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Side Story2:伝言ー忘却への四十五分―
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二〇〇六年一月三十日。
冬の朝の光は、冷徹に部屋を切り裂いていた。
**八時〇〇分**
鏡の前に立つ私の指先は、微かに震えていた。
持って来た洋服は深い闇を吸い込んだような黒のアンサンブルだった。
カバンから取り出したその色は、雪景色の中でそこだけが世界に穴を開けたように重苦しい。
不意に、隣で着替えるタカシくんと視線が重なった。
彼もまた、弔いのような黒いコートに身を包んでいる。
「……喪服みたいだね」
どちらからともなくこぼれた言葉が、同期した。
私たちは、お互いの不格好な「若さ」に、悲劇的なほど似つかわしくないその色を見つめ、力なく笑い合う。
二十歳の瑞々しい肌に纏わせた黒。
それは、この三週間という密やかな季節のなかで私たちが育み、愛しみ、そして今から自分たちの手で殺めようとしている「もうひとつの人生」を葬るための装束だった。
着替えるタカシの背中を見つめる。
本当なら、これから何十年も、私はこうして彼の背中を見送るはずだった。
朝食の匂い、洗濯物の重み、夕暮れの足音。
(……このまま、手を取って逃げ出したい)
喉の奥までせり上がった卑怯な懇願を、私は冷たい唾液と一緒に飲み込んだ。
それを口にすれば、同じ地獄を自ら選んでくれた彼の決意を汚してしまう。
私は、女としての未練を、母としての覚悟で塗り潰した。
**八時三十分**
電車の中、私たちの手は、皮膚が溶け合うほど強く結ばれていた。
タカシくんの手は驚くほど熱かった。
この熱、この節くれだった指、爪の形、そして脈打つ鼓動。
私は必死に、そのすべてを指先の神経に、網膜の裏側に焼き付けようとした。
これから訪れる「強制的な忘却」という名の吹雪に、決して流されてしまわないように。
窓の外を流れる二〇〇六年の東京は、どこか書き割りのように色褪せて見える。
(あと二十五分。あと、二十四分……)
脳内で刻まれる残酷なカウントダウン。
繋いだ手に力を込めるたび、遠い二〇二六年のどこかで、レイナが明るく笑う声が幻聴のように聞こえた。
私の愛しい娘。
あなたという存在をこの世から消さないために、お母さんは今、あなたの父親ではないこの人を、永遠に失いに行く。
**八時四十五分**
大学の正門をくぐると、突き刺さるような学生たちの歓声が私たちを包囲した。
彼らは疑いもなく「未来」を信じている。
自分たちが何者かになれると信じ、明日が来ることを当然だと思っている。
けれど、黒い服を纏った私たちは違う。
私たちは、「未来」を守るために、いま、この腕の中にある愛おしい「現在」を殺しに来たのだ。
「別れる場所は決めてあるんだ。学生時代、君と一緒に歩きたいと思っていた場所」
タカシが私の手を強く握り、迷いのない足取りで進んでいく。
「……静かだね、ここは」
私がぽつりと呟くと、彼は前を見据えたまま答えた。
「学生の頃、カップルを見かけると羨ましくてさ。いつか君を、この並木道に連れてきたいって、ずっと思ってたんだ。……二十年、かかっちゃったけど」
彼は少しだけ口角を上げ、自嘲気味に、けれど慈しむように笑った。
「ふふ, よかったね, 願いがかなったよ」
私の言葉に、彼は頷く。
「僕は入学した時からここが一番大好きなんだ。……見て、あそこ」
タカシの視線の先、中央講堂の古びた赤煉瓦の影に、淡いパステルピンクの塊が見えた。
寒桜。
一月の凍てつく風に耐え、誰に望まれることもなく、けれど凛として咲き誇るその花は、まるでこの時間軸に無理やり居場所を作った私たちの魂のようだった。
「綺麗……」
口からこぼれた言葉は、本音だった。
この一瞬の景色を、タカシと一緒に見られた。
それだけで、私の二十年間の乾きは報われたのだと、自分に言い聞かせる。
