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第十三章 星屑になった悪魔
星屑になった悪魔④
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羽音は、全てを忘れないように心に刻み込む。
瑞稀との楽しかった日々を、思い起こそうとしたけど……涙が出そうになったから、そっと思い出の宝箱に閉じ込めて鍵をかけた。
羽音は、自分の命の灯が、今まさに消えて行こうとしているのを感じている。
インキュバスでありながらも、誰かを愛し、誰かに愛されたいと思っていたあの頃。いつも一人ぼっちで、孤独だった。
そんな羽音に、本当の愛情を教えてくれたのが瑞稀だった。羽音にとって、瑞稀はキラキラ光る宝物だ。
「瑞稀。どうか立派な神父になって、たくさんの人に救いの手を差し伸べてあげてください」
「……何を突然……このまま、ずっと一緒にいたいです……」
羽音は寂しそうに笑いながら、首を横に振った。
「今度生まれてくる時には、僕は人間に生まれてきます。そしたら、君を必死に探します」
「嫌だ……嫌だ……そんなの嫌だ……」
羽音は子供のように泣きじゃくる瑞稀の頬に、唇を寄せる。最後の瞬間は、笑顔で「さよなら」をしたかったから。
「もし、瑞稀を見つけることができたらお願いがあります」
「……お願い……?」
「はい」
羽音がフワリと微笑んだ。
「一緒にクリスマスをお祝いしてください」
「クリスマスを?」
「今年はクリスマスを一緒にお祝いできなかったから……生まれ変わったら、瑞稀と一緒にクリスマスを過ごしてみたい」
俯いたまま顔を上げようとしない瑞稀の顔を、羽音はそっと覗き込んだ。
「瑞稀……」
額に唇を寄せてそっと口付ける。
「お願い。笑って……? 瑞稀……」
そっと耳元で囁けば、瑞稀が苦しそうに首を横に振った。
爪が喰い込むくらい強く拳を握り締め、血が滲むのではないか……というくらい唇を噛み締めている。
「俺は、貴方が星屑になる瞬間、笑っていようと決めてました。でも、ごめんなさい…… 涙が……止まらない……」
「瑞稀……」
「だって自分勝手過ぎるでしょ? 俺の意見とか考えとか一切聞かないし、本当に頑固だし……」
「そうだよね。ごめんなさい……」
「俺の為に死ぬとか、本当にありえないでしょ?」
瑞稀は溢れる涙を拭う事さえせず、羽音の顔を見上げた。羽音の腰に回された手は、弱々しく震えている。
「どんだけ俺の事が好きなんですか? これじゃあもう、何も言い返せない……」
瑞稀の涙からポロポロと溢れ出す、水晶玉みたいに綺麗な涙に羽音は吸い込まれそうになる。羽音は、瑞稀の胸に顔を埋めた。
「お願い瑞稀……笑ってて? 笑って『さよなら』して?」
羽音には、三つだけ願い事あった。
ひとつ目は、いつも瑞稀に笑っていて欲しいということ。二つ目は、瑞稀に立派な神父になって欲しいということ。そして、最後の願い事は……瑞稀がまた誰かと恋をして、幸せになって欲しい……ということ。
「瑞稀……笑って……」
瑞稀に頬を寄せてから、そっと唇と唇を重ね合わせた。
「わかりました」
「瑞稀……」
「また会えた時には、一緒にクリスマスをお祝いしましょうね。俺も、死ぬ気で貴方を探します。そして必ず見つけ出す……どこにいても、どんな姿でも……必ず、見つけ出しますから……」
「うん」
「羽音、俺は貴方の望む通り立派な神父になってみせます。でも……」
「でも……?」
羽音が、不安そうに瑞稀の顔を覗き込む。
「俺はもう二度と、誰の事も愛さない」
「……なんで……?」
「だって、俺は神父だから」
「…………」
「俺は、これが最初で最後の恋です」
瑞稀に抱き締められていれば、トクントクンという温かい鼓動が聞こえてくる。羽音は、それに耳を傾けた。
自分の心音と瑞稀の心音が溶け合って、とても心地いい……。
「羽音……愛してます」
「僕も、瑞稀を愛してます」
そのまま、もう一度唇を重ね合わせる。
羽音は、瑞稀の温かくて甘い口付けを、心の奥底に刻み込んだ。
決して忘れることがないように……。
「瑞稀……ありがとう……」
