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第一章
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「はじめまして、マジアレーベ王国王太子、ラインハルト・マジアレーベだ」
「ヴァルシン・トレ・リナシメントだ」
「よろしく。年齢も同じだし、学園は身分関係なく学ぶ場だ。気軽に接してくれ」
差し伸べられた手を握る。学園への転入手続きが済み、新年度を明日に迎えた今日、一応は一国の王子を受け入れるということで、マジアレーベの王太子との挨拶の場が設けられた。場所はマジアレーベの貴族が通う学園。今日はこのまま案内をしてくれるらしい。
俺よりもほんの少しだけ高い身長。茶に近い金髪と深い緋色の瞳は、嫌味な程に王族の威厳を感じさせる。それでいて、どこか中性的で柔らかい印象を与える繊細な顔つき。極めつけは、嘘だらけの笑顔。
嫌いになるには充分だった。目に入れた瞬間に、祖国の家族の顔が思い出される。体裁を気にする奴。俺は、皮肉を込めて笑顔を浮かべた。どうせお前も、ガワに拘る能無しだ。
「あぁ、学友としてよろしく頼む、ラインハルト」
燻る火のような紅い瞳が、にぃっと弧を描く。ぞくりとした。背中をブスブスと刺されたような恐怖感。思わず手を話すと、大声で笑われる。
「あっははは! 力を入れすぎちゃったかな? ごめんね」
「い、いや、こちらこそすまない」
嫌いだ。どうせ俺の外側を見て、庶子だと見下しているんだろう。無駄にチャラけた口調。こいつはクソ王子だ。やっぱり、どこの国も王族なんてろくでなししかいない。こいつだけは嫌いだ。
心の奥が見透かされぬようにしながら悪態をつく。
「そうしたら、学園を案内させてもらうよ」
「あぁ、助かる」
クソ王子は広すぎる校舎を順に説明し始めた。あまりにも敷地が広いため、重要な施設を中心に回っていく。教室、食堂、図書館、俺の住むことになる学園寮。廊下を進む間も、終始あの気持ち悪い笑顔を貼り付けて、当たり障りない会話をしてくる。
「あぁそうだ、明日のパーティー、楽しみにしてるよ」
いきなりそう言われる。明日、新年度初日で学園の授業が午前で終わるため、夜に王宮で極小規模のパーティーを開くようだ。事前に招待があったから出席することになっているが、このなにか裏があるような含んだ笑みを見ると、取りやめてしまいたい気分になる。
「俺もだよ。俺の祖国は新しいものを取り入れたがるが、マジアレーベは伝統的な文化を大切にしていると聞いているから興味がある」
「そんな風に言ってもらえて嬉しいな。ただの時代遅れだと思われがちだからね」
「まさかそんなはずないだろう」
目の奥が笑ってねぇよ。こいつとだけは上手くやって行ける気がしない。何も考えておらず、無能で能天気に見えて、こちらを見透かしているような覇気を感じる。野生の勘とでもいうんだろうか。頭の奥でガンガンと警鐘がなる。
結局クソ王子は最後まであの気持ち悪い面をしたままだった。とんでもないバカなのか、腹黒なのか。どちらにしてもいい気はしないな、と寮のベットに仰向けになって考える。一応は一国の王子だから、王太子の案内も付くし、寮も一人部屋だ。王族が嫌いで嫌いで仕方が無いのに、その恩恵を受けている自分に腹が立った。
「ヴァルシン・トレ・リナシメントだ」
「よろしく。年齢も同じだし、学園は身分関係なく学ぶ場だ。気軽に接してくれ」
差し伸べられた手を握る。学園への転入手続きが済み、新年度を明日に迎えた今日、一応は一国の王子を受け入れるということで、マジアレーベの王太子との挨拶の場が設けられた。場所はマジアレーベの貴族が通う学園。今日はこのまま案内をしてくれるらしい。
俺よりもほんの少しだけ高い身長。茶に近い金髪と深い緋色の瞳は、嫌味な程に王族の威厳を感じさせる。それでいて、どこか中性的で柔らかい印象を与える繊細な顔つき。極めつけは、嘘だらけの笑顔。
嫌いになるには充分だった。目に入れた瞬間に、祖国の家族の顔が思い出される。体裁を気にする奴。俺は、皮肉を込めて笑顔を浮かべた。どうせお前も、ガワに拘る能無しだ。
「あぁ、学友としてよろしく頼む、ラインハルト」
燻る火のような紅い瞳が、にぃっと弧を描く。ぞくりとした。背中をブスブスと刺されたような恐怖感。思わず手を話すと、大声で笑われる。
「あっははは! 力を入れすぎちゃったかな? ごめんね」
「い、いや、こちらこそすまない」
嫌いだ。どうせ俺の外側を見て、庶子だと見下しているんだろう。無駄にチャラけた口調。こいつはクソ王子だ。やっぱり、どこの国も王族なんてろくでなししかいない。こいつだけは嫌いだ。
心の奥が見透かされぬようにしながら悪態をつく。
「そうしたら、学園を案内させてもらうよ」
「あぁ、助かる」
クソ王子は広すぎる校舎を順に説明し始めた。あまりにも敷地が広いため、重要な施設を中心に回っていく。教室、食堂、図書館、俺の住むことになる学園寮。廊下を進む間も、終始あの気持ち悪い笑顔を貼り付けて、当たり障りない会話をしてくる。
「あぁそうだ、明日のパーティー、楽しみにしてるよ」
いきなりそう言われる。明日、新年度初日で学園の授業が午前で終わるため、夜に王宮で極小規模のパーティーを開くようだ。事前に招待があったから出席することになっているが、このなにか裏があるような含んだ笑みを見ると、取りやめてしまいたい気分になる。
「俺もだよ。俺の祖国は新しいものを取り入れたがるが、マジアレーベは伝統的な文化を大切にしていると聞いているから興味がある」
「そんな風に言ってもらえて嬉しいな。ただの時代遅れだと思われがちだからね」
「まさかそんなはずないだろう」
目の奥が笑ってねぇよ。こいつとだけは上手くやって行ける気がしない。何も考えておらず、無能で能天気に見えて、こちらを見透かしているような覇気を感じる。野生の勘とでもいうんだろうか。頭の奥でガンガンと警鐘がなる。
結局クソ王子は最後まであの気持ち悪い面をしたままだった。とんでもないバカなのか、腹黒なのか。どちらにしてもいい気はしないな、と寮のベットに仰向けになって考える。一応は一国の王子だから、王太子の案内も付くし、寮も一人部屋だ。王族が嫌いで嫌いで仕方が無いのに、その恩恵を受けている自分に腹が立った。
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