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第一章
王都へ ルイス視点
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価値観は違えど、対応は地球と同じかそれ以上とは………。
あの討伐から一週間ほど。
俺もラインハルトもメンタルが回復しつつある。
あんまりウジウジしていると母さんが天国から蹴飛ばしに来そうだからなぁ……。ちょっと本気の蹴りは受けた事ないから遠慮したい。
ラインハルトは未だにこちらを伺う事があるが、その度にどついている。
そんな俺だが、少々この世界について気になる事ができたのである。
というのも、つい先日のことである。
討伐の後、騎士団は王都へ帰ったが、俺とラインハルト、そして討伐部隊は、設営したキャンプに残っていた。
まあ、ラインハルトは領主としての仕事もあるので3日に一度のペースだが。
その3日に一度の日、お昼ごはんを食べている最中に事件は起こった。
「きゃぁああ!!!」
近くで悲鳴があがった俺達は、すぐさま悲鳴の元へと駆けつけた。あ、フェンリルの俺の感覚での近くだぞ。
駆けつけた先では、魔物に襲われている青年が一人。
すぐに保護できたのだが………。
なんとその青年、妊婦さんだったのである。青年も妊婦さんも誤字ではない。
青年(男)で、妊婦さんだったのである。
驚くべき事はまだ続く。
その青年、ラインハルトを見て気絶した。気絶した青年を見てラインハルトが放った一言を皆さんにお聞かせしよう。
「俺が化け物なのは気にしてないから……て、ルイスは人間の美醜など気にしていないか…。」
さて、ここで俺は考えた。
それはもう、2日ほど。
俺はその2日間で仮説をたてた。
一つ。多分この世界は男性も女性も妊娠できる。これはほぼ確定だ。そして同性婚ができる。青年の夫を名乗る男が迎えに来たのでこれもほぼ確定である。
二つ。美醜の感覚が違う事だ。美醜が反転してる訳ではないと思う。というのも、ラインハルトが青年に気絶された件について、少々腑に落ちない事があるからだ。
気絶されるほどの容姿、つまり恐ろしい化け物の反対は何か。人によると思うが、大体は神々しい美形などをイメージするだろう。
ここでラインハルトの容姿を俺は再確認した。
じーっと見つめるとラインハルトと目が合う。首を傾げながら微笑むその姿は大変美丈夫だ。
ただ、神々しい美形では無いのだ。どちらかといえばイケメンではなく男前。神々しいではなくかっこいい。
美形ではあるのだが超絶美形ではないのだ。反転したとてそこそこの不細工になるだけである。気絶されるほどの化け物にはならない。
ということで長くなったが、美醜の感覚が大幅に俺と違う、ということだ。
そして思った事は一つ。
結局フェンリルの俺には関係なくね?である。
何をもってして美醜が決まるのか、さっぱりわからんし、耳の形とかで決まると言われても、今ならそうか、で済ませる気がする。
なにせ俺はフェンリル!関係ないからな!
まあ人間だった頃でも変わらないけどな。平凡顔は変わらずだ。……いや、反転している訳ではないから、もしかしたら俺も気絶される可能性が……?
う~ん…。別に気絶された事は無かったから、多分平凡なままだな。やっぱり俺には関係ないな。
…………まあ、ラインハルトの事は少々気になる。自分の姿を見て人が気絶するなど気分のいいものではないだろう。
…………だからと言って、俺が何かしてやれる訳でもないが、俺で良ければいつでも、もふもふさせてやろう。慰める事はできないが、傍に居てやるくらいはできるからな。
「ルイスぅ~…。」
「わふ?」
何だ何だラインハルト、情けない声をだして。もふるか?
「ウ゛ッ……ルイスの優しさが身に染みる。」
うん。疲れているようだな!!
ほらほら休め、と言うふうにベットに引っ張る。素直にベットに寝転がったラインハルトは、ぽつりぽつりと話しだした。
「……さっき、王都から連絡があった。キメラについて、詳細な事情を聞きたいそうだ。」
ほうほう。
「……………………。」
凄い嫌そうだな……?
ぐりぐりと俺の腹に頭を擦り付けるラインハルト。報告に行くと嫌いな人にでも会うのか?
「ハァァァァ………。」
ラインハルトは、物凄いため息を吐いてから寝落ちた。
…………ついて行けたらついて行こう。
次の日。
現在王都へ向う馬車の中である。
王都行きは大分急に決まったようで、ファーリーさんが大慌てで準備していた。
俺の同行はOKらしい。
そして問題のラインハルトだが………。
「スゥーーーーーーー。」
俺の腹に絶賛埋まっている。
もふもふだろう。だが吸うな。俺は猫ちゃんじゃない。
「ハァァ…………。」
…………今日だけだぞ!
