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迷子の竜、お城に行く
王子様襲来 前編
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Sideコニー
そのとき、コニーはポチと散歩をしていた。
「今日もいい天気だねぇポチ」
「うむ! 散歩日和である」
のんびりと村の中を歩くコニーとポチに、村人たちは声をかけてくる。
「コニー! 今度竜にのせてくれよ!」
「アオさんがいいって言ったらねー」
「ポチ、あんた少し太ったんじゃないかい?」
「む……、本日は少々食事を減らすことにする」
そんなふうに、村人たちと他愛ないおしゃべりをするコニーとポチを、じっと見ている姿がある。その姿は、一定の距離を保ってずっとコニーたちのあとをついてきていた。
その者は明るい金髪で小奇麗な服を着ており、薄汚れていない。ひと目で村人ではないし、普通の旅人でないことが分かる。
なにせこの村は、街道から外れた辺鄙な場所にあるのだ。旅人は、以前おじさんがやってきたときのように、くたびれた襤褸切れみたいになっているのが通常である。
つまりは、コニーとポチの跡をずっとついてきていることが、最初から周囲にバレバレであった。
「ねーポチ、あの人なにかなぁ?」
コニーはポチに小声で尋ねる。
「怪しい人間には近寄らない方がよいのである」
「そーだねー」
ポチの最もと言える発言に頷いたコニーは、後ろからずっとついてくる不審者のことを気にしないことにした。村人たちも、コニーたちに会いに来る見知らぬ人間に慣れていたため、特別咎めることをしなかった。
そんなわけで、その不審者は村の中で放置されているわけなのであった。不審者が、コニーとポチに声をかけることが出来ずに困っていると知らずに。
不審者をひっつけたまま、コニーは帰宅した。
「にーちゃん、ただいまぁ!」
家の表で作業をしていた兄に、コニーはぱたぱたと駆け寄る。
「おかえりコニー、ポチ。何か面白いことはあったかい?」
そう尋ねるピートに、コニーはにっこり笑顔で答えた。
「うん! 怪しい人がいた!」
面白いどころか事件である。だが、ピートは心配気な様子など見せず、普通に聞いた。
「怪しいって、どんな奴だい?」
コニーはすぐさま、後ろを指さした。
「あそこにいる人!」
果たしてそのあたりの木の影に例の不審者がいた。
「あのね、俺たちの散歩にずーっとついてきてたんだー」
「……。」
ピートが無言でその不審者の姿を観察し、少し頭が痛そうな仕草をする。
「なにしてるんですか?」
ピートが不審者に話しかけるも、返事はない。
「にーちゃん、とーちゃん呼んだほうがいい?」
コニーがピートに尋ねた時、ちょうど家の中から母親が出てきた。
「あらあら、どうしたの?」
コニーが母親に不審者を示して説明する。
「かーちゃん、怪しい人がいる!」
すると母親は、おっとりと首を傾げた。
「あらあら、確かに怪しいわぁ。ここにいるはずのない人ですものねぇ。何してらっしゃるんですか王子様?」
この母親の発言に、不審者は慌てて木に隠れたり出たりを繰り返した。
「王子様? あの人が?」
「そうよぉ」
コニーが尋ねると、母親が頷いた。
「王子様……」
コニーは頭の中に、絵本に描かれている王子様像を思い描く。キラキラした髪にキラキラした服、白いタイツをはいた絵本の王子様と、目の前の人物を見比べる。概ね王子様像に似通っているが、一点だけ違うところがある。
「……白タイツじゃないよ?」
「うむ、王子服でないのである」
コニーの指摘に、ポチも同意する。
これに、ピートが頬をピクピクさせながら、コニーをフォローした。
「外で白タイツをはいたら汚れるじゃないか。きっとお城の中ではくんだよ」
「そーなんだー」
「一つ賢くなったのである」
ピートの話を素直に信じるコニーに、誰もツッコミを入れなかった。
「で、王子様はなにか用なのかな?」
ピートが疑問を口にすると、木にしがみついていた王子様が、ビクリと肩をはねさせた。
「俺、聞いてくる!」
コニーがてててっと駆けて行くと、王子は慌てて走ってコニーとの距離を開ける。
「……?」
コニーはなにをしているんだろうと思ったが、構わず追いかける。すると、王子様が逃げるを繰り返す。
村を三周して、王子様がへばりそうになったところで、ピートがコニーに待ったをかけた。
「その人、他人と話をするのが怖い人だから、追いかけるのをやめてやって」
「そう? わかった」
コニーは素直に追いかけるのをやめて、ピートの元へと戻っていく。
「もう少し早く、止めてやればよかったのではないか?」
ポチの呟きが聞こえたわけではないだろうが、ピートはポチを見てにっこり笑った。
「いやぁ、治っているかと思って、一応試してみたんだよね」
ピートとポチが見つめ合う中、王子様は倒れ込んで息も絶え絶えであった。
そのとき、コニーはポチと散歩をしていた。
「今日もいい天気だねぇポチ」
「うむ! 散歩日和である」
のんびりと村の中を歩くコニーとポチに、村人たちは声をかけてくる。
「コニー! 今度竜にのせてくれよ!」
「アオさんがいいって言ったらねー」
「ポチ、あんた少し太ったんじゃないかい?」
「む……、本日は少々食事を減らすことにする」
そんなふうに、村人たちと他愛ないおしゃべりをするコニーとポチを、じっと見ている姿がある。その姿は、一定の距離を保ってずっとコニーたちのあとをついてきていた。
その者は明るい金髪で小奇麗な服を着ており、薄汚れていない。ひと目で村人ではないし、普通の旅人でないことが分かる。
なにせこの村は、街道から外れた辺鄙な場所にあるのだ。旅人は、以前おじさんがやってきたときのように、くたびれた襤褸切れみたいになっているのが通常である。
つまりは、コニーとポチの跡をずっとついてきていることが、最初から周囲にバレバレであった。
「ねーポチ、あの人なにかなぁ?」
コニーはポチに小声で尋ねる。
「怪しい人間には近寄らない方がよいのである」
「そーだねー」
ポチの最もと言える発言に頷いたコニーは、後ろからずっとついてくる不審者のことを気にしないことにした。村人たちも、コニーたちに会いに来る見知らぬ人間に慣れていたため、特別咎めることをしなかった。
そんなわけで、その不審者は村の中で放置されているわけなのであった。不審者が、コニーとポチに声をかけることが出来ずに困っていると知らずに。
不審者をひっつけたまま、コニーは帰宅した。
「にーちゃん、ただいまぁ!」
家の表で作業をしていた兄に、コニーはぱたぱたと駆け寄る。
「おかえりコニー、ポチ。何か面白いことはあったかい?」
そう尋ねるピートに、コニーはにっこり笑顔で答えた。
「うん! 怪しい人がいた!」
面白いどころか事件である。だが、ピートは心配気な様子など見せず、普通に聞いた。
「怪しいって、どんな奴だい?」
コニーはすぐさま、後ろを指さした。
「あそこにいる人!」
果たしてそのあたりの木の影に例の不審者がいた。
「あのね、俺たちの散歩にずーっとついてきてたんだー」
「……。」
ピートが無言でその不審者の姿を観察し、少し頭が痛そうな仕草をする。
「なにしてるんですか?」
ピートが不審者に話しかけるも、返事はない。
「にーちゃん、とーちゃん呼んだほうがいい?」
コニーがピートに尋ねた時、ちょうど家の中から母親が出てきた。
「あらあら、どうしたの?」
コニーが母親に不審者を示して説明する。
「かーちゃん、怪しい人がいる!」
すると母親は、おっとりと首を傾げた。
「あらあら、確かに怪しいわぁ。ここにいるはずのない人ですものねぇ。何してらっしゃるんですか王子様?」
この母親の発言に、不審者は慌てて木に隠れたり出たりを繰り返した。
「王子様? あの人が?」
「そうよぉ」
コニーが尋ねると、母親が頷いた。
「王子様……」
コニーは頭の中に、絵本に描かれている王子様像を思い描く。キラキラした髪にキラキラした服、白いタイツをはいた絵本の王子様と、目の前の人物を見比べる。概ね王子様像に似通っているが、一点だけ違うところがある。
「……白タイツじゃないよ?」
「うむ、王子服でないのである」
コニーの指摘に、ポチも同意する。
これに、ピートが頬をピクピクさせながら、コニーをフォローした。
「外で白タイツをはいたら汚れるじゃないか。きっとお城の中ではくんだよ」
「そーなんだー」
「一つ賢くなったのである」
ピートの話を素直に信じるコニーに、誰もツッコミを入れなかった。
「で、王子様はなにか用なのかな?」
ピートが疑問を口にすると、木にしがみついていた王子様が、ビクリと肩をはねさせた。
「俺、聞いてくる!」
コニーがてててっと駆けて行くと、王子は慌てて走ってコニーとの距離を開ける。
「……?」
コニーはなにをしているんだろうと思ったが、構わず追いかける。すると、王子様が逃げるを繰り返す。
村を三周して、王子様がへばりそうになったところで、ピートがコニーに待ったをかけた。
「その人、他人と話をするのが怖い人だから、追いかけるのをやめてやって」
「そう? わかった」
コニーは素直に追いかけるのをやめて、ピートの元へと戻っていく。
「もう少し早く、止めてやればよかったのではないか?」
ポチの呟きが聞こえたわけではないだろうが、ピートはポチを見てにっこり笑った。
「いやぁ、治っているかと思って、一応試してみたんだよね」
ピートとポチが見つめ合う中、王子様は倒れ込んで息も絶え絶えであった。
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