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僕は想う
僕は想う
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笛餅鈴花が来て一週間が経過した。
さすがにあの嫌な視線はなくなった。
美琴とはいつもどうり放課後に会った。姉さんのことは鈴花には、姉さんの現状を伝え会わせた。一緒に暮らすにあたり隠しきることは出来ないと判断したからだった。
会ったとき鈴花はとても驚いていたが、今は慣れてくれた。
そして僕達は文化祭の準備が始まろうとしていた。
「何か文化祭でしたいことある人。」
僕達の高校の文化祭では模擬店と展示どちらか選んで文化祭に参加する。僕達のクラスは満場一致で模擬店になった。
「喫茶店がいいなぁー」
最初に提案したのはクラスのお調子者
名前は向田だったかな?
「私お化け屋敷とかいいと思う。」
次に女子のリーダー的な奴
名前は立花だと思う。
が提案する。
それを筆頭に各々様々な案を出した。
焼きそばにフランクフルトにたこ焼きなどの定番なものから脱出ゲームやわたあめなど珍しい案も出た。
ある程度出たところでそこからは当日の忙しさや集客効果や衛星管理や場所などの関係も含めながら話し合った。
その結果、
「今年の文化祭は執事・メイド喫茶に決定します。」
パチパチパチ
やることが決まり次は役割を決める作業に入る。
じゃんけんや挙手を含めた結果、僕と美琴はウェイトレス鈴花は衣装係になった。役割が決まったのでみんな準備を始める。僕達は接客術と発生の練習をすることになった。担任の先生が講師として教えてくれることになった。
「いらっしゃいませ。 はい!」
「「「いらっしゃいませ。」」」
「ご注文はどうされますか? はい!」
「「「ご注文はどうされますか?」」」
「皆さん。接客の基本は笑顔です。笑顔は忘れないように!」
かなり厳しい講習だ。
周りを見ると、みんな大変そうだった。しかし、美琴は普段から演技して過ごしているからか余裕な表情だった。
一方の僕は、
「神城君。もっと笑顔。」
とダメ出しを受ける。
元々そこまで笑うタイプの人間でもない僕はかなり大変だ。演技をしようとするがどうしてもぎこちない。この日は下校時間ギリギリまで練習させられた。
「やっと帰れる。」
解放されたときにはヘトヘトだった。
「そういえば。」
僕は美琴の近くに行き放課後について聞く。
「いつもの喫茶店で待っていてください。」
そういわれたので僕は喫茶店に向かった。
「お待たせしました。」
ほどなくして美琴はやって来た。
「これからのことですが。」
コーヒーを注文してすぐ美琴が切り出す。
「文化祭が終わるまでこの時間はお休みしようと思うわ。」
妥当な判断だと思う。
「分かった。・・・あのさ。お願いがあるんだけどいいかな?」
「何かしら?」
「ウェイトレスの時さ。笑顔になるでしょ。」
これを頼むのはとても恥ずかしい。
「笑顔のコツとか聞いてもいいかな。」
しかし今後のためにも知っておいた方がいい。
「・・・。」
「・・・。」
二人とも無言な時間が数秒間続く。
「・・ふふふ。」
この均衡を破ったのは美琴の笑い声だった。
「な・なんだよ。」
「いえ。真剣な顔をしていたから何事かと思っていたら笑顔のコツだったものだからついね。」
なんとなくこんなことになるだろうという予感がしていた。
「で、どっちなんだよ。」
僕は照れながら言う。
「分かりました。では休みはなしでこの時間を練習にしましょう。」
「いや コツを知りたいだけなんだけど。」
これ以上の練習は厳しい。
「コツを教えても練習しなければ上達しません。なので、練習します。」
美琴は多分頑固なタイプなのが分かった。
「よ・よろしくお願いします。」
「よろしい。じゃあ明日からよろしくね。」
翌日から学校での練習だけでなく美琴の個人レッスンも加わった。
「つ・疲れた。」
かなり疲れる。
そんな生活もかれこれ4日もすると慣れてしまった。
けれど問題が発生した。
「ちょっとさみっきゅん。」
鈴花が僕を呼び止める。
「なに?」
「帰り遅くない?」
現在の僕の一日のスケジュールは 朝起きて→ 朝ご飯を作り→ 学校へ行き→ 放課後美琴と会って→ 晩ご飯を作り→ 風呂に入り寝る
このルーティーンに一人分増え大変になった。もう慣れたけど。
「ねぇ。聞いてる?」
「聞いてるよ。」
僕は誤魔化す方法を考える。
「お買い物とか色々あるんだよ。」
僕達が放課後に会っているのは、二人だけの秘密だ。誰にも話す気はない。
「ふぅーん。そうなんだ。」
鈴花は納得は全くしてない顔だが、これ以上追及してくることはなかった。
「あ・あのさ。」
鈴花は意を決するかのように
「文化祭一緒に回らない。」
そう聞いてきた。
「それは一日目と二日目どっち?」
時は遡ること数時間前美琴と練習してるときだった。
「文化祭一緒に回りませんか。」
突然のことで驚いたがよくよく話を聞くとどうやら楓からお誘いがあったらしく僕には美琴から言うということになっていたようだった。
「分かった。一日目と二日目どっち?」
「一日目にしましょう。二日目からは休憩時間などが色々噛み合わなかったので。」
そんなことがあって一日目は行くことが出来ない。
「二日目かな。」
二日目を提案された。
「なら大丈夫だよ。」
「やったー! 楽しみにしてるね。」
鈴花はとても嬉しそうだった。
そんなに文化祭が楽しみだったんだと僕はとても驚いた。
そして約束した日から二日後、僕達の文化祭は幕を開く。
一日目は生徒だけの文化祭となっている。
「ここまで頑張って来ました。目指すは総合売り上げ一位。二年三組ファイト!」
おー!
