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「グレイス様、お手紙です」
翌朝、部屋で身支度を整えていたグレイスのもとへ、侍女が一通の手紙を持ってきた。差出人はイザーク・グロリアン。思わぬ名前に、グレイスの胸が高鳴る。
「イザークから……何かあったのかしら」
不安半分、期待半分で手紙を開封すると、そこには彼の綺麗な文字で短い文章が綴られていた。
「あなたが無事に公爵家に戻れたと聞き、安心しました。王都に来るつもりはなかったが、あなたにひとつだけ伝えたいことがある。都のはずれにある小さな茶屋で、近々会えないだろうか」
その内容に、グレイスは思わず心が熱くなる。イザークがわざわざ王都まで来るということは、それなりの決意があるはず。自分に伝えたいこと――一体何なのか、想像が膨らむ。
「イザークが来るの……」
つぶやきながら、手紙を胸元に抱きしめる。森の中で出会った青年が、今度は王都で再び彼女を支えようとしているのかもしれない。グレイスはそれだけで、不思議な安心感を覚えた。
「お姉様、どうなさったの」
シャーロットが部屋に入ってきて、興味深げに尋ねる。グレイスは照れたように微笑み、手紙を見せた。
「イザークが……王都に来るみたいなの。会って話がしたいんですって」
「まあ、あの森にこもっていた方がわざわざ。でも、よかったわね。お姉様も、彼のことを気にしていたでしょう」
そう言われると、グレイスは頬を染める。確かにイザークの存在が心の支えになっていたのは事実だ。だけど、いつしか胸の奥で、ただの恩人というだけでは収まらない感情が芽生えつつあるのを感じていた。
「……正直、森を出るときは後ろ髪を引かれる思いだったの。私がいなくなったら、イザークはどうするのかしらって」
「お姉様、まさかイザークさんのことを……」
シャーロットが目を丸くすると、グレイスは少し困ったように微笑む。
「気づいてしまったの。あの人の優しさに甘えすぎた自分がいて。私なんかじゃ釣り合わないと思ったけど、心のどこかで頼りにしてしまっている」
ほんの少し前までは、婚約者だったハロルドだけを見てきた。しかし彼に裏切られ、絶望の底に落ちたとき、手を差し伸べてくれたのはイザークだった。森の穏やかな時間が、グレイスの心を癒し、新たな想いを芽吹かせたのかもしれない。
「お姉様、素直な気持ちで会いに行ってみたらどうかしら。今、無理に結論を出す必要はないけれど、話すだけでも違うと思うわ」
シャーロットの言葉に、グレイスは小さく頷く。王太子との関係は破局に至ったが、だからといって一生幸せを諦めるわけにはいかない。自分がこれからどう生きるか、誰と生きるか――それを真剣に考える時期なのだ。
「そうね。まずは会って、イザークの想いを確かめたいわ」
その告白は、どこか少女のように純粋だった。悪役令嬢の名がつきまとうグレイスだが、彼女の中に芽生える新たな恋の可能性。そう思うと、シャーロットも嬉しそうに笑顔を見せる。
「よかった。お姉様がそんな風に前を向いてくれるなら、私も励みになるわ」
二人は手を取り合い、自然と笑みがこぼれる。まだ多くの困難が待ち受けているだろうが、心の中にわずかな光が差し込んだ。グレイスはその光を頼りに、次の一歩を踏み出そうとしていた。
翌朝、部屋で身支度を整えていたグレイスのもとへ、侍女が一通の手紙を持ってきた。差出人はイザーク・グロリアン。思わぬ名前に、グレイスの胸が高鳴る。
「イザークから……何かあったのかしら」
不安半分、期待半分で手紙を開封すると、そこには彼の綺麗な文字で短い文章が綴られていた。
「あなたが無事に公爵家に戻れたと聞き、安心しました。王都に来るつもりはなかったが、あなたにひとつだけ伝えたいことがある。都のはずれにある小さな茶屋で、近々会えないだろうか」
その内容に、グレイスは思わず心が熱くなる。イザークがわざわざ王都まで来るということは、それなりの決意があるはず。自分に伝えたいこと――一体何なのか、想像が膨らむ。
「イザークが来るの……」
つぶやきながら、手紙を胸元に抱きしめる。森の中で出会った青年が、今度は王都で再び彼女を支えようとしているのかもしれない。グレイスはそれだけで、不思議な安心感を覚えた。
「お姉様、どうなさったの」
シャーロットが部屋に入ってきて、興味深げに尋ねる。グレイスは照れたように微笑み、手紙を見せた。
「イザークが……王都に来るみたいなの。会って話がしたいんですって」
「まあ、あの森にこもっていた方がわざわざ。でも、よかったわね。お姉様も、彼のことを気にしていたでしょう」
そう言われると、グレイスは頬を染める。確かにイザークの存在が心の支えになっていたのは事実だ。だけど、いつしか胸の奥で、ただの恩人というだけでは収まらない感情が芽生えつつあるのを感じていた。
「……正直、森を出るときは後ろ髪を引かれる思いだったの。私がいなくなったら、イザークはどうするのかしらって」
「お姉様、まさかイザークさんのことを……」
シャーロットが目を丸くすると、グレイスは少し困ったように微笑む。
「気づいてしまったの。あの人の優しさに甘えすぎた自分がいて。私なんかじゃ釣り合わないと思ったけど、心のどこかで頼りにしてしまっている」
ほんの少し前までは、婚約者だったハロルドだけを見てきた。しかし彼に裏切られ、絶望の底に落ちたとき、手を差し伸べてくれたのはイザークだった。森の穏やかな時間が、グレイスの心を癒し、新たな想いを芽吹かせたのかもしれない。
「お姉様、素直な気持ちで会いに行ってみたらどうかしら。今、無理に結論を出す必要はないけれど、話すだけでも違うと思うわ」
シャーロットの言葉に、グレイスは小さく頷く。王太子との関係は破局に至ったが、だからといって一生幸せを諦めるわけにはいかない。自分がこれからどう生きるか、誰と生きるか――それを真剣に考える時期なのだ。
「そうね。まずは会って、イザークの想いを確かめたいわ」
その告白は、どこか少女のように純粋だった。悪役令嬢の名がつきまとうグレイスだが、彼女の中に芽生える新たな恋の可能性。そう思うと、シャーロットも嬉しそうに笑顔を見せる。
「よかった。お姉様がそんな風に前を向いてくれるなら、私も励みになるわ」
二人は手を取り合い、自然と笑みがこぼれる。まだ多くの困難が待ち受けているだろうが、心の中にわずかな光が差し込んだ。グレイスはその光を頼りに、次の一歩を踏み出そうとしていた。
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