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レナと僕の、静かに燃える夜
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レナと僕の、静かに燃える夜
俺、コウジ。35歳の会社員。
街コンで、同じ高校・同じ水泳部だったレナと再会した。
当時、彼女はマドンナ的な存在。
でも今は少しぽっちゃりしていて──それでも、可愛さは変わっていなかった。
それがきっかけで、レナと週に一度ウォーキングを始めた。やがて一緒にプールにも通うようになり、自然と距離が縮まっていった。
そして俺たちは、結婚することになった。
新居も決まり、いよいよ契約の日。不動産屋に行くと、あの営業の彼が出迎えてくれた。
契約を済ませ、これから物件の最終確認へ向かうところだった。
「お兄さん、これ、プレゼントです」
「えっ、ありがとうございます」
「それ、セームタオル。お兄さんの名前入りですよ」
「えー、いいんですか?」
「俺たちも水泳部だったんです。お兄さんを見てると、高校のときに戻れた気がして……そのお礼です」
彼はそう言って、涙をこぼした。
「本当に、ありがとうございます。いつも元気ばかりでうまくいかなかったけど、今日は嬉しいです。大切に使います」
そして最終確認を終え、入居の日取りも決めた。
後日、彼から連絡が来た。
「上と掛け合って、リビングともう一部屋にエアコンを無料で取り付けることになりました。何も言わずに受け取ってください」
──本当に、彼には頑張ってほしい。心からそう思った。
引越しの日が近づいてきた。
そもそも今回の引越しは、水泳部の同級生によるストーカー行為がきっかけだった。
最近は姿を見ていないが、何が起こるかわからない。俺は友達に相談して、引越しの日に奴を遠くへ連れ出してもらうことにした。
当時の水泳部の友達も、引越しを手伝ってくれた。
「コウジがマドンナと結婚とか、笑えるな」
「いくら払ったんだよ」
「俺にもおすそ分けしてくれよ」
──いつまでも男子ってのは変わらない。まあ、俺もそうだけど。
引越しもほぼ終わり、みんなは帰っていった。
夕方、レナのご両親と妹が新居祝いにやってきた。
……というか、まず気になったのは、お義母さんと妹の服装だ。
谷間が見えるピタッとしたワンピース。しかも色は、真っ赤と真っ黒。少しかがむと、下着まで見えそうになる。
「コウジくん、久しぶり。どう? 素敵でしょ」
「えっ、まぁ……」
「お母さん、攻めすぎ。義兄さん、私のほうがいいでしょ?」
スタイル抜群のふたりに言い寄られる俺。それをお義父さんは、笑いながら見ている。なんだこのカオス。
「ちょっと、ふたりとも何やってんのよ!」
「あら、いいじゃない。コウジくん、かわいいリアクション。また好きになりそう」
「お母さんずるい! 私のほうが先にこの服決めたんだから!」
「……2人とも終わったんなら、帰ってよ。お父さんも笑ってないで」
──そして、半ば強引に帰らされた。
「では、また。ありがとうございます」
と挨拶すると、車の中から投げキッスをされた。
俺は口をぽかんと開けたままだった。
「コウジ、2人のパンツ見たでしょ。エロい顔してたよ」
「そ、そうかな……」
「ウソついたら、晩ごはん抜きだよ」
「ごめんなさい、見ました……」
「ほらー」
──あんな格好、見ないほうが無理ってもんだろ。
気づけば、すっかり夕方になっていた。
夕飯は、近くにあった定食屋で済ませた。
家に帰ると、レナが言った。
「コウジ、一緒にお風呂入ろ。疲れ癒してあげる」
「こちらこそだよ、大変だったでしょ」
湯船に浸かりながら、今日の出来事を話す。
気づけば日付が変わりそうになっていた。
そそくさと布団に入ると、レナが聞いてきた。
「コウジ、男子たちと何話してたの?」
「“マドンナと結婚できて良かったな”ってさ」
「コウジも、マドンナと結婚できて嬉しい?」
「俺はレナと結婚したんだよ。レナがマドンナかどうかは関係ないよ」
「……コウジ、キスして」
「うん」
──唇を重ねた。
「これからも、よろしくね」
「こちらこそ、よろしく」
疲れていたのだろう、俺たちはそのまま、眠りについた。
──初めての夜。もっと熱い夜になるかと思っていたけど、そうはならなかった。
でも、寝る前の熱い口づけ。それだけで、十分だった。
