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第二章 天使の翼
天使の翼③
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「そんなことはないです」
「え?」
もう一度優しく抱き寄せられた羽音は思わず目を見開いた。
「来栖さんは、凄く綺麗です。なんで片羽しかないのかはわかりませんが、この羽も、髪も、瞳も肌も……全部、全部綺麗です」
「九条君……」
「来栖さん、可愛いです。凄く可愛い」
「んッ……」
低い声で耳打ちされた後、少しだけ強引に上を向かされて、瑞稀の唇と羽音の唇が優しく重なった。
「ふぁ……んッ……」
チュッと音をたてて口付けられた後、チュウっと軽く吸われる。その感触だけで、羽音の背中をゾクゾクッと甘い痺れが走り抜け、跪いている足がブルブル震えた。苦しいぐらいに唇を奪われて、羽音は必死に息を整えようと口を開いた。
そんな無防備な羽音の口内に、瑞稀の熱い舌が侵入してくる。夢中で舌と舌を絡ませながら、瑞稀の体にしがみついた。
「来栖さん、キス……初めてですか?」
「ふぁ……はぁ……初めてです……」
「ふふっ、可愛い。でも俺も初めてです」
満足そうに微笑む瑞稀に、再び口付けられる。舌を絡まされて、唇を吸われて。敏感な口内を遠慮なく犯されていった。
「あ、あん……ふぁ……んッ……」
唇が離れていくときにする水音がやけに鮮明に鼓膜に響いて、羽音はどんどん欲情していくのを感じた。
「綺麗ですよ」
そう優しい顔で微笑む瑞稀に、思考が麻痺していく。ただ、瑞稀から溢れ出す甘い花の香りに堕落していく自分を感じていた。
「九条……くん……」
「瑞稀……俺は瑞稀です」
「瑞稀?」
「はい。瑞稀です」
その穏やかな瑞稀の笑顔に、羽音の胸が甘くときめく。優しく抱き寄せられながら、羽音は花の香りをそっと吸い込んだ。
「いきなり……すみませんでした」
「あ、ううん。大丈夫」
「しかも、ファーストキスだったのに……」
「え! べ、別に気にしないでください!」
羽音は顔を真っ赤にしながら、ブンブンと頭を振る。瑞稀に、今更どんな顔をすればいいのか、羽音はわからなかった。あの時の自分を思い出すだけで、顔から火が出そうになる。ただ、瑞稀との口付けにより羽音は不思議と落ち着いていた。
瑞稀からは変わらず花のいい香りはするけど、あの獣のような欲情は消え去っていたし、ポケットの中にある水晶玉は冷たくなっている。
キラキラ輝いていた純白の片羽は、いつの間にか消えていた。
瑞稀は何も無かったような素振りで、羽音の手を引いて歩いている。自分より大きくて、筋張った瑞稀の手に羽音はドキドキしてしまった。
自分を抱き締める腕が力強かったことも、名前を呼ぶ低い声が甘く鼓膜を震わせたことも……温かくて柔らかかった唇も。今思い出しても心臓が甘く高鳴る。
もうすぐ羽音の部屋に到着するという廊下で、瑞稀が羽音を振り返った。廊下にある大きな窓からは、蒼白い月明かりが差し込んで、瑞稀を優しく包み込む。
月明かりに照らされた瑞稀の姿は、凛々しく美しかった。今まで自分を抱き締めていた人物は、こんなに見惚れてしまうような姿をしていたんだ……。
そう自覚した瞬間、羽音は更に恥ずかしくなってしまった。
「今日は、突然あんな事をしてすみませんでした。ただ、窓から苦しそうにしている貴方を見つけた時……体が勝手に湖に向かっていたんです。でも俺は、誰にでもあんな事をするわけではありません。貴方だから……貴方が、あまりにも綺麗で可愛かったから」
手を繋いだまま、瑞稀は羽音に向かって軽く頭を下げた。それから、照れくさそうにはにかんだ。
「俺のファーストキスを、もらってくれてありがとうございました」
「…………ッ」
「あんなにキスが気持ちいいなんて、思いもしませんでした」
少しだけ頬を赤らめて微笑む瑞稀は、やっぱりかっこよくて、羽音は思わず袖口で唇を覆った。そのまま、羽音はギュッと瑞稀に抱き締められる。
彼は自分より年下のはずだ。しかも、心に傷を負っているという話だったではないか。そんな彼なのに、なぜこんなにも余裕の態度を見せれるんだろう……。
そう不思議に思っていた羽音は、瑞稀に抱き締められた瞬間に目を見開いた。瑞稀の鼓動も、自分のものと同じくらいドキドキしていたのだ。
「俺が転校して初めて貴方を見かけた時、あまりにも綺麗で……。天使だって思いました」
「天……使……?」
「はい。天使です」
その瞬間、羽音の胸がまるで鷲掴みされたかのように痛みだす。ついさっきまで、温かくときめいていた心が、一気に冷めていくのを感じた。こうして瑞稀と触れ合うこと自体が、凄くいけない事をしているんだ……そう思った途端、今までの甘い時間が虚しく感じた。
「おやすみなさい」
優しく頬を撫でてから、瑞稀が羽音の唇にそっと触れる。チュッという甘い音と共に、唇に温かくて柔らかい物が触れる感触に、それでも羽音の心は小さく震えた。
「え?」
もう一度優しく抱き寄せられた羽音は思わず目を見開いた。
「来栖さんは、凄く綺麗です。なんで片羽しかないのかはわかりませんが、この羽も、髪も、瞳も肌も……全部、全部綺麗です」
「九条君……」
「来栖さん、可愛いです。凄く可愛い」
「んッ……」
低い声で耳打ちされた後、少しだけ強引に上を向かされて、瑞稀の唇と羽音の唇が優しく重なった。
「ふぁ……んッ……」
チュッと音をたてて口付けられた後、チュウっと軽く吸われる。その感触だけで、羽音の背中をゾクゾクッと甘い痺れが走り抜け、跪いている足がブルブル震えた。苦しいぐらいに唇を奪われて、羽音は必死に息を整えようと口を開いた。
そんな無防備な羽音の口内に、瑞稀の熱い舌が侵入してくる。夢中で舌と舌を絡ませながら、瑞稀の体にしがみついた。
「来栖さん、キス……初めてですか?」
「ふぁ……はぁ……初めてです……」
「ふふっ、可愛い。でも俺も初めてです」
満足そうに微笑む瑞稀に、再び口付けられる。舌を絡まされて、唇を吸われて。敏感な口内を遠慮なく犯されていった。
「あ、あん……ふぁ……んッ……」
唇が離れていくときにする水音がやけに鮮明に鼓膜に響いて、羽音はどんどん欲情していくのを感じた。
「綺麗ですよ」
そう優しい顔で微笑む瑞稀に、思考が麻痺していく。ただ、瑞稀から溢れ出す甘い花の香りに堕落していく自分を感じていた。
「九条……くん……」
「瑞稀……俺は瑞稀です」
「瑞稀?」
「はい。瑞稀です」
その穏やかな瑞稀の笑顔に、羽音の胸が甘くときめく。優しく抱き寄せられながら、羽音は花の香りをそっと吸い込んだ。
「いきなり……すみませんでした」
「あ、ううん。大丈夫」
「しかも、ファーストキスだったのに……」
「え! べ、別に気にしないでください!」
羽音は顔を真っ赤にしながら、ブンブンと頭を振る。瑞稀に、今更どんな顔をすればいいのか、羽音はわからなかった。あの時の自分を思い出すだけで、顔から火が出そうになる。ただ、瑞稀との口付けにより羽音は不思議と落ち着いていた。
瑞稀からは変わらず花のいい香りはするけど、あの獣のような欲情は消え去っていたし、ポケットの中にある水晶玉は冷たくなっている。
キラキラ輝いていた純白の片羽は、いつの間にか消えていた。
瑞稀は何も無かったような素振りで、羽音の手を引いて歩いている。自分より大きくて、筋張った瑞稀の手に羽音はドキドキしてしまった。
自分を抱き締める腕が力強かったことも、名前を呼ぶ低い声が甘く鼓膜を震わせたことも……温かくて柔らかかった唇も。今思い出しても心臓が甘く高鳴る。
もうすぐ羽音の部屋に到着するという廊下で、瑞稀が羽音を振り返った。廊下にある大きな窓からは、蒼白い月明かりが差し込んで、瑞稀を優しく包み込む。
月明かりに照らされた瑞稀の姿は、凛々しく美しかった。今まで自分を抱き締めていた人物は、こんなに見惚れてしまうような姿をしていたんだ……。
そう自覚した瞬間、羽音は更に恥ずかしくなってしまった。
「今日は、突然あんな事をしてすみませんでした。ただ、窓から苦しそうにしている貴方を見つけた時……体が勝手に湖に向かっていたんです。でも俺は、誰にでもあんな事をするわけではありません。貴方だから……貴方が、あまりにも綺麗で可愛かったから」
手を繋いだまま、瑞稀は羽音に向かって軽く頭を下げた。それから、照れくさそうにはにかんだ。
「俺のファーストキスを、もらってくれてありがとうございました」
「…………ッ」
「あんなにキスが気持ちいいなんて、思いもしませんでした」
少しだけ頬を赤らめて微笑む瑞稀は、やっぱりかっこよくて、羽音は思わず袖口で唇を覆った。そのまま、羽音はギュッと瑞稀に抱き締められる。
彼は自分より年下のはずだ。しかも、心に傷を負っているという話だったではないか。そんな彼なのに、なぜこんなにも余裕の態度を見せれるんだろう……。
そう不思議に思っていた羽音は、瑞稀に抱き締められた瞬間に目を見開いた。瑞稀の鼓動も、自分のものと同じくらいドキドキしていたのだ。
「俺が転校して初めて貴方を見かけた時、あまりにも綺麗で……。天使だって思いました」
「天……使……?」
「はい。天使です」
その瞬間、羽音の胸がまるで鷲掴みされたかのように痛みだす。ついさっきまで、温かくときめいていた心が、一気に冷めていくのを感じた。こうして瑞稀と触れ合うこと自体が、凄くいけない事をしているんだ……そう思った途端、今までの甘い時間が虚しく感じた。
「おやすみなさい」
優しく頬を撫でてから、瑞稀が羽音の唇にそっと触れる。チュッという甘い音と共に、唇に温かくて柔らかい物が触れる感触に、それでも羽音の心は小さく震えた。
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