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第七章 暴かれた真実?
暴かれた真実?②
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教会の重たい木の扉を開けると、フワリと温かい空気に包まれる。
大きな暖炉では、パチパチと音をたてて火が燃えている。ユラユラと揺れる蝋燭の灯が、柔らかな光で室内を照らしていた。
「やっぱりここは落ち着くな……」
羽音の顔が自然と綻んでいく。
今日で、謹慎五日目だ。少しだけ、制限された生活に窮屈さを感じていた。
羽音は教会の側廊をゆっくり歩き、祭壇の前で静かに跪く。持ってきたロザリオを取り出し、ギュッと握り締め目を閉じた。羽音はこうやってここにいる瞬間だけは、記憶を持たない自分でも、許されて認められて、様々な不安という名の枷から外れることができているように感じていた。
ここには、悪魔も天使も人間も……そういったものは関係ない。そう感じることができたから。
次の瞬間、教会の扉が重たい音をたてて開き、冷たい外の空気が、サーッと教会の中に入り込んできた。
「え? こんな時間に誰だろう……」
羽音は眉を顰めながらスッと立ち上がる。この時間は、他の生徒は外出禁止なはずだ。
誰かが教会を訪れるなんて考えられない。
「なんだろう、この変な感じ……」
羽音の中の危険を知らせる警笛が、一斉に鳴り出すのを感じた。教会の扉の方を注意深く見つめれば、一人の人物がゆっくりと建物の中に入ってくるのが見えた。
「……誰だ? なんでこんな時間に……」
服装からして恐らく生徒だろう。羽音は何とも言えない恐怖を感じて思わず体を震わした。ただならない雰囲気に自然と後ずさった。
「嫌だ、来るな」
その人物は、ゆっくりゆっくりと羽音に近付いてくる。重たい靴音が、静かな教会に響き渡った。
羽音の鼓動がどんどん速くなり、呼吸が浅くなる。
二人の距離が近くなる度に、少しずつその人物の容姿が薄暗い教会に浮かび上がってきた。羽音はその姿に目を配り、じっとその場に佇む。
ある程度距離が縮まったところで、羽音は思い切って、その人物に声をかけた。
「貴方は、誰ですか……?」
「初めまして。生徒会長様」
羽音の目の前に現れた人物はキャソックに身を包み、気味の悪い悪魔の仮面を付けていた。キリスト教でその存在は、神を冒涜し、人を欺くとされている。そんな悪魔の仮面があまりに不気味で、羽音の背中をサッと悪寒が走り抜けた。
どこかで聞いたことがある声のような……? 羽音は必死で記憶を掘り起こそうとするが、仮面をつけているせいで声が籠ってしまい聞き取りにくい。それが、この人物の気味の悪さをなおさら際立たせていた。
「俺は奏」
「え?」
「蓮見奏といいます」
……かなで、だって?
