エッセイ【何となく話したくなった小噺達】

夜櫻 雅織

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第4話 『命は、たった一度だけ震える風』

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命って、不思議だ。
当たり前に持っているのに、どうやって生まれて、いつ終わるのかさえ分からない。
それでいて、たった一度しか持てない。

呼吸をする。
それだけで、私たちは“生きている”とされる。
でも、呼吸するだけじゃ生きている実感なんて湧かない。
「心が動くとき」こそ、私は初めて「命ってこれか」と思う。

誰かの言葉に心が震えたとき。
綺麗な景色を見て、涙が出そうになったとき。
何もかもがうまくいかなくて、それでも生きようと足掻いたとき。

そういう瞬間が、命の証明になる。

命って、永遠じゃない。
だけど、「永遠ではない」というその事実が、むしろ愛しい。

花が枯れるから、美しいと感じるように。
音楽が終わるから、その一瞬を忘れたくなくなるように。
命もまた、いつか終わるからこそ、その時間が意味を持つ。

終わりがあるから、怖い。
けれど、終わりがあるから、必死に今を抱きしめようとする。

私は時々、星空を見て思う。
宇宙の時間軸で見たら、人の一生なんて点にも満たない。
でも、その点の中には、たくさんの感情が詰まっている。
愛も、悲しみも、怒りも、優しさも――全部、命があるから生まれたものだ。

命は、風みたいなものだと思う。
見えなくて、触れられなくて、でも確かに通り過ぎる。
そして、誰かの心をふと揺らす。

明日、自分がどうなるかなんて分からない。
けれど今日、「ちゃんと生きよう」と思えたなら、
それは命が確かにここに在るってことだ。

だから私は、こうしてまた、言葉を紡ぐ。
命に触れるように。命を灯すように。
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