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もう少しだけ待っていて
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坂口さんと合流し連れて行かれたのは新しくできたショッピングモールだった。
「ここ知ってましたか?つい最近できたばっかりで、向こうの広場には大きな噴水があって綺麗な花壇もあるんですよ。見に行きませんか?」
「えっと……はい」
言われるがまま広場に向うと、花に囲まれるようにしてある大きな噴水が目の前に広がっていて、太陽光が水に反射してキラキラと輝いて見えた。
「わぁ……」
その美しさに思わず感嘆の声を漏らした。
「気に入っていただけたようですね。思い切ってお誘いしてよかった。一条さんここのところ本当に見ていられないくらい塞ぎこんでいらしたから。綺麗なものを見て美味しいものでも食べて、笑い合って――嫌な事なんか忘れちゃえばいいんです」
そう言ってにこやかに笑う坂口さんは、魅力的な大人の男性だと改めて思った。
僕に年の離れた婚約者がいる事は知っているから、落ち込む理由もなんとなく想像できたのだろう。
坂口さんは優しく僕の事を見つめていた。
だけど僕はその瞳の奥に坂口さんの僕に対する『甘やかな想い』も見つけてしまった。その事からまだあの件が坂口さんの中では有効なのだと分かった。
それに僕は思い違いをしていたのかもしれない。
坂口さんはお互いの寂しさを埋める為だけに僕を番にと言ったわけではなかったようだ。
僕が今日ここに来てしまった事は間違いだった。僕は自分の事だけ考えて甘えてはいけない相手に甘えてしまった――。
年齢的にも翔より坂口さんの方が僕とつり合いが取れる。
このまま坂口さんに甘えてしまえば、何も不安に思う事なく一生大事に愛してくれるだろう。
だけど――――違うのだ。
当たり前だけど、坂口さんは翔じゃない。
僕が欲しいのは翔だけで、求めてもらいたいのも翔だけなのだ。
やっぱり帰ろうと口を開きかけると、坂口さんに抱きしめられてしまった。
「え?」
僕は驚き、声をあげた。
だけど、それは坂口さんに抱きしめられたからではない。坂口さんの肩越しに見えたふたりに驚いたのだ。
翔と――――――可愛い女の子。
全身が震えた。
やっぱり……っやっぱり――――っ!
「年の離れた婚約者がいると聞いています。それにあなたからもきちんとお断りされたのも忘れたわけではありません。ですが、あなたがこんな風になっているのを黙って見ている事なんてできません。私はあなたをひとりにさせたりしない。大切にします。だから、私を選んでください――」
抱きしめられたままの僕の顔に影がさす。
坂口さんの顔が近づいてきて――唇が……。
「やっ」
いくら身を捩っても坂口さんの逞しい腕から逃げる事ができなくて、ぎゅっと目を瞑り身を竦ませた。
そして数秒の後、キスではなく「うっ」という呻き声が聞こえ僕を拘束する腕から解放された。
恐る恐る目を開けて見るとそこには翔がいて、坂口さんの腕を捩じりあげていた。
そしてとても怖い顔をして僕の事を見ていた。
「かけ……る」
「ねぇ、何してたの?今キスしようとしてた??浮気??」
翔は怒気を孕んだ声で静かに訊ねる。
「何言って……るの?」
声が震える。
「今この男と何しようとしてたのかって訊いてる。やっぱりこんなガキくさい俺なんかより大人の男がいいの?」
翔の背後に不安そうにこちらを見ている可愛い子。
「翔の……翔の…………ばかぁあああああああああ!!!!」
僕は思いっきり翔の頬を平手打ちして走り出した。
もうもうもうっ知らない!
ばかばかばかばかばかっ!!!
浮気してるのは翔じゃないかっ!!!
「ここ知ってましたか?つい最近できたばっかりで、向こうの広場には大きな噴水があって綺麗な花壇もあるんですよ。見に行きませんか?」
「えっと……はい」
言われるがまま広場に向うと、花に囲まれるようにしてある大きな噴水が目の前に広がっていて、太陽光が水に反射してキラキラと輝いて見えた。
「わぁ……」
その美しさに思わず感嘆の声を漏らした。
「気に入っていただけたようですね。思い切ってお誘いしてよかった。一条さんここのところ本当に見ていられないくらい塞ぎこんでいらしたから。綺麗なものを見て美味しいものでも食べて、笑い合って――嫌な事なんか忘れちゃえばいいんです」
そう言ってにこやかに笑う坂口さんは、魅力的な大人の男性だと改めて思った。
僕に年の離れた婚約者がいる事は知っているから、落ち込む理由もなんとなく想像できたのだろう。
坂口さんは優しく僕の事を見つめていた。
だけど僕はその瞳の奥に坂口さんの僕に対する『甘やかな想い』も見つけてしまった。その事からまだあの件が坂口さんの中では有効なのだと分かった。
それに僕は思い違いをしていたのかもしれない。
坂口さんはお互いの寂しさを埋める為だけに僕を番にと言ったわけではなかったようだ。
僕が今日ここに来てしまった事は間違いだった。僕は自分の事だけ考えて甘えてはいけない相手に甘えてしまった――。
年齢的にも翔より坂口さんの方が僕とつり合いが取れる。
このまま坂口さんに甘えてしまえば、何も不安に思う事なく一生大事に愛してくれるだろう。
だけど――――違うのだ。
当たり前だけど、坂口さんは翔じゃない。
僕が欲しいのは翔だけで、求めてもらいたいのも翔だけなのだ。
やっぱり帰ろうと口を開きかけると、坂口さんに抱きしめられてしまった。
「え?」
僕は驚き、声をあげた。
だけど、それは坂口さんに抱きしめられたからではない。坂口さんの肩越しに見えたふたりに驚いたのだ。
翔と――――――可愛い女の子。
全身が震えた。
やっぱり……っやっぱり――――っ!
「年の離れた婚約者がいると聞いています。それにあなたからもきちんとお断りされたのも忘れたわけではありません。ですが、あなたがこんな風になっているのを黙って見ている事なんてできません。私はあなたをひとりにさせたりしない。大切にします。だから、私を選んでください――」
抱きしめられたままの僕の顔に影がさす。
坂口さんの顔が近づいてきて――唇が……。
「やっ」
いくら身を捩っても坂口さんの逞しい腕から逃げる事ができなくて、ぎゅっと目を瞑り身を竦ませた。
そして数秒の後、キスではなく「うっ」という呻き声が聞こえ僕を拘束する腕から解放された。
恐る恐る目を開けて見るとそこには翔がいて、坂口さんの腕を捩じりあげていた。
そしてとても怖い顔をして僕の事を見ていた。
「かけ……る」
「ねぇ、何してたの?今キスしようとしてた??浮気??」
翔は怒気を孕んだ声で静かに訊ねる。
「何言って……るの?」
声が震える。
「今この男と何しようとしてたのかって訊いてる。やっぱりこんなガキくさい俺なんかより大人の男がいいの?」
翔の背後に不安そうにこちらを見ている可愛い子。
「翔の……翔の…………ばかぁあああああああああ!!!!」
僕は思いっきり翔の頬を平手打ちして走り出した。
もうもうもうっ知らない!
ばかばかばかばかばかっ!!!
浮気してるのは翔じゃないかっ!!!
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