羽音の目が見開かれる。それは今朝見たばかりの夢に出てきた、ミセス・サラが呼びかけていた名前ではないか。
しかしあれは、ただの夢だ。現実との妙な符合。羽音は不気味さに眉を顰めた。さらに、羽音の目の前にいる青年は、夢に出てきた人物に背格好がとても似ていた。
「来栖羽音君」
名を唐突に呼ばれて、羽音はわかりやすく肩を震わせた。仮面の奥の表情が、笑った気がする。
「君なら知っているよね? 俺がインキュバスだってこと」
「……インキュバス……?」
「そう、インキュバス」
羽音は体から、一瞬にして体温が消え去っていくのを感じた。温かい血液が凍り付いて、そのまま魂が吸い取られていく……そんな感覚に襲われる。立っているのがやっとで、羽音は拳をグッと握り締めた。
ミセス・サラやミスター・レンから、この学園にインキュバスがいるということを、羽音は聞かされたことはない。しかし目の前の人物は、本人が言うように確かにインキュバスなのだろう。夢を見たせいなのか……、羽音はなぜかそれが紛れもない事実だということをよくわかっていた。
学園に……まさかインキュバスが……羽音の額を冷たい汗が伝った。
大きな暖炉では、パチパチと音をたてて火が燃えている。ユラユラと揺れる蝋燭の灯が、柔らかな光で室内を照らしていた。
「やっぱりここは落ち着くな……」
羽音の顔が自然と綻んでいく。
今日で、謹慎五日目だ。少しだけ、制限された生活に窮屈さを感じていた。
羽音は教会の側廊をゆっくり歩き、祭壇の前で静かに跪く。持ってきたロザリオを取り出し、ギュッと握り締め目を閉じた。羽音はこうやってここにいる瞬間だけは、記憶を持たない自分でも、許されて認められて、様々な不安という名の枷から外れることができているように感じていた。
ここには、悪魔も天使も人間も……そういったものは関係ない。そう感じることができたから。
次の瞬間、教会の扉が重たい音をたてて開き、冷たい外の空気が、サーッと教会の中に入り込んできた。
「え? こんな時間に誰だろう……」
羽音は眉を顰めながらスッと立ち上がる。この時間は、他の生徒は外出禁止なはずだ。
誰かが教会を訪れるなんて考えられない。
「なんだろう、この変な感じ……」
羽音の中の危険を知らせる警笛が、一斉に鳴り出すのを感じた。教会の扉の方を注意深く見つめれば、一人の人物がゆっくりと建物の中に入ってくるのが見えた。
「……誰だ? なんでこんな時間に……」
服装からして恐らく生徒だろう。羽音は何とも言えない恐怖を感じて思わず体を震わした。ただならない雰囲気に自然と後ずさった。
「嫌だ、来るな」
その人物は、ゆっくりゆっくりと羽音に近付いてくる。重たい靴音が、静かな教会に響き渡った。
羽音の鼓動がどんどん速くなり、呼吸が浅くなる。
二人の距離が近くなる度に、少しずつその人物の容姿が薄暗い教会に浮かび上がってきた。羽音はその姿に目を配り、じっとその場に佇む。
ある程度距離が縮まったところで、羽音は思い切って、その人物に声をかけた。
「貴方は、誰ですか……?」
「初めまして。生徒会長様」
羽音の目の前に現れた人物はキャソックに身を包み、気味の悪い悪魔の仮面を付けていた。キリスト教でその存在は、神を冒涜し、人を欺くとされている。そんな悪魔の仮面があまりに不気味で、羽音の背中をサッと悪寒が走り抜けた。
どこかで聞いたことがある声のような……? 羽音は必死で記憶を掘り起こそうとするが、仮面をつけているせいで声が籠ってしまい聞き取りにくい。それが、この人物の気味の悪さをなおさら際立たせていた。
「俺は奏」
「え?」
「蓮見奏といいます」
……かなで、だって?
羽音の目が見開かれる。それは今朝見たばかりの夢に出てきた、ミセス・サラが呼びかけていた名前ではないか。
しかしあれは、ただの夢だ。現実との妙な符合。羽音は不気味さに眉を顰めた。さらに、羽音の目の前にいる青年は、夢に出てきた人物に背格好がとても似ていた。
「来栖羽音君」
名を唐突に呼ばれて、羽音はわかりやすく肩を震わせた。仮面の奥の表情が、笑った気がする。
「君なら知っているよね? 俺がインキュバスだってこと」
「……インキュバス……?」
「そう、インキュバス」
羽音は体から、一瞬にして体温が消え去っていくのを感じた。温かい血液が凍り付いて、そのまま魂が吸い取られていく……そんな感覚に襲われる。立っているのがやっとで、羽音は拳をグッと握り締めた。
ミセス・サラやミスター・レンから、この学園にインキュバスがいるということを、羽音は聞かされたことはない。しかし目の前の人物は、本人が言うように確かにインキュバスなのだろう。夢を見たせいなのか……、羽音はなぜかそれが紛れもない事実だということをよくわかっていた。
学園に……まさかインキュバスが……羽音の額を冷たい汗が伝った。
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