鴉の鈴遊び

Ruon

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再執筆版

2-craving

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 あの日からずっと滾るようなものが心の内に渦巻いているのが分かる。
 あの滑らかな肌を、あの芳しい香り漂う血液を、何もかも全てが欲しくて仕方がない。
 半分ほど鬼の血が全身に駆け巡っているからといって食人行動が衝動的に働いているわけではない。純粋に独り占めにしたいという独占欲が働いている。
 あの美しく、穢れながらにして高潔な人間をこの手で、この腕で、この身体で全てを手に入れたいという強い衝動。
 もし、その可能性が一ミリでもあるならば。この衝動はもはや狂気にまで達し、全てを飲み込もうとするだろう。

─────それに気付いたのは半刻ほど経った頃だ。
 自分の住居の寝室に敷かれた敷布団の上に見覚えのある男が横たわっていた。
 黒髪の男……紛れもない、鈴佐遠流だ。
 どうしてここにいるのか理解できず、鴉は首を捻ってからちゃんと生きているか、喉元や手首を抑えて脈を確認すると座り込んで延々と考え込む。

(……どうやら事後のようだな)

 全くもって記憶にない。
 この遠流がどうして此処にいるのか、それは分からないがおおよそ昨日─────遠流は北条家の使者として東の位置する徳川家に訪問に来ていた。
 目的は長らく煮え切らずにいた縁談の話しだ。長年、北条家の現当主と徳川家の現当主は年が近い事から縁談の話しがあがっていたが結婚というものに強い願望も将来性も見いだせていない北条家の当主が前向きではない事、そして徳川家がちょうど内乱が起きていたりと荒れていた為、目新しい進展もなく、長年放置されていた問題だ。
 それがようやく進み出したようで昨晩は膝を突き合わせt北条家の軍師である遠流と徳川家当主が話し合いをしていた。
 そしてその日の帰り道に鴉は衝動を抑えられないまま、彼を誘拐したのだ。

 タイミングは悪くなかった。まるでそれを予見でもしていたかのように彼は付き人の一人すらつけていなかった為、大した騒ぎにはならなかった。
 だが、何があって致してしまったのだろうか。全くもって分からないがあの強い衝動はなりを潜め、とても心身ともにすこやかに安定している事から鴉は致した事は決して悪い事ではないのだと理解する。

(まぁ、起きるまで時間はあるだろうし、もう一発……)

 これは明らかに衝動ではなく、欲求だ。ただの爛れた不埒な欲求だ。お天道様が見たら怒るに違いないと思いつつ、眠っている目の前の男の着物の裾から生脚に触れると思いのほか、柔らかい事に驚きつつ、根元に向かってゆっくりと指先を滑らせていく。

「ッ……ぅ……」

 僅かに身動ぎするが、まだ起きる気配はない。それを確認すれば鴉は生脚を撫でていた指をそのまま上に滑らせて行き、着物の合わせをゆっくりと開く。
 そして露わになっている、すっかり萎えてしまっている男性器に触れるとそれをゆっくりと扱き始める。

「っ……ん」
(やはり反応がある方が楽しいな)

 徐々に芯が通り始めてきた性器に、鴉は僅かに口元を緩めながら扱く手を早める。
 すると寝ている彼の表情は苦しげに歪められ、愛撫していくうちに先走り液が溢れて厭らしい水音を立てていく。
 それを繰り返していると「ん、く…っ」と少しずつ息を詰まらせ始めたのに気付いた鴉は今度は人差し指で裏筋をつつッとなぞり上げ、彼の腰が跳ねるように微かに浮きあがった。
 その様子を見て鴉はほくそ笑むと更に指の腹で先端を擦り上げていけば、さらに性器が芯を持って熱を持っていく。

「……おーい、そんなに寝てて大丈夫か~? 本当に虐めちまうぞ~……」

 そう言ったところで起きやしない。
 ここまで触っていて起きないのだからそれもそうかと納得しつつ、鴉はパッと手を離せば性器の根元を赤い組み紐でキュッと締め上げればピンッと張り上がった性器の鈴口────即ち、尿道口に細い棒を宛がう。
 その棒は、鈴口からゆっくりと尿道に挿入されていき、やがて組み紐で縛られた根元にまであっという間に到達する。
 その棒は尿道口より少しだけ大きいだけでぎっちぎちに詰まった中を抉るように抜き差しすればぬちゅっ、くちゅっと淫猥な音を響かせ、尿道口を少しずつ拡げていく。

