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第六章 竜人世界ドラゴニア編
第4話 ハウスウォーミング・パーティ2
しおりを挟む大物ゲストの登場で盛りあがったパーティは、いよいよ家族の出し物となった。
まずは、庭の塀に沿って円形に空けてもらう。
「では、ここからは、俺の家族がそれぞれ一芸を披露します」
俺の合図で、コルナ、ナル、メルが点ちゃんボードを持って位置に着く。ルルが旗を振ると、ボードに乗った三人がゆっくり滑りだす。
パーティに来ている子供達は、身を乗りだして見ている。
三人のスピードがだんだん上がりだす。
見ている子供達から歓声が上がる。
やがて、コルナ、ナル、メルは、姿がぼやけるほどのスピードで滑りはじめた。
「「「わーっ!!」」」
見ている子供達の興奮が凄い。
スピードが落ち、ボードから三人が降りると、あっというまに子供達に取りかこまれた。
「乗せて!」
「僕にも、教えて!」
あまり時間が無いので、三人が子供を一人ずつボードに乗せ、庭を一周ずつした。
パーティに来てくれた子供達の目がキラキラ輝いていた。
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次は、ルルとリーヴァスさんによる演目である。
舞台の中央に、青いドレスを着たルルが静かに立っている。
リーヴァスさんは、袖(そで)の所で椅子に座っている。その手には、よく磨かれ飴色になった笛がある。彼が、それを横笛の要領で口に当てると、素晴らしい音色(ねいろ)が流れだした。最初はゆっくり、そして、だんだんテンポが上がってくる。
ルルはそれに合わせて優雅に踊る。青いドレスの裾(すそ)がひらひら舞って美しい。
俺は初めて見る彼女の踊りに釘づけだった。
曲が終わり、ルルが最初の姿勢に戻っても、観客はしばらくシーンとしていた。マスケドニア王が立ちあがり拍手したのをきっかけに、みなの拍手が嵐のように起こった。
二人は礼をして舞台を降りた。
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次は、コリーダの番である。
痩せていた彼女も、この世界に来てからよく食べ、よく眠り、かなり体力も出てきた。
黒いドレスを着た彼女が舞台に立つだけで、ざわついていた皆が静まる。コリーダは人を惹きつける、強烈なカリスマをオーラのように身にまとっている。
足元には猪っ子コリンがちょこんと座った。
静かに、低く、そして豊かに、彼女の歌が始まる。それは、エルファリアの神話を題材にした歌だった。
彼女の声、そのバイブレーションが、辺りを満たす。
パーティ参加者が涙を流している。
歌は、サビの盛りあがりを迎えたあと、穏やかに終わった。
俺も初めて聞いた、彼女の魅力、人としての力である。誰も動こうとしないので、仕方なく俺が拍手を始めた。
拍手は、津波のようにパーティ会場に広がった。
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家族の出し物が終わると、ハピィフェローの皆が近づいてきた。
「凄い出し物だったな」
「ボク、鳥肌立っちゃった」
「私、あの歌もう一回聞きたいな」
「そうね、私も聞きたいわ」
「俺はルルちゃんの踊りが、また見てみたい」
最後のは、言わずとも知れたブレットである。
そこへ、ちょうど飲み物を両手に持ったコリーダがやって来た。
「はい、シロー」
俺は彼女の手からエルファリアのジュースを受けとる。ついでだから、ハピィフェローの皆に、彼女を紹介する。
「こちらは、エルフのコリーダ。俺の新しい家族です」
「凄い歌だった!」
「また聞きたいわ!」
ハピィフェローの女性二人は、コリーダと握手している。
俺は、男達三人に取り囲まれた。
「シロー君、彼女との関係は?」
「すごくきれいな人だね。オレ、あんな綺麗な人初めてだ」
「おい! もしかして、エルフの姫って?」
握手を終えたコリーダが、こちらに来る。
「初めまして。シローの妻、コリーダです」
「コ、コ、コ、コリーダさん。お、お、お、俺はブレットです」
コ、コ、コ、ってニワトリみたいになってるな、ブレット。
その後、ブレットは史郎を庭の隅に連れていき、散々嫌味を言った。
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パーティのしめは史郎による、点魔法の打ちあげ花火だった。
暗くなりかけた夜空に、大輪の花が続けざまに咲く。参加者は、それを心から楽しんでくれた。
俺が「たまやー」と叫ぶと、皆もなぜか「たまやー」とまねている。
『たまやー』
おいおい、点ちゃんもかい。
異世界に、変な言葉を流行(はや)らせてしまわないか心配だ。
パーティが終わると、ギルドの人々と俺の家族が片づけを始める。
俺はナルとメルを寝かせると、マスケドニア王とショーカを送ることにした。
「シロー、帰りもあの飛行機に乗れるのかな?」
ショーカは、点ちゃん1号が気に入ったようだ。
「帰りは別の方法を使います。きっと、驚きますよ」
俺が言うと、マスケドニア王が喜んでくれた。
「おお! また、驚かせてくれるのか。楽しみじゃな」
「では、さっそく」
点魔法で、二人と共にマスケドニア王宮の貴賓室に移動した。
「えっ!?」
「こ、これは、どういうことじゃ……」
二人が呆然としている。
「俺の新しい魔法です」
「……」
しばらく呆然としていた二人が、やっと動き出す。
「シローには、いつも驚かされるばかりじゃな」
「全くです」
陛下に置き場所を聞き、点収納からさっそくコケットを出しておいた。
「では、シロー。酒とふわふわベッドのこと、よろしく頼むぞ」
「はい、分かってます。では、勇者は、二三日借りておきますね」
「ああ、久しぶりの再会なのだろう。ゆっくりさせてやってくれ」
「では、良い風を」
「「良い風を」」
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