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後編
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充はどうしたら涼太が徹の魔の手から逃れられるかを考えていた。
そして、ある作戦を思いついたのだ。それが、涼太を更なる闇に導く事になるとも知らずに……。
一ヶ月も経つと、一年生達も放課後の肉の宴に慣れてきた。充は参加したくないと廊下で無意味な見張り番をする事になった。
涼太は充を気にする事なく、徹の命令に従うという幸せな時間を送っていた。
終われば徹の体液をもらい、徹と一緒に下校する。
「そーいや、涼太は進路決まってんのかよ?」
「親には進学しろって言われてるよ。でも、僕の未来は徹君に決めて欲しいな……なんて言ったら重い?」
「別に。お前のくだらねぇ人生が壊れようが知った事じゃねぇ。
今度決めてやるから、俺の命令に従えよ」
「うん、勿論。僕は徹君になら人生壊されても、殺されても、どんなに不幸になっても喜んで受け入れます」
「あ、あぁ、そうかよ」
徹の歯切れの悪い返事に、涼太が少し首を傾げた時だった。
「おい、お前が瀬川か?」
後ろから呼び止められ、二人は振り向いた。そこにはヤクザとも言えるような黒いスーツの男が三人立っていた。
一睨みで人を殺せるのではないか、という程の目付きだ。
徹も負けじと睨み返す。
「あぁ? なんだよ?」
「事務所に来てもらうぞ」
「なんでだよ!?」
「お前に話がある。来るんだ!」
徹は二人がかりで押さえ付けられ、近くの黒塗りの車に乗せられた。涼太も一人が身柄を拘束している。
「涼太は関係ねぇ! 涼太、逃げろ!」
「いいえ。僕も行きます」
初めて涼太が徹の命令に逆らった。徹は殴って涼太に言う事を聞かせようとしたが、男二人に押さえ付けられて近寄れない。
男が一人運転席に、涼太は助手席に座った。後部座席には徹が男二人に挟まれている。
「君、悪ガキっぽく見えないけど、意外と肝が座ってるんだな?」
運転席の男が涼太に声を掛けた。
「怖くないですから。それに、徹君は僕が守ります」
涼太はにっこりと笑顔で答えた。
連れていかれたのはヤクザの事務所だった。組長は屈強な身体にビシッとスーツに身を包み、堂々とした態度で奥のテーブルに座っていた。見た目は三十代程か、まだ若さを感じられる顔付きだ。
涼太と徹はソファーに座らされ、その周りを組員達が囲むように立っている。
「瀬川君、君ねぇ喧嘩の腕に自信があるか知らないけど、私の車に傷付けちゃダメでしょ」
「そんな事してませんよ! 濡れ衣だ!」
「でも現に傷付いた車と、君がやった証拠があるんだけどね」
組長が出したのは一枚の写真。夜に撮られた写真らしく、全体的に暗い。徹が黒い車の前にしゃがみ、笑っている写真だった。
「それは……!」
心当たりがあるのか、徹は顔色を青くした。
「俺じゃない! 俺じゃないです!
