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交渉/対象
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「それでは、僕は先に席に行かせて貰うよ」
謁見の間の近くまでやって来ると、セガン陛下はそんな軽口を言いながら、謁見の間の扉の前に立つ、槍を持った兵士二人が開けた両開きの扉の向こうへ、側近と担当者とともに姿を消した。そしてまた閉められる扉。
俺たちが扉の前で待機していると、扉の向こうから薄っすらとざわめきが聞こえてきた。さて、誰が告げ口したのやら。扉越しにも不穏な空気がこちらまで漂ってくる。
「大丈夫ですか?」
横に立つインシグニア嬢が震えているのに気付いて、声を掛けると顔は真っ青だ。
「……大丈夫です」
とても大丈夫な人間の様子ではない。あのシルクのような声が、ノイズを鳴らしている。
よくよく周囲を観察すれば、俺たちの後ろの侍女二人も、学校側の担当者の令嬢も、それに扉を守る兵士たちまで震えており、一刻も早くこの場から逃れたいと顔に書いてある。ふむ。
「女王陛下との謁見は、私だけが行いますので、インシグニア嬢に侍女お二人、学校担当者の貴女も、この扉の先には向かわないようにしましょう」
扉の前でこんなに怖がっている四人だ。謁見の間の中に入ったら、正常ではいられまい。
「いえ、私の問題ですから、私も同行します」
決意を固めたように、拳を握るインシグニア嬢だが、その拳は震えている。流石はグリフォンデン領の次期領主と言うべきか、やると言ったらやる覚悟は認めるが、俺の心配の種を減らす為に、同行は控えて欲しい。何と説得するか?
「入りなさい」
説得する前に、謁見の間の方から入室を促されてしまった。兵士二人が震えながら、扉を開く。それと同時に、謁見の間から強烈な殺気が吹き飛んできた。俺はすぐに片手をインシグニア嬢の前に広げ、その殺気からインシグニア嬢と後ろの侍女二人、学校側の担当者を守る。兵士二人は槍にしがみつく事で、何とか倒れるのを免れていた。
「お三方はここでお待ち下さい。私とインシグニア嬢の二人で女王陛下と謁見します」
俺が命令に近い指示を出すと、侍女二人も学校担当者も、ここから先に進むのを躊躇われたのだろう。何とか頷く事で、俺の指示に従う意思を見せるに留まった。
ふう。と息を整えつつ、王城の謁見の間と言うものを観察する。部屋は広いと言うよりも高い。部屋の側壁には騎士たちがずらりと並び、恐らく女王の側近か文官か、何かの大臣と思われる者の姿も散見される。
天井を見上げれば、ガラス窓が隅から隅まで二列、手前から奥へと並んでおり、晴れた昼なら、陽光が差し込み綺麗なのだろう事が窺えた。今はもう夜なので、明かりはシャンデリアと側壁に並べられたランプだが。
長方形の部屋は真っ直ぐ女王とその王配の下まで複雑な模様の描かれた絨毯が敷かれており、玉座前に階段があり、女王と王配はその階段の上の玉座に座っている。絨毯の先には不自然に線が引かれ、そこより先に進めるのは、王とその配偶者だけだと主張していた。堅牢な雰囲気の王城の中にあって、この謁見の間だけが豪華に飾り付けられている印象だ。
まあ、そんな事よりも、左右ある玉座の片方、左の玉座から金糸銀糸をふんだんに使って意匠された深緑のドレスを着た、腰まである真っ赤なウェーブヘアに、現物の金よりも美しい金色の瞳をした四十代と思われる整った顔の女性の、怒りに満ちた形相と瞳が、この場を圧倒している。
俺は片手をインシグニア嬢の前に広げたまま、ゆっくりゆっくりとその怒れる女性、このアダマンティア王国女王であるガイシア陛下の下まで歩みを進める。