先生の掛け声でクラス一同盛り上がってくる。
そして喫茶店は開店した。
メイド効果もあってか僕達のクラスは繁盛することが出来た。
しかし面倒な事も起こるもので、
「ねぇメイドさん。おまじない的なことしてくれないの?」
この喫茶店をメイド喫茶的なものと勘違いするバカが混じって来るようになった。
「ねぇ。」
ついにそのバカは女の子の腕を掴む。
女の子も困ってる。
このタイプ一番嫌いなタイプでありイライラするタイプだ。
僕自身楽しむことにたいして別に問題視してない。
けれど、もう少し常識的な楽しみ方をしてほしい。
止めるために近くに行こうとしたら
「少しいいかな。」
「なんだよ。ひっ!」
風刀がそのバカの腕を掴む。
「困ったるの気づかない?」
少し強めに言う。
「それに当店はそのような店ではございません。他のお客様もこのようなことをしますと他のお客様にも従業員にも大変迷惑になりますので、しないでください。」
あの体育祭の日以降、風刀達のいじめはなくなった。どころか今までいじめていた生徒に謝罪をしていた。
心変わりしてくれたのはとても嬉しかった。
「大丈夫?」
言い寄られていた女の子にもフォローの言葉をかける。
ある意味完璧イケメンになった。
人と言うのはとても不思議だなと改めて感じることができた。
風刀の言葉があったからかそこからはそういうことがなかった。
お昼になり僕と美琴は交代の時間になった。
「行こうか。」
「えぇ。」
僕達は二人の集合場所に向かった。
「遅いぞ。お前ら。」
集合場所にはすでに待っていた。
しかも、政矢は左手に焼きそばを持ち楓は左手にたい焼きをもっていた。
「お前らもう買ったのか。」
そんなにお腹すいてたのか。
ちなみに二人のクラスは焼きそばを焼いているらしい。
「さぁ。本格的に遊ぶぜ。」
政矢はとても楽しむ気満々だった。
「次はどこ行こうか?」
「まずは近くを攻めていこうぜ。」
政矢が指したのはお化け屋敷だった。
「まじか。」
正直に言うと僕は暗闇が苦手なのだ。ホラーなものはとても好きなのだが暗闇がどうしても苦手で、お化け屋敷はあまり得意ではない。
「入ろうか。」
「お・おう。」
もちろんそんなこと言えるわけなく。
「いらっしゃいませ。このお化け屋敷は二人ずつで行っていただきます。」
理由は教室が狭いからだそうだ。
「どうするか。」
「くじ引きしましょう。」
楓からの提案でくじ引きになった。
僕は楓とだけは嫌だった。理由はこれ以上弱みを握られたくないからだ。
「じゃあ。行くよ。せーの!」
くじ引きの結果、未琴・政矢 美琴・楓ペアになった。
僕としてはとてもホッとした。
「それでは進んでください。」
先に美琴・楓ペアが進み少ししたら僕達の番になった。
僕は恐る恐る入る。
「なにしてんの?」
中は思ったより暗かった。
「なんで野郎と一緒にお化け屋敷なんかに入らないといけないんだ。」
「くじの結果だろうが。」
僕は暗いなと少し怖かった。
「あのさ。」
お化け役の人が驚かしに来るが正直言って怖くない。
「お前もしかして怖いのか?」
政矢が聞いてきた。
「実は。」
僕は暗闇が怖いことを伝える。
「そりゃ知らなかった。でも、暗闇ってことは楓には・・・。」
「言わないでください。」
これは懇願だった。
「分かったよ。」
こんな話をしているともう出口だった。
「遅いわよ。」
先に出た二人はたこ焼きを食べていた。
「何かついてる?」
「青のりがついてるぞ。」
政矢はハンカチを持ち楓の口を拭う。
本当に仲睦まじい光景だった。
でもこれは恋人より兄妹見たいなものに見えるんだよな。
そこは少し惜しい。
「・・・。」
楓が少し照れる。
より子供っぽい。
ぐぅーーー。
「腹へった。」
みんなの食べてる姿を見たらお腹が空いてきた。
「たこ焼き食べますか?」
「うん、食べる。」
僕は安心したからか少し退行してしまった。
「か・可愛い。」
「なんか可愛いわね。」
えっ。なに?その反応。
とても困惑する。
「どうしたの?」
二人は声が漏れていたことに僕の顔から分かったのか
「うっふん」
と咳き込んだりしている。
「食べていいんだよね。」
「え・えぇどうぞ。」
たこ焼きを食べる。
空腹からかとてもうまい。
「昔から思ってたけどお前、姉貴と話してるとき幼児退行してるぞ。」
政矢から言われる。
政矢だけは僕の姉さんと面識があった。
「そんなわけ・・・あるの?」
政矢は顔を逸らす。
本当にそうなのか。
僕は不安になった。
しかしそんな不安感も色々なものを見ていくうちに忘れ去った。
「なぁ。将来の夢って何かあるか?」
色々と見て回って疲れた僕達は休める所で休んでいた所、そんな話になった。
「お前なんかあるのかよ。」
「そうだな~。」
全員真面目に考える。
「俺は公務員かな。」
政矢は答える。
「私は家を継ぐことななるのかしら。」
楓が答える。
「じゃあ組長か?」
「・・・。」
楓が照れてる。一瞬意味が分からなかったが、結婚したらそうなるのかな。
僕はそういうことはよく分からないけど。
「私は・・・なんでしょう。よくわからないわ。」
休憩所近くは誰もいないから素の状態だ。
「僕もなんだろう。」
学者にはなりたくないな。
「まぁ。ゆっくり考えればいいよな。」
「そうね。」
「そうだな。」
政矢の言葉に同調する。
しかし忘れてはいけない。
僕達(特に美琴)はこれからがあるか分からない。
そこからは他愛ない会話をしている。
そうこうしているうちに文化祭一日目が終わった。
「一日目途中売り上げ報告をいたします。」
放送が聞こえる。みんな放送台に耳を澄ませる。
「第三位三年二組。第二位三年一組。」
三位も二位も三年生なので、不安になる。
「第一位は二年三組」
「「「やったーーー!」」」
クラス中が歓喜していた。
「明日は一般の方もいらっしゃいます。皆さん楽しむのはいいですが節度を持って楽しみましょう。」
放送はこの言葉で終わった。
「皆さん、今日はお疲れ様でした。」
先生が言う。
「お疲れ様です。」
「明日からが勝負です。頑張って行きましょう。」
僕達の文化祭一日目が幕を閉じる。
いつも通り僕達はいつもの喫茶店で美琴と会う。
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様。」
回るのは楽しかったがさすがに疲れた。
「明日はもっと大変なんでしょうね。」
「そうだろうな。」
二日目からは一般公開となる。そのため一日目と比べてお客さんの量が必然的に増えていく。
「頑張らないと行けないな。」
「そうですね。」
たったそれだけの会話をして美琴と別れて家に帰る。
「みっきゅん西条さんとどういう関係なの?」
家に帰ると鈴花に問われる。
僕は放課後のことがばれたのかと思った。
「な・なんでそんなこと言うのかな?」
「今日見たんだ。」
どうやら文化祭を僕と美琴と楓と政矢とで一緒に回っているのを見ていたらしい。
僕は放課後のことを見られていなくてホッとした。
「だから気になるんだ。どういう関係?」
「友達だよ。西条さん今年の四月にこっちに越してきたんだけど、ほら僕も西条さんって両方名前が「みこと」じゃん。 そこから仲良くなったんだ。 後の二人も友達だよ。 小学校の頃からずっと仲良しなんだ ちょうど鈴花と入れ違いで友達になったのかな。」
嘘はついていない。ただ美琴との関係は少し複雑なだけだ。
「ふぅーんそうなんだ。」
とりあえず鈴花は納得してくれた。
「ならいいか。」
「なんか言った?」
「ううん。なんでもないよ。明日は楽しみにしてるよ。」
鈴花は部屋に戻って行った。
