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セリナが見た終幕
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金髪の国王に徹底的に指摘された赤髪の伯爵令嬢は、顔を歪めてギリギリと悔しそうに歯がみしている。
「フルオライト伯爵令嬢……。そなたには魔力増強剤を使用した魔力ドーピングで王家を謀って余の婚約者となったという嫌疑、そして寵姫ローザに対する傷害と殺人未遂容疑、及び後宮で火事を起こした放火容疑、余が寵姫ローザに渡していた王家に代々伝わるサファイアの首飾りを窃盗し、破損させた容疑がかかっている」
「くっ……!」
「そなたの実家であるフルオライト伯爵家には、複数の元メイド殺人容疑もある。実家から助けがあるとは思わぬことだ」
「こんな……。宰相閣下は? どうしてこの場に居ないのですか?」
フルオライト伯爵家の親戚筋に当たる宰相ハインならば、きっと窮地の自分を擁護してくれると思ったのだろう。伯爵令嬢フローラはきょろきょろと周囲に視線を向けるが、普段なら国王の近くに控えている宰相ハインの姿はどこにも見当たらない。
「宰相はフルオライト伯爵令嬢を王妃にと推していた、そなたの親戚筋だ。余を謀っていた嫌疑は宰相にもかかっている。宰相ハインはすでに軟禁状態にある。明日、改めてそなたの魔力を確認し魔力ドーピングによる不正行為が確定すれば、余と王家を謀っていた罪で宰相職を解任させる」
「そんな!」
頼みの綱だった宰相ハインにも頼れないと分かった伯爵令嬢フローラは、愕然とした様子で口元をおさえて顔色を青くさせている。
「ハインばかりではない。明日になれば、少なくとも魔力ドーピングの件は有罪かどうか確定する。フルオライト伯爵令嬢、明日はそなたの運命を決定する大事な日だ」
「ぐっ」
「明日に備えて身体を休めておいた方が良いだろう。ひとまず今日の所は宰相ハイン同様、フルオライト伯爵令嬢を監視の元、軟禁状態にさせてもらう。衛兵、フルオライト伯爵令嬢を丁重に案内しろ」
「はっ!」
屈強な衛兵が二人、前に出て赤髪の伯爵令嬢を見据えた。しかし、伯爵令嬢フローラは衛兵をにらみつけたあと一転、涙目で金髪の国王に対して祈るようなポーズで両手をあわせた。
「レオン陛下、違うんですっ! 誤解ですわ! 私は……!」
「話は明日、魔力ドーピングの件が確定してから聞こう。衛兵、連れていけ」
「はっ! 伯爵令嬢、失礼いたします」
「いやっ! 離しなさい! レオン陛下……!」
伯爵令嬢は赤髪を振り乱して必死な様子で国王の同情を引こうとしていたが、金髪の国王はみじんも心を動かされなかったようで、伯爵令嬢フローラが衛兵に連れ出されるのを冷静に見届けた後、横でみけんにシワを寄せて忌々しそうな表情を浮かべていたリオネーラ王太后に視線を向けた。
「フルオライト伯爵令嬢……。そなたには魔力増強剤を使用した魔力ドーピングで王家を謀って余の婚約者となったという嫌疑、そして寵姫ローザに対する傷害と殺人未遂容疑、及び後宮で火事を起こした放火容疑、余が寵姫ローザに渡していた王家に代々伝わるサファイアの首飾りを窃盗し、破損させた容疑がかかっている」
「くっ……!」
「そなたの実家であるフルオライト伯爵家には、複数の元メイド殺人容疑もある。実家から助けがあるとは思わぬことだ」
「こんな……。宰相閣下は? どうしてこの場に居ないのですか?」
フルオライト伯爵家の親戚筋に当たる宰相ハインならば、きっと窮地の自分を擁護してくれると思ったのだろう。伯爵令嬢フローラはきょろきょろと周囲に視線を向けるが、普段なら国王の近くに控えている宰相ハインの姿はどこにも見当たらない。
「宰相はフルオライト伯爵令嬢を王妃にと推していた、そなたの親戚筋だ。余を謀っていた嫌疑は宰相にもかかっている。宰相ハインはすでに軟禁状態にある。明日、改めてそなたの魔力を確認し魔力ドーピングによる不正行為が確定すれば、余と王家を謀っていた罪で宰相職を解任させる」
「そんな!」
頼みの綱だった宰相ハインにも頼れないと分かった伯爵令嬢フローラは、愕然とした様子で口元をおさえて顔色を青くさせている。
「ハインばかりではない。明日になれば、少なくとも魔力ドーピングの件は有罪かどうか確定する。フルオライト伯爵令嬢、明日はそなたの運命を決定する大事な日だ」
「ぐっ」
「明日に備えて身体を休めておいた方が良いだろう。ひとまず今日の所は宰相ハイン同様、フルオライト伯爵令嬢を監視の元、軟禁状態にさせてもらう。衛兵、フルオライト伯爵令嬢を丁重に案内しろ」
「はっ!」
屈強な衛兵が二人、前に出て赤髪の伯爵令嬢を見据えた。しかし、伯爵令嬢フローラは衛兵をにらみつけたあと一転、涙目で金髪の国王に対して祈るようなポーズで両手をあわせた。
「レオン陛下、違うんですっ! 誤解ですわ! 私は……!」
「話は明日、魔力ドーピングの件が確定してから聞こう。衛兵、連れていけ」
「はっ! 伯爵令嬢、失礼いたします」
「いやっ! 離しなさい! レオン陛下……!」
伯爵令嬢は赤髪を振り乱して必死な様子で国王の同情を引こうとしていたが、金髪の国王はみじんも心を動かされなかったようで、伯爵令嬢フローラが衛兵に連れ出されるのを冷静に見届けた後、横でみけんにシワを寄せて忌々しそうな表情を浮かべていたリオネーラ王太后に視線を向けた。
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