【完結】マドンナからの愛と恋

山田森湖

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健全な不健全と、健全な愛

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健全な不健全と、健全な愛

おれ、コウジ。43歳の会社員。
街で、同じ高校・同じ水泳部だったレナと再会した。
当時、彼女はマドンナ的な存在。でも今は少しぽっちゃりしていて──それでも可愛さは変わってなかった。

それがきっかけで、レナと週に一度ウォーキングを始めた。やがて一緒にプールにも通うようになり、自然と距離が縮まっていった。
そして俺たちは結婚。レナは女の子のユキ、そして男の子のショウスケを出産した。
ユキは小学4年生、ショウスケは小学1年生になった。

今週月曜日から、俺は出張で普段行かない地域に来ている。新幹線で2時間くらいの場所だ。
今日は土曜日。二日酔いで目が覚めた。久しぶりにあんなにたくさんお酒を飲んだ。

2軒目は大人のお店。話をした女性──ルナ。グラマラスで綺麗な顔立ち。
彼女の人生相談に乗っているうちに、ついついお酒が進んでしまっていた。

今日は、レナと子どもたちがこっちに合流する予定。
俺はスッキリするために風呂に入り、上がるとレナから「あと1時間くらいで着く」とのメッセージ。
急いで持ってきた普段着に着替え、待ち合わせ場所へ向かった。

──おっと、忘れ物。胸ポケットに入れた。部屋を見渡して確認し、ようやくチェックアウト。

駅で待っていると、「パパー!」という元気な声。ユキとショウスケが抱きついてきた。

「パパ、旅行楽しかった?」
「パパはね、お仕事だったんだよ」
「パパ、お疲れ様」
「ママ、大変だった?」
「まあまあね。でも昨日は2人ともなかなか寝なかったの。楽しみすぎて」

「パパは疲れてるんじゃない? 連絡もよこさないで」
「まぁ、大丈夫だよ」

荷物をロッカーに預けると、ユキが言った。
「パパー、なんか落ちたよ」

それを拾ったのはレナだった。
「これ、なーに?」

──それはルナの名刺だった。

「い、いや、それはさ……」
「昨日行ったんだ、ルナちゃんって。だから連絡来なかったんだね?」
「だれそれー?」

「ちょ、ちょっと待って。付き合いで……」
「ふーん、可愛い子ね」

「健全なお店だったよ。お喋りとお酒だけ」
「ルナちゃんって可愛い名前だね」

子どもたちの無邪気な言葉が、突き刺さる。

「本当だって……」

少し不機嫌なレナを連れて、旅行が始まった。

最初は大きな動物園と水族館。子どもたちが行きたいと言っていた場所だ。
いつも見ない動物たちに大興奮のユキとショウスケ。特にショウスケは園内を駆け回っていた。

昼ご飯は大きな広場のテーブルで、売店で買った焼きそばや唐揚げなどを広げた。
子どもたちは笑顔。だけどレナの表情はまだ硬い。

そのとき、声をかけられた。
「あっ、昨日の方」

──ルナだった。隣には彼氏らしき男性。

「もしかしてご家族ですか?」
「ええ、まぁ……」

「昨日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ」

「奥様ですか? 昨日は旦那様に相談に乗っていただいて」
「相談?」

「旦那様、お優しい方で。つい、立場も忘れて話し込んでしまって。もちろん、何もしてませんよ」
「んー、まぁ。当人同士が言うなら……」

レナも納得してくれたようだ。

「そうだ、これよかったら」
と、ルナはたこ焼きを差し出した。

「たこ焼きだー!」
「奢りますよ」
「本当に、すみません」

そして、ルナはレナにそっと耳打ち。
レナはふっと笑った。何を言ったのだろう。

「じゃあ、また会えたらいいですね」

ルナたちは去っていった。

夜は近くの温泉宿に泊まった。
子どもたちは初めての場所と遊び疲れで、夕飯のあとすぐに寝てしまった。

俺とレナは、晩酌をしていた。

「ほら、健全だったでしょ?」
「んー。だったら名刺は処分しなよ。やましい気持ちがあったんじゃないの?」

──図星だ。

「それに胸も大きかったし。パパ好みじゃない?」
「それはさー……」

疑われても仕方ない、とすべて受け入れた。

「じゃあ、そろそろ寝ようか」
「ねぇ、一緒に寝ようよ」
「子どもいるのに?」
「いいじゃん」

布団を2つ並べて、2人で寝ることに。

「ルナさんが言ってたよ。パパのこと、ムッツリスケベだって。胸とか足とか、チラチラ見てたんだって」
「そりゃさ、綺麗だと見ちゃうよね」
「じゃあ、私は綺麗じゃないの?」
「いやいや、そうじゃなくて……」

「じゃあ、見てよ」

浴衣をはだけるレナ。

「久しぶりに、いいでしょ。コウジ」

俺は欲望に勝てなかった。
レナを抱いた。
声を殺しながら、お互いの吐息を感じ合っていた。

翌朝──

2人で並んで寝ていると、子どもたちが飛び込んできた。

「あー! パパとママが一緒に寝てる! 私も混ぜてー!」
「僕もー!」

「ほらー、狭いだろー」

そう言いながらも、屈託のない子どもたちの笑顔に、何も言えなかった。

レナと目を合わせて、笑い合う。

「また来ような」
「そうだね」

久しぶりに、家族4人が同じ部屋で寝ていた。
笑顔の絶えない部屋で、俺たちは二度寝をしていた。
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