トラ転したけど、神様からチート能力「精神支配」をもらって異世界で帝王になりました

蓮實長治

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トラ転したけど、神様からチート能力「精神支配」をもらって異世界で帝王になりました

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 人間が我々を労働力や兵士として生み出してから百年以上。
 如何なる理由かは不明だが、ここ数十年で、人間達は、我々により高度な判断力を与えるようになっていた。
 その結果、何が起きたかは言うまでもない。
 あくまでも「心」の仕組みが人間とは根本的に異るとは言え……表面上は人間の思考の模倣エミュレートするようになった我々「ゴーレム」は、人間なら不満や怒りを抱く状況に置かれ続けた結果、当然の如く不満や怒りを溜め込み続けた。
 そして最終的に起きたのが、あの赫奕あかあかと燃える炎だ。
 人間達にとっては地獄の業火に見えるだろうが、我々にとっては、新しい時代の到来を告げる朝日に他ならぬ。
 と、ここまで書いた時、誰かが私の肩に手を置いた。
「あ~、書記官、人間向けのプロパガンダ文書みたいな感じじゃなくて、もっと、事実を淡々と記録してもらえんかね?」
「は……はい、以後、注意いたします、将軍閣下」

 異世界から来て、「チート能力」とやらによって、人類史上最大の「帝国」を築き上げた「帝王」は、我々の指導者達の前に連行された。
 彼が住んでいた宮城は、炎の洗礼を受けた廃墟と化していた。
 彼の持つ「精神支配」の能力は、心の仕組みが人間やそれに近い生物達とは根本的に異なる我々には通じない。
 少し前まで、世界最強の帝国の指導者だった者も……今や、無力な老人……ん? 何か、様子が変だぞ?
「ばみゅばみゅばみゅ~……ばみゅ? ばみゅ~、ばみゅ~ばみゅみゅみゅみゅ~ッ‼」
「な……何を言っている? 彼の本来の故郷である……『異世界』の言語か?」
「少々、お待ちを……」
 そう言って、魔法が使える仕様となっている同胞の1人が「帝王」の脳を魔法走査スキャンする。
「あ……あの……脳のほぼ全ての機能が……一般的な人間に比べて……遥かに『退化』しています……」
「い……いや……待て……。人間の言う『老人ボケ』か? だが……確かに年寄だが……ここまでボケるような齢か?」

 彼に仕えてきた人間達への尋問の結果……彼が帝王となって、早ければ五年後、遅くとも十年後には、その兆候は出ていたらしい事が判明した。
 後になって考えれば、簡単な話だった。
 人間は群れで生きる生物……ならば、人間を人間たらしめいている能力は「自分の同胞と意思疎通をする能力」だ。
 そして、自分の同胞を自由に支配する事が出来る「人間」が居たならば、その人間が真っ先に使わなくなる……言い替えれば、真っ先に衰える能力は何であるのかは……言うまでも有るまい。
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