天使と悪魔が恋に堕ちて

舞々

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第三章 君に触れたい

君に触れたい④

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「ずっと、ずっと抱き締めたかった……」
「瑞稀……ごめんなさい、ごめん……んっ、んん……」
 羽音は必死に言葉を紡ごうとしたが、その唇は瑞稀によって塞がれてしまった。
「んっ、はぁ……ん……」


 あまりに激しい口付けに、羽音は少しだけ不安になる。キスに不慣れな羽音は、瑞稀にしがみつきながら、夢中でそれを受け止めた。
 瑞稀の唇がこんなにも柔らかくて、舌が熱くて……頬にかかる吐息が擽ったかったことを、羽音は思い出していた。


「あ、んん……ふぁ……」
 そのまま、コクンと瑞稀の甘い唾液ごと飲み込んだ。
 そうやって、しばらくの間お互いの唇を堪能してから、チュッという音をたてて名残惜しそうに唇を離した。


「はぁ、瑞稀……もっと……」
「もっとキスしたい?」
「うん。したい……ねぇ、もっと……」
「ふふっ、可愛い」
 瑞稀が微笑んでから、優しいキスをくれる。


「んん……はぁ……」
「なんで逃げるんですか? 自分からねだったくせに」
「だって、苦しい……」
 羽音が嫌々をして酸素を求めても、瑞稀の唇に捕まってしまい呆気なく舌を絡め取られてしまう。あまりに濃厚な口付けに、羽音の足に力が入らなくなり、最終的には腰が抜けて床に座り込んでしまった。
「おっと……」
 その体を、瑞稀が支えてくれる。瑞稀の逞しい腕の中で、羽音はようやく息をついた。


「貴方は、積極的なのか初心うぶなのか分からないですね」
 瑞稀が、顔を紅色に染めて蕩けきっている羽音を見て、クスクスと笑っている。
「俺は、貴方のこの蕩けきった顔が好きです。凄く可愛らしい」
 そのままギュッと抱き締められれば、羽音の心臓が口から飛び出るのではないか、というぐらいバクバクと高鳴った。


「僕は真面目しか取り柄がないつまらない男。なのに、こんなに淫乱だったなんて思わなかったです」
「ふふっ。みんなの憧れの的の生徒会長が、キスで蕩けてる姿なんて、きっと誰も想像なんかつかないはずですよ」
「やめて……」
「俺しか知らない貴方がいるなんて、凄く嬉しいし、めちゃくちゃ興奮する」
 瑞稀の甘い吐息が耳にかかり、羽音は思わずギュッと目を瞑った。瑞稀からは、あの甘ったるい花の香りはしないのに、明らかに欲情している自分がいる。


「羽音、可愛い」
 耳をペロッと舐められて、瑞稀の唇が頬、首筋へと移動していく。
「あ、あ……はぁ……」
 その柔らかい感触に、羽音は切ない吐息を洩らす。
 もはや、羽音は抜け出すことのできない、快楽の世界への扉を開けてしまっているのだ。もう、簡単には引き返せない。


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