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悪役の次期公爵
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「本題に入る前にまず、お前は最近の王宮の事情について詳しいか?」
「何となくは……。下級貴族や平民の鬱憤が溜まっているようだな」
「あぁ、その理由に心当たりは?」
「優秀な宰相補佐が、下級貴族なのを理由に宰相の地位になれなかったとでも思うやつらがいるんだろう」
「正解だ。もちろん宰相補佐にそんな野望はないんだよ。一度彼に内示が出たが、外交面でのことを考えて彼の方から辞退しているしね。」
今の宰相は侯爵家の出身で宰相補佐は子爵家の出身。宰相も能力差を重々理解していたから、補佐に地位を譲ろうとしたものの、やはり外交上の都合を考えるとある程度の爵位のある人間の方がふさわしい。補佐も爵位を気にしており内示を辞退。宰相と補佐の関係は、周囲の予想とは異なり非常に良好で、お互いに尊重しあっている。
しかし、そんな内情を知る由もない下級貴族と平民の文官達は勝手に鬱憤を抱いている。もちろん、マジアレーベの政治は概ね上手くいっているので反乱因子という訳では無い。
「それで? その事がどう関係しているんだ」
「どうやら最近、王宮の文官が何かを見つけたらしいんだ。」
「何か…?」
「あぁ、その迷惑な思い込みのせいで、とにかく情報を隠しているようでね。私の方には何の情報も入ってこない。陛下には相談がいっているようではあるんだが、内密に動くため私にも言えないらしい」
「陛下は律儀なお方だな。にしても陛下にも報告するようなことと言うと……瘴気か?」
「そうじゃないかと思ってる。私が得た情報は、その見つけたものというのが古代文書だったということだけだ。ちなみにこれは陛下に聞いたことだ」
ラインハルトは不敵な笑みを浮かべてそう告げた。あぁ、そうかと思い当たる。陛下は、文官たちの考えを律儀に尊重しているのではない。あくまでも王族は弱い立場の味方であると見せかけているだけだ。
「プロエノビルだな」
「さっすがレオン、気がつくのが早いな」
プロエノビルは昔、長いこと大公家であった。そもそもプロエノビルは初代の王弟の家系である。
「大公家時代に存在していた書物ならば、かなりの確率で写しがプロエノビルに保管されているだろう? もし、その重要な古代文書が2つ存在し、もう一方が不可抗力で誰かによって見つかったのであれば、陛下は文官たちを裏切ることなく情報を開示することができる。いやぁ~私の父上はやり手だな!」
「そうとなれば早急に探しに行かないとな。お前も来るか?」
「いいのか!? 公爵家の本邸は広いから休日2日間使いそうだな~。親友とお泊まりパーティーでもするとしよう!」
ずば抜けて頭が切れ、損得で冷静に判断が下せるくせに、それを軽いノリで巧妙に隠す。だがその裏にある、文字通り血のにじむような努力を私は知っている。
「たまにはそういうのもいいな」
「親友宣言した途端にデレデレだな~! ツンデレお坊ちゃんが懐いてくれて嬉しくて涙が出るぞ」
「なっ! そんなんじゃない! いいか、翌週の休日は必ずシェルのところに行くから、何がなんでも2日間でみつけるぞ」
「そうだな! チャーミルストの次男に愛想を尽かされないよう早く解決しよう。じゃないとお前、浮気を疑われて振られるかもしれないぞ」
またニヤニヤと面白そうにからかってくる。
「こんなにも相思相愛なのだからその心配はない」
「どうだかね~。ちょっとはすれ違ったり喧嘩したりするのも意外といいスパイスになったりしてね」
「あーもう、ラインハルトも早く恋人を作ってくれよ。そうしたら私もこれでもかと言うほどからかって、あなたが恋人に振られたら大笑いしてやるのに」
「私は恋愛はしない主義だからその未来は来ないな、せいぜいそうやって子犬のようにキャンキャン吠えてるといい」
