上 下
21 / 44

21・貧血じゃないから ※微

しおりを挟む


 そんな話をしていたら突然、レクラムさんの動きが止まり、何かを探る様に瞳を閉じている。

 それはほんの数秒の事で、ゆっくり瞼を上げたレクラムさんは

 「ユースがアルヴィスとフレメンを連れて戻ったようです」

 と告げた。
 え、ホントに? 何で分かるの?って思ってたらクルト君が「出迎えて来ます」と言って部屋を出て行った。





 暫くすると本当にユースが戻って来ていて、その後ろには俺より少し歳上ぐらいの二人の男性。
 あれ? この二人って荷車の側にいた人達だ。

 んで、確か調理も手伝ってくれたよな?
 って見てたら、そっと俺の右手が持ち上げられた。
 アージェンだ。

 「この血は?」

 あ、魔石が割れた時の。
 手はクルト君が拭いてくれたけど、服にも付いてたんだ…。
 あぁー、白い服なのにぃ。
 汚しちゃた……。

 「ちょっと魔石が割れちゃって。
 でも怪我は治してもらったから大丈夫」

 「怪我を…したのか?」

 え、なに? アージェン動揺してるの?
 レクラムさんの赤裸々暴露を聞いても平然としてたのに?
 何故っ!

 アージェンは僅かに眉を寄せ、自分が怪我をしたかの様な表情を浮かべて、俺の手の平に唇を落とした。

 !!!!!!!!?

 何してんのっ何してんのっ何してんのおおぉっ

 俺の動揺を余所よそにアージェンは俺の手の平を唇でスリスリと撫でている!

 俺…何されてんの?
 身体全体が熱を持ち、心臓がバクバクして苦しい…。
 身体が震え目眩がした。

 フラつく身体をアージェンが支え、軽々と横抱きにした。
 お姫様抱っこだ。
 俺、男。

 でも恥ずかしい事に足の力が抜けて自力で立てない。
 俺は恥ずかしくてアージェンの首に抱き着き、顔を埋めるしか無かった。

 「兄君は貧血を起こした様だ」

 いや違うよ! 貧血じゃないよ?!
 アージェンの所為だよっ

 俺の心の中の叫びは誰かに聞こえる筈も無く、そのまま自分の部屋まで運ばれて行った。










 「んっ…ぁあ…っ」
 ジュッ…クチュ…

 俺の大事なトコロは今、アージェンの熱い口の中で追い詰められている。

 「ひぁ…あぁっ」
 
 なんっで、こんな、ことにっ





 アージェンに獅噛しがみ付いた状態で部屋に戻って来た俺。

 後ろで小さく「ここに置いておきます」と聞こえた。
 きっと、ユースが連れて来た二人の内どちらかだ。

 お礼を言う前にパタン…と扉が閉まる音と、出て行く気配がして、アージェンは俺を抱えたままベッドに座った。

 何時までもこうしていられない。と顔を上げたら、真っ直ぐ見つめて来る紫水晶がそこにあった。
 揺れる紫水晶がゆっくり近づいて来て…フニっと唇と唇が触れる。

 柔らかい。

 身体はこんなに筋肉質で硬いのに唇は柔らかい。

 「こんな、傷を付けるなんて」

 ほんの少し唇が擦れる程度に離して紡ぐ声。

 「側で、守れなかった、自分が不甲斐ない」

 痛々しく切実な声。

 ああ。

 そうか。

 アージェンは。

 アージェンは…。
 
 仕事に対して凄く真面目な人なんだっ
 だから俺が怪我した事を悔やんでるんだ。

 でも距離が近い。
 それに何でキス?
 怪我させてごめんなさい。のキス?
 アージェンの所為じゃないのに。
 こんなの、男でも勘違い………んっ

 少し離れていた唇が戻って来た。
 今度は俺の下唇を軽く挟み、緩く引っ張って…離す。

 僅かに開いた俺の唇に再び戻って来るアージェン。
 開いた隙間からヌルりと何かが入って来てジュルリと俺の舌を吸い上げる。

 「んぅっ…っ」

 驚いて舌を引っ込めると、追いかける様に更に奥まで入って来る。
 追いつかれた俺の舌はヌルヌルと撫で回され、その刺激で腰がビクビク跳ねる。

 「ふっ…ぁ…」

 気持ち良い。

 あぁ、これアージェンの、舌だ。
 気持ち良い。

 クチュクチュと掻き回される度に溢れる唾液。
 口いっぱいになって、苦しくて、飲み込む為にアージェンの舌も一緒に吸う。

 唾液を飲み下すと、透明の糸を引きながら濡れた唇が離れて行く。

 「は…ぁ…」

 「こちらもなだめたい」

 「あっ…」

 キスの熱が冷める間も無く、俺の中心部がするりと撫でられる。
 そこは苦しいくらいに張り詰めていて、本来は他人ひとに触れさせる場所じゃ無いのに…。

 アージェンの手は大きくて温かくて、もっと。って求めてしまう。

 「どうか、許可を」

 ずっと無表情を通して来たアージェンの表情が今は切なげに歪んでいる。

 「っ、…でも、」

 「俺が、触れるのは、嫌ですか?」

 懇願するような眼差し。

 「嫌じゃ、ないっ…けど、」

 「では、許可を」

 ずるい。

 こんなの頷くしか無いじゃないか。
 身体が火照って仕方がない。
 ギリギリ保っている理性の糸が切れたら、俺はきっとこの熱をはしたなくアージェンに擦り付けてしまう。

 言葉にする代わりに俺はコクリと頷いた。



 俺をベッドに横たわらせたアージェンは、再び俺にキスをする。

 何度も角度を変え、舌先同士を擦り合わせ、くすぐる様に俺を翻弄し、気付けばローブは捲り上げられ、ズボンと下着は取り払われていた。

 「はぁ…ん、んぅ…」

 アージェンはキスをしながら、大きな手で俺の陰嚢から上へ、芯を持った熱を撫で上げる。

 チュッと音を立てて唇が離れた事に寂しさを感じると、繋いでいた右手から手を外し、俺の手の平をレロっと舐めた。
 
 「ひゃぅ…っ」

 まるで母猫が仔猫の体を舐める様に手の平全体を優しく丁寧に舐め。
 その擽ったさに身を捩るが、俺の上に大きな身体が覆い被さっている為、逃げる事は出来ない。

 左手でシーツを握り締め、悶える俺の腕の内側をアージェンの舌がツーっと這って下に降りて行く。

そのまま体ごと下に沈んで行き、張り詰めていた俺のモノが熱い粘膜に覆われた。

 「ふあっ? ああっ…」

 驚いて下を見ると、俺の陰茎をアージェンがすっぽりと咥えている。
 気持ち良いっ、気持ち良い…けどっ

 「やっ…あぁっ、あー…じぇ、…ん、そんな、とこっ…あっ、あ、きたな、いぃ…からっ」

 そんなとこ誰かに咥えられた事なんて無い。
 それにまだ、シャワーも浴びて無いのにっ

 「あ、あ、あ…っ」

 ジュルルッっと音を立てながら根元から先端へ向け吸い上げ、チュポっと口を離したアージェンは

 「汚い事など無い」

 と視線だけを俺に向けて呟き、また咥えてしまった。

 「んっ…ぁあ…っ」
 ジュッ…クチュ…

 再び迎え入れられた俺の陰茎はアージェンの熱い咥内でどんどん追い詰められて行く。

 「あ、あ…でるっ!も、でるからぁっ」

 限界を感じ、アージェンの頭を離させようとするが……離れない!

 しかも出るって言ってるのにっ先っぽ部分を口に含み、舌で鈴口をグリグリ抉りながら手で下から上へ扱き出した。

 そんな事をされた俺はたまったものじゃないっ
 脊髄に電流が流れ、身体がガクガク震え…。

 「ひぁ…あぁっ…」

 呆気なくイってしまった。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生先はもふもふのいる世界です

BL / 連載中 24h.ポイント:489pt お気に入り:926

南国特有のスコールが初恋を連れてきてくれました

BL / 連載中 24h.ポイント:291pt お気に入り:711

寄るな。触るな。近付くな。

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:610

ある神と贄の、取り立てて何もない日

BL / 完結 24h.ポイント:1,072pt お気に入り:41

転生したら魔王の専属料理人でした

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:12

側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。

BL / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:3,644

処理中です...