確かにその車が高そうな車で、舎弟達の前で傷付けたらやべーって言って笑ったけど。
それだけだ! 本当に傷付けてねぇよ!」
「でもねぇ、それを信じる証拠がないよね。この写真と、この傷を付けたのが君だという告発文が届いたら、普通の人ならどっちを信じると思うかい?」
徹の顔は真っ青だ。涼太はキッと組長を睨みつけた。
「私達も一般の人に危害を加えるつもりはない。でも、これだけバカにした行為をされたら、何もしないわけにはいかない。
君には制裁を受けてもらおう。何、ちょっと身体をいじるくらいだ。
それで許してあげるんだ、君にとっても悪い話じゃない」
「かっ……身体を!?」
「抵抗するなら半殺しにするまでだ」
「ヒッ……」
組長の睨みに徹は本気で恐怖を感じていた。蛇に睨まれた蛙とはこの事だ。
両手足はブルブルと震えて、全身が冷えている。
涼太はそんな徹の手に、自分の手を乗せた。徹が恐る恐る蒼白になった顔を涼太に向ける。
「徹君は心配しないで。大丈夫だから」
「涼太、お前、何を……?」
涼太は立ち上がって組長に微笑んだ。
「組長さん。その車の傷は僕……池内涼太がやりました」
「ほう?」
「はあ!?」
徹が反論しようとするが、涼太が遮って続ける。
「この時確かに徹君は、この車カッコイイ~、高そ~、傷付けたらやべーって言ってました。
それで僕に傷付けてみろよって冗談で言いました。でも、僕は冗談だと分かっていながら、徹君を驚かせたい一心で傷を付けました」
「じゃあ全ての罪は君にあると言うんだな?」
組長が睨む顔は一層皺を濃くした。徹でさえ心臓が縮み上がる程に。
「はい。なので僕が罰を受けます。僕にならどんな事をしても構いません。
組長さんの心のままに僕を好きにして下さい」
「分かった。そっちの瀬川は無関係とまではいかないが、直接的な罪はない。元の場所へ帰しなさい」
「承知しました」
組長の一言で組員の一人が返事をし、徹を連れて部屋を出ようとする。
「涼太! 涼太! お前、なんでそんなバカな事……」
「徹君、さようなら。もうあんまり無茶したらダメだよ」
涼太は振り向かずに、徹へ最後の言葉を送った。
「お、俺がやったんだ! だから、涼太は関係ないんだ! 涼太! 涼太っ!」
徹は必死の叫んだが、二人の組員に口を塞がれ、身体も押さえ付けられ、それ以上は叫べない。そのまま事務所から連れ出された。
「さて、君に受けてもらう罰だが……腎臓を一つ売ってもらおうか。それで車の修理代と相殺してやろう」
「分かりました」
「やけにあっさりと頷くものだ。怖くないのか?」
「怖くありません。あなたの命令であれば全てお聞きしましょう。ですがその代わり……」
涼太が提示した交換条件に組長は驚きながらも頷いた。そして、涼太は促されるまま奥の個室に軟禁された。
※
「は……はあっ!? それでなんで池内先輩がヤクザに捕まるんです!?」
徹が涼太がいなくなった事実を舎弟達に話すと、最初に怒り出したのは充だった。
「知らねぇよ! 俺はやってもない事でヤクザに責められて……涼太が身代わりに……」
「ざけんな! 俺がお前から池内先輩を離す為に裏で工作した事なのに! なんでお前じゃなくて池内先輩が犠牲になるんだよ!?」
徹は激昴した。言葉が出せない程の怒りに先に拳が充に向かった。
充は一発で吹っ飛ばされ、壁に激突した。怒りから痛みが鈍っている。立ち上がり、徹に拳を打ち込んだ。
──だが、その拳は防がれてしまい、みぞおちを殴られる。充はその場でうずくまり、嘔吐した。
「……ぇぇ……おぇぇぇっ!」
「ざけんな! ざけんな! ざけんな! 涼太を返せよ!」
徹は充の背中を何度も何度も踏み付ける。次第に充は意識を手放した。徹も舎弟達も充を放置して帰った。
すぐに救急車を呼んでいれば、助かったかもしれない。
翌日には充は息を引き取っていた。背中や胸部の複雑骨折、内臓破裂が死亡原因だ。
徹は殺人犯として警察に捕まった。
逮捕されようとも徹の頭にあるのは涼太の事だけだ。
「涼太……涼太……本当は好きだったんだ。なのに……あんなに近くにいたのに……なんで俺は……」
出る言葉は涼太への贖罪と、悔恨の思いだけだ。
何故もっと優しくしてやれなかったのか。何故あんなに酷い扱いをしてしまったのか。
せめて非道な扱いをしていなければ充が、あのような行動に出る事もなかっただろうと、後悔だけが徹の心を蝕む。
「卒業したら……俺と一緒に暮らそうって、就職先は俺のところに来いって……言うつもりだったのに……。
はは……あははははははは」
徹の心は次第に壊れていった。涼太と幸せに暮らす夢を見ては、目が覚めると暴れた。
日中はずっと涼太の事を考える毎日だ。
