36 / 103
時間切れ
しおりを挟む
「管楽器! ペダルの踏み込みが遅い! そのタイミングだと、楽器の最初の音に魔力が乗らない! ペダルを押すタイミングは、音を出す半拍前に揃えて!」
『はい!』
「弦楽器! 曲を弾くのに集中し過ぎ! ペダルがずっと押しっぱなしになってるよ! ちゃんと曲に合わせて強弱付けて!」
『はい!』
「打楽器も! 大きな音と小さな音でペダルを使い分けて! 大きな音出す時、音を出すのに気を取られて、ペダルの踏みが甘い!」
『はい!』
「合唱隊も! ペダルが加わって、合唱がバラバラになっているよ! しっかり声とペダルとを合わせつつ、他の歌手の歌声にも耳を傾けて! そこがバラバラになると、曲が崩れる!」
『はい!』
「じゃ! もう一回、歌い出しからいくよ!」
「済みません!」
俺がオルガンを弾こうと鍵盤に手を置いたところで、誰かが声を上げた。聖歌隊の練習に集中していたせいで、中断させたの誰だよ? と思わず眉根を寄せて、声が発せられた方へ厳しい視線を向けてしまう。
「インシグニア様、フェイルーラ様、時間です! そろそろ王城に向かって頂かないと!」
声を上げたのはティンパニ担当のインシグニア嬢の侍女だった。そう言われて、そう言えばこの後王城でも入学式の打ち合わせをねじ込んで貰っていたのを思い出した。それと同時に身体から気力が抜けて、ずっしりとした疲労感が襲ってくる。
(うっわ、だっる~。これだけ練習した後に、更に王城で打ち合わせとか、想像しただけで更に身体が怠くなるわ~)
しかし行かねばならない。入学式の担当者を待たせては、こちらの意向など聞き入れて貰えないだろう。まあ、大聖堂のこの顛末からして、入学式の歌奏をキャンセルするのは難しい事は容易に想像出来てしまうが。
俺は重怠い身体を引き摺りながら、オルガンのある場所から降りていく。途中、自分が汗だくなのに気付いて、空間魔法陣の描かれたグローブからタオルを取り出し、顔やら首やら腕やらを拭いていく。
インシグニア嬢の方もそれなりに疲れたのだろう。ハンカチで顔や首などを押さえている。これが魔力量の違いか!
はあ。と嘆息しながら、汗臭いまま、インシグニア嬢に近寄るのも憚れたので、香水を取り出して自分に振り掛ける。あれ? 昨日はどうだったかな? ジュウベエ君と決闘して、そのままだった? 動けなかったしなあ。汗臭い思いをさせてしまったかも知れない。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でした」
へにょんと笑いながらインシグニア嬢に近寄ると、向こうの笑顔もお疲れ気味だ。
「教皇猊下! 済みませんが、この後、王城で王立魔法学校の入学式での歌奏の打ち合わせが入っていまして、我々はここでお暇させて頂きたいのですが!」
「うむ。分かった」
ん? 何か猊下の反応が最初より柔らかくなった気がするな。
「では聖歌隊の皆さんも、ここまでで」
『はい!』
元気に返事してくれるが、皆もうボロボロだ。
「『契約召喚の儀』まではまだ一ヶ月程ありますし、こうなった以上、こちらも何度か合同練習に合流しますので、その都度、歌、演奏、ペダルの連動の練習して、楽曲の精度を高めていきましょう!」
『はい!』
返事は良いが皆、これからの事に思いを馳せて苦笑いだった。
✕✕✕✕✕
「フェイルーラ様!」
大聖堂の建物から出ると、いきなり声を掛けられた。疲れているので、誰だよ? と己の顔が険しくなるのを感じながらそちらへ視線を向けると、知った顔だった。
「マーチャルか」
茶髪をぴっちりと七三にした紺色の瞳の身なりの良い少年が、トラックの方から駆け寄ってきた。トラックからは同じ制服を着た男性たちが何やら搬入中だ。
「何かお疲れです?」
「まあ、教会の相手は骨が折れるって事だ」
「ああ……」
俺が軽く愚痴れば、何やら思い至る事でも思い出したのか、苦笑いとなるマーチャル。それも一瞬の事で、マーチャルの視線が俺からインシグニア嬢へ向けられる。
「インシグニア嬢、こちらはヴァストドラゴン家の御用商人の一つでもある、ワースウィーズ商会を任されているマーチャルです」
これに、「ああ」と納得顔をするインシグニア嬢。
「マーチャル、こちらは俺の婚約者のインシグニア嬢だ」
「初めまして、ではないですね。お久しぶりと言うべきでしょうか? インシグニア様におかれましては、ご健勝のようで何よりです」
「ええ。いつも良質な商品を融通して頂き、ありがとうございます」
マーチャルの言葉に応えるインシグニア嬢。
「え? 知り合いなの?」
疲れのせいで、単純な疑問が口から転び出た。いや、王都でも商売していたら、顔を合わせる事もあるか。しかしこれに嘆息を漏らすマーチャル。
「何を言っているのですか。ワースウィーズ商会は、フェイルーラ様が立ち上げた商会でしょう? 顧客の貴族様方くらい覚えていて下さいよ」
「え? インシグニア嬢って、ワースウィーズ商会のお得意様なんですか?」
「え? ワースウィーズ商会って、フェイルーラ様が立ち上げられたのですか?」
思わず互いに顔を見合わせてしまう。そして流れる沈黙。これは俺が説明した方が良いのか?
「……ええ、まあ。我がヴァストドラゴン領が、王国の食糧庫と呼ばれているのはご存知かと思われますが……」
ヴァストドラゴン領は元々王国なので広い。それに基本的になだらかな平原がどこまでも続く立地なので、食料生産にとても向いている土地なのだ。故に小麦をはじめ、穀類に野菜、果物と、様々な植物系の食料生産が税収の主な収入源だ。
もう少し詳しく説明すると、東の平原、ヴァストドラゴン領が野菜や果物や植物油、加工品などの生産、北のギガントシブリングス領はなだらかな丘陵地帯の為、野菜などの生産には向かないが、家畜を飼うには向いているので、牛、豚、羊、山羊、鶏など、様々な肉類や、乳製品、卵の生産、西のグリフォンデン領は、ギガントシブリングス領よりも急峻な山々が連なるが、鉄をはじめとした様々な鉱物の産地であり、南のタイフーンタイクン領は河川が多く、その氾濫などで食料生産には向かないが、海に面しているので、昔から漁業が盛んであり、近年は港湾が整備されて、ニドゥーク皇国など様々な他国から、貿易品のやり取りをしている。
「野菜の生産って、ロスが多いんです」
「ロス、ですか?」
俺の説明に首を傾げるインシグニア嬢。
「はい。人間が食べれる部分は一部で、他は油を採ったり、家畜の餌としてギガントシブリングス領に売ったり、肥料にしたりと色々してきたのですが、それでも使われない部分と言うのがどうしても出てしまいまして……」
「ああ……」
インシグニア嬢も思うところがあるらしい。ヴァストドラゴン領では取れる鉱物も限られるので、想像するしかないが、確か鉱物も全てがインゴットになる訳ではないらしいからなあ。掘り出しても、ロスが出るのは理解しているのだろう。
「それで、近年では、タイフーンタイクン領から、他国の希少な食品類や香辛料などが流入してくるようになり、ヴァストドラゴン領としてはそれに対抗しないといけなくなったので、使わないもの。使用頻度の低いものをどうにか出来ないかと考えて、肌に優しい美容品類や、QOL、生活の質を向上させるものを中心に、様々な商品開発を行っている訳です」
「そうだったのですか」
「まあ、領としては王国を飢えさせない為に、野菜などの安定生産が第一なので、こっちは少しでも黒字になれば及第点だったんですけどねえ」
「王都では、美容品や部屋に焚く香などが貴族を中心に売れ、そこが発信源となって市井でも評判ですよ。タイフーンタイクン領でも、他国との交易品に加えられているくらいです」
マーチャルの説明に、そんなに売れていたのか。と感心する。開発に注力していたし、商会の売り上げの数字だけ見ても、実感なかったんだよなあ。
「では、昨日や先程使われた香水も?」
「ええ」
どうやら昨日も香水を使ったらしい。誰か、ブルブル辺りが振り掛けてくれたのだろう。
「こちらの商品は、ただ汗と混ざって良い香りを放つだけでなく、虫除け効果のある草も含まれているので、寝る前などに、部屋に振り掛けるだけでも、良い睡眠の手助けとなる代物です」
ここぞとばかりにマーチャルが説明を加える。商魂逞しいねえ。
「興味がおありでしたら、私の余りで良ければ、試供品として差し上げますよ?」
「あら、本当ですか?」
インシグニア嬢の口角が上がる。興味があったようだ。
「それでしたら、私が出しますが?」
マーチャルとしても、お得意様に商品を覚えて貰う機会を逃すまいと、上着の内側の空間魔法陣から、何やら取り出そうとしているが、
「マーチャルがここにいるって事は、大聖堂にマナポーションを納めに来たのだろう? そっちを優先しろよ」
と俺が指示すると、ハッとこの場に来た理由を思い出したらしい。
「そうでした! フェイルーラ様! 大口契約、ありがとうございます!」
「たまたまだよ」
「いえ、流石です! では、私はこの場を失礼させて頂きます! ですが、皆様お疲れのご様子! ですので、これだけはお納め下さい!」
マーチャルは空間魔法陣から四つのポーションを取り出すと、一礼しては慌ただしく俺たちの前からトラックの方へ駆け出していった。
「あの歳でもう商会を任されているのですね」
「まあ、私が立ち上げた商会なので、彼の親を巻き込む訳にもいかず、ですね。まあ、彼も王立魔法学校志望ですから、学校でまた会うでしょう」
俺は肩を竦めながら、先程から車の後部座席のドアを開けたままの運転手とともに、苦笑いするのだった。
『はい!』
「弦楽器! 曲を弾くのに集中し過ぎ! ペダルがずっと押しっぱなしになってるよ! ちゃんと曲に合わせて強弱付けて!」
『はい!』
「打楽器も! 大きな音と小さな音でペダルを使い分けて! 大きな音出す時、音を出すのに気を取られて、ペダルの踏みが甘い!」
『はい!』
「合唱隊も! ペダルが加わって、合唱がバラバラになっているよ! しっかり声とペダルとを合わせつつ、他の歌手の歌声にも耳を傾けて! そこがバラバラになると、曲が崩れる!」
『はい!』
「じゃ! もう一回、歌い出しからいくよ!」
「済みません!」
俺がオルガンを弾こうと鍵盤に手を置いたところで、誰かが声を上げた。聖歌隊の練習に集中していたせいで、中断させたの誰だよ? と思わず眉根を寄せて、声が発せられた方へ厳しい視線を向けてしまう。
「インシグニア様、フェイルーラ様、時間です! そろそろ王城に向かって頂かないと!」
声を上げたのはティンパニ担当のインシグニア嬢の侍女だった。そう言われて、そう言えばこの後王城でも入学式の打ち合わせをねじ込んで貰っていたのを思い出した。それと同時に身体から気力が抜けて、ずっしりとした疲労感が襲ってくる。
(うっわ、だっる~。これだけ練習した後に、更に王城で打ち合わせとか、想像しただけで更に身体が怠くなるわ~)
しかし行かねばならない。入学式の担当者を待たせては、こちらの意向など聞き入れて貰えないだろう。まあ、大聖堂のこの顛末からして、入学式の歌奏をキャンセルするのは難しい事は容易に想像出来てしまうが。
俺は重怠い身体を引き摺りながら、オルガンのある場所から降りていく。途中、自分が汗だくなのに気付いて、空間魔法陣の描かれたグローブからタオルを取り出し、顔やら首やら腕やらを拭いていく。
インシグニア嬢の方もそれなりに疲れたのだろう。ハンカチで顔や首などを押さえている。これが魔力量の違いか!
