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第七章 暴かれた真実?
暴かれた真実?⑤
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その日一日、羽音は上の空だった。
たった一つの答えに向かって突き進もうとと決心しても、その思いは簡単に揺らぎ始める。それでもまた悩んで、答えを導き出して、また悩んで……そんなことの繰り返し。
「数学の計算式より難しい。全然答えが出ないや……」
一日を終える鐘の音が、学園中に響き渡る。空は厚い雲に覆われ、今にも泣き出しそうだ。いつも淡く校舎を包み込む月も、今日は見られそうにない。
その透き通った鐘の音色に耳を澄ませているうちに、心が洗われていく思いがする。
「あ、雪だ……」
最後に瑞稀に会った時、彼はウェディングドレスという薔薇を教えてくれた。真っ白で綺麗な薔薇が、羽音みたいだと照れくさそうに笑っていた。あの日も、今みたいに雪が降っていた。空から舞い降りてくる白い天使に、羽音は目を細める。
「記憶喪失なんだって、伝えてみようかな……」
羽音はそっと呟いた。
もしかしたら、瑞稀だったら全てを受け止めてくれるかもしれない……羽音の心に、僅かな希望の光が差し込んだ気がした。
こんなに自分を思ってくれている瑞稀なら、伝えたことで、一緒に悲しんでくれるかもしれない。もし真実を打ち明けて、瑞稀の心が離れて行ってしまうとしたら、それはそれで仕方ない。また、一人ぼっちの世界へと戻るだけだ。
――一人ぼっちなんて、慣れている。
それでも、羽音は瑞稀を信じてみたいと思った。
「きっと、瑞稀なら大丈夫だ」
ヒラヒラと舞い落ちてくる白い天使が、瑞稀の背中をそっと押してくれている気がする。
「行こう……薔薇園へ」
羽音の気持ちは決まった。それと同時に、自分の中で瑞稀への思いが、揺るぎないものになっていることを感じていた。
雪は止むどころか、しんしんと降り続いている。
「うぅ、寒い……」
羽音はコートを首元までかき寄せ、薔薇園へと向かった。
辺りはすっかり暗くなり、目を凝らさないと一寸先も見えない……湖のほとりは、暗闇と静寂に包まれていた。
校舎を出る時、羽音は再び聖水を飲んだ。相変わらず苦くて、喉が焼け付くように痛んだけど、そんなことも今の羽音には気にならない。羽音はもう迷うことなんてなかった。
薔薇園に向かって、ただ夢中で走り続けた。
「はぁはぁ……」
薔薇園に着いた羽音は、扉にもたれかかって息を整える。
「ここに瑞稀がいる……やっと会える……」
そう思うと凄く嬉しいのに、怖くて仕方ないのだ。かじかんだ指先が小さく震えている。
「大丈夫、怖くない……羽音、もう少しだけの我慢だ……」
勇気を振り絞って薔薇園に一歩踏み入れる。その瞬間、薔薇の甘い香りに包まれた。
「瑞稀はきっと、あの場所にいる」
羽音の胸が高鳴ってく。
「早く早く会いたい……会いたい……‼」
一番奥まで進むと、ヒラヒラと舞い落ちてくる雪の結晶に似た大輪の花を咲かせる、真っ白な薔薇が目に飛び込んでくる。
――本当に、雪の妖精みたいだ。
「あった……ウェディングドレス……。瑞稀はきっと、ここにいる」
羽音は泣きたくなる思いを堪えて、辺りを見渡す。
「瑞稀……瑞稀……」
今にも消え入りそうな声で、愛しい人の名前を呼んだ。
「羽音」
「瑞稀……?」
「羽音」
羽音は、声のする方をそっと振り返る。何度も何度も夢にまで見た、愛おしい声……。
嬉しくて、鼓膜が甘く震えた。
「瑞稀‼」
瑞稀の姿を見た瞬間、羽音は勢い良く、その胸の中に飛び込んだ。自分に向かって飛びついてきた羽音を、瑞稀は強く抱き締めてくれる。
久しぶりに感じるその温もりと、優しい香りに、羽音の心が一気に幸せで満たされていった。
瑞稀への強すぎる思いが、心の器から次々と溢れ出して言葉にならない。
「ずっと会いたかった」
「ごめんなさい。瑞稀……僕のせいでこんな……」
「羽音のせいじゃない」
「ごめん。ごめんなさい」