盛大にため息をしながらどんよりとした空気を出すラインハルトに、吸うのを許してしまう俺であった。
こう言う時に話が聞けないのは不便だな……。
久しぶりに人間に戻りたくなった。
あの討伐から一週間ほど。
俺もラインハルトもメンタルが回復しつつある。
あんまりウジウジしていると母さんが天国から蹴飛ばしに来そうだからなぁ……。ちょっと本気の蹴りは受けた事ないから遠慮したい。
ラインハルトは未だにこちらを伺う事があるが、その度にどついている。
そんな俺だが、少々この世界について気になる事ができたのである。
というのも、つい先日のことである。
討伐の後、騎士団は王都へ帰ったが、俺とラインハルト、そして討伐部隊は、設営したキャンプに残っていた。
まあ、ラインハルトは領主としての仕事もあるので3日に一度のペースだが。
その3日に一度の日、お昼ごはんを食べている最中に事件は起こった。
「きゃぁああ!!!」
近くで悲鳴があがった俺達は、すぐさま悲鳴の元へと駆けつけた。あ、フェンリルの俺の感覚での近くだぞ。
駆けつけた先では、魔物に襲われている青年が一人。
すぐに保護できたのだが………。
なんとその青年、妊婦さんだったのである。青年も妊婦さんも誤字ではない。
青年(男)で、妊婦さんだったのである。
驚くべき事はまだ続く。
その青年、ラインハルトを見て気絶した。気絶した青年を見てラインハルトが放った一言を皆さんにお聞かせしよう。
「俺が化け物なのは気にしてないから……て、ルイスは人間の美醜など気にしていないか…。」
さて、ここで俺は考えた。
それはもう、2日ほど。
俺はその2日間で仮説をたてた。
一つ。多分この世界は男性も女性も妊娠できる。これはほぼ確定だ。そして同性婚ができる。青年の夫を名乗る男が迎えに来たのでこれもほぼ確定である。
二つ。美醜の感覚が違う事だ。美醜が反転してる訳ではないと思う。というのも、ラインハルトが青年に気絶された件について、少々腑に落ちない事があるからだ。
気絶されるほどの容姿、つまり恐ろしい化け物の反対は何か。人によると思うが、大体は神々しい美形などをイメージするだろう。
ここでラインハルトの容姿を俺は再確認した。
じーっと見つめるとラインハルトと目が合う。首を傾げながら微笑むその姿は大変美丈夫だ。
ただ、神々しい美形では無いのだ。どちらかといえばイケメンではなく男前。神々しいではなくかっこいい。
美形ではあるのだが超絶美形ではないのだ。反転したとてそこそこの不細工になるだけである。気絶されるほどの化け物にはならない。
ということで長くなったが、美醜の感覚が大幅に俺と違う、ということだ。
そして思った事は一つ。
結局フェンリルの俺には関係なくね?である。
何をもってして美醜が決まるのか、さっぱりわからんし、耳の形とかで決まると言われても、今ならそうか、で済ませる気がする。
なにせ俺はフェンリル!関係ないからな!
まあ人間だった頃でも変わらないけどな。平凡顔は変わらずだ。……いや、反転している訳ではないから、もしかしたら俺も気絶される可能性が……?
う~ん…。別に気絶された事は無かったから、多分平凡なままだな。やっぱり俺には関係ないな。
…………まあ、ラインハルトの事は少々気になる。自分の姿を見て人が気絶するなど気分のいいものではないだろう。
…………だからと言って、俺が何かしてやれる訳でもないが、俺で良ければいつでも、もふもふさせてやろう。慰める事はできないが、傍に居てやるくらいはできるからな。
「ルイスぅ~…。」
「わふ?」
何だ何だラインハルト、情けない声をだして。もふるか?
「ウ゛ッ……ルイスの優しさが身に染みる。」
うん。疲れているようだな!!
ほらほら休め、と言うふうにベットに引っ張る。素直にベットに寝転がったラインハルトは、ぽつりぽつりと話しだした。
「……さっき、王都から連絡があった。キメラについて、詳細な事情を聞きたいそうだ。」
ほうほう。
「……………………。」
凄い嫌そうだな……?
ぐりぐりと俺の腹に頭を擦り付けるラインハルト。報告に行くと嫌いな人にでも会うのか?
「ハァァァァ………。」
ラインハルトは、物凄いため息を吐いてから寝落ちた。
…………ついて行けたらついて行こう。
次の日。
現在王都へ向う馬車の中である。
王都行きは大分急に決まったようで、ファーリーさんが大慌てで準備していた。
俺の同行はOKらしい。
そして問題のラインハルトだが………。
「スゥーーーーーーー。」
俺の腹に絶賛埋まっている。
もふもふだろう。だが吸うな。俺は猫ちゃんじゃない。
「ハァァ…………。」
…………今日だけだぞ!
盛大にため息をしながらどんよりとした空気を出すラインハルトに、吸うのを許してしまう俺であった。
こう言う時に話が聞けないのは不便だな……。
久しぶりに人間に戻りたくなった。
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