はあ。と嘆息しながら、汗臭いまま、インシグニア嬢に近寄るのも憚れたので、香水を取り出して自分に振り掛ける。あれ? 昨日はどうだったかな? ジュウベエ君と決闘して、そのままだった? 動けなかったしなあ。汗臭い思いをさせてしまったかも知れない。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でした」
へにょんと笑いながらインシグニア嬢に近寄ると、向こうの笑顔もお疲れ気味だ。
「教皇猊下! 済みませんが、この後、王城で王立魔法学校の入学式での歌奏の打ち合わせが入っていまして、我々はここでお暇させて頂きたいのですが!」
「うむ。分かった」
ん? 何か猊下の反応が最初より柔らかくなった気がするな。
「では聖歌隊の皆さんも、ここまでで」
『はい!』
元気に返事してくれるが、皆もうボロボロだ。
「『契約召喚の儀』まではまだ一ヶ月程ありますし、こうなった以上、こちらも何度か合同練習に合流しますので、その都度、歌、演奏、ペダルの連動の練習して、楽曲の精度を高めていきましょう!」
『はい!』
返事は良いが皆、これからの事に思いを馳せて苦笑いだった。
✕✕✕✕✕
「フェイルーラ様!」
大聖堂の建物から出ると、いきなり声を掛けられた。疲れているので、誰だよ? と己の顔が険しくなるのを感じながらそちらへ視線を向けると、知った顔だった。
「マーチャルか」
茶髪をぴっちりと七三にした紺色の瞳の身なりの良い少年が、トラックの方から駆け寄ってきた。トラックからは同じ制服を着た男性たちが何やら搬入中だ。
「何かお疲れです?」
「まあ、教会の相手は骨が折れるって事だ」
「ああ……」
俺が軽く愚痴れば、何やら思い至る事でも思い出したのか、苦笑いとなるマーチャル。それも一瞬の事で、マーチャルの視線が俺からインシグニア嬢へ向けられる。
「インシグニア嬢、こちらはヴァストドラゴン家の御用商人の一つでもある、ワースウィーズ商会を任されているマーチャルです」
これに、「ああ」と納得顔をするインシグニア嬢。
「マーチャル、こちらは俺の婚約者のインシグニア嬢だ」
「初めまして、ではないですね。お久しぶりと言うべきでしょうか? インシグニア様におかれましては、ご健勝のようで何よりです」
「ええ。いつも良質な商品を融通して頂き、ありがとうございます」
マーチャルの言葉に応えるインシグニア嬢。
「え? 知り合いなの?」
疲れのせいで、単純な疑問が口から転び出た。いや、王都でも商売していたら、顔を合わせる事もあるか。しかしこれに嘆息を漏らすマーチャル。
「何を言っているのですか。ワースウィーズ商会は、フェイルーラ様が立ち上げた商会でしょう? 顧客の貴族様方くらい覚えていて下さいよ」
「え? インシグニア嬢って、ワースウィーズ商会のお得意様なんですか?」
「え? ワースウィーズ商会って、フェイルーラ様が立ち上げられたのですか?」
思わず互いに顔を見合わせてしまう。そして流れる沈黙。これは俺が説明した方が良いのか?