「涼太……愛してる」
※
「怖くありません。あなたの命令であれば全てお聞きしましょう。ですがその代わり、僕を愛人にしてもらえませんか?」
涼太は組長に向けてにっこりと笑った。当然、組長は訝しげに涼太を睨みつけた。
「愛人だと?」
「はい。僕の身体は男を受け入れられる身体です。ご命令とあらば性転換致します。
どうでしょうか? どんな非人道的な命令も聞きますし、もし必要なくなったら使い捨てて良いですよ」
「そこまでして私に何を望む?」
「何も望みません。あなたのお傍に置いてくださるのなら、僕は下僕でも奴隷でもパシリでも、なんでもなります」
「そうまでする理由は?」
今までの人生、涼太は好きになった人にいつも同じ言葉で近寄っているが、理由まで聞かれたのは初めてだ。
ニヤリと笑みを浮かべてから、はっきりと述べた。
「僕、強い人が好きなんですよ。それで、組長さんに一目惚れしてしまいました。
さっきまでは徹君が好きだったんですけどね。ヤクザに凄まれたからってあんな情けない態度取られちゃ愛想も尽きますよ。
組長さんは見るからに強そうですし、さっきの鋭い眼光に、僕の胸は貫かれちゃったんです」
「強い男が好きだと?」
「はい! 強い人にねじ伏せられて、命令されて、人間扱いされてないってくらい酷く扱われるのが大好きなんです」
「ドMのド変態が」
「早速言葉責めですか? ドキドキしちゃいます。
それで組長さん、僕をどうしてくれますか?」
「フッ。ならば望み通り、これからは私の奴隷となるといい。困った時はお前の臓器や身体を売るかもしれないし、鉄砲玉として捨て駒にするかもしれないぞ?」
「願ったり叶ったりですよ。それでお役に立てるのなら、これ以上幸せな事はありません」
「ふははは。使い道がある内は大事にしてやる。今回の腎臓もいらん、取っておけ。
今日は奥の部屋にいるといい、明日お前の部屋を用意する」
そして、涼太は組長の奴隷として生きていく事になった。
そして、ある作戦を思いついたのだ。それが、涼太を更なる闇に導く事になるとも知らずに……。
一ヶ月も経つと、一年生達も放課後の肉の宴に慣れてきた。充は参加したくないと廊下で無意味な見張り番をする事になった。
涼太は充を気にする事なく、徹の命令に従うという幸せな時間を送っていた。
終われば徹の体液をもらい、徹と一緒に下校する。
「そーいや、涼太は進路決まってんのかよ?」
「親には進学しろって言われてるよ。でも、僕の未来は徹君に決めて欲しいな……なんて言ったら重い?」
「別に。お前のくだらねぇ人生が壊れようが知った事じゃねぇ。
今度決めてやるから、俺の命令に従えよ」
「うん、勿論。僕は徹君になら人生壊されても、殺されても、どんなに不幸になっても喜んで受け入れます」
「あ、あぁ、そうかよ」
徹の歯切れの悪い返事に、涼太が少し首を傾げた時だった。
「おい、お前が瀬川か?」
後ろから呼び止められ、二人は振り向いた。そこにはヤクザとも言えるような黒いスーツの男が三人立っていた。
一睨みで人を殺せるのではないか、という程の目付きだ。
徹も負けじと睨み返す。
「あぁ? なんだよ?」
「事務所に来てもらうぞ」
「なんでだよ!?」
「お前に話がある。来るんだ!」
徹は二人がかりで押さえ付けられ、近くの黒塗りの車に乗せられた。涼太も一人が身柄を拘束している。
「涼太は関係ねぇ! 涼太、逃げろ!」
「いいえ。僕も行きます」
初めて涼太が徹の命令に逆らった。徹は殴って涼太に言う事を聞かせようとしたが、男二人に押さえ付けられて近寄れない。
男が一人運転席に、涼太は助手席に座った。後部座席には徹が男二人に挟まれている。
「君、悪ガキっぽく見えないけど、意外と肝が座ってるんだな?」
運転席の男が涼太に声を掛けた。
「怖くないですから。それに、徹君は僕が守ります」
涼太はにっこりと笑顔で答えた。
連れていかれたのはヤクザの事務所だった。組長は屈強な身体にビシッとスーツに身を包み、堂々とした態度で奥のテーブルに座っていた。見た目は三十代程か、まだ若さを感じられる顔付きだ。
涼太と徹はソファーに座らされ、その周りを組員達が囲むように立っている。
「瀬川君、君ねぇ喧嘩の腕に自信があるか知らないけど、私の車に傷付けちゃダメでしょ」
「そんな事してませんよ! 濡れ衣だ!」
「でも現に傷付いた車と、君がやった証拠があるんだけどね」
組長が出したのは一枚の写真。夜に撮られた写真らしく、全体的に暗い。徹が黒い車の前にしゃがみ、笑っている写真だった。
「それは……!」
心当たりがあるのか、徹は顔色を青くした。
「俺じゃない! 俺じゃないです!