僕は姉さんの部屋に行った。
「姉さん。最近話せてないね。」
忙しくなって姉さんの部屋で長い時間話すということはなかった。
「 今日から文化祭だったんだ。結構頑張ったんだよ。出し物は執事・メイド喫茶なんだ姉さんと一緒だね。」
姉さんが飛び降りる前最後の文化祭は僕達と同じ出し物をしていた。
ちなみに、僕と姉さんは同じ高校に行ってない。姉さんは女子高に行っていた。
「 姉さん 政矢覚えている?政矢のクラスはね焼きそばをしてるんだって、売り上げを聞いたら全然ダメだって言ってた。僕たちのクラスは1位だったんだよ。」
そこからはずっと話していた。ふと時計を見ると二時間以上ずっと喋っていた。
「もうこんな時間か。姉さんも眠いよね。」
僕は立ち上がって、
「おやすみ。」
僕はドアを手にかける
「・・・・・みこと。」
「えっ。」
姉さんの声がした気がして振り返るが姉さんはいつものような感じだった。
「気のせいかな。」
僕はドアを閉めた。
翌日
いよいよ文化祭二日目
「人どれだけ来ますかね。」
開始前から全員緊張しっぱなしなだった。
ピンポンパンポン
これより文化祭二日目が始まります。皆さん、節度を持って楽しみましょう。今日は一般開放です。色々な人が来ますのでトラブルには十分に注意してください。
放送委員の子が開始の合図をかける。
「それではよーいスタート。」
こうして文化祭二日目が幕を開けた。
二日目の お客さんの入りは予想通り1日目よりもかなり多かった。 最後尾はこちらというプラカードを持たないといけないほどの行列になった。
多分午後からこれよりも人が増える。
大丈夫かどうか不安になった。
「いらっしゃいませ。」
とりあえず目の前のお客さんの接客しないといけない。
「ガチのメイドさんいるじゃん。」
一般的な接客をし
「最後になりますが当店ではメイドサービスといったものは行われておりません。どういう周りのお客さんに迷惑をかけないようによろしくお願いします。」
昨日の件を受けて毎度お客さんに対して説明することになった。
この説明が効果あったのか、そういうことを要求するお客さんはゼロ人だった。
「神城君。次のお客さん頼むね。」
僕は言われるがまま向かう。
「いらっしゃいませ・・・って楓と政矢!」
「よぉ。繁盛してるじゃねぇか。」
「みっくん意外とその服似合っているわよ。」
「楓! 霧城君も来たんですね。」
美琴もやってきた。
「美琴。メイド服似合っているじゃない。」
「意外と似合ってるじゃないか。」
まさか来るとは思わなかった。
「西条さん次の人。」
「分かりました。じゃあ。」
美琴は呼ばれて行ってしまった。
「ご注文は何にしますか ?」
「俺お菓子セットとコーヒー。」
「私はコーヒーを頼むわ。」
「お砂糖はいくつですか ?」
「俺はブラックで。」
「私は三つお願い。」
意外と楓は甘党のようだった。
政矢が頼んだお菓子セットは多分楓のためだろう。
本当に仲いいな。
「少々お待ちください 。」
そこからは普通に進めていった。
「俺たちへ帰るわ。」
「午後から私たち仕事なの。」
食べ終わって帰るらしく僕たちに挨拶をする。
「午後には行こうかな。」
「おう。店の売り上げに貢献してくれ。」
二人は教室から出ていく。
そこからはお昼に連れてお客さんが増えてきた。
ウェイトレスは大変だったあっちにいったりこっちにいったりも色々てんやわんやだった。
その大変な状況もなんとか乗り切り交代の時間になった。
「つ・疲れた。」
とても疲れた。
とても疲れているが、そんな事言ってる暇はない。
僕は鈴花との待ち合わせ場所に向かおうとした。
「神城君は午後から何か予定があるんですか?」
美琴が聞いてくる
「鈴花と待ち合わせしているんだ 。」
「へぇー。」
美琴は意味ありげな言葉を発する。
怒っているのかな ?
しかしここで追求すると駄目なのは姉で十分学んだ。
「そういうことなんだじゃあ僕は行くから」
僕は、待ち合わせ場所に急いだ
「みっきゅんおそーい!」
鈴花は口を尖らせてブーブーと怒っていた。
「ごめんごめん人が思っているより多くて」
「もーう 早く行くよ。」
鈴花に引っ張られるながら進む。
僕たちが見て回ったのは1日目には行ったことのないところを中心に見て回っていっ。
政矢・楓がやっている焼きそば屋にも行ってきた 。
「よう 来たな。」
「約束したしね。」
二人は会計をしていた。
「てっきり政矢は作る担当だと思っていたんだけどな 。」
会計をやっているのは意外だった。
「俺も焼くぜ。でも、今は他のやつがやっているんだ。」
なるほど 焼く人が異なるっていうのは売る時の手段としてはとても良いと思う。 「でそちらの方は誰だい。」
「 初めまして笛餅鈴花です。よろしくお願いしますね 。」
鈴花は笑顔で手を出す。
「俺は霧城政矢だ。よろしく。」
「 私は豊城楓よ よろしくね笛餅さん。」
二人とも握手する。
仲良くなりそうでよかった。
「じゃあ焼きそばふたつ。」
ちょうど出来たらしくそれをもらう
「頑張れよ」
「おうよ。」
僕達は別れる。
焼きそば は意外と美味しかった。
「 美味しいですね。」
「だな。」
かなり量があったがぺろっと食べることができた。
「次はどこに行く?」
「どこでもいいよ。」
これあまりにも失敗の手だった。
「もう もう少しエスコートとしてよ」
怒らせてしまった
「ごめん」
女の子の心と分からないまぁ男も分からないのだが。
そこからは色々と遊ぶ、輪投げなんかもした。
「楽しいね。」
「あ・あぁ。」
ふと窓を見た。そこで僕は見てしまった。 美琴が男の人に連れて行かれるところを。「鈴花悪い。」
僕は走り出した。
「みっきゅん・みっきゅーん!」
見たところまで行くと声が聞こえてきた。
「 君かわいいね。」
「あの離してください。」
紛れもなく美琴の声だ。
「俺でいいことしようぜ。」
僕は校舎の隅で様子を伺う。
「助け。」
「おい!声を出すな。」
口を抑えられてしまっていた。
次の瞬間、僕は男の人の後ろに立っていた。
「おい。てめぇ 何しやがる。」
男の肩に手を乗せる。
「なんだよ。」
男が振り返る。
「てめぇ。何してやがる。」
気づくと一発顔面を殴る僕がいた。
男がよろめく。
「走って逃げて!」
僕は美琴に言う。
「あのっ。」
「いいから早く。」
その時本当に顔が怖かったのだろう。
美琴が何も言わず逃げる
「てめぇ!」
僕は腹に一撃を食らう。
僕はその場にうずくまる。
「何してくれとんじゃボケ」
横から蹴りが入る。
かなり痛い。
けどこの痛みは風刀達で慣れた。
「おらぁー。」
僕は頭突きを入れる。そしてそのまま男の玉をつかむ。
「このやろう。」
男は痛みから解放されるために背中や腹を殴ってくる
おもわず離してしまった。
その後とか僕のことをつかみ膝打ちをする。
しかし痛みが残っていたのか追撃をしてこない。
「 こらお前たち何をやっているんだ!」先生がやってきた。
「チッ!」
男は逃げ出した。
「君大丈夫か。」
「僕は大丈夫ですので、早くあの男を追ってください。」
僕は先生に言う。
「分かった。」
先生達は追いかけていった。
「いっててて。」
僕はその足で保健室に向かう。
コンコン
「失礼します。」
先生は僕が入ってきた瞬間に驚いていた
「どうしたの?」
「女の子を助けた結果です。」
嘘は言っていない。
「神城君。」
美琴が入ってきた。
「大丈夫ですか?」
「なんとか大丈夫かな。」
少し痛い。
「本当にありがとう。」
「私少し席をはずしますね。」
先生が行ってしまい二人きりになってしまう。