王太子と公爵子息。国内では私たち以外に、これだけの地位と責任を持った同世代はいない。肩書きと優雅な生活の代わりに、沢山のものを犠牲にする日々だ。そんな私たちがお互いに軽口を言い合えるような仲になれて、本当によかった。
「何となくは……。下級貴族や平民の鬱憤が溜まっているようだな」
「あぁ、その理由に心当たりは?」
「優秀な宰相補佐が、下級貴族なのを理由に宰相の地位になれなかったとでも思うやつらがいるんだろう」
「正解だ。もちろん宰相補佐にそんな野望はないんだよ。一度彼に内示が出たが、外交面でのことを考えて彼の方から辞退しているしね。」
今の宰相は侯爵家の出身で宰相補佐は子爵家の出身。宰相も能力差を重々理解していたから、補佐に地位を譲ろうとしたものの、やはり外交上の都合を考えるとある程度の爵位のある人間の方がふさわしい。補佐も爵位を気にしており内示を辞退。宰相と補佐の関係は、周囲の予想とは異なり非常に良好で、お互いに尊重しあっている。
しかし、そんな内情を知る由もない下級貴族と平民の文官達は勝手に鬱憤を抱いている。もちろん、マジアレーベの政治は概ね上手くいっているので反乱因子という訳では無い。
「それで? その事がどう関係しているんだ」
「どうやら最近、王宮の文官が何かを見つけたらしいんだ。」
「何か…?」
「あぁ、その迷惑な思い込みのせいで、とにかく情報を隠しているようでね。私の方には何の情報も入ってこない。陛下には相談がいっているようではあるんだが、内密に動くため私にも言えないらしい」
「陛下は律儀なお方だな。にしても陛下にも報告するようなことと言うと……瘴気か?」
「そうじゃないかと思ってる。私が得た情報は、その見つけたものというのが古代文書だったということだけだ。ちなみにこれは陛下に聞いたことだ」
ラインハルトは不敵な笑みを浮かべてそう告げた。あぁ、そうかと思い当たる。陛下は、文官たちの考えを律儀に尊重しているのではない。あくまでも王族は弱い立場の味方であると見せかけているだけだ。
「プロエノビルだな」
「さっすがレオン、気がつくのが早いな」
プロエノビルは昔、長いこと大公家であった。そもそもプロエノビルは初代の王弟の家系である。
「大公家時代に存在していた書物ならば、かなりの確率で写しがプロエノビルに保管されているだろう? もし、その重要な古代文書が2つ存在し、もう一方が不可抗力で誰かによって見つかったのであれば、陛下は文官たちを裏切ることなく情報を開示することができる。いやぁ~私の父上はやり手だな!」
「そうとなれば早急に探しに行かないとな。お前も来るか?」
「いいのか!? 公爵家の本邸は広いから休日2日間使いそうだな~。親友とお泊まりパーティーでもするとしよう!」
ずば抜けて頭が切れ、損得で冷静に判断が下せるくせに、それを軽いノリで巧妙に隠す。だがその裏にある、文字通り血のにじむような努力を私は知っている。
「たまにはそういうのもいいな」
「親友宣言した途端にデレデレだな~! ツンデレお坊ちゃんが懐いてくれて嬉しくて涙が出るぞ」
「なっ! そんなんじゃない! いいか、翌週の休日は必ずシェルのところに行くから、何がなんでも2日間でみつけるぞ」
「そうだな! チャーミルストの次男に愛想を尽かされないよう早く解決しよう。じゃないとお前、浮気を疑われて振られるかもしれないぞ」
またニヤニヤと面白そうにからかってくる。
「こんなにも相思相愛なのだからその心配はない」
「どうだかね~。ちょっとはすれ違ったり喧嘩したりするのも意外といいスパイスになったりしてね」
「あーもう、ラインハルトも早く恋人を作ってくれよ。そうしたら私もこれでもかと言うほどからかって、あなたが恋人に振られたら大笑いしてやるのに」
「私は恋愛はしない主義だからその未来は来ないな、せいぜいそうやって子犬のようにキャンキャン吠えてるといい」
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