**八時五十分**
並木道のなかで、タカシが足を止めた。
「もう時間だ……」
彼は真剣な眼差しでこちらを向き、私の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「ねえ、タカシ」
私は震える声で、彼に問いかけた。
「戻ったら……私たちは、お互いを『知らない他人』として生きていくのね。あの子たちの親として。別の名字を名乗って」
「ああ。……僕には妻がいて、君には夫がいる。それが、僕たちが必死に積み上げてきた人生の景色だ」
「……怖く…ない?」
「あなたの顔も、手の温度も、一緒に過ごした日々も……全部『なかったこと』にされてしまうのが、私はたまらなく怖い。心に穴があいたまま、理由もわからず泣きながら生きていくんじゃないかって」
タカシくんは私の震える肩を抱き寄せた。
彼のコートから香る冬の匂い。私はそれを、肺の奥深くまで吸い込んだ。
「大丈夫だよ、レイコ。僕は忘れない」
彼は私の耳元で、自分自身にも言い聞かせるように、低く、確かな声で囁いた。
「二十年前、私たちは一度も目を合わせずにすれ違った。でも、互いが呼び合ったから、今こうしてこの場所に立っている。たとえ記憶があやふやになって、あなたの顔も名前も分からなくなっても、向こうの世界で必ずあなたと出会えるって信じたい。」
「レイコ……」
「僕たちは今日ここで、愛を終わらせるんじゃない。僕たちの愛を魂に閉じ込めるんだ。想いは、形を変えて生き続ける。……そうだろ?」
私は彼の胸に顔を埋め、深く、深く頷いた。
そうだ。これは絶望ではない。
私たちが抱き合えなくなる代わりに、未来のあの子たちが笑える世界を作る。
それは、この宇宙で親だけが選べる、最高級の「愛の形」なのだ。
「……うん。胸のなかに、あなたへの『ありがとう』だけを隠して、元の場所へ帰るね」
顔を上げると、視界は涙で激しく滲んでいた。
タカシくんが私の頬をそっとなぞり、最後の手向けのように微笑んだ。
「……愛しているとは、もう言わないよ。それはもう、僕たちの血肉になっているから」
彼の言葉が、鋭利なナイフのように胸を裂く。
「そして、さようならも言わない」
「……うん」
私は小さく答えた。二人の口から出たのは、短い祈りだった。
「……またね」
それは、神様さえも騙せない、世界で一番美しく、残酷な嘘。
時代も、場所も、形さえも変わってしまったとしても、魂だけは、この熱を忘れないという契約。
**八時五十三分**
私は、タカシに背を向けた。
一歩。また一歩。
歩くごとに、世界から色が失われていく。
遊園地での子供のようなデート、雪の河川敷で分け合った体温、狭い部屋で一緒に作った不器用なカレー、そして二人で愛し合った夜。
三週間。私が生きた四十年の中で、最も輝いた日々。
今すぐにでも彼のところに戻り、彼の妻となる女性の前で「私が妻です!」と叫び出したい。
けれど、私の理性が、レイナの母という立場がそれを許さない。
一人で歩く足元から、「タカシ」という名前の記憶が、指の間からこぼれる砂のように崩れ落ちていく感覚。
ふと、六号棟の脇の花壇に、白く可憐な花が咲いているのが目に入った。
クリスマスローズ。
私は吸い寄せられるように、その前でしゃがみこんだ。
(たしか花言葉は……「私を忘れないで」……)
涙でぐちゃぐちゃになった顔に、一瞬だけ笑顔が戻る。
私はその花に、届くはずのない伝言を託した。
「……タカシが忘れないように。いつか思い出すように。どうか、伝えてね」
私は立ち上がり、冬の蒼穹を見上げた。
「レイナ……お母さん、いま帰るよ」
最後に一度だけ、守り抜いた娘の名前を呼んだ。
すると、視界が急激に白濁し、あらゆる輪郭が溶け出す。
「大変そうですね。……よかったら、手伝いましょうか?」
遠くで、私の知らない「甲斐田くん」が、未来の妻に声をかけるのが聞こえたような気がする。
微かに残っていた、タカシの熱。
それが冬の冷気にさらされて、急速に冷えていく。
意識が溶けていく直前、私の脳裏に最後に残ったのは――。