確かにその車が高そうな車で、舎弟達の前で傷付けたらやべーって言って笑ったけど。
それだけだ! 本当に傷付けてねぇよ!」
「でもねぇ、それを信じる証拠がないよね。この写真と、この傷を付けたのが君だという告発文が届いたら、普通の人ならどっちを信じると思うかい?」
徹の顔は真っ青だ。涼太はキッと組長を睨みつけた。
「私達も一般の人に危害を加えるつもりはない。でも、これだけバカにした行為をされたら、何もしないわけにはいかない。
君には制裁を受けてもらおう。何、ちょっと身体をいじるくらいだ。
それで許してあげるんだ、君にとっても悪い話じゃない」
「かっ……身体を!?」
「抵抗するなら半殺しにするまでだ」
「ヒッ……」
組長の睨みに徹は本気で恐怖を感じていた。蛇に睨まれた蛙とはこの事だ。
両手足はブルブルと震えて、全身が冷えている。
涼太はそんな徹の手に、自分の手を乗せた。徹が恐る恐る蒼白になった顔を涼太に向ける。
「徹君は心配しないで。大丈夫だから」
「涼太、お前、何を……?」
涼太は立ち上がって組長に微笑んだ。
「組長さん。その車の傷は僕……池内涼太がやりました」
「ほう?」
「はあ!?」
徹が反論しようとするが、涼太が遮って続ける。
「この時確かに徹君は、この車カッコイイ~、高そ~、傷付けたらやべーって言ってました。
それで僕に傷付けてみろよって冗談で言いました。でも、僕は冗談だと分かっていながら、徹君を驚かせたい一心で傷を付けました」
「じゃあ全ての罪は君にあると言うんだな?」
組長が睨む顔は一層皺を濃くした。徹でさえ心臓が縮み上がる程に。
「はい。なので僕が罰を受けます。僕にならどんな事をしても構いません。
組長さんの心のままに僕を好きにして下さい」
「分かった。そっちの瀬川は無関係とまではいかないが、直接的な罪はない。元の場所へ帰しなさい」
「承知しました」
組長の一言で組員の一人が返事をし、徹を連れて部屋を出ようとする。
「涼太! 涼太! お前、なんでそんなバカな事……」
「徹君、さようなら。もうあんまり無茶したらダメだよ」
涼太は振り向かずに、徹へ最後の言葉を送った。
「お、俺がやったんだ! だから、涼太は関係ないんだ! 涼太! 涼太っ!」
徹は必死の叫んだが、二人の組員に口を塞がれ、身体も押さえ付けられ、それ以上は叫べない。そのまま事務所から連れ出された。
「さて、君に受けてもらう罰だが……腎臓を一つ売ってもらおうか。それで車の修理代と相殺してやろう」
「分かりました」
「やけにあっさりと頷くものだ。怖くないのか?」
「怖くありません。あなたの命令であれば全てお聞きしましょう。ですがその代わり……」
涼太が提示した交換条件に組長は驚きながらも頷いた。そして、涼太は促されるまま奥の個室に軟禁された。
※
「は……はあっ!? それでなんで池内先輩がヤクザに捕まるんです!?」
徹が涼太がいなくなった事実を舎弟達に話すと、最初に怒り出したのは充だった。
「知らねぇよ! 俺はやってもない事でヤクザに責められて……涼太が身代わりに……」
「ざけんな! 俺がお前から池内先輩を離す為に裏で工作した事なのに! なんでお前じゃなくて池内先輩が犠牲になるんだよ!?」
徹は激昴した。言葉が出せない程の怒りに先に拳が充に向かった。
充は一発で吹っ飛ばされ、壁に激突した。怒りから痛みが鈍っている。立ち上がり、徹に拳を打ち込んだ。