「……ええ、まあ。我がヴァストドラゴン領が、王国の食糧庫と呼ばれているのはご存知かと思われますが……」
ヴァストドラゴン領は元々王国なので広い。それに基本的になだらかな平原がどこまでも続く立地なので、食料生産にとても向いている土地なのだ。故に小麦をはじめ、穀類に野菜、果物と、様々な植物系の食料生産が税収の主な収入源だ。
もう少し詳しく説明すると、東の平原、ヴァストドラゴン領が野菜や果物や植物油、加工品などの生産、北のギガントシブリングス領はなだらかな丘陵地帯の為、野菜などの生産には向かないが、家畜を飼うには向いているので、牛、豚、羊、山羊、鶏など、様々な肉類や、乳製品、卵の生産、西のグリフォンデン領は、ギガントシブリングス領よりも急峻な山々が連なるが、鉄をはじめとした様々な鉱物の産地であり、南のタイフーンタイクン領は河川が多く、その氾濫などで食料生産には向かないが、海に面しているので、昔から漁業が盛んであり、近年は港湾が整備されて、ニドゥーク皇国など様々な他国から、貿易品のやり取りをしている。
「野菜の生産って、ロスが多いんです」
「ロス、ですか?」
俺の説明に首を傾げるインシグニア嬢。
「はい。人間が食べれる部分は一部で、他は油を採ったり、家畜の餌としてギガントシブリングス領に売ったり、肥料にしたりと色々してきたのですが、それでも使われない部分と言うのがどうしても出てしまいまして……」
「ああ……」
インシグニア嬢も思うところがあるらしい。ヴァストドラゴン領では取れる鉱物も限られるので、想像するしかないが、確か鉱物も全てがインゴットになる訳ではないらしいからなあ。掘り出しても、ロスが出るのは理解しているのだろう。
「それで、近年では、タイフーンタイクン領から、他国の希少な食品類や香辛料などが流入してくるようになり、ヴァストドラゴン領としてはそれに対抗しないといけなくなったので、使わないもの。使用頻度の低いものをどうにか出来ないかと考えて、肌に優しい美容品類や、QOL、生活の質を向上させるものを中心に、様々な商品開発を行っている訳です」
「そうだったのですか」
「まあ、領としては王国を飢えさせない為に、野菜などの安定生産が第一なので、こっちは少しでも黒字になれば及第点だったんですけどねえ」
「王都では、美容品や部屋に焚く香などが貴族を中心に売れ、そこが発信源となって市井でも評判ですよ。タイフーンタイクン領でも、他国との交易品に加えられているくらいです」
マーチャルの説明に、そんなに売れていたのか。と感心する。開発に注力していたし、商会の売り上げの数字だけ見ても、実感なかったんだよなあ。
「では、昨日や先程使われた香水も?」
「ええ」
どうやら昨日も香水を使ったらしい。誰か、ブルブル辺りが振り掛けてくれたのだろう。
「こちらの商品は、ただ汗と混ざって良い香りを放つだけでなく、虫除け効果のある草も含まれているので、寝る前などに、部屋に振り掛けるだけでも、良い睡眠の手助けとなる代物です」
ここぞとばかりにマーチャルが説明を加える。商魂逞しいねえ。
「興味がおありでしたら、私の余りで良ければ、試供品として差し上げますよ?」
「あら、本当ですか?」
インシグニア嬢の口角が上がる。興味があったようだ。
「それでしたら、私が出しますが?」
マーチャルとしても、お得意様に商品を覚えて貰う機会を逃すまいと、上着の内側の空間魔法陣から、何やら取り出そうとしているが、
「マーチャルがここにいるって事は、大聖堂にマナポーションを納めに来たのだろう? そっちを優先しろよ」
と俺が指示すると、ハッとこの場に来た理由を思い出したらしい。
「そうでした! フェイルーラ様! 大口契約、ありがとうございます!」
「たまたまだよ」
「いえ、流石です! では、私はこの場を失礼させて頂きます! ですが、皆様お疲れのご様子! ですので、これだけはお納め下さい!」
マーチャルは空間魔法陣から四つのポーションを取り出すと、一礼しては慌ただしく俺たちの前からトラックの方へ駆け出していった。
「あの歳でもう商会を任されているのですね」
「まあ、私が立ち上げた商会なので、彼の親を巻き込む訳にもいかず、ですね。まあ、彼も王立魔法学校志望ですから、学校でまた会うでしょう」
俺は肩を竦めながら、先程から車の後部座席のドアを開けたままの運転手とともに、苦笑いするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
黄金の魔導書使い -でも、騒動は来ないで欲しいー
志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥魔導書(グリモワール)。それは、不思議な儀式によって、人はその書物を手に入れ、そして体の中に取り込むのである。
そんな魔導書の中に、とんでもない力を持つものが、ある時出現し、そしてある少年の手に渡った。
‥‥うん、出来ればさ、まだまともなのが欲しかった。けれども強すぎる力故に、狙ってくる奴とかが出てきて本当に大変なんだけど!?責任者出てこぉぉぉぃ!!
これは、その魔導書を手に入れたが故に、のんびりしたいのに何かしらの騒動に巻き込まれる、ある意味哀れな最強の少年の物語である。
「小説家になろう」様でも投稿しています。作者名は同じです。基本的にストーリー重視ですが、誤字指摘などがあるなら受け付けます。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる