恋、しちゃおうかな

ももくり

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は、は??

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「なあ、山川。もしかして美玲も知ってるのか?その、三ツ谷と俺が付き合ってるって話をさ」
「え?ああ、三ツ谷本人が美玲に報告したらしいけど。違うなら、早く三ツ谷の誤解を解いてやれよ」
 
 ああ、クソ!
 美玲のやつ、勘違いしてんのか。
 
 俺の結婚相手が、三ツ谷だって?
 なんでだよ、俺、お前と付き合ってるのに。
 
 いつの間にか3杯目のビールも飲み干していて。酔ったせいで、内緒にしていたことがスラスラと口を衝いて出る。…美玲とは真剣に付き合っているつもりだと。他の女とは手を切ったし、プロポーズもした。なのにスレ違ってしまったようだと。
 
 相変わらず俺にだけ冷たい山川は、吐き捨てるように言う。
 
「美玲からすればさ、好きな男に本命の彼女がいると思ってて。そいつから『結婚考えてるから、ケジメつけよう』なんて言われたら、別れの言葉だと受け取るに決まってるだろうよ。
 
 お前さ、本当になんなの?
 不器用とかのレベル、もう超えてるんだけど」
 
「…仕方ないよ。俺、モテるから」
「はあッ?!」
 
「いや、自慢とかじゃなくて。今まで、特に何もしなくても女の方から寄って来るっていうか。喜ばせるようなことも言わないし、何か買ってやったりもしないのに、『スキスキ』言われちゃうんだぜ?
 
 努力なんか必要ないんだもん、お陰様でこの仕上がりだよ。肝心なときに役立たずなの、俺」
 
 素直な気持ちを伝えたのに、山川は怒り出す。

「アホか。お前程度の男はな、営業部に行けば中の中だよ。システム部にいるからこそモテてるだけで、思い上がるのもいい加減にしろっつうの。
 
 モゲろ!そんで、美玲をイケメンの大沢課長に奪われて、大泣きすればいいんだよ、お前なんかッ」
 
 …モゲろ??
 ああ、アソコのことか。
 酷いこと言うなあ、山川ってば。
 
「山川ってさ、裏表激しいのな。美玲にはあんなに優しいのに」
「好きな女だぞ?優しくするのは当たり前だろ」
  
 ああ、そうか。
 妙に納得した。

「山川って、スゴイな。なんで美玲のこと好きなのに、大沢課長とのことを応援出来るんだ?」
「俺はもうスッパリ振られたからな。後は、お前以外の男と幸せになってくれればそれでイイんだよ」
 
 俺以外。
 なんか、分かる気もするけど。
 
「ごめんな、山川。残念ながら美玲は、俺に惚れてると思うんだ」
 
『そんなことで謝るな』と、また怒られ。シュンとして見せれば、今度は『ウザイ、本気で落ち込むな』と叱られて。そろそろ帰ろうかと思ったそのとき、山川がスマホの画面を見て固まった。
 
「おい、美玲からLINE届いたんだけど、アイツ、大沢課長と付き合うことにしたってさ」
 
 …は?
 …は、は??
 
 
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