少し気まずい。
「本当に怖かった。」
美琴は泣き出した。
僕はよしよしと頭を撫でる。
余計に泣かれた。
守りたい
そう思った。
美琴を泣かせるやつは許せない。
これは今まで思ったことのない感情だった。
「あら。神城君。女の子を泣かしたらダメでしょ。」
「えぇー。」
いや。僕のせいではないでしょ。
そこから五分美琴は泣き続けた。
「恥ずかしい。」
泣き止んだ美琴は現在、ベッドの中に入っていた。
ガラガラガラガラ
「美琴!」
楓と政矢がやって来た。
「おまえかっけぇじゃん。」
政矢からお褒めの言葉を頂いた。
「ありがとう。」
僕は二人にここまでの気持ちを抱くことが出来るのだろうか。
きっと出来ないんだろうと思う。
美琴と二人の違いは一体なんだろう。僕は分からない。とても悩む。けれども分からない。
キーンコーンカーンコーン
「神城未琴君二年三組神城未琴君。至急職員室まで。繰り返します・・・。」
どうやら僕は呼ばれているらしい。
「行ってくるよ。」
休んだお陰で痛みはだいぶ和らいだ。
コンコン
「失礼します。二年三組の神城未琴です。」
「神城君。」
僕を呼んだのは担任の先生だった。
「先生。」
呼ばれた理由は、あのケンカ?の件だった。
僕は理由を聞かれ、僕は正直に話した。
「そうなのね。」
先生は少し悩んでいた。
「よし。」
何かを決めたようだった。
「まず始めに、犯人は捕まりました。今の話を聞く限り、警察に引き渡すべきと判断しました。」
僕はホッとした。人の多いところに出られて逃げられて捕まらなかったということがなかったのか。
「次に、君の勇気はとても素晴らしいです。私感動しました。女の子を助けるヒーローですね。
ですが、やり過ぎです。自分自身がボロボロじゃないですか。時には、逃げることも必要です。」
どうやら悩んでいたのは、どう叱るべきかだったのだろう。
「最後に。」
まだあった。
そう思っていると、先生は僕の手を握る。
「ここからは西条美琴の先生としてです。あの状況はとても怖いと思います。そこに、助けに来てくれた君は西条さんにとってとても救われたと思います。本当にありがとう。私の教え子を助けてくれて。」
先生が頭を下げられた。
こんな風にお礼を言われたことがないため、僕は戸惑う。
「先生。僕はたまたまその場にいただけです。」
本当にたまたま窓を見てたまたま見つけた。
本当にそれだけだ。
「それでも、助けてくれました。普通は、戦う勇気は持てません。」
どうやら、こちらが折れる方が良さそうだ。
「分かりました。では、僕は誇ります。一人の女の子を助けたヒーローだって。」
「ふふふっ。」
笑われてしまった。
「神城君変わりましたね。一年生の頃にはこんな感じではなかったような気がします。」
そう感じたのは、美琴と出会ったのが大きいのだろう。
「とりあえず話は終わります。ケガは大丈夫ですか?」
「大丈夫です。では失礼します。」
扉を閉じる。
「いっつ。」
まだ痛みは完治してなかった。
とりあえず保健室に僕は戻ろうとした。
「みっきゅん!」
鈴花がやって来た。どうやら走ってきたらしく息が少し荒い。
「鈴花。」
「みっきゅん。職員室に呼ばれてたげど、何かあったの?」
あのケンカ?は現状僕・美琴・先生・楓・政矢しか知らないようだ。顔は殴る蹴るをされてないので、見た目的には普通に見える。
「財布をおとしてね。」
僕は嘘をついた。
「本当に?」
「ほんとほんと。」
「なんだ。そうだったんだ。」
とりあえず誤魔化すことに成功したようだ。
「鈴花ごめんな。途中で行っちゃて。」
「ううん、なんかあったんだよね。」
鈴花は許してくれるようだ。
「・・・あのね みっきゅん。」
「なに?」
鈴花は少し止まる。
何か言いたいのだが言えないような感じだった。
「ちょっと待ってね。」
そう言うということは、大きく深呼吸をした。
「後夜祭の時、教室で待っててもらってもいい?」
「分かった。」
そう言うと、鈴花は勇気を、
「お願いね。」
六文字に込めていた。
そのまま鈴花は行ってしまった。
僕は保健室に戻ることを再開する。
「みっくん。職員室に呼ばれてたけど。」
楓が聞いてくる。
「あれについて聞かれた。」
「そう。」
そう言うと楓が近づいてきて。
「ていっ。」
痛い所を蹴ってきた。
「いったぁーー!」
かなり痛い。
「なんで私たちに助けを求めないのよ。」
「そうだぞ。」
怖い。怒ってる顔だった。
政矢も少し怒っていた。
「結果的にあなたすごいボロボロじゃない。」
説教をされる。
「はいはい。ケガしてるんだから休ませてあげなさい。」
先生が言わなければ、もっと続いていた。
僕は少し休むことにした。
それからだいぶ時間がたったと思う。
体は十分完治した。
ピンポンパンポン
「これで文化祭を閉幕します。総合売り上げ順位を発表します。第三位三年二組 第二位・・二年三組 第一位三組一組。」
どうやら二日目で逆転されてしまった。
悔しい
頑張ってしていた分だけ悔しかった。
「行かないと。」
鈴花の言った教室は僕達はクラスの教室だろう。
生徒の皆は後夜祭が始まり、グラウンドでキャンプファイヤーの周りに集まっていて、とても静かだ。
ガラガラガラガラ
「あっきた。」
教室に行くと、鈴花が先に待っていた。
「話ってなに?」
「あのねみっきゅん。」
とても緊張した空気が流れている。
「みっきゅん。いえ、未琴。」
次の言葉は僕にとって驚きだった。
「私は未琴が好きです。私をあなたの恋人にしてください。」
僕のことが好き?なんで。
「ずっと昔から好きだった。未琴の優しいところが好きだった。ずっとずっと好きでした。」
僕は少し考えて・・・。
「ごめん。」
僕は鈴花を振った。
「そっか。」
「ごめんな。」
とても罪悪感が芽生える。
「西条さんだよね。」
「えっ。」
急に鈴花が言う。
「未琴。西条さんのこと好きなんでしょ。」
やっぱり僕は好きなんだろうか。
美智子さんにも言われたが、やはり美智子さんは大人だ。少し納得いってなかった部分もあった。
「やっぱり好きだったんだ。」
「多分。近くにいて気付いてないの、当人同士だけだよ。」
そう言うと、
「あぁー。チャンスあると思ったのになぁー。」
「鈴花。」
「私、未琴には幸せになって欲しいから、応援してあげるね。」
鈴花は強いと思う。
「早く行って。」
「ごめんな。でも絶対僕よりいい人現れるから。」
僕は扉を閉める。
歩き去った扉の中では一人の女の子が涙を流していた。
後日談というより当日談
グラウンドに向かっていた僕に一つの電話が鳴った。
「もしもし。」
「未琴さん。」
電話の相手は美智子さんだった。
「どうしたんですか。」
声が焦っていた。
「お姉さんが倒れました。」
「えっ。」
僕は立ち止まる。
姉さんが倒れた。
「今病院にいます。」
「今行きます。」
姉さん生きててくれ。
僕は急いで病院に向かう。
ガラガラガラガラ
「姉さん!」
「・・・未琴。」
この日姉さんが完全復活した。
さすがにあの嫌な視線はなくなった。
美琴とはいつもどうり放課後に会った。姉さんのことは鈴花には、姉さんの現状を伝え会わせた。一緒に暮らすにあたり隠しきることは出来ないと判断したからだった。
会ったとき鈴花はとても驚いていたが、今は慣れてくれた。
そして僕達は文化祭の準備が始まろうとしていた。
「何か文化祭でしたいことある人。」
僕達の高校の文化祭では模擬店と展示どちらか選んで文化祭に参加する。僕達のクラスは満場一致で模擬店になった。
「喫茶店がいいなぁー」
最初に提案したのはクラスのお調子者
名前は向田だったかな?
「私お化け屋敷とかいいと思う。」
次に女子のリーダー的な奴
名前は立花だと思う。
が提案する。
それを筆頭に各々様々な案を出した。
焼きそばにフランクフルトにたこ焼きなどの定番なものから脱出ゲームやわたあめなど珍しい案も出た。
ある程度出たところでそこからは当日の忙しさや集客効果や衛星管理や場所などの関係も含めながら話し合った。
その結果、
「今年の文化祭は執事・メイド喫茶に決定します。」
パチパチパチ
やることが決まり次は役割を決める作業に入る。
じゃんけんや挙手を含めた結果、僕と美琴はウェイトレス鈴花は衣装係になった。役割が決まったのでみんな準備を始める。僕達は接客術と発生の練習をすることになった。担任の先生が講師として教えてくれることになった。
「いらっしゃいませ。 はい!」
「「「いらっしゃいませ。」」」
「ご注文はどうされますか? はい!」
「「「ご注文はどうされますか?」」」
「皆さん。接客の基本は笑顔です。笑顔は忘れないように!」
かなり厳しい講習だ。
周りを見ると、みんな大変そうだった。しかし、美琴は普段から演技して過ごしているからか余裕な表情だった。
一方の僕は、
「神城君。もっと笑顔。」
とダメ出しを受ける。
元々そこまで笑うタイプの人間でもない僕はかなり大変だ。演技をしようとするがどうしてもぎこちない。この日は下校時間ギリギリまで練習させられた。
「やっと帰れる。」
解放されたときにはヘトヘトだった。
「そういえば。」
僕は美琴の近くに行き放課後について聞く。
「いつもの喫茶店で待っていてください。」
そういわれたので僕は喫茶店に向かった。
「お待たせしました。」
ほどなくして美琴はやって来た。
「これからのことですが。」
コーヒーを注文してすぐ美琴が切り出す。
「文化祭が終わるまでこの時間はお休みしようと思うわ。」
妥当な判断だと思う。
「分かった。・・・あのさ。お願いがあるんだけどいいかな?」
「何かしら?」
「ウェイトレスの時さ。笑顔になるでしょ。」
これを頼むのはとても恥ずかしい。
「笑顔のコツとか聞いてもいいかな。」
しかし今後のためにも知っておいた方がいい。
「・・・。」
「・・・。」
二人とも無言な時間が数秒間続く。
「・・ふふふ。」
この均衡を破ったのは美琴の笑い声だった。
「な・なんだよ。」
「いえ。真剣な顔をしていたから何事かと思っていたら笑顔のコツだったものだからついね。」
なんとなくこんなことになるだろうという予感がしていた。
「で、どっちなんだよ。」
僕は照れながら言う。
「分かりました。では休みはなしでこの時間を練習にしましょう。」
「いや コツを知りたいだけなんだけど。」
これ以上の練習は厳しい。
「コツを教えても練習しなければ上達しません。なので、練習します。」
美琴は多分頑固なタイプなのが分かった。
「よ・よろしくお願いします。」
「よろしい。じゃあ明日からよろしくね。」
翌日から学校での練習だけでなく美琴の個人レッスンも加わった。
「つ・疲れた。」
かなり疲れる。
そんな生活もかれこれ4日もすると慣れてしまった。
けれど問題が発生した。
「ちょっとさみっきゅん。」
鈴花が僕を呼び止める。
「なに?」
「帰り遅くない?」
現在の僕の一日のスケジュールは 朝起きて→ 朝ご飯を作り→ 学校へ行き→ 放課後美琴と会って→ 晩ご飯を作り→ 風呂に入り寝る
このルーティーンに一人分増え大変になった。もう慣れたけど。
「ねぇ。聞いてる?」
「聞いてるよ。」
僕は誤魔化す方法を考える。
「お買い物とか色々あるんだよ。」
僕達が放課後に会っているのは、二人だけの秘密だ。誰にも話す気はない。
「ふぅーん。そうなんだ。」
鈴花は納得は全くしてない顔だが、これ以上追及してくることはなかった。
「あ・あのさ。」
鈴花は意を決するかのように
「文化祭一緒に回らない。」
そう聞いてきた。
「それは一日目と二日目どっち?」
時は遡ること数時間前美琴と練習してるときだった。
「文化祭一緒に回りませんか。」
突然のことで驚いたがよくよく話を聞くとどうやら楓からお誘いがあったらしく僕には美琴から言うということになっていたようだった。
「分かった。一日目と二日目どっち?」
「一日目にしましょう。二日目からは休憩時間などが色々噛み合わなかったので。」
そんなことがあって一日目は行くことが出来ない。
「二日目かな。」
二日目を提案された。
「なら大丈夫だよ。」
「やったー! 楽しみにしてるね。」
鈴花はとても嬉しそうだった。
そんなに文化祭が楽しみだったんだと僕はとても驚いた。
そして約束した日から二日後、僕達の文化祭は幕を開く。
一日目は生徒だけの文化祭となっている。
「ここまで頑張って来ました。目指すは総合売り上げ一位。二年三組ファイト!」
おー!
