1 / 10
惚れっぽい男(1)
しおりを挟む
「わ――んっ! またフラれました~!」
そう叫びながら会社の後輩が仕事中にも関わらず背中からどーんと俺に抱き着いて来た。
地味に痛い。お前は躾けのなっていない大型犬か。
こいつの名前は相模 理央。俺の四つ下の後輩だ。
入社時に指導係をした関係で独り立ちして何年も経つのに何かと俺に頼って来る。
まぁ頼られて悪い気はしないんだが、恋愛面に関してだけは勘弁して欲しい。
というのもお遣いで書類を庶務課に持って行く僅かな時間に誰かに恋をして、フラれるという恋愛に対して軽い感じが苦手なのだ。
なんというか……一言で言うと惚れっぽい? 尻軽?
実は今日みたいな事は初めてではなくて、何度もひと目惚れして告白しては全てフラれている。
だから周りも慣れた様子で一瞬だけちらっと見て、すぐにそれぞれの仕事に戻っていく。
相模は身長も高いし顔も甘めのイケメンで、性格も明るくて素直で悪くはない。
なのにモテた事がないらしい。
まぁ九十九%惚れっぽいところが原因な気もするが。
抱き着かれたままキーボードを打つ手を止めず、話を聞いてやる。
「今度は誰?」
「庶務課の、峰さんです―。僕が書類を落としたら拾ってくれて……。優しくないですか? 僕じゃなくても好きになっちゃいますよね? ね?」
「――そうかもな」
俺は適当に返事を返す。
俺はこいつの『好き』という言葉が信用できない。
そんなにほいほいひと目惚れなんかするもんか。
そりゃある日突然好きになる事はあると思う。
だけど、すぐに告白してフラれて、その次の瞬間にまた新しく恋に落ちるとか。
俺には信じられなかった。
俺の『好き』は違う。好きになって少しずつ育っていくもんだと思っている。
だから相模が俺との初対面の時、「好きです! 付き合って下さい!」と言った時、「そりゃどうも」と受け流して正解だったと思っている。
たとえそれからドンドン俺の中の『好き』が大きくなっていこうとも。
こいつの『好き』が軽すぎて信じられない事にかわりなかった。
そう叫びながら会社の後輩が仕事中にも関わらず背中からどーんと俺に抱き着いて来た。
地味に痛い。お前は躾けのなっていない大型犬か。
こいつの名前は相模 理央。俺の四つ下の後輩だ。
入社時に指導係をした関係で独り立ちして何年も経つのに何かと俺に頼って来る。
まぁ頼られて悪い気はしないんだが、恋愛面に関してだけは勘弁して欲しい。
というのもお遣いで書類を庶務課に持って行く僅かな時間に誰かに恋をして、フラれるという恋愛に対して軽い感じが苦手なのだ。
なんというか……一言で言うと惚れっぽい? 尻軽?
実は今日みたいな事は初めてではなくて、何度もひと目惚れして告白しては全てフラれている。
だから周りも慣れた様子で一瞬だけちらっと見て、すぐにそれぞれの仕事に戻っていく。
相模は身長も高いし顔も甘めのイケメンで、性格も明るくて素直で悪くはない。
なのにモテた事がないらしい。
まぁ九十九%惚れっぽいところが原因な気もするが。
抱き着かれたままキーボードを打つ手を止めず、話を聞いてやる。
「今度は誰?」
「庶務課の、峰さんです―。僕が書類を落としたら拾ってくれて……。優しくないですか? 僕じゃなくても好きになっちゃいますよね? ね?」
「――そうかもな」
俺は適当に返事を返す。
俺はこいつの『好き』という言葉が信用できない。
そんなにほいほいひと目惚れなんかするもんか。
そりゃある日突然好きになる事はあると思う。
だけど、すぐに告白してフラれて、その次の瞬間にまた新しく恋に落ちるとか。
俺には信じられなかった。
俺の『好き』は違う。好きになって少しずつ育っていくもんだと思っている。
だから相模が俺との初対面の時、「好きです! 付き合って下さい!」と言った時、「そりゃどうも」と受け流して正解だったと思っている。
たとえそれからドンドン俺の中の『好き』が大きくなっていこうとも。
こいつの『好き』が軽すぎて信じられない事にかわりなかった。
3
あなたにおすすめの小説
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
愛と猛毒(仮)
万里
BL
オフィスビルの非常階段。冷え切った踊り場で煙草をくゆらせる水原七瀬(みずはらななせ)は、部下たちのやり取りを静かに見守っていた。 そこでは村上和弥(むらかみかずや)が、長年想い続けてきた和泉に別れを告げられていた。和泉は「ありがとう」と優しく微笑みながらも、決意をもって彼を突き放す。和弥は矜持を守ろうと、営業スマイルを貼り付けて必死に言葉を紡ぐが、その姿は痛々しいほどに惨めだった。
和泉が去った後、七瀬は姿を現し、冷徹な言葉で和弥を追い詰める。 「お前はただの予備だった」「純愛なんて綺麗な言葉で誤魔化してるだけだ」――七瀬の毒舌は、和弥の心を抉り、憎悪を引き出す。和弥は「嫌いだ」と叫び、七瀬を突き放して階段を駆け下りていく。
「……本当、バカだよな。お前も、俺も」
七瀬は独り言を漏らすと、和弥が触れた手首を愛おしそうに、そして自嘲気味に強く握りしめた。
その指先に残る熱は、嫌悪という仮面の下で燃え盛る執着の証だった。 毒を吐き続けることでしか伝えられない――「好きだ」という言葉を、七瀬は永遠に飲み込んだまま、胸の奥で腐らせていた。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
僕の目があなたを遠ざけてしまった
紫野楓
BL
受験に失敗して「一番バカの一高校」に入学した佐藤二葉。
人と目が合わせられず、元来病弱で体調は気持ちに振り回されがち。自分に後ろめたさを感じていて、人付き合いを避けるために前髪で目を覆って過ごしていた。医者になるのが夢で、熱心に勉強しているせいで周囲から「ガリ勉メデューサ」とからかわれ、いじめられている。
しかし、別クラスの同級生の北見耀士に「勉強を教えてほしい」と懇願される。彼は高校球児で、期末考査の成績次第で部活動停止になるという。
二葉は耀士の甲子園に行きたいという熱い夢を知って……?
______
BOOTHにて同人誌を頒布しています。(下記)
https://shinokaede.booth.pm/items/7444815
その後の短編を収録しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる