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初めてのクエスト④
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用を足し終わった帰り道、僕を待っていたミア――僕を尾行し、用を足しているところを背後から眺めた後、あたかも僕を待っていたかのように出迎えたことを僕は知っている――と合流し、リコさんが待つ湖まで同行することになった。
「あんた、こんな場所にいていいの?」
「ん?」
ミアの唐突な質問が何について尋ねているのかピンと来ず、思わず首をかしげてしまう。そんな僕を見て、ミアははあっとため息一つついた。
「お姉さまのことよ。お姉さまが連れて行かないって言ってるのに、1人でこんな森の中まで来ちゃうなんて……」
ミアはティナのことをお姉さまと呼ぶ。毎朝ティナのことを迎えに来るミアの様子をから判断すると、ミアはティナのことを物凄く慕っているようだ。
「いや、1人じゃないんだ」
「そうなの?」
ミアは驚いたように、ぱっちりとした二重瞼を大きく見開いた。
「ああ、今は湖で休憩してるよ」
「へえ、誰?」
興味ありげな視線を向けてくる。
「リコさん」
「ああ、あの人ね」
「知ってるの?」
「町長よ。この町の人で知らない人はいないわ」
「えっ、そうだったの!?」
そんな地位の人だったとは……。でも、いつもドレス着てるし、立ち居振る舞いも堂々としてるし、言われてみれば何となくそれっぽい気もする。
「若いのに町長なんて凄いなあ」
「ちょっと前までは町長の娘だったんだけれどね。ドラゴンに負けて前町長が亡くなったから……」
「町長でも戦いに行かなきゃならなかったの?」
権力者は戦いに行かなくてもよさそう……というか普通は行かなさそうだけれど。
「町長は町一番の戦力だったのよ。それに、ドラゴン討伐は早急に行わなければならない案件だったからね」
「どうして?」
「複数のドラゴンが町を囲む山沿いに沿って分布していて、それを討伐しないと他の町に行けないの。他の町から物資が入ってこないと生活も困窮してしまう。だから討伐しないといけないのよ。そして、腕に自信のある町長は、男どもを引き連れて自信満々に出発していったわ。けれども結局負けちゃって、戻ってきたのは門番一人で他は全滅。今もドラゴンが町を包囲していて、外からは誰も来ないという状況なの」
複数のドラゴンに囲まれた町。戦力となる男は全滅。この町は、かなり危機的な状況らしい。
「皮肉なことに、男達が死んで人口が減ったから、物資の面ではしばらくの間は心配はないけれど……。今の生活に甘んじているわけにはいかないわ。いつかドラゴンを倒しに行かなければ……」
それは、ミアやティナが倒すという事なのだろうか。ミアの真剣な態度から察すればそういう事なのだろう。
「それよりも、お姉さまのことよ。リコさんと一緒とはいえ、お姉さまに無断でこんなところに来るなんて……」
「まずかったか?」
僕の返事を聞いて呆れたようなため息をつくミア。そして彼女は強い視線を僕に向ける。
「お姉さまがあんたのこと、どれだけ気にかけているか分かってないの?多少欲求不満なところがあったとはいえ、見ず知らずのあんたを家に住まわせて、その見返りは買い出しとお姉さまの相手くらい。危険な仕事は絶対にさせない。なのに、あんたはお姉さまの気も知らないで危ない場所にのこのこと出てきて……」
「ティナが僕に良くしてくれているのは分かってる。だけど……、世話になっりっぱなしは嫌なんだ。僕もティナ役に立ちたいんだ」
ミアに僕の内心を話すと、ミアは僕からプイっと顔を背けてぽつりと言った。
「……お姉さまに怒られても知らないんだから」
「あんた、こんな場所にいていいの?」
「ん?」
ミアの唐突な質問が何について尋ねているのかピンと来ず、思わず首をかしげてしまう。そんな僕を見て、ミアははあっとため息一つついた。
「お姉さまのことよ。お姉さまが連れて行かないって言ってるのに、1人でこんな森の中まで来ちゃうなんて……」
ミアはティナのことをお姉さまと呼ぶ。毎朝ティナのことを迎えに来るミアの様子をから判断すると、ミアはティナのことを物凄く慕っているようだ。
「いや、1人じゃないんだ」
「そうなの?」
ミアは驚いたように、ぱっちりとした二重瞼を大きく見開いた。
「ああ、今は湖で休憩してるよ」
「へえ、誰?」
興味ありげな視線を向けてくる。
「リコさん」
「ああ、あの人ね」
「知ってるの?」
「町長よ。この町の人で知らない人はいないわ」
「えっ、そうだったの!?」
そんな地位の人だったとは……。でも、いつもドレス着てるし、立ち居振る舞いも堂々としてるし、言われてみれば何となくそれっぽい気もする。
「若いのに町長なんて凄いなあ」
「ちょっと前までは町長の娘だったんだけれどね。ドラゴンに負けて前町長が亡くなったから……」
「町長でも戦いに行かなきゃならなかったの?」
権力者は戦いに行かなくてもよさそう……というか普通は行かなさそうだけれど。
「町長は町一番の戦力だったのよ。それに、ドラゴン討伐は早急に行わなければならない案件だったからね」
「どうして?」
「複数のドラゴンが町を囲む山沿いに沿って分布していて、それを討伐しないと他の町に行けないの。他の町から物資が入ってこないと生活も困窮してしまう。だから討伐しないといけないのよ。そして、腕に自信のある町長は、男どもを引き連れて自信満々に出発していったわ。けれども結局負けちゃって、戻ってきたのは門番一人で他は全滅。今もドラゴンが町を包囲していて、外からは誰も来ないという状況なの」
複数のドラゴンに囲まれた町。戦力となる男は全滅。この町は、かなり危機的な状況らしい。
「皮肉なことに、男達が死んで人口が減ったから、物資の面ではしばらくの間は心配はないけれど……。今の生活に甘んじているわけにはいかないわ。いつかドラゴンを倒しに行かなければ……」
それは、ミアやティナが倒すという事なのだろうか。ミアの真剣な態度から察すればそういう事なのだろう。
「それよりも、お姉さまのことよ。リコさんと一緒とはいえ、お姉さまに無断でこんなところに来るなんて……」
「まずかったか?」
僕の返事を聞いて呆れたようなため息をつくミア。そして彼女は強い視線を僕に向ける。
「お姉さまがあんたのこと、どれだけ気にかけているか分かってないの?多少欲求不満なところがあったとはいえ、見ず知らずのあんたを家に住まわせて、その見返りは買い出しとお姉さまの相手くらい。危険な仕事は絶対にさせない。なのに、あんたはお姉さまの気も知らないで危ない場所にのこのこと出てきて……」
「ティナが僕に良くしてくれているのは分かってる。だけど……、世話になっりっぱなしは嫌なんだ。僕もティナ役に立ちたいんだ」
ミアに僕の内心を話すと、ミアは僕からプイっと顔を背けてぽつりと言った。
「……お姉さまに怒られても知らないんだから」
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