一歩、また一歩と歩みを進めていると、気持ち悪くなってくる。それはガイシア陛下からこちらへ向けられる殺気のせいではなく、両端でこちらの様子を窺っている騎士や大臣たちの視線のせいだ。誰も彼も、その顔に嘲笑を貼り付けている。恐らくはこれまでも女王の機嫌を損ね、何かしか沙汰を下された者たちを見てきたからだろう。それと同じ運命を辿ると思われる哀れな羊の登場が、嬉しいのであろう事が透けて見えて、本当に気持ち悪い。
そんな中、セガン陛下だけはどこかバツが悪そうな顔なのが、生来の優しさを映し出していた。まさかここまでとは想像していなかったようだ。その周囲を固める小柄な男性や王城担当者など、ニヤつきを隠そうともしていないが。
様々な視線に晒される中、玉座に近付けるのはここまでですよ。と暗に明示してくれている線の近くまで来ると、インシグニア嬢が膝を突いて、女王陛下へ頭を垂れる。成程、ここら辺でそのような所作をするのが礼儀なのだろう。礼儀作法は一通り頭に入っているが、線の事は知らなかった。次の礼儀作法の問題集に入れておこう。
さて、インシグニア嬢に倣って俺もここで膝を突くのが礼儀なのだろうが、生憎、俺は王都に来てから三日目の田舎者なのだ。そんな王城の礼儀なんて知らない。って素振りで更に玉座へ近付いていく。これにざわつく謁見の間。どうやらこれまでここに来たどんな馬鹿でも、線より先には進まなかったようだ。女王陛下も眉間にシワを寄せ、更に殺気を強く叩き付けてくる。
だが俺の歩みは止まらない。もう階段を上る一歩手前まで来たところで、俺は立ったまま左手を胸の前に当てて頭を下げた。
「初めましてガイシア陛下。フェイルーラ・ヴァストドラゴン、陛下の召喚に従い、参上仕りました。一週間前には一生でこんなにも近くでご尊顔を拝する機会を迎えようとは、夢にも思っておりませんでした。出会いとしては最悪なのが残念ですが」
……………………? 向こうから何のアプローチもない。あれだけ怒りを顕わにしていたんだ。いきなり怒鳴られても不思議じゃなかったんだがな。それか話し掛ける事もなく、俺の首を刎ねるなりしてくるかと。う~ん、やはり一国の王ともなれば、心中は怒りに満ちていても、冷静に沙汰を下すのかな?
ちらりと視線だけ上に向けると、今も険しい顔の女王陛下がこちらを睥睨している。ただ、その表情に困惑も見られる。……ああ、こんな馬鹿に出会ったのは初めてだから、どのように接すれば良いのか分からないとか?
「何やらご用があって、ここにお呼びになられたと担当者からは伺っておりますが?」
向こうが戸惑っている様子なので、俺の方が先に言葉を掛けると、ガイシア陛下は更に眉間にシワを寄せながら、その口を開く。
「入学式での歌奏の……」
「お断りさせて頂きます」
謁見の間の空気が固まる。俺はそんな事はお構いなしに、もう一度礼をして、くるりと踵を返すと、膝を突いているインシグニア嬢の脇に手を差し込み、起き上がらせると、謁見の間から出ていこうと歩を進める。
「待たぬか!!」
う~ん、流石は女王陛下。良く通る声をお持ちだ。俺は制止するように言われたので、その場で立ち止まると、首だけ女王陛下の方へ向ける。
「何でしょう? 陛下の時間を無為に消費させるのもいけないかと思い、早々に話を終わらせたのですが」
「…………成程。話の通じぬ馬鹿と言う報告は正しかったようだな」
「『話の通じぬ』馬鹿ですか?」
俺が首を傾げると、女王陛下の殺気が先程よりも強くなったので、俺はまたインシグニア嬢の前に片手を広げる。
「その通りだ。入学式の……」