先生の掛け声でクラス一同盛り上がってくる。
そして喫茶店は開店した。
メイド効果もあってか僕達のクラスは繁盛することが出来た。
しかし面倒な事も起こるもので、
「ねぇメイドさん。おまじない的なことしてくれないの?」
この喫茶店をメイド喫茶的なものと勘違いするバカが混じって来るようになった。
「ねぇ。」
ついにそのバカは女の子の腕を掴む。
女の子も困ってる。
このタイプ一番嫌いなタイプでありイライラするタイプだ。
僕自身楽しむことにたいして別に問題視してない。
けれど、もう少し常識的な楽しみ方をしてほしい。
止めるために近くに行こうとしたら
「少しいいかな。」
「なんだよ。ひっ!」
風刀がそのバカの腕を掴む。
「困ったるの気づかない?」
少し強めに言う。
「それに当店はそのような店ではございません。他のお客様もこのようなことをしますと他のお客様にも従業員にも大変迷惑になりますので、しないでください。」
あの体育祭の日以降、風刀達のいじめはなくなった。どころか今までいじめていた生徒に謝罪をしていた。
心変わりしてくれたのはとても嬉しかった。
「大丈夫?」
言い寄られていた女の子にもフォローの言葉をかける。
ある意味完璧イケメンになった。
人と言うのはとても不思議だなと改めて感じることができた。
風刀の言葉があったからかそこからはそういうことがなかった。
お昼になり僕と美琴は交代の時間になった。
「行こうか。」
「えぇ。」
僕達は二人の集合場所に向かった。
「遅いぞ。お前ら。」
集合場所にはすでに待っていた。
しかも、政矢は左手に焼きそばを持ち楓は左手にたい焼きをもっていた。
「お前らもう買ったのか。」
そんなにお腹すいてたのか。
ちなみに二人のクラスは焼きそばを焼いているらしい。
「さぁ。本格的に遊ぶぜ。」
政矢はとても楽しむ気満々だった。
「次はどこ行こうか?」
「まずは近くを攻めていこうぜ。」
政矢が指したのはお化け屋敷だった。
「まじか。」
正直に言うと僕は暗闇が苦手なのだ。ホラーなものはとても好きなのだが暗闇がどうしても苦手で、お化け屋敷はあまり得意ではない。
「入ろうか。」
「お・おう。」
もちろんそんなこと言えるわけなく。
「いらっしゃいませ。このお化け屋敷は二人ずつで行っていただきます。」
理由は教室が狭いからだそうだ。
「どうするか。」
「くじ引きしましょう。」
楓からの提案でくじ引きになった。
僕は楓とだけは嫌だった。理由はこれ以上弱みを握られたくないからだ。
「じゃあ。行くよ。せーの!」
くじ引きの結果、未琴・政矢 美琴・楓ペアになった。
僕としてはとてもホッとした。
「それでは進んでください。」
先に美琴・楓ペアが進み少ししたら僕達の番になった。
僕は恐る恐る入る。
「なにしてんの?」
中は思ったより暗かった。
「なんで野郎と一緒にお化け屋敷なんかに入らないといけないんだ。」
「くじの結果だろうが。」
僕は暗いなと少し怖かった。
「あのさ。」
お化け役の人が驚かしに来るが正直言って怖くない。
「お前もしかして怖いのか?」
政矢が聞いてきた。
「実は。」
僕は暗闇が怖いことを伝える。
「そりゃ知らなかった。でも、暗闇ってことは楓には・・・。」
「言わないでください。」
これは懇願だった。
「分かったよ。」
こんな話をしているともう出口だった。
「遅いわよ。」
先に出た二人はたこ焼きを食べていた。
「何かついてる?」
「青のりがついてるぞ。」
政矢はハンカチを持ち楓の口を拭う。
本当に仲睦まじい光景だった。
でもこれは恋人より兄妹見たいなものに見えるんだよな。
そこは少し惜しい。
「・・・。」
楓が少し照れる。
より子供っぽい。
ぐぅーーー。
「腹へった。」
みんなの食べてる姿を見たらお腹が空いてきた。
「たこ焼き食べますか?」
「うん、食べる。」
僕は安心したからか少し退行してしまった。
「か・可愛い。」
「なんか可愛いわね。」
えっ。なに?その反応。
とても困惑する。
「どうしたの?」
二人は声が漏れていたことに僕の顔から分かったのか
「うっふん」
と咳き込んだりしている。
「食べていいんだよね。」
「え・えぇどうぞ。」
たこ焼きを食べる。
空腹からかとてもうまい。
「昔から思ってたけどお前、姉貴と話してるとき幼児退行してるぞ。」
政矢から言われる。
政矢だけは僕の姉さんと面識があった。
「そんなわけ・・・あるの?」
政矢は顔を逸らす。
本当にそうなのか。
僕は不安になった。
しかしそんな不安感も色々なものを見ていくうちに忘れ去った。
「なぁ。将来の夢って何かあるか?」
色々と見て回って疲れた僕達は休める所で休んでいた所、そんな話になった。
「お前なんかあるのかよ。」
「そうだな~。」
全員真面目に考える。
「俺は公務員かな。」
政矢は答える。
「私は家を継ぐことななるのかしら。」
楓が答える。
「じゃあ組長か?」
「・・・。」
楓が照れてる。一瞬意味が分からなかったが、結婚したらそうなるのかな。
僕はそういうことはよく分からないけど。
「私は・・・なんでしょう。よくわからないわ。」
休憩所近くは誰もいないから素の状態だ。
「僕もなんだろう。」
学者にはなりたくないな。
「まぁ。ゆっくり考えればいいよな。」
「そうね。」
「そうだな。」
政矢の言葉に同調する。
しかし忘れてはいけない。
僕達(特に美琴)はこれからがあるか分からない。
そこからは他愛ない会話をしている。
そうこうしているうちに文化祭一日目が終わった。
「一日目途中売り上げ報告をいたします。」
放送が聞こえる。みんな放送台に耳を澄ませる。
「第三位三年二組。第二位三年一組。」
三位も二位も三年生なので、不安になる。
「第一位は二年三組」
「「「やったーーー!」」」
クラス中が歓喜していた。
「明日は一般の方もいらっしゃいます。皆さん楽しむのはいいですが節度を持って楽しみましょう。」
放送はこの言葉で終わった。
「皆さん、今日はお疲れ様でした。」
先生が言う。
「お疲れ様です。」
「明日からが勝負です。頑張って行きましょう。」
僕達の文化祭一日目が幕を閉じる。
いつも通り僕達はいつもの喫茶店で美琴と会う。
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様。」
回るのは楽しかったがさすがに疲れた。
「明日はもっと大変なんでしょうね。」
「そうだろうな。」
二日目からは一般公開となる。そのため一日目と比べてお客さんの量が必然的に増えていく。
「頑張らないと行けないな。」
「そうですね。」
たったそれだけの会話をして美琴と別れて家に帰る。
「みっきゅん西条さんとどういう関係なの?」
家に帰ると鈴花に問われる。
僕は放課後のことがばれたのかと思った。
「な・なんでそんなこと言うのかな?」
「今日見たんだ。」
どうやら文化祭を僕と美琴と楓と政矢とで一緒に回っているのを見ていたらしい。
僕は放課後のことを見られていなくてホッとした。
「だから気になるんだ。どういう関係?」
「友達だよ。西条さん今年の四月にこっちに越してきたんだけど、ほら僕も西条さんって両方名前が「みこと」じゃん。 そこから仲良くなったんだ。 後の二人も友達だよ。 小学校の頃からずっと仲良しなんだ ちょうど鈴花と入れ違いで友達になったのかな。」
嘘はついていない。ただ美琴との関係は少し複雑なだけだ。
「ふぅーんそうなんだ。」
とりあえず鈴花は納得してくれた。
「ならいいか。」
「なんか言った?」
「ううん。なんでもないよ。明日は楽しみにしてるよ。」
鈴花は部屋に戻って行った。
僕は姉さんの部屋に行った。
「姉さん。最近話せてないね。」
忙しくなって姉さんの部屋で長い時間話すということはなかった。
「 今日から文化祭だったんだ。結構頑張ったんだよ。出し物は執事・メイド喫茶なんだ姉さんと一緒だね。」
姉さんが飛び降りる前最後の文化祭は僕達と同じ出し物をしていた。
ちなみに、僕と姉さんは同じ高校に行ってない。姉さんは女子高に行っていた。
「 姉さん 政矢覚えている?政矢のクラスはね焼きそばをしてるんだって、売り上げを聞いたら全然ダメだって言ってた。僕たちのクラスは1位だったんだよ。」
そこからはずっと話していた。ふと時計を見ると二時間以上ずっと喋っていた。
「もうこんな時間か。姉さんも眠いよね。」
僕は立ち上がって、
「おやすみ。」
僕はドアを手にかける
「・・・・・みこと。」
「えっ。」
姉さんの声がした気がして振り返るが姉さんはいつものような感じだった。
「気のせいかな。」
僕はドアを閉めた。
翌日
いよいよ文化祭二日目
「人どれだけ来ますかね。」
開始前から全員緊張しっぱなしなだった。
ピンポンパンポン
これより文化祭二日目が始まります。皆さん、節度を持って楽しみましょう。今日は一般開放です。色々な人が来ますのでトラブルには十分に注意してください。
放送委員の子が開始の合図をかける。
「それではよーいスタート。」
こうして文化祭二日目が幕を開けた。
二日目の お客さんの入りは予想通り1日目よりもかなり多かった。 最後尾はこちらというプラカードを持たないといけないほどの行列になった。
多分午後からこれよりも人が増える。
大丈夫かどうか不安になった。
「いらっしゃいませ。」
とりあえず目の前のお客さんの接客しないといけない。
「ガチのメイドさんいるじゃん。」
一般的な接客をし
「最後になりますが当店ではメイドサービスといったものは行われておりません。どういう周りのお客さんに迷惑をかけないようによろしくお願いします。」
昨日の件を受けて毎度お客さんに対して説明することになった。
この説明が効果あったのか、そういうことを要求するお客さんはゼロ人だった。
「神城君。次のお客さん頼むね。」
僕は言われるがまま向かう。
「いらっしゃいませ・・・って楓と政矢!」
「よぉ。繁盛してるじゃねぇか。」
「みっくん意外とその服似合っているわよ。」
「楓! 霧城君も来たんですね。」
美琴もやってきた。
「美琴。メイド服似合っているじゃない。」
「意外と似合ってるじゃないか。」
まさか来るとは思わなかった。
「西条さん次の人。」
「分かりました。じゃあ。」
美琴は呼ばれて行ってしまった。
「ご注文は何にしますか ?」
「俺お菓子セットとコーヒー。」
「私はコーヒーを頼むわ。」
「お砂糖はいくつですか ?」
「俺はブラックで。」
「私は三つお願い。」
意外と楓は甘党のようだった。
政矢が頼んだお菓子セットは多分楓のためだろう。
本当に仲いいな。
「少々お待ちください 。」
そこからは普通に進めていった。
「俺たちへ帰るわ。」
「午後から私たち仕事なの。」
食べ終わって帰るらしく僕たちに挨拶をする。
「午後には行こうかな。」
「おう。店の売り上げに貢献してくれ。」
二人は教室から出ていく。
そこからはお昼に連れてお客さんが増えてきた。
ウェイトレスは大変だったあっちにいったりこっちにいったりも色々てんやわんやだった。
その大変な状況もなんとか乗り切り交代の時間になった。
「つ・疲れた。」
とても疲れた。
とても疲れているが、そんな事言ってる暇はない。
僕は鈴花との待ち合わせ場所に向かおうとした。
「神城君は午後から何か予定があるんですか?」
美琴が聞いてくる
「鈴花と待ち合わせしているんだ 。」
「へぇー。」
美琴は意味ありげな言葉を発する。
怒っているのかな ?
しかしここで追求すると駄目なのは姉で十分学んだ。
「そういうことなんだじゃあ僕は行くから」
僕は、待ち合わせ場所に急いだ
「みっきゅんおそーい!」
鈴花は口を尖らせてブーブーと怒っていた。
「ごめんごめん人が思っているより多くて」
「もーう 早く行くよ。」
鈴花に引っ張られるながら進む。
僕たちが見て回ったのは1日目には行ったことのないところを中心に見て回っていっ。
政矢・楓がやっている焼きそば屋にも行ってきた 。
「よう 来たな。」
「約束したしね。」
二人は会計をしていた。
「てっきり政矢は作る担当だと思っていたんだけどな 。」
会計をやっているのは意外だった。
「俺も焼くぜ。でも、今は他のやつがやっているんだ。」
なるほど 焼く人が異なるっていうのは売る時の手段としてはとても良いと思う。 「でそちらの方は誰だい。」
「 初めまして笛餅鈴花です。よろしくお願いしますね 。」
鈴花は笑顔で手を出す。
「俺は霧城政矢だ。よろしく。」
「 私は豊城楓よ よろしくね笛餅さん。」
二人とも握手する。
仲良くなりそうでよかった。
「じゃあ焼きそばふたつ。」
ちょうど出来たらしくそれをもらう
「頑張れよ」
「おうよ。」
僕達は別れる。
焼きそば は意外と美味しかった。
「 美味しいですね。」
「だな。」
かなり量があったがぺろっと食べることができた。
「次はどこに行く?」
「どこでもいいよ。」
これあまりにも失敗の手だった。
「もう もう少しエスコートとしてよ」
怒らせてしまった
「ごめん」
女の子の心と分からないまぁ男も分からないのだが。
そこからは色々と遊ぶ、輪投げなんかもした。
「楽しいね。」
「あ・あぁ。」
ふと窓を見た。そこで僕は見てしまった。 美琴が男の人に連れて行かれるところを。「鈴花悪い。」
僕は走り出した。
「みっきゅん・みっきゅーん!」
見たところまで行くと声が聞こえてきた。
「 君かわいいね。」
「あの離してください。」
紛れもなく美琴の声だ。
「俺でいいことしようぜ。」
僕は校舎の隅で様子を伺う。
「助け。」
「おい!声を出すな。」
口を抑えられてしまっていた。
次の瞬間、僕は男の人の後ろに立っていた。
「おい。てめぇ 何しやがる。」
男の肩に手を乗せる。
「なんだよ。」
男が振り返る。
「てめぇ。何してやがる。」
気づくと一発顔面を殴る僕がいた。
男がよろめく。
「走って逃げて!」
僕は美琴に言う。
「あのっ。」
「いいから早く。」
その時本当に顔が怖かったのだろう。
美琴が何も言わず逃げる
「てめぇ!」
僕は腹に一撃を食らう。
僕はその場にうずくまる。
「何してくれとんじゃボケ」
横から蹴りが入る。
かなり痛い。
けどこの痛みは風刀達で慣れた。
「おらぁー。」
僕は頭突きを入れる。そしてそのまま男の玉をつかむ。
「このやろう。」
男は痛みから解放されるために背中や腹を殴ってくる
おもわず離してしまった。
その後とか僕のことをつかみ膝打ちをする。
しかし痛みが残っていたのか追撃をしてこない。
「 こらお前たち何をやっているんだ!」先生がやってきた。
「チッ!」
男は逃げ出した。
「君大丈夫か。」
「僕は大丈夫ですので、早くあの男を追ってください。」
僕は先生に言う。
「分かった。」
先生達は追いかけていった。
「いっててて。」
僕はその足で保健室に向かう。
コンコン
「失礼します。」
先生は僕が入ってきた瞬間に驚いていた