あの寒桜の花びらが、一瞬だけ激しく、まるで祝祭のように舞い上がった情景だった。
冬の朝の光は、冷徹に部屋を切り裂いていた。
**八時〇〇分**
鏡の前に立つ私の指先は、微かに震えていた。
持って来た洋服は深い闇を吸い込んだような黒のアンサンブルだった。
カバンから取り出したその色は、雪景色の中でそこだけが世界に穴を開けたように重苦しい。
不意に、隣で着替えるタカシくんと視線が重なった。
彼もまた、弔いのような黒いコートに身を包んでいる。
「……喪服みたいだね」
どちらからともなくこぼれた言葉が、同期した。
私たちは、お互いの不格好な「若さ」に、悲劇的なほど似つかわしくないその色を見つめ、力なく笑い合う。
二十歳の瑞々しい肌に纏わせた黒。
それは、この三週間という密やかな季節のなかで私たちが育み、愛しみ、そして今から自分たちの手で殺めようとしている「もうひとつの人生」を葬るための装束だった。
着替えるタカシの背中を見つめる。
本当なら、これから何十年も、私はこうして彼の背中を見送るはずだった。
朝食の匂い、洗濯物の重み、夕暮れの足音。
(……このまま、手を取って逃げ出したい)
喉の奥までせり上がった卑怯な懇願を、私は冷たい唾液と一緒に飲み込んだ。
それを口にすれば、同じ地獄を自ら選んでくれた彼の決意を汚してしまう。
私は、女としての未練を、母としての覚悟で塗り潰した。
**八時三十分**
電車の中、私たちの手は、皮膚が溶け合うほど強く結ばれていた。
タカシくんの手は驚くほど熱かった。
この熱、この節くれだった指、爪の形、そして脈打つ鼓動。
私は必死に、そのすべてを指先の神経に、網膜の裏側に焼き付けようとした。
これから訪れる「強制的な忘却」という名の吹雪に、決して流されてしまわないように。
窓の外を流れる二〇〇六年の東京は、どこか書き割りのように色褪せて見える。
(あと二十五分。あと、二十四分……)
脳内で刻まれる残酷なカウントダウン。
繋いだ手に力を込めるたび、遠い二〇二六年のどこかで、レイナが明るく笑う声が幻聴のように聞こえた。
私の愛しい娘。
あなたという存在をこの世から消さないために、お母さんは今、あなたの父親ではないこの人を、永遠に失いに行く。
**八時四十五分**
大学の正門をくぐると、突き刺さるような学生たちの歓声が私たちを包囲した。
彼らは疑いもなく「未来」を信じている。
自分たちが何者かになれると信じ、明日が来ることを当然だと思っている。
けれど、黒い服を纏った私たちは違う。
私たちは、「未来」を守るために、いま、この腕の中にある愛おしい「現在」を殺しに来たのだ。
「別れる場所は決めてあるんだ。学生時代、君と一緒に歩きたいと思っていた場所」
タカシが私の手を強く握り、迷いのない足取りで進んでいく。
「……静かだね、ここは」
私がぽつりと呟くと、彼は前を見据えたまま答えた。
「学生の頃、カップルを見かけると羨ましくてさ。いつか君を、この並木道に連れてきたいって、ずっと思ってたんだ。……二十年、かかっちゃったけど」
彼は少しだけ口角を上げ、自嘲気味に、けれど慈しむように笑った。
「ふふ, よかったね, 願いがかなったよ」
私の言葉に、彼は頷く。
「僕は入学した時からここが一番大好きなんだ。……見て、あそこ」
タカシの視線の先、中央講堂の古びた赤煉瓦の影に、淡いパステルピンクの塊が見えた。
寒桜。
一月の凍てつく風に耐え、誰に望まれることもなく、けれど凛として咲き誇るその花は、まるでこの時間軸に無理やり居場所を作った私たちの魂のようだった。
「綺麗……」
口からこぼれた言葉は、本音だった。
この一瞬の景色を、タカシと一緒に見られた。
それだけで、私の二十年間の乾きは報われたのだと、自分に言い聞かせる。
**八時五十分**
並木道のなかで、タカシが足を止めた。
「もう時間だ……」
彼は真剣な眼差しでこちらを向き、私の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「ねえ、タカシ」