「ですから、今、お断りしましたでしょう? 女王陛下は、インシグニア嬢を入学式で歌奏させたい。こちらはインシグニア嬢に歌奏させたくない。だから断った。話は通じており、そのうえでお断りさせて頂きました。私は良く周りから馬鹿と罵られますが、『話が通じぬ』は誤りですね。適用するなら『頑固』と訂正して頂きたいところでしょうか。まあ、私の馬鹿さ加減の理解をしたところで、こちらがお断りする事に変わりはないのですけれど。それでは失礼致します」
「待てと今言ったであろう!!」
俺がまた出入り口の扉へ向かおうとすると、ガイシア陛下がまたそれを止める。
「待て。と言われましても、これ以上話す事もないですから、我々がここにいる理由がない。世間話でもしますか?」
「お前は何なのだ!?」
何なのだと言われてもなあ。
「名前と家名は名乗りました。そのような一地方貴族の息子です。私の事を尋ねられましても……」
こちらも眉間にシワを寄せる。
「……今回の召喚は、インシグニア嬢の入学式での歌奏に関してのものと理解して、ここへ来たのですが、違っていたのでしょうか?」
「そうではない! 何故……」
「何故、王の武威を浴びて、正気でいられるのか? ですか?」
「……!!」
そう。ガイシア女王は、俺たちが謁見の間に入る前から、竜の武威と双璧を成す、王の武威を放っていた。その殺気は気の弱い者であれば浴びただけで気絶するような凶悪なものだ。だから、侍女二人と学校側の担当者には扉のところで待機して貰い、インシグニア嬢にも、俺の手で直接的に王の武威を浴びるのを防いでいた。
「…………」
「…………」
ここで睨み合いをするのも馬鹿馬鹿しいな。
「私が王の武威に対して、何ら反応しなかったのは、領にいた頃より、父から竜の武威を浴びて育ったからです」
「あやつめ!」
父上の顔でも思い出したのか、こちらから顔を背け、毒突くガイシア陛下。
「それよりも、こちらからもお聞きしたい。何故、王の武威を私個人だけでなく、インシグニア嬢にまで放たれたのですか? 入学式の歌奏に関して、お断りする理由は幾つかありますが、今のだけは頂けない。歌奏者に対して、王が武威を放つ。それが神代よりどの国の王であっても行ってはいけない禁忌であると、まさか女王陛下ともあろうお方が、知らなかったでは許されない事案ですが」
俺がそう問えば、ハッとなってガイシア陛下が口を噤んだ。
謁見の間の近くまでやって来ると、セガン陛下はそんな軽口を言いながら、謁見の間の扉の前に立つ、槍を持った兵士二人が開けた両開きの扉の向こうへ、側近と担当者とともに姿を消した。そしてまた閉められる扉。
俺たちが扉の前で待機していると、扉の向こうから薄っすらとざわめきが聞こえてきた。さて、誰が告げ口したのやら。扉越しにも不穏な空気がこちらまで漂ってくる。
「大丈夫ですか?」
横に立つインシグニア嬢が震えているのに気付いて、声を掛けると顔は真っ青だ。
「……大丈夫です」
とても大丈夫な人間の様子ではない。あのシルクのような声が、ノイズを鳴らしている。
よくよく周囲を観察すれば、俺たちの後ろの侍女二人も、学校側の担当者の令嬢も、それに扉を守る兵士たちまで震えており、一刻も早くこの場から逃れたいと顔に書いてある。ふむ。
「女王陛下との謁見は、私だけが行いますので、インシグニア嬢に侍女お二人、学校担当者の貴女も、この扉の先には向かわないようにしましょう」
扉の前でこんなに怖がっている四人だ。謁見の間の中に入ったら、正常ではいられまい。
「いえ、私の問題ですから、私も同行します」
決意を固めたように、拳を握るインシグニア嬢だが、その拳は震えている。流石はグリフォンデン領の次期領主と言うべきか、やると言ったらやる覚悟は認めるが、俺の心配の種を減らす為に、同行は控えて欲しい。何と説得するか?
