世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

西順

文字の大きさ
504 / 643

対亡霊女戦士(前編)

しおりを挟む
 七人に分裂したエルデタータ。


「『分体』ですか。それにしてはレベルがマチマチですね」


 最初は『鑑定(低)』で見てもステータスが『?』だったのが、今俺の前にいるエルデタータのステータスは見える。それだけでなく、武田さん、カッテナさん、ダイザーロくんの前にいるエルデタータのステータスもだ。しかしバヨネッタさん、ミカリー卿、デムレイさんの前にいるエルデタータのステータスは見えない。理由は簡単で、エルデタータのレベルが眼前の相手と同じレベルだからだ。その為に俺よりレベルの高いバヨネッタさんたちと同等だろうエルデタータのステータスは見えないのだ。


「それはスキル『鏡位』の特性だ。これはレベルを相手と同じレベルにする事が出来るんだ」


「それは! …………相手は馬鹿なんですか!?」


「馬鹿だ!」


 断言する武田さん。だってそうだろう。先程までの異様な闘気が今は感じられない。いや、ミカリー卿の前のエルデタータからは感じるが、それだけだ。と言う事は、分裂前のエルデタータの『鏡位』は、俺たちをパーティとして認識し、その合算したレベルだったのだ。だとすればレベル三百近く行っていたとしてもおかしくない。エルデタータ一人で魔王が倒せるな。


「酷い言われようだな。これが私の戦士道の矜持なのだが」


 そう言い返してくるエルデタータ。分体化したと言うのに、尊大な態度が変わらないと言う事は、己に勝機があるとの自信だろう。そうなると気になるスキルがある。


「武田さん、あの『魔技複写』ってスキルは?」


「そのまんまだよ。あれで相手のギフト以外のスキル、プレイヤースキルをコピーするんだ」


「はあ!? 戦士道どこに行ったんだよ!?」


「己に打ち勝ってこその戦士道だ」


 エルデタータも、上手い事言ってやった。みたいな顔してんじゃねえよ!


 さて、どうしたものかと俺の前に立つエルデタータのステータスを見遣るに、HPやMP、耐久値や精神値みたいなステータスはエルデタータ自身準拠のようだ。エルデタータ自身は膂力、耐久、敏捷が高いので、MPよりHPのほうが高い。そして武田さんが言っていたように、ギフトである『清浄星』や『超時空操作』は使えないようだが、俺の場合、相手が『有頂天』を使えるのがヤバい。ヤバ過ぎる。


 それに武田さんの前のエルデタータが『空織』と『転置』を持っているのもヤバいし、そうなると、ミカリー卿の相手をするエルデタータは、『不老』のユニークスキルを持っている事になる。本当にヤバ過ぎる。


「これ、どれか一体倒したら、他の分体が消える。みたいな事ないですよね?」


「ない。救いはエルデタータが自己中心的な戦士道に即して、倒された分体を補充しないくらいだ」


 成程。本来なら倒した分体を、残った分体が補充したりするのか。ヤベエ。こいつが一番弱いとか、アルティニン廟ヤバ過ぎでしょ。


「どうするんだ? 話し合っても良いが? それとも帰って戦略を練るか? 戦力を増やすか?」


 エルデタータが、わざとらしく心配しているふりをしてくる。


「ちなみに、戦う相手を変えると言うのは?」


「己の前にいる私を倒せたなら構わんよ」


 あくまで眼前のエルデタータを倒してから、他の加勢に向かえって事か。ふう。と俺は一息吐いて、仲間と目配せする。どうやら皆やる気のようだ。ここが地下二十一階ならば、二十階に戻ってワープゲートで地上に戻る選択肢もあるが、まだ地下十階だ。そんなの単に手間が増えるだけ。ここは倒して突破させて貰おう。


「せっかく広いフロアを用意して頂いたんですから、広く使いましょうか」


 俺の言に皆首肯して、同士討ちにならないよう、バラけて行く面々。その間に俺はアニンをバトルスーツに変化させ、右手には黒い曲剣を持つ。そして『有頂天』状態へ。


「フフ。気になっていたのだ。お主のステータスに記載されている、化神族との融合。私では再現出来ぬからな」


 言いながら、エルデタータは夢幻香も使わずに『有頂天』状態となった。


「マジかよ」


「マジだ。だって夢中になれば良いのだろう? なら私はお主との戦いに夢中だよ」


 ああ、そうですか。全く嬉しくないな。


『気を抜くなよ、ハルアキ』


 分かっているよ。と俺がアニンに返事をした次の瞬間には、エルデタータはこちらへ一足飛びで近付いていた。速い!


 ドンッ!


 エルデタータが横薙ぎに振り回した戦鎚を、とっさにアニンを盾に変化させて受け止めるも、踏ん張りさえ利かずに吹っ飛ばされる俺。


『気を抜くなと言っただろう!』


「『反撃』持っている奴が、自分から攻撃してくるとは思わないだろう」


『『鑑定(低)』でエルデタータのステータスを見ただろう? あいつはHPの高い肉体戦闘タイプだ。反撃の機会なんて待たずにガンガン攻めてくるぞ』


 それならそうだと先に教えておいて欲しかったよ。と俺は『時間操作』タイプBで自分の速度を上げて、エルデタータが接近して上から振り下ろした次撃を避けた。


 ズドンッ!!


 床面にちょっとしたクレーターが出来る。威力が初撃と段違いだ。


『『重拳』を使ってきたな』


 あの重そうな戦鎚に『重拳』って、相性良さそうだねえ。などと少し思考する間に、距離を詰めてくるエルデタータ。その攻撃をバックステップで躱す。


「その独特の機動。『超時空操作』だな?」


「ギフトを使うのをズルいとは言わないよな?」


「ああ、問題ない、よ!」


 とエルデタータが手でおいでおいでしたら、俺の身体が見えない力によって、エルデタータに引っ張られた。まさしくエルデタータが重力の中心であるように。そしてエルデタータの前まで強制連行された俺に向かって、エルデタータは戦鎚を振り下ろすのだ。この魔物、俺より『重拳』の扱いが上手え。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...