私は震える声で、彼に問いかけた。
「戻ったら……私たちは、お互いを『知らない他人』として生きていくのね。あの子たちの親として。別の名字を名乗って」
「ああ。……僕には妻がいて、君には夫がいる。それが、僕たちが必死に積み上げてきた人生の景色だ」
「……怖く…ない?」
「あなたの顔も、手の温度も、一緒に過ごした日々も……全部『なかったこと』にされてしまうのが、私はたまらなく怖い。心に穴があいたまま、理由もわからず泣きながら生きていくんじゃないかって」
タカシくんは私の震える肩を抱き寄せた。
彼のコートから香る冬の匂い。私はそれを、肺の奥深くまで吸い込んだ。
「大丈夫だよ、レイコ。僕は忘れない」
彼は私の耳元で、自分自身にも言い聞かせるように、低く、確かな声で囁いた。
「二十年前、私たちは一度も目を合わせずにすれ違った。でも、互いが呼び合ったから、今こうしてこの場所に立っている。たとえ記憶があやふやになって、あなたの顔も名前も分からなくなっても、向こうの世界で必ずあなたと出会えるって信じたい。」
「レイコ……」
「僕たちは今日ここで、愛を終わらせるんじゃない。僕たちの愛を魂に閉じ込めるんだ。想いは、形を変えて生き続ける。……そうだろ?」
私は彼の胸に顔を埋め、深く、深く頷いた。
そうだ。これは絶望ではない。
私たちが抱き合えなくなる代わりに、未来のあの子たちが笑える世界を作る。
それは、この宇宙で親だけが選べる、最高級の「愛の形」なのだ。
「……うん。胸のなかに、あなたへの『ありがとう』だけを隠して、元の場所へ帰るね」
顔を上げると、視界は涙で激しく滲んでいた。
タカシくんが私の頬をそっとなぞり、最後の手向けのように微笑んだ。
「……愛しているとは、もう言わないよ。それはもう、僕たちの血肉になっているから」
彼の言葉が、鋭利なナイフのように胸を裂く。
「そして、さようならも言わない」
「……うん」
私は小さく答えた。二人の口から出たのは、短い祈りだった。
「……またね」
それは、神様さえも騙せない、世界で一番美しく、残酷な嘘。
時代も、場所も、形さえも変わってしまったとしても、魂だけは、この熱を忘れないという契約。
**八時五十三分**
私は、タカシに背を向けた。
一歩。また一歩。
歩くごとに、世界から色が失われていく。
遊園地での子供のようなデート、雪の河川敷で分け合った体温、狭い部屋で一緒に作った不器用なカレー、そして二人で愛し合った夜。
三週間。私が生きた四十年の中で、最も輝いた日々。
今すぐにでも彼のところに戻り、彼の妻となる女性の前で「私が妻です!」と叫び出したい。
けれど、私の理性が、レイナの母という立場がそれを許さない。
一人で歩く足元から、「タカシ」という名前の記憶が、指の間からこぼれる砂のように崩れ落ちていく感覚。
ふと、六号棟の脇の花壇に、白く可憐な花が咲いているのが目に入った。
クリスマスローズ。
私は吸い寄せられるように、その前でしゃがみこんだ。
(たしか花言葉は……「私を忘れないで」……)
涙でぐちゃぐちゃになった顔に、一瞬だけ笑顔が戻る。
私はその花に、届くはずのない伝言を託した。
「……タカシが忘れないように。いつか思い出すように。どうか、伝えてね」
私は立ち上がり、冬の蒼穹を見上げた。
「レイナ……お母さん、いま帰るよ」
最後に一度だけ、守り抜いた娘の名前を呼んだ。
すると、視界が急激に白濁し、あらゆる輪郭が溶け出す。
「大変そうですね。……よかったら、手伝いましょうか?」
遠くで、私の知らない「甲斐田くん」が、未来の妻に声をかけるのが聞こえたような気がする。
微かに残っていた、タカシの熱。
それが冬の冷気にさらされて、急速に冷えていく。
意識が溶けていく直前、私の脳裏に最後に残ったのは――。
あの寒桜の花びらが、一瞬だけ激しく、まるで祝祭のように舞い上がった情景だった。
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