「入りなさい」
説得する前に、謁見の間の方から入室を促されてしまった。兵士二人が震えながら、扉を開く。それと同時に、謁見の間から強烈な殺気が吹き飛んできた。俺はすぐに片手をインシグニア嬢の前に広げ、その殺気からインシグニア嬢と後ろの侍女二人、学校側の担当者を守る。兵士二人は槍にしがみつく事で、何とか倒れるのを免れていた。
「お三方はここでお待ち下さい。私とインシグニア嬢の二人で女王陛下と謁見します」
俺が命令に近い指示を出すと、侍女二人も学校担当者も、ここから先に進むのを躊躇われたのだろう。何とか頷く事で、俺の指示に従う意思を見せるに留まった。
ふう。と息を整えつつ、王城の謁見の間と言うものを観察する。部屋は広いと言うよりも高い。部屋の側壁には騎士たちがずらりと並び、恐らく女王の側近か文官か、何かの大臣と思われる者の姿も散見される。
天井を見上げれば、ガラス窓が隅から隅まで二列、手前から奥へと並んでおり、晴れた昼なら、陽光が差し込み綺麗なのだろう事が窺えた。今はもう夜なので、明かりはシャンデリアと側壁に並べられたランプだが。
長方形の部屋は真っ直ぐ女王とその王配の下まで複雑な模様の描かれた絨毯が敷かれており、玉座前に階段があり、女王と王配はその階段の上の玉座に座っている。絨毯の先には不自然に線が引かれ、そこより先に進めるのは、王とその配偶者だけだと主張していた。堅牢な雰囲気の王城の中にあって、この謁見の間だけが豪華に飾り付けられている印象だ。
まあ、そんな事よりも、左右ある玉座の片方、左の玉座から金糸銀糸をふんだんに使って意匠された深緑のドレスを着た、腰まである真っ赤なウェーブヘアに、現物の金よりも美しい金色の瞳をした四十代と思われる整った顔の女性の、怒りに満ちた形相と瞳が、この場を圧倒している。
俺は片手をインシグニア嬢の前に広げたまま、ゆっくりゆっくりとその怒れる女性、このアダマンティア王国女王であるガイシア陛下の下まで歩みを進める。
一歩、また一歩と歩みを進めていると、気持ち悪くなってくる。それはガイシア陛下からこちらへ向けられる殺気のせいではなく、両端でこちらの様子を窺っている騎士や大臣たちの視線のせいだ。誰も彼も、その顔に嘲笑を貼り付けている。恐らくはこれまでも女王の機嫌を損ね、何かしか沙汰を下された者たちを見てきたからだろう。それと同じ運命を辿ると思われる哀れな羊の登場が、嬉しいのであろう事が透けて見えて、本当に気持ち悪い。
そんな中、セガン陛下だけはどこかバツが悪そうな顔なのが、生来の優しさを映し出していた。まさかここまでとは想像していなかったようだ。その周囲を固める小柄な男性や王城担当者など、ニヤつきを隠そうともしていないが。
様々な視線に晒される中、玉座に近付けるのはここまでですよ。と暗に明示してくれている線の近くまで来ると、インシグニア嬢が膝を突いて、女王陛下へ頭を垂れる。成程、ここら辺でそのような所作をするのが礼儀なのだろう。礼儀作法は一通り頭に入っているが、線の事は知らなかった。次の礼儀作法の問題集に入れておこう。
さて、インシグニア嬢に倣って俺もここで膝を突くのが礼儀なのだろうが、生憎、俺は王都に来てから三日目の田舎者なのだ。そんな王城の礼儀なんて知らない。って素振りで更に玉座へ近付いていく。これにざわつく謁見の間。どうやらこれまでここに来たどんな馬鹿でも、線より先には進まなかったようだ。女王陛下も眉間にシワを寄せ、更に殺気を強く叩き付けてくる。
だが俺の歩みは止まらない。もう階段を上る一歩手前まで来たところで、俺は立ったまま左手を胸の前に当てて頭を下げた。
「初めましてガイシア陛下。フェイルーラ・ヴァストドラゴン、陛下の召喚に従い、参上仕りました。一週間前には一生でこんなにも近くでご尊顔を拝する機会を迎えようとは、夢にも思っておりませんでした。出会いとしては最悪なのが残念ですが」
……………………? 向こうから何のアプローチもない。あれだけ怒りを顕わにしていたんだ。いきなり怒鳴られても不思議じゃなかったんだがな。それか話し掛ける事もなく、俺の首を刎ねるなりしてくるかと。う~ん、やはり一国の王ともなれば、心中は怒りに満ちていても、冷静に沙汰を下すのかな?
