呪詛返死

蓮實長治

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第7章:空虚なる者達

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 久しぶりに仕事場に戻ってきた。
 連載再開の目処さえ経っていない。
 SNS上では次にやると予告していた「公金チュ~チュ~系エセ・フェミNPO」のモデルになった団体と、その背後に居る某政党や「ナンタラ集団」から圧力がかかった、って噂が立ってるが……実際は、アシスタントが居ないからだ。
 今、俺の担当編集の松田が新しいアシスタントの募集をやってくれてるが……どうも、何かヤバい事が起きたって噂も広まってるらしく……。
 デビューしたての頃みたいに、一から十まで自分でやるしか無いか……。
 そう思って、仕事場のドアを開けると……。
「な……何だ……こりゃ……?」
 おい、冗談じゃねえぞ、ここ……俺の所有物モンじゃなくて、借りてんだぞ……。
 マズいぞ、大家に見付かったら……。
 仕事場の壁と言う壁に油性マジックらしいモノでデカデカと落書きがされていた。
『調べろ』
『大春日』
『陰陽師』
『八ぼう星』
『組合せ井筒の家紋』
『形代』
『呪詛返し』
『必ず記録を複数残せ』
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