羽音が微笑んだ瞬間、その体が眩い光に包まれる。
優しい光に包まれた羽音は、瑞稀の腕の中で星屑となって消えて行った。
瑞稀との楽しかった日々を、思い起こそうとしたけど……涙が出そうになったから、そっと思い出の宝箱に閉じ込めて鍵をかけた。
羽音は、自分の命の灯が、今まさに消えて行こうとしているのを感じている。
インキュバスでありながらも、誰かを愛し、誰かに愛されたいと思っていたあの頃。いつも一人ぼっちで、孤独だった。
そんな羽音に、本当の愛情を教えてくれたのが瑞稀だった。羽音にとって、瑞稀はキラキラ光る宝物だ。
「瑞稀。どうか立派な神父になって、たくさんの人に救いの手を差し伸べてあげてください」
「……何を突然……このまま、ずっと一緒にいたいです……」
羽音は寂しそうに笑いながら、首を横に振った。
「今度生まれてくる時には、僕は人間に生まれてきます。そしたら、君を必死に探します」
「嫌だ……嫌だ……そんなの嫌だ……」
羽音は子供のように泣きじゃくる瑞稀の頬に、唇を寄せる。最後の瞬間は、笑顔で「さよなら」をしたかったから。
「もし、瑞稀を見つけることができたらお願いがあります」
「……お願い……?」
「はい」
羽音がフワリと微笑んだ。
「一緒にクリスマスをお祝いしてください」
「クリスマスを?」
「今年はクリスマスを一緒にお祝いできなかったから……生まれ変わったら、瑞稀と一緒にクリスマスを過ごしてみたい」
俯いたまま顔を上げようとしない瑞稀の顔を、羽音はそっと覗き込んだ。
「瑞稀……」
額に唇を寄せてそっと口付ける。
「お願い。笑って……? 瑞稀……」
そっと耳元で囁けば、瑞稀が苦しそうに首を横に振った。
爪が喰い込むくらい強く拳を握り締め、血が滲むのではないか……というくらい唇を噛み締めている。
「俺は、貴方が星屑になる瞬間、笑っていようと決めてました。でも、ごめんなさい…… 涙が……止まらない……」
「瑞稀……」
「だって自分勝手過ぎるでしょ? 俺の意見とか考えとか一切聞かないし、本当に頑固だし……」
「そうだよね。ごめんなさい……」
「俺の為に死ぬとか、本当にありえないでしょ?」
瑞稀は溢れる涙を拭う事さえせず、羽音の顔を見上げた。羽音の腰に回された手は、弱々しく震えている。
「どんだけ俺の事が好きなんですか? これじゃあもう、何も言い返せない……」
瑞稀の涙からポロポロと溢れ出す、水晶玉みたいに綺麗な涙に羽音は吸い込まれそうになる。羽音は、瑞稀の胸に顔を埋めた。
「お願い瑞稀……笑ってて? 笑って『さよなら』して?」
羽音には、三つだけ願い事あった。
ひとつ目は、いつも瑞稀に笑っていて欲しいということ。二つ目は、瑞稀に立派な神父になって欲しいということ。そして、最後の願い事は……瑞稀がまた誰かと恋をして、幸せになって欲しい……ということ。
「瑞稀……笑って……」
瑞稀に頬を寄せてから、そっと唇と唇を重ね合わせた。
「わかりました」
「瑞稀……」
「また会えた時には、一緒にクリスマスをお祝いしましょうね。俺も、死ぬ気で貴方を探します。そして必ず見つけ出す……どこにいても、どんな姿でも……必ず、見つけ出しますから……」
「うん」
「羽音、俺は貴方の望む通り立派な神父になってみせます。でも……」
「でも……?」
羽音が、不安そうに瑞稀の顔を覗き込む。
「俺はもう二度と、誰の事も愛さない」
「……なんで……?」
「だって、俺は神父だから」
「…………」
「俺は、これが最初で最後の恋です」
瑞稀に抱き締められていれば、トクントクンという温かい鼓動が聞こえてくる。羽音は、それに耳を傾けた。
自分の心音と瑞稀の心音が溶け合って、とても心地いい……。
「羽音……愛してます」
「僕も、瑞稀を愛してます」
そのまま、もう一度唇を重ね合わせる。
羽音は、瑞稀の温かくて甘い口付けを、心の奥底に刻み込んだ。
決して忘れることがないように……。
「瑞稀……ありがとう……」
羽音が微笑んだ瞬間、その体が眩い光に包まれる。
優しい光に包まれた羽音は、瑞稀の腕の中で星屑となって消えて行った。
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