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「大紀に……会ったの?」
午後の自習時間、二人で空き教室に抜けた。静まり返った教室の片隅で、依澄が報告したことを確認するように朝陽はぼそりと呟いた。 依澄は頷きもせず、ただ少しだけ視線をそらした。
「何か言われた?」
「……副会長が好きだって、言われた」
「ふーん」
興味なさげなその声に、ほんの僅かに滲んだ苛立ちを、依澄は聞き逃さなかった。 けれど、それが自分に向けられていないことも、わかっていた。
「昨日、俺があの部屋に行かないで、大紀を受け入れてたら、どうしてた?」
「……は?」
思わず漏れた声に、朝陽がゆっくりと目を細めた。
「白崎は我慢してる時、どんな顔してたかずっと考えてた。会ってない分、余計に。昨日それが見られて、ああ、これが俺の“好き”なんだって、思った」
「……」
「でも、お前の“好き”が俺と同じとは限らない」
言い切ったその表情は、どこか脆い。 依澄は、その表情を見るのが苦しかった。
「俺……副……、朝陽が他の誰かと我慢を共有するなんて、想像しただけで吐きそうだ」
「依澄……」
「朝陽のことが、好きだ。たぶん最初に我慢してるのを見たときから、いや、もっと前から。たぶん、ずっと」
言い終えた依澄の頬が、熱を帯びていた。 生徒から恐れられてきた風紀委員長が、こんなにも正直に気持ちをさらけ出したのは初めてだった。
「じゃあ、確かめる?」
「……なにを」
「お前の部屋じゃなくて、今度は俺の部屋で――我慢、してみる」
依澄の喉が鳴った。
「お前がひとりで我慢して泣いた夜、俺、気づいてた。俺も同じくらい苦しかった。だから、今度は一緒にいさせて」
そう言って笑った朝陽の顔は、少しだけ赤くなっていた。 けれどその目は、強く、依澄を見つめていた。
夜。朝陽の一人部屋。
「……鍵、閉めたか?」
「閉めた。カーテンも、遮音も完璧」
「……じゃあ、始めるか」
部屋の空気が張りつめる。 並んでベッドに腰掛けたふたりは、黙って水を飲み干した。
「……なあ」
「ん?」
「朝陽は、俺のこと名前で呼ばないのな」
「……依澄って呼んだら、我慢できなくなるかも」
「試す?」
「バカ」
二人の手が、ゆっくりと重なった。
午後の自習時間、二人で空き教室に抜けた。静まり返った教室の片隅で、依澄が報告したことを確認するように朝陽はぼそりと呟いた。 依澄は頷きもせず、ただ少しだけ視線をそらした。
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「ふーん」
興味なさげなその声に、ほんの僅かに滲んだ苛立ちを、依澄は聞き逃さなかった。 けれど、それが自分に向けられていないことも、わかっていた。
「昨日、俺があの部屋に行かないで、大紀を受け入れてたら、どうしてた?」
「……は?」
思わず漏れた声に、朝陽がゆっくりと目を細めた。
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「……」
「でも、お前の“好き”が俺と同じとは限らない」
言い切ったその表情は、どこか脆い。 依澄は、その表情を見るのが苦しかった。
「俺……副……、朝陽が他の誰かと我慢を共有するなんて、想像しただけで吐きそうだ」
「依澄……」
「朝陽のことが、好きだ。たぶん最初に我慢してるのを見たときから、いや、もっと前から。たぶん、ずっと」
言い終えた依澄の頬が、熱を帯びていた。 生徒から恐れられてきた風紀委員長が、こんなにも正直に気持ちをさらけ出したのは初めてだった。
「じゃあ、確かめる?」
「……なにを」
「お前の部屋じゃなくて、今度は俺の部屋で――我慢、してみる」
依澄の喉が鳴った。
「お前がひとりで我慢して泣いた夜、俺、気づいてた。俺も同じくらい苦しかった。だから、今度は一緒にいさせて」
そう言って笑った朝陽の顔は、少しだけ赤くなっていた。 けれどその目は、強く、依澄を見つめていた。
夜。朝陽の一人部屋。
「……鍵、閉めたか?」
「閉めた。カーテンも、遮音も完璧」
「……じゃあ、始めるか」
部屋の空気が張りつめる。 並んでベッドに腰掛けたふたりは、黙って水を飲み干した。
「……なあ」
「ん?」
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二人の手が、ゆっくりと重なった。
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