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第一章 謎の転校生
謎の転校生④
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ミスター・レンがそっと教会の扉を開けば、ギギっと重たい無機質な音が静かな礼拝堂に響き渡る。冬の昼間は驚く程短い。教会の中は、薄暗くなってきていた。
「来栖君。……来栖君? どこにいるんだ?」
名前を呼びながら、彼を刺激しないよう静かに教会の中を探して回る。ミスター・レンはこの寒い場所から、早く羽音を暖かい寮へと連れて帰ってやりたかった。
「いた……」
ミスター・レンの予想通り、教会の隅の椅子に蹲るように座っている羽音を見つける。
「大丈夫か? 来栖君」
そっと羽音の肩に手を置けば、体がビクッと大きく跳ねて怯えた瞳でミスター・レンを見上げた。体は未だにカタカタと震え、形の良い唇を噛み締めて必死に恐怖と戦っているように見える。しかし、その表情は、明らかに欲情を滲ませていた。
「一体……何にそんなに怯えているんだ?」
あまりにも羽音が可哀想になり、ミスター・レンはその華奢な体を優しく抱き寄せた。普段は冷静な羽音も、余程取り乱しているのか必死にしがみついてくる。
「話してくれるか? 君が、何にそんなに怯えているかを……」
その言葉に背中を押されたかのように、羽音がそっと口を開いた。
「わからないです」
「わからない?」
ミスター・レンが羽音の顔を両手で包み顔を上げさせれば、子供のような大きな瞳にたくさんの涙を浮かべていた。
「ただ、九条君を見た瞬間体が熱くなって、甘い花の香りがして……今までに感じたことのない感覚に襲われたんです。それに、水晶玉が急に触れないくらい熱くなって。今までこんなことはなかったのに……」
「甘い花の香りに、熱くなった水晶玉……。まだ水晶玉は熱いのか?」
「九条君から離れたら、また冷たい水晶玉に戻りました」
羽音が水晶玉を抱き締めたまま、フルフルと首を横に振る。
「怖い、怖いです。僕は……九条君が怖い……」
ハラハラと涙を流しながら、自分に縋りついてくる羽音を、ミスター・レンは強く抱き締める。
「大丈夫。大丈夫だから」
何度何度も、羽音の頭を撫でながら、言い聞かせるように囁き続ける。
「怖い……九条君が怖い……」
カラン。羽音の手から、水晶玉が床に音を立てて落ちてゆく。そんな水晶玉は、いつの間にか空に浮かんだ三日月を歪に浮かび上がらせていた。
その夜、生徒達が自室に戻り自習をしている頃、ミスター・レンはミセス・サラの部屋をそっと訪れたのだった。
「来栖君。……来栖君? どこにいるんだ?」
名前を呼びながら、彼を刺激しないよう静かに教会の中を探して回る。ミスター・レンはこの寒い場所から、早く羽音を暖かい寮へと連れて帰ってやりたかった。
「いた……」
ミスター・レンの予想通り、教会の隅の椅子に蹲るように座っている羽音を見つける。
「大丈夫か? 来栖君」
そっと羽音の肩に手を置けば、体がビクッと大きく跳ねて怯えた瞳でミスター・レンを見上げた。体は未だにカタカタと震え、形の良い唇を噛み締めて必死に恐怖と戦っているように見える。しかし、その表情は、明らかに欲情を滲ませていた。
「一体……何にそんなに怯えているんだ?」
あまりにも羽音が可哀想になり、ミスター・レンはその華奢な体を優しく抱き寄せた。普段は冷静な羽音も、余程取り乱しているのか必死にしがみついてくる。
「話してくれるか? 君が、何にそんなに怯えているかを……」
その言葉に背中を押されたかのように、羽音がそっと口を開いた。
「わからないです」
「わからない?」
ミスター・レンが羽音の顔を両手で包み顔を上げさせれば、子供のような大きな瞳にたくさんの涙を浮かべていた。
「ただ、九条君を見た瞬間体が熱くなって、甘い花の香りがして……今までに感じたことのない感覚に襲われたんです。それに、水晶玉が急に触れないくらい熱くなって。今までこんなことはなかったのに……」
「甘い花の香りに、熱くなった水晶玉……。まだ水晶玉は熱いのか?」
「九条君から離れたら、また冷たい水晶玉に戻りました」
羽音が水晶玉を抱き締めたまま、フルフルと首を横に振る。
「怖い、怖いです。僕は……九条君が怖い……」
ハラハラと涙を流しながら、自分に縋りついてくる羽音を、ミスター・レンは強く抱き締める。
「大丈夫。大丈夫だから」
何度何度も、羽音の頭を撫でながら、言い聞かせるように囁き続ける。
「怖い……九条君が怖い……」
カラン。羽音の手から、水晶玉が床に音を立てて落ちてゆく。そんな水晶玉は、いつの間にか空に浮かんだ三日月を歪に浮かび上がらせていた。
その夜、生徒達が自室に戻り自習をしている頃、ミスター・レンはミセス・サラの部屋をそっと訪れたのだった。
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