「どうしたの?」
「女の子を助けた結果です。」
嘘は言っていない。
「神城君。」
美琴が入ってきた。
「大丈夫ですか?」
「なんとか大丈夫かな。」
少し痛い。
「本当にありがとう。」
「私少し席をはずしますね。」
先生が行ってしまい二人きりになってしまう。
少し気まずい。
「本当に怖かった。」
美琴は泣き出した。
僕はよしよしと頭を撫でる。
余計に泣かれた。
守りたい
そう思った。
美琴を泣かせるやつは許せない。
これは今まで思ったことのない感情だった。
「あら。神城君。女の子を泣かしたらダメでしょ。」
「えぇー。」
いや。僕のせいではないでしょ。
そこから五分美琴は泣き続けた。
「恥ずかしい。」
泣き止んだ美琴は現在、ベッドの中に入っていた。
ガラガラガラガラ
「美琴!」
楓と政矢がやって来た。
「おまえかっけぇじゃん。」
政矢からお褒めの言葉を頂いた。
「ありがとう。」
僕は二人にここまでの気持ちを抱くことが出来るのだろうか。
きっと出来ないんだろうと思う。
美琴と二人の違いは一体なんだろう。僕は分からない。とても悩む。けれども分からない。
キーンコーンカーンコーン
「神城未琴君二年三組神城未琴君。至急職員室まで。繰り返します・・・。」
どうやら僕は呼ばれているらしい。
「行ってくるよ。」
休んだお陰で痛みはだいぶ和らいだ。
コンコン
「失礼します。二年三組の神城未琴です。」
「神城君。」
僕を呼んだのは担任の先生だった。
「先生。」
呼ばれた理由は、あのケンカ?の件だった。
僕は理由を聞かれ、僕は正直に話した。
「そうなのね。」
先生は少し悩んでいた。
「よし。」
何かを決めたようだった。
「まず始めに、犯人は捕まりました。今の話を聞く限り、警察に引き渡すべきと判断しました。」
僕はホッとした。人の多いところに出られて逃げられて捕まらなかったということがなかったのか。
「次に、君の勇気はとても素晴らしいです。私感動しました。女の子を助けるヒーローですね。
ですが、やり過ぎです。自分自身がボロボロじゃないですか。時には、逃げることも必要です。」
どうやら悩んでいたのは、どう叱るべきかだったのだろう。
「最後に。」
まだあった。
そう思っていると、先生は僕の手を握る。
「ここからは西条美琴の先生としてです。あの状況はとても怖いと思います。そこに、助けに来てくれた君は西条さんにとってとても救われたと思います。本当にありがとう。私の教え子を助けてくれて。」
先生が頭を下げられた。
こんな風にお礼を言われたことがないため、僕は戸惑う。
「先生。僕はたまたまその場にいただけです。」
本当にたまたま窓を見てたまたま見つけた。
本当にそれだけだ。
「それでも、助けてくれました。普通は、戦う勇気は持てません。」
どうやら、こちらが折れる方が良さそうだ。
「分かりました。では、僕は誇ります。一人の女の子を助けたヒーローだって。」
「ふふふっ。」
笑われてしまった。
「神城君変わりましたね。一年生の頃にはこんな感じではなかったような気がします。」
そう感じたのは、美琴と出会ったのが大きいのだろう。
「とりあえず話は終わります。ケガは大丈夫ですか?」
「大丈夫です。では失礼します。」
扉を閉じる。
「いっつ。」
まだ痛みは完治してなかった。
とりあえず保健室に僕は戻ろうとした。
「みっきゅん!」
鈴花がやって来た。どうやら走ってきたらしく息が少し荒い。
「鈴花。」
「みっきゅん。職員室に呼ばれてたげど、何かあったの?」
あのケンカ?は現状僕・美琴・先生・楓・政矢しか知らないようだ。顔は殴る蹴るをされてないので、見た目的には普通に見える。
「財布をおとしてね。」
僕は嘘をついた。
「本当に?」
「ほんとほんと。」
「なんだ。そうだったんだ。」
とりあえず誤魔化すことに成功したようだ。
「鈴花ごめんな。途中で行っちゃて。」
「ううん、なんかあったんだよね。」
鈴花は許してくれるようだ。
「・・・あのね みっきゅん。」
「なに?」
鈴花は少し止まる。
何か言いたいのだが言えないような感じだった。
「ちょっと待ってね。」
そう言うということは、大きく深呼吸をした。
「後夜祭の時、教室で待っててもらってもいい?」
「分かった。」
そう言うと、鈴花は勇気を、
「お願いね。」
六文字に込めていた。
そのまま鈴花は行ってしまった。
僕は保健室に戻ることを再開する。
「みっくん。職員室に呼ばれてたけど。」
楓が聞いてくる。
「あれについて聞かれた。」
「そう。」
そう言うと楓が近づいてきて。
「ていっ。」
痛い所を蹴ってきた。
「いったぁーー!」
かなり痛い。
「なんで私たちに助けを求めないのよ。」
「そうだぞ。」
怖い。怒ってる顔だった。
政矢も少し怒っていた。
「結果的にあなたすごいボロボロじゃない。」
説教をされる。
「はいはい。ケガしてるんだから休ませてあげなさい。」
先生が言わなければ、もっと続いていた。
僕は少し休むことにした。
それからだいぶ時間がたったと思う。
体は十分完治した。
ピンポンパンポン
「これで文化祭を閉幕します。総合売り上げ順位を発表します。第三位三年二組 第二位・・二年三組 第一位三組一組。」
どうやら二日目で逆転されてしまった。
悔しい
頑張ってしていた分だけ悔しかった。
「行かないと。」
鈴花の言った教室は僕達はクラスの教室だろう。
生徒の皆は後夜祭が始まり、グラウンドでキャンプファイヤーの周りに集まっていて、とても静かだ。
ガラガラガラガラ
「あっきた。」
教室に行くと、鈴花が先に待っていた。
「話ってなに?」
「あのねみっきゅん。」
とても緊張した空気が流れている。
「みっきゅん。いえ、未琴。」
次の言葉は僕にとって驚きだった。
「私は未琴が好きです。私をあなたの恋人にしてください。」
僕のことが好き?なんで。
「ずっと昔から好きだった。未琴の優しいところが好きだった。ずっとずっと好きでした。」
僕は少し考えて・・・。
「ごめん。」
僕は鈴花を振った。
「そっか。」
「ごめんな。」
とても罪悪感が芽生える。
「西条さんだよね。」
「えっ。」
急に鈴花が言う。
「未琴。西条さんのこと好きなんでしょ。」
やっぱり僕は好きなんだろうか。
美智子さんにも言われたが、やはり美智子さんは大人だ。少し納得いってなかった部分もあった。
「やっぱり好きだったんだ。」
「多分。近くにいて気付いてないの、当人同士だけだよ。」
そう言うと、
「あぁー。チャンスあると思ったのになぁー。」
「鈴花。」
「私、未琴には幸せになって欲しいから、応援してあげるね。」
鈴花は強いと思う。
「早く行って。」
「ごめんな。でも絶対僕よりいい人現れるから。」
僕は扉を閉める。
歩き去った扉の中では一人の女の子が涙を流していた。
後日談というより当日談
グラウンドに向かっていた僕に一つの電話が鳴った。
「もしもし。」
「未琴さん。」
電話の相手は美智子さんだった。
「どうしたんですか。」
声が焦っていた。
「お姉さんが倒れました。」
「えっ。」
僕は立ち止まる。
姉さんが倒れた。
「今病院にいます。」
「今行きます。」
姉さん生きててくれ。
僕は急いで病院に向かう。
ガラガラガラガラ
「姉さん!」
「・・・未琴。」
この日姉さんが完全復活した。
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