伝えたい思いはたくさんあるのに、目の前の瑞稀が愛おし過ぎて、言葉を失ってしまった。
たった一つの答えに向かって突き進もうとと決心しても、その思いは簡単に揺らぎ始める。それでもまた悩んで、答えを導き出して、また悩んで……そんなことの繰り返し。
「数学の計算式より難しい。全然答えが出ないや……」
一日を終える鐘の音が、学園中に響き渡る。空は厚い雲に覆われ、今にも泣き出しそうだ。いつも淡く校舎を包み込む月も、今日は見られそうにない。
その透き通った鐘の音色に耳を澄ませているうちに、心が洗われていく思いがする。
「あ、雪だ……」
最後に瑞稀に会った時、彼はウェディングドレスという薔薇を教えてくれた。真っ白で綺麗な薔薇が、羽音みたいだと照れくさそうに笑っていた。あの日も、今みたいに雪が降っていた。空から舞い降りてくる白い天使に、羽音は目を細める。
「記憶喪失なんだって、伝えてみようかな……」
羽音はそっと呟いた。
もしかしたら、瑞稀だったら全てを受け止めてくれるかもしれない……羽音の心に、僅かな希望の光が差し込んだ気がした。
こんなに自分を思ってくれている瑞稀なら、伝えたことで、一緒に悲しんでくれるかもしれない。もし真実を打ち明けて、瑞稀の心が離れて行ってしまうとしたら、それはそれで仕方ない。また、一人ぼっちの世界へと戻るだけだ。
――一人ぼっちなんて、慣れている。
それでも、羽音は瑞稀を信じてみたいと思った。
「きっと、瑞稀なら大丈夫だ」
ヒラヒラと舞い落ちてくる白い天使が、瑞稀の背中をそっと押してくれている気がする。
「行こう……薔薇園へ」
羽音の気持ちは決まった。それと同時に、自分の中で瑞稀への思いが、揺るぎないものになっていることを感じていた。
雪は止むどころか、しんしんと降り続いている。
「うぅ、寒い……」
羽音はコートを首元までかき寄せ、薔薇園へと向かった。
辺りはすっかり暗くなり、目を凝らさないと一寸先も見えない……湖のほとりは、暗闇と静寂に包まれていた。
校舎を出る時、羽音は再び聖水を飲んだ。相変わらず苦くて、喉が焼け付くように痛んだけど、そんなことも今の羽音には気にならない。羽音はもう迷うことなんてなかった。
薔薇園に向かって、ただ夢中で走り続けた。
「はぁはぁ……」
薔薇園に着いた羽音は、扉にもたれかかって息を整える。
「ここに瑞稀がいる……やっと会える……」
そう思うと凄く嬉しいのに、怖くて仕方ないのだ。かじかんだ指先が小さく震えている。
「大丈夫、怖くない……羽音、もう少しだけの我慢だ……」
勇気を振り絞って薔薇園に一歩踏み入れる。その瞬間、薔薇の甘い香りに包まれた。
「瑞稀はきっと、あの場所にいる」
羽音の胸が高鳴ってく。
「早く早く会いたい……会いたい……‼」
一番奥まで進むと、ヒラヒラと舞い落ちてくる雪の結晶に似た大輪の花を咲かせる、真っ白な薔薇が目に飛び込んでくる。
――本当に、雪の妖精みたいだ。
「あった……ウェディングドレス……。瑞稀はきっと、ここにいる」
羽音は泣きたくなる思いを堪えて、辺りを見渡す。
「瑞稀……瑞稀……」
今にも消え入りそうな声で、愛しい人の名前を呼んだ。
「羽音」
「瑞稀……?」
「羽音」
羽音は、声のする方をそっと振り返る。何度も何度も夢にまで見た、愛おしい声……。
嬉しくて、鼓膜が甘く震えた。
「瑞稀‼」
瑞稀の姿を見た瞬間、羽音は勢い良く、その胸の中に飛び込んだ。自分に向かって飛びついてきた羽音を、瑞稀は強く抱き締めてくれる。
久しぶりに感じるその温もりと、優しい香りに、羽音の心が一気に幸せで満たされていった。
瑞稀への強すぎる思いが、心の器から次々と溢れ出して言葉にならない。
「ずっと会いたかった」
「ごめんなさい。瑞稀……僕のせいでこんな……」
「羽音のせいじゃない」
「ごめん。ごめんなさい」
伝えたい思いはたくさんあるのに、目の前の瑞稀が愛おし過ぎて、言葉を失ってしまった。
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