14 / 27
迷子の竜、都に行く
帰宅
しおりを挟む
Sideコニー
コニーは二年間の都生活を終えて、村に帰ってきた。
「かーちゃん! ただいま!」
コニーは外で待っていてくれた母親のもとへ飛び込んでいく。後ろから、ふわふわととポチも飛んでくる。
ちなみにこの二年で、ポチは身体も成犬ほどの大きさになり(それでも丸いのだが)、二メートルの高さを飛べるようになった。高度が倍になったのは進歩だと思う。
「コニー、ポチちゃんもお帰りなさい」
母親はにこにこ笑ってコニーを抱きしめた。
「それにしても、すごい乗り物で帰ってきたのねぇ」
母親がちょっと離れた場所を眺める。
「あのね! アオさんが送ってくれたんだ!」
アオさんとは、ポチの友達の青い竜のことである。コニーとポチが村に帰るのだと告げると、送っていってくれると申し出てくれたのだ。
「帰りはびゅーんて速かったよ!」
おかげで行きは苦労した道のりも、帰りは青い竜に乗ってひとっとびであった。これで乗り物(?)酔いを起こしては、二度と竜に乗らなかったかもしれない。そもそも青い竜にのって帰るという話になったのも、コニーが行きの道のりで、乗合馬車にひどく酔ったことが原因である。
「人の足では遠かろうが、我の翼であればひとっとびだからな」
親切な青い竜に、コニーはお礼を言った。
「ありがとー、アオさん! 後でかーちゃんにりんごのパイを焼いてもらって、一緒に食べようね!」
「たくさん焼かなきゃいけないわね。ところでコニー、もうひとつ聞きたいのだけど」
にこにこ笑顔な母親に、コニーは首を傾げる。
「あっちの白い方はだぁれ?」
「ああ、アレは景色だと思っていただければよい」
母親に疑問に答えた青い竜の言い草に、
「白い方」
は拗ねて石ころを蹴っていた。石ころといっても、人間ほどの大きさの岩であるが。
「あのねー、あれポチのとーちゃんなんだよ!」
続いてコニーが答えた。
コニーの帰郷に、ポチの父親もついて来ていたのであった。二匹の竜がいるおかげで、村が狭く感じるコニーであった。
Sideポチ
コニーが村に帰ることになったので、当然ポチも一緒に帰ることにする。
そう青い竜に告げると、コニーの家族が住む村が見たくなったらしく、村まで送ってくれるという。人間が移動するにはとても遠い場所にある村なので、送ってくれるのは正直ありがたかった。
がしかし。この帰郷にオマケがついてきてしまった。話を聞きつけたポチの父親が、自分も行くと言ってきたのだ。
ポチの父親はどうやら、鼻っ面を燃やされただけでは懲りなかったらしい。定期的にポチに会いに都までやってくるのだ。
「我が子が世話になったお礼を、親である私がせねばなるまい!」
「いらぬ世話である」
むん、と胸を張って言う父親に、ポチは速攻で返す。村の場所が知れたら、そこへも現れるに違いない。
なんというか、ポチとこの父親とでは、性格の不一致というか、馬が合わないところがあった。一緒にいてイラっとするという表現が正しいだろう。妙にナルシストなところも気に入らない。きっと己は母親に似たのだとポチは思う。
なんとか父親を拒否しようとしたポチだったが、妙なところで押しが強い相手なので、結局ついて来られてしまった。こうなれば、仕方ないと諦める方が、疲れなくていいだろう。
コニーの家族との再会を果たしたところで、村の端の開けている場所で、竜三匹とコニーは仲良くりんごのパイを食べていた。
「やはりこのりんごのパイが一番美味である」
「都でもいろいろ食べたけど、やっぱりかーちゃんが作ったのが一番おいしいね」
ポチとコニーは、久しぶりの味をかみ締めていた。
「ふぅむ、なかなかおつな味だな」
「我が子はこのようなもので餌付けされたのか」
大人の竜向けに、超巨大なりんごのパイを焼いてもらい、青い竜とポチの父親も食べていた。初めて食べる人間の味に、二匹は夢中である。
「気に入ったらまた、遊びにくるといいよー」
「父はくるな」
笑顔のコニーに対して、冷たいポチであった。
「ひどい、我は父なのに……」
どこまでも冷たい我が子の仕打ちに、ポチの父親はいじけていた。そういう態度が嫌われるのだと、ポチの父親はなかなか気付かない。
竜三匹とコニーの姿を、村人たちが遠巻きに見物している。子供が何人か、ポチの父親の抜け毛をくすねているのが見える。長い毛なので、集めたらフカフカのマフラーができそうだ。
こののんびりとした空気が、帰って来たという気分にさせる。
「やっぱりおうちが一番だね!」
「うむ!」
仲良しのコニーとポチは、りんごのパイを口いっぱいに頬張って、そう言ってにっこり笑い合うのだった。
コニーは二年間の都生活を終えて、村に帰ってきた。
「かーちゃん! ただいま!」
コニーは外で待っていてくれた母親のもとへ飛び込んでいく。後ろから、ふわふわととポチも飛んでくる。
ちなみにこの二年で、ポチは身体も成犬ほどの大きさになり(それでも丸いのだが)、二メートルの高さを飛べるようになった。高度が倍になったのは進歩だと思う。
「コニー、ポチちゃんもお帰りなさい」
母親はにこにこ笑ってコニーを抱きしめた。
「それにしても、すごい乗り物で帰ってきたのねぇ」
母親がちょっと離れた場所を眺める。
「あのね! アオさんが送ってくれたんだ!」
アオさんとは、ポチの友達の青い竜のことである。コニーとポチが村に帰るのだと告げると、送っていってくれると申し出てくれたのだ。
「帰りはびゅーんて速かったよ!」
おかげで行きは苦労した道のりも、帰りは青い竜に乗ってひとっとびであった。これで乗り物(?)酔いを起こしては、二度と竜に乗らなかったかもしれない。そもそも青い竜にのって帰るという話になったのも、コニーが行きの道のりで、乗合馬車にひどく酔ったことが原因である。
「人の足では遠かろうが、我の翼であればひとっとびだからな」
親切な青い竜に、コニーはお礼を言った。
「ありがとー、アオさん! 後でかーちゃんにりんごのパイを焼いてもらって、一緒に食べようね!」
「たくさん焼かなきゃいけないわね。ところでコニー、もうひとつ聞きたいのだけど」
にこにこ笑顔な母親に、コニーは首を傾げる。
「あっちの白い方はだぁれ?」
「ああ、アレは景色だと思っていただければよい」
母親に疑問に答えた青い竜の言い草に、
「白い方」
は拗ねて石ころを蹴っていた。石ころといっても、人間ほどの大きさの岩であるが。
「あのねー、あれポチのとーちゃんなんだよ!」
続いてコニーが答えた。
コニーの帰郷に、ポチの父親もついて来ていたのであった。二匹の竜がいるおかげで、村が狭く感じるコニーであった。
Sideポチ
コニーが村に帰ることになったので、当然ポチも一緒に帰ることにする。
そう青い竜に告げると、コニーの家族が住む村が見たくなったらしく、村まで送ってくれるという。人間が移動するにはとても遠い場所にある村なので、送ってくれるのは正直ありがたかった。
がしかし。この帰郷にオマケがついてきてしまった。話を聞きつけたポチの父親が、自分も行くと言ってきたのだ。
ポチの父親はどうやら、鼻っ面を燃やされただけでは懲りなかったらしい。定期的にポチに会いに都までやってくるのだ。
「我が子が世話になったお礼を、親である私がせねばなるまい!」
「いらぬ世話である」
むん、と胸を張って言う父親に、ポチは速攻で返す。村の場所が知れたら、そこへも現れるに違いない。
なんというか、ポチとこの父親とでは、性格の不一致というか、馬が合わないところがあった。一緒にいてイラっとするという表現が正しいだろう。妙にナルシストなところも気に入らない。きっと己は母親に似たのだとポチは思う。
なんとか父親を拒否しようとしたポチだったが、妙なところで押しが強い相手なので、結局ついて来られてしまった。こうなれば、仕方ないと諦める方が、疲れなくていいだろう。
コニーの家族との再会を果たしたところで、村の端の開けている場所で、竜三匹とコニーは仲良くりんごのパイを食べていた。
「やはりこのりんごのパイが一番美味である」
「都でもいろいろ食べたけど、やっぱりかーちゃんが作ったのが一番おいしいね」
ポチとコニーは、久しぶりの味をかみ締めていた。
「ふぅむ、なかなかおつな味だな」
「我が子はこのようなもので餌付けされたのか」
大人の竜向けに、超巨大なりんごのパイを焼いてもらい、青い竜とポチの父親も食べていた。初めて食べる人間の味に、二匹は夢中である。
「気に入ったらまた、遊びにくるといいよー」
「父はくるな」
笑顔のコニーに対して、冷たいポチであった。
「ひどい、我は父なのに……」
どこまでも冷たい我が子の仕打ちに、ポチの父親はいじけていた。そういう態度が嫌われるのだと、ポチの父親はなかなか気付かない。
竜三匹とコニーの姿を、村人たちが遠巻きに見物している。子供が何人か、ポチの父親の抜け毛をくすねているのが見える。長い毛なので、集めたらフカフカのマフラーができそうだ。
こののんびりとした空気が、帰って来たという気分にさせる。
「やっぱりおうちが一番だね!」
「うむ!」
仲良しのコニーとポチは、りんごのパイを口いっぱいに頬張って、そう言ってにっこり笑い合うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる