法使いの鑑定官はわりといる。
役場と相性いいんだろうな。
オレは必要事項を記入した書類を、スラリと背が高く、美形なうえに性格も穏やかそうな鑑定官に書類を渡した。
「んー、森兼人さんね。えーと、小学校、中学校、高校、と。規定通り在校中に鑑定を受けていますね。成人後の鑑定は初めて、と。ではこちらの鑑定球に手を置いてください。あ、両手でお願いします」
オレは指示されたとおりに両手を鑑定球の上に手を置いた。
すると鑑定球は派手に光り、『大当たり―!』という録音された子どもっぽい声が役場のなかを響き渡った。
え⁉
オレなんかやっちゃいましたか?
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