──だが、その拳は防がれてしまい、みぞおちを殴られる。充はその場でうずくまり、嘔吐した。
「……ぇぇ……おぇぇぇっ!」
「ざけんな! ざけんな! ざけんな! 涼太を返せよ!」
徹は充の背中を何度も何度も踏み付ける。次第に充は意識を手放した。徹も舎弟達も充を放置して帰った。
すぐに救急車を呼んでいれば、助かったかもしれない。
翌日には充は息を引き取っていた。背中や胸部の複雑骨折、内臓破裂が死亡原因だ。
徹は殺人犯として警察に捕まった。
逮捕されようとも徹の頭にあるのは涼太の事だけだ。
「涼太……涼太……本当は好きだったんだ。なのに……あんなに近くにいたのに……なんで俺は……」
出る言葉は涼太への贖罪と、悔恨の思いだけだ。
何故もっと優しくしてやれなかったのか。何故あんなに酷い扱いをしてしまったのか。
せめて非道な扱いをしていなければ充が、あのような行動に出る事もなかっただろうと、後悔だけが徹の心を蝕む。
「卒業したら……俺と一緒に暮らそうって、就職先は俺のところに来いって……言うつもりだったのに……。
はは……あははははははは」
徹の心は次第に壊れていった。涼太と幸せに暮らす夢を見ては、目が覚めると暴れた。
日中はずっと涼太の事を考える毎日だ。
「涼太……愛してる」
※
「怖くありません。あなたの命令であれば全てお聞きしましょう。ですがその代わり、僕を愛人にしてもらえませんか?」
涼太は組長に向けてにっこりと笑った。当然、組長は訝しげに涼太を睨みつけた。
「愛人だと?」
「はい。僕の身体は男を受け入れられる身体です。ご命令とあらば性転換致します。
どうでしょうか? どんな非人道的な命令も聞きますし、もし必要なくなったら使い捨てて良いですよ」
「そこまでして私に何を望む?」
「何も望みません。あなたのお傍に置いてくださるのなら、僕は下僕でも奴隷でもパシリでも、なんでもなります」
「そうまでする理由は?」
今までの人生、涼太は好きになった人にいつも同じ言葉で近寄っているが、理由まで聞かれたのは初めてだ。
ニヤリと笑みを浮かべてから、はっきりと述べた。
「僕、強い人が好きなんですよ。それで、組長さんに一目惚れしてしまいました。
さっきまでは徹君が好きだったんですけどね。ヤクザに凄まれたからってあんな情けない態度取られちゃ愛想も尽きますよ。
組長さんは見るからに強そうですし、さっきの鋭い眼光に、僕の胸は貫かれちゃったんです」
「強い男が好きだと?」
「はい! 強い人にねじ伏せられて、命令されて、人間扱いされてないってくらい酷く扱われるのが大好きなんです」
「ドMのド変態が」
「早速言葉責めですか? ドキドキしちゃいます。
それで組長さん、僕をどうしてくれますか?」
「フッ。ならば望み通り、これからは私の奴隷となるといい。困った時はお前の臓器や身体を売るかもしれないし、鉄砲玉として捨て駒にするかもしれないぞ?」
「願ったり叶ったりですよ。それでお役に立てるのなら、これ以上幸せな事はありません」
「ふははは。使い道がある内は大事にしてやる。今回の腎臓もいらん、取っておけ。
今日は奥の部屋にいるといい、明日お前の部屋を用意する」
そして、涼太は組長の奴隷として生きていく事になった。
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