ちらりと視線だけ上に向けると、今も険しい顔の女王陛下がこちらを睥睨している。ただ、その表情に困惑も見られる。……ああ、こんな馬鹿に出会ったのは初めてだから、どのように接すれば良いのか分からないとか?
「何やらご用があって、ここにお呼びになられたと担当者からは伺っておりますが?」
向こうが戸惑っている様子なので、俺の方が先に言葉を掛けると、ガイシア陛下は更に眉間にシワを寄せながら、その口を開く。
「入学式での歌奏の……」
「お断りさせて頂きます」
謁見の間の空気が固まる。俺はそんな事はお構いなしに、もう一度礼をして、くるりと踵を返すと、膝を突いているインシグニア嬢の脇に手を差し込み、起き上がらせると、謁見の間から出ていこうと歩を進める。
「待たぬか!!」
う~ん、流石は女王陛下。良く通る声をお持ちだ。俺は制止するように言われたので、その場で立ち止まると、首だけ女王陛下の方へ向ける。
「何でしょう? 陛下の時間を無為に消費させるのもいけないかと思い、早々に話を終わらせたのですが」
「…………成程。話の通じぬ馬鹿と言う報告は正しかったようだな」
「『話の通じぬ』馬鹿ですか?」
俺が首を傾げると、女王陛下の殺気が先程よりも強くなったので、俺はまたインシグニア嬢の前に片手を広げる。
「その通りだ。入学式の……」
「ですから、今、お断りしましたでしょう? 女王陛下は、インシグニア嬢を入学式で歌奏させたい。こちらはインシグニア嬢に歌奏させたくない。だから断った。話は通じており、そのうえでお断りさせて頂きました。私は良く周りから馬鹿と罵られますが、『話が通じぬ』は誤りですね。適用するなら『頑固』と訂正して頂きたいところでしょうか。まあ、私の馬鹿さ加減の理解をしたところで、こちらがお断りする事に変わりはないのですけれど。それでは失礼致します」
「待てと今言ったであろう!!」
俺がまた出入り口の扉へ向かおうとすると、ガイシア陛下がまたそれを止める。
「待て。と言われましても、これ以上話す事もないですから、我々がここにいる理由がない。世間話でもしますか?」
「お前は何なのだ!?」
何なのだと言われてもなあ。
「名前と家名は名乗りました。そのような一地方貴族の息子です。私の事を尋ねられましても……」
こちらも眉間にシワを寄せる。
「……今回の召喚は、インシグニア嬢の入学式での歌奏に関してのものと理解して、ここへ来たのですが、違っていたのでしょうか?」
「そうではない! 何故……」
「何故、王の武威を浴びて、正気でいられるのか? ですか?」
「……!!」
そう。ガイシア女王は、俺たちが謁見の間に入る前から、竜の武威と双璧を成す、王の武威を放っていた。その殺気は気の弱い者であれば浴びただけで気絶するような凶悪なものだ。だから、侍女二人と学校側の担当者には扉のところで待機して貰い、インシグニア嬢にも、俺の手で直接的に王の武威を浴びるのを防いでいた。
「…………」
「…………」
ここで睨み合いをするのも馬鹿馬鹿しいな。
「私が王の武威に対して、何ら反応しなかったのは、領にいた頃より、父から竜の武威を浴びて育ったからです」
「あやつめ!」
父上の顔でも思い出したのか、こちらから顔を背け、毒突くガイシア陛下。
「それよりも、こちらからもお聞きしたい。何故、王の武威を私個人だけでなく、インシグニア嬢にまで放たれたのですか? 入学式の歌奏に関して、お断りする理由は幾つかありますが、今のだけは頂けない。歌奏者に対して、王が武威を放つ。それが神代よりどの国の王であっても行ってはいけない禁忌であると、まさか女王陛下ともあろうお方が、知らなかったでは許されない事案ですが」
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