恋、しちゃおうかな

ももくり

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鈴木さんと海江田さん

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「うーん。じゃあさ、こっちをお願い」
「ハイ、では納期は3日後ですね」
 
 キラリンッと婚約指輪を輝かせ、私は資料を半分受け取る。
 
 あれから1カ月。挙式は半年後に決まったが、いろいろと問題が発生した。システム部門は、2人1組のチーム制を導入しており。私と鈴木さんの2人が新婚旅行に行くと、チームが1つ機能しなくなってしまうのだ。
 
 残る2チームもなかなかの激務っぷりで、とても仕事を分配出来る感じでは無く。『これを機に改善しようではないか』と部長がようやく重い腰を上げ、先週から人員補充された。
 
 なんと、システム部門からヘルプデスク部門に異動させられた作本さんが出戻り、山川さんと海江田さんもこちらに移ってきて。3チームにそれぞれ1人ずつ追加されたのだが、ウチに入った海江田さんがどうしてか不機嫌で。
 
「ほんと迷惑よね。社内恋愛なんかされちゃ。絶対にイチャイチャしないでよ?!ココは職場なんですからッ」
 
 それは私ではなく、鈴木さんに言って欲しい…。
 ああ、ほら、また。
 
「美玲~。あのさあ、今日は早く帰れそうだし、一緒に岩盤浴でも試してみないか?なんか流行ってるみたいだぞ、岩盤浴」
 
 ええっ?!
 いったい、いつの情報ですか。
 
 それを聞いた海江田さんがビシッと言う。

「鈴木さん、そのトレンディ情報、古いですよ。いや、鈴木さんには『トレンデー』と言うべきなのかな。とにかく、仕事中は雑談禁止ですッ」
 
 今日も海江田さんは素敵に髪の毛ベタベタで、いつ入浴したのかも不明な感じだ。
 
「俺が言うのもなんだけどさ、海江田さんも一応、女なんだからもっと身だしなみに気を付けたら?いったい、いつ風呂に入ったのさ」
 
 彼女は堂々と答える。
 
「3日前よ。なんか文句ある?」
「へええ~」
 
 思わず感嘆の声を上げ、そしてハッとする。いや、あの。1週間以上入ってないと思ってて。それが3日前とか言うから、意外に短いなと。
 
 それにね、よく見ると目もパッチリしてるし、可愛い顔をしているのに何故こんなにも、女を捨てているのか。添田師匠と杉崎師匠がいたらきっと、お怒りだっただろうなあ。
 
 …などと思いつつ、鈴木さんと海江田さんのお笑いコンビみたいなやり取りを聞いていた。
 
「だいたいねえ散々、女を泣かせてきたくせに、自分だけ幸せになろうなんてこのクサレ外道が」
「はあん?!余計なお世話だっつうの。羨ましいんだろ?自分が男ッ気ないからって。人のことをとやかく言う前に、自分のお世話を先にしろっての」
 
 小学生みたいなこの口ゲンカは、どんどんエスカレートしていき。
 
「その気になれば、最高の男を捕まえるわよッ」
「早くその気になれるといいな」
 
 そう、どんどん、どんどん。
 
「営業部の大沢課長を彼氏にしてみせるわッ!」
「絶対に無理だな。やれるもんならやってみろ」
 
 …と、海江田さんは啖呵を切ってしまったのだ。
 
 
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