そう、俺たちは――
心がつながっている、熱い関係だから。
俺、コウジ。35歳の会社員。
街コンで、同じ高校・同じ水泳部だったレナと再会した。
当時、彼女はマドンナ的な存在。
でも今は少しぽっちゃりしていて──それでも、可愛さは変わっていなかった。
それがきっかけで、レナと週に一度ウォーキングを始めた。やがて一緒にプールにも通うようになり、自然と距離が縮まっていった。
そして俺たちは、結婚することになった。
新居も決まり、いよいよ契約の日。不動産屋に行くと、あの営業の彼が出迎えてくれた。
契約を済ませ、これから物件の最終確認へ向かうところだった。
「お兄さん、これ、プレゼントです」
「えっ、ありがとうございます」
「それ、セームタオル。お兄さんの名前入りですよ」
「えー、いいんですか?」
「俺たちも水泳部だったんです。お兄さんを見てると、高校のときに戻れた気がして……そのお礼です」
彼はそう言って、涙をこぼした。
「本当に、ありがとうございます。いつも元気ばかりでうまくいかなかったけど、今日は嬉しいです。大切に使います」
そして最終確認を終え、入居の日取りも決めた。
後日、彼から連絡が来た。
「上と掛け合って、リビングともう一部屋にエアコンを無料で取り付けることになりました。何も言わずに受け取ってください」
──本当に、彼には頑張ってほしい。心からそう思った。
引越しの日が近づいてきた。
そもそも今回の引越しは、水泳部の同級生によるストーカー行為がきっかけだった。
最近は姿を見ていないが、何が起こるかわからない。俺は友達に相談して、引越しの日に奴を遠くへ連れ出してもらうことにした。
当時の水泳部の友達も、引越しを手伝ってくれた。
「コウジがマドンナと結婚とか、笑えるな」
「いくら払ったんだよ」
「俺にもおすそ分けしてくれよ」
──いつまでも男子ってのは変わらない。まあ、俺もそうだけど。
引越しもほぼ終わり、みんなは帰っていった。
夕方、レナのご両親と妹が新居祝いにやってきた。
……というか、まず気になったのは、お義母さんと妹の服装だ。
谷間が見えるピタッとしたワンピース。しかも色は、真っ赤と真っ黒。少しかがむと、下着まで見えそうになる。
「コウジくん、久しぶり。どう? 素敵でしょ」
「えっ、まぁ……」
「お母さん、攻めすぎ。義兄さん、私のほうがいいでしょ?」
スタイル抜群のふたりに言い寄られる俺。それをお義父さんは、笑いながら見ている。なんだこのカオス。
「ちょっと、ふたりとも何やってんのよ!」
「あら、いいじゃない。コウジくん、かわいいリアクション。また好きになりそう」
「お母さんずるい! 私のほうが先にこの服決めたんだから!」
「……2人とも終わったんなら、帰ってよ。お父さんも笑ってないで」
──そして、半ば強引に帰らされた。
「では、また。ありがとうございます」
と挨拶すると、車の中から投げキッスをされた。
俺は口をぽかんと開けたままだった。
「コウジ、2人のパンツ見たでしょ。エロい顔してたよ」
「そ、そうかな……」
「ウソついたら、晩ごはん抜きだよ」
「ごめんなさい、見ました……」
「ほらー」
──あんな格好、見ないほうが無理ってもんだろ。
気づけば、すっかり夕方になっていた。
夕飯は、近くにあった定食屋で済ませた。
家に帰ると、レナが言った。
「コウジ、一緒にお風呂入ろ。疲れ癒してあげる」
「こちらこそだよ、大変だったでしょ」
湯船に浸かりながら、今日の出来事を話す。
気づけば日付が変わりそうになっていた。
そそくさと布団に入ると、レナが聞いてきた。
「コウジ、男子たちと何話してたの?」
「“マドンナと結婚できて良かったな”ってさ」
「コウジも、マドンナと結婚できて嬉しい?」
「俺はレナと結婚したんだよ。レナがマドンナかどうかは関係ないよ」
「……コウジ、キスして」
「うん」
──唇を重ねた。
「これからも、よろしくね」
「こちらこそ、よろしく」
疲れていたのだろう、俺たちはそのまま、眠りについた。
──初めての夜。もっと熱い夜になるかと思っていたけど、そうはならなかった。
でも、寝る前の熱い口づけ。それだけで、十分だった。
そう、俺たちは――
心がつながっている、熱い関係だから。
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