「ん……ぅ……っ」
(……しかし、本当に起きないな)

 ここまでされてまだ寝ているとは相当深い眠りについているようだが、それでも起きなさすぎるのではないだろうかと心配になる鴉。
 だが、寝ているのならばこちらにとって都合がいい事には変わりなく、そのままぐちゅぐちゅと掻き回したり、入らないのを分かった上でさらに奥へと押し込んだりと様々な行為を試みていく。

「─────っ、あ……あッ、か…ら、す……っ?」
「おーっ、ようやく起きたか。鈴之助」

 棒がねっとりと先走り液で濡れるほど、ほぐれてきた穴を延々と掻き回しているとようやく遠流はいまだ微睡む視界で鴉を見つめる。
 覆面をつけているとはいえ、その口元がニヤニヤと弧を上げている事は明白で幼名で呼ばれてはピクリッと反応を見せ、ゆっくりと起き上がろうとすればその柔らかい胸をトンッと押されて汗ばんだ敷布団へと押し倒される。

「ど、どうして……」
「急に起きるな、もしも入りどころが悪くて痛めたらいかんだろう? 先に抜いてやるから……」
「え、あ……? あ、ぁ…ッ!!」

 ズルルルッと棒が引き抜かれていく感覚と、それに連なるようにやってくる絶頂感に遠流は身体を仰け反らせ、全身を大きくガクガクと痙攣させる。
 だが、根元を縛られている事もあって性器の先端からはトロトロと先走り液が垂れ流れされるだけで射精した様子はなく、だが達していないのではなく、どうやら絶頂を迎える事なく至ったのは事実のようだった。

「はっ、ぁ……はぁ…っ」

 ぐったりと布団の上に倒れ込んだ遠流を見れば鴉は棒を片手に遠流の背後に回り込むとゆっくりと抱き上げ、組んだ脚の上に遠流を座らせては細い脚を開かせ、再び尿道口に棒をゆっくりと挿入していく。

「ん、ん……っそ、それっやめてくれないか…っ」
「お? なんでだ、名軍師様たるもの、このぐらい耐えれるんじゃないのか?」
「た、耐えれるわけ……っ」

 達したばかりの尿道口を再び刺激されれば当然、ビクビクッと腰が震えあがる。
 目の前でつぷぷ…っとゆっくり入ってくる棒を遠流はただ見下ろしている事しかできない。両腕は動く、両脚だって動くというのに意識的な潜在だろうか、抵抗できなくなっている。
 そんな好都合な遠流の尿道口に挿入された棒を何度も何度もじっくりと時計回りや半時計回りで掻き回し、時折、奥の方をグルグリと押し上げる。
 ヒクヒクと尿道口が収縮を繰り返し始めた頃を見計らい、鴉はもう少し奥まで挿入するべく、根元を縛る組み紐を外せばつぷんっ!と一気に膀胱にまで棒を至らせる。

「あッ!?」

 一気に押し上げてきた快楽。今ならば絶頂へと至れるというのに押し込まれた棒のせいで絶頂へ至る事は叶わず、それどころか、棒が奥まで入ってしまったせいで中に埋まってしまい、掻き回す事も出す事も出来なくなってしまった。

「お~っと、悪い悪い。中に埋まっちまったようだな」
「へッ!? き、君っ、これどうするつもりで……」
「んなもん、扱きゃぁなんとかなるだろう」

 そう言うと鴉は性器を上下に動かし、ずちゅっずちゅっと激しく扱き始める。一回りも大きな手で性器を根元から先端まで扱かれると膀胱の奥から先端まで棒がいったりきたりと内側から擦り上げてきて、その度にごりごりと膀胱が刺激されながら同時に棒で尿道口が擦りあげられてしまう。

「ひ、ぐッ?! や、やめっ! そ、それ……っ!」
「お~すげぇな。鈴之助のここ。もうこんなになってらぁ」
「あッ!? か、らすっやめてく、れ……っ!」

 もう何が何だか分からなくなってしまっている遠流に鴉は更に棒で膀胱を押し上げればその刺激と射精できないというもどかしさで遠流の理性はもうほとんど残っておらず、ただこの快楽から解放される事だけを望んでいたのだが、鴉はそんな遠流に構う事もなく更に追い打ちをかけるように棒を上下に扱く。

「あ、あぁッ! あぅッ!」

 ずちゅっぬちゅっと激しく性器を上下され、尿道口をごりっごりゅっと何度も擦り上げられれば、もう絶頂に達するのも時間の問題で。
 しかし、いくらイきたくとも根元が塞き止められてしまっているせいで達する事が出来ない。
 その切なさに遠流は涙を浮かべ、真夜中のように暗い髪を振り乱しては必死に懇願する。

「おね、がいだっ、 鴉……っ! イかせてくれ…ッ」

 もう限界だ。そう伝えると鴉は「ハッ」と鼻で笑うように、息を吐けば遠流の背中を押し、布団の上に四つん這いにさせれば着物の裾をたくし上げ、露わになるドロッと精液滴る柔らかく解れた孔に肉棒を押し当てるとずぷぷっ!と挿入していく。

「あ─────ッ!?」
「あぁ……遠流。イきたかったんだよな」
「ひ、あ……ッ! あぅ……っ!」

 根元が塞き止められてしまっているせいで射精は出来ないものの、それでも絶頂へと至るには十分で遠流の性器からはトロトロと先走り液が溢れ出す。
 そんな様子に鴉は腰を掴みながらゆっくりと肉棒を引き抜き始めると、雁首が孔の縁に引っかかる度に遠流の身体は大きく震え上がり、そして再び奥まで挿入していけばビクビクッと痙攣し始め、まるで達しているかのような反応を示していた。

「あッ! あぁ……っ、は、ぁ……ッ!」
「おーおー、そんなに気持ちいいか」
「ん、んぅ……き、もちいい……っ」

 奥に深く突き刺さる感覚───それが膀胱に棒が突き刺さっている感覚なのか、それとも肉棒が奥深くに突き刺さる感覚なのか、分からない。
 だが、それがたまらなく気持ちよく感じればうっとりとした顔で鴉を横目で見る。それに昂るものを感じたのだろうか、グッと肉棒が硬くなったのを感じればギュウッと締め付ける。

「か、らす…鴉……ッ、抜いてっこれ…っ」
「……っ、わかったよ。ほら、扱いてやるから力抜いてくれ」

 言われるがまま、深く息を吐いて肩の力を抜いていくと根元から先端に向かってずるるっと引き出すように扱いていくとようやく尿道口まで棒が落ちてきて、尿道口から棒が見えればそれを摘んで、ズイッと一気に引き抜いた。

「あッ、ああッ!! あぅぅぅぅぅううう…ッ!!」

 一気に引き抜かれた衝撃で遠流は弓なりに身体をしならせ、ビクビクと痙攣する。ついに栓され続けた性器からはピュクッ、ピュルッと精液がはしたなく噴き出していき、布団を白く汚していく。
 今は布団を汚してしまった、なんてそんな事を気にする余裕すらなく、絶頂から下りる事が出来ず、腰をビクつかせながら脱力しきったように布団の上に突っ伏すとそれを追うように鴉も覆い被さりそのまま奥深くまで挿入するとぶるるっと身体を小刻みに震わせて射精をする。
 熱い粘液が再び奥に注がれているのを感じながら遠流は敷布団をギュッと握り締め、熱を帯びた吐息を吐いて顔を埋める。
満たされていく、腹の奥が。そして穢されていくのを感じ、それがたまらなく気持ちよく感じる。

「はー……っ、はー……んッ!」

 絶頂の余韻に浸っているとズルッと中から肉棒が引き抜かれるのを感じれば、それにすらビクンッと腰が跳ね上がった。
 そしてゴソゴソと身体を起こす音がすれば身体を仰向けに転がされた。目の前に見える汗ばんだ額にかかる前髪から覗く獰猛な眼差し、それは確かに相手を獲物と認識しているようで、だがそこに若干情のようなものが湧いているのを感じては遠流は腕を伸ばし、首を捕まえると覆面越しに口付けを交わさせる。

「……っん……、鴉……」
「……名軍師様は鬼相手でも口付けするんだなぁ?」
「正確には君は鬼じゃないだろう? 半分鬼、半分人間……僕は君の事を限りなく人間に近いと思っているよ」
「あー、はいはい」

 遠流の優しい言葉を鴉は面倒くさそうに流すがその言葉は身に染みる。
 この世界は鬼によって蹂躙され、見るも無残な姿へと変わり果てている。ゆえに鬼の血を有する鴉のような人は人間扱いされず、化け物扱いされる。
 だからこそ、無条件で人間だと認めてくれる彼に心が大きく揺らぐのと同時に鴉の過去の事を知る者ゆえに気が緩んでしまう。

「……なぁ、遠流。気持ち良かったか? 」
「おや? 鈴之助って呼ばないのかい?」
「いちいちうるせぇぞ」
「ハハッ、はいはい。気持ちよかったよ、鴉」

 軽やかに、ニコニコと笑う彼の顔を見てから鴉は上体を起こせば遠流の細い脚を持ち上げ、孔や性器を布地で拭いていく。
 この脚にはたぷたぷと柔らかく、全くもって筋肉がついていない事が分かる。ほとんど戦わないのだろうか、と思いつつ顔を見れば彼はニコニコと爽やかに笑いかけてくれる。

「戦わないのか?」

 ほんの少しだけ、間を置いてそう問いかけると遠流は「ああ」と言ってから答える。

「あまり激しく動くと吐血するからね」
「さらっと怖い事言うなよ」
「本当だよ、その為に北条家は徳川家と同盟を結ばないと……来たる戦に備えて、ね」

 来たる戦─────近頃、西に位置する毛利家からきな臭い噂が出ている。
 自国民がほぼ壊滅し、鬼のみで構成されている。そして絶対零度に閉ざされたこの国から死の軍団が攻め込んでくる。
 そんな噂が至る所から湧いて出てくるのだがいずれも確証はない。
 北に位置する北条家は毛利家と隣接している上、兵のほとんどが農民上がりである為、全面的な戦争になれば敗北するのは目に見えている。
 北条家と手を結べばもう過去の事は帳消しになるのだろうか? 純粋に好きになっていいのだろうか?
 しかし、全ては帳消しにならないのは分かっている。

(……俺はどうしたらいいんだ?)

 目の前にいるこの男が欲しくてたまらない。
 しかし、復讐の為に殺さなくてはいけないのだろうかと思えば頭が痛くなる程考えてしまう。
 それを頭抱えて考えていると着物を着直した遠流は鴉の背後に立てばその身で包み込むように抱きしめてきた。

「…ねぇ、鴉。君は君のやりたいように……自由に生きてくれたら、それでいいんだよ」

 その声はまるで霧に溶けるような、温かみを感じる声で耳元で囁かれるとぞわわっと背筋に震えが走る。
 これは悪寒ではない。感動に打ちひしがれるような、そんな不思議な感覚を覚えたのだ。

「お前に言われなくなって分かってる。分かってるから……」

 死んだ仲間の為、恨みを果たすべきなのは分かっている。その張本人である男がこの世にいないのならばその血を継ぐ息子に刀を下ろすべき事も。
 この男が遠い馴染みであると思えばその手は止まり、どうしてか胸の内がざわついて仕方がなくなる。
 このまま、奇妙な肉体関係を続けていけばいいのだろうか─────そう思っていると遠流はちゃっかりと部屋を出ていっており、帰る支度を進めていた。

「ちょっ、おいおいっ! もう帰るのかよ!?」
「えっ、帰らないと殿が怒るからね」

 ハハハッと笑いながら深くなる夜空を背に遠流は「そろそろ帰るよ」と手を振った。
 ほんのついさっきまで身体を重ねていたとは思えないほど、身のこなし軽やかな遠流に本当に身体が悪いのか?と疑いの眼を向けてしまうがそれよりも名残惜しさを感じれば遠流はその感情に気付いたのか、スッと鴉に近付けば頬に片手を添え、再び覆面越しに唇に口付けた。

「……また近いうちに会えるさ、それじゃあね。おやすみ」

 そう言って爽やかな笑みを携えて背中を向けて歩いていく遠流を見ている事しかできない鴉は少しばかり寂しい気持ちに浸った。

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