17 / 27
迷子の竜、お城に行く
お城に行こう!
しおりを挟む
Sideポチ
コニーの両親を始めとした村人たちに見送られ、一行は城へと向かった。優雅に空を飛ぶ青い竜を、村人たちは羨ましそうに眺めていた。
しかしポチは城までの空の道のりを、単独飛行をすることになった。何事も練習だそうだ。
「ポチがんばれー!」
青い竜の背中で、コニーが応援してくれている。
しかし、風に巻かれてくるくると回っているポチは、正直コニーの声援など聞こえてはいなかった。
「目が回るうぅ……」
特訓の成果で高い場所を飛べるようにはなったのだが、いかんせん風に遊ばれてしまう。はっきりいって風になめられていると言ってもいいだろう。
「竜としての威厳が足りないのではないか?」
青い竜はそんなポチの飛びっぷりを見て、かわいそうな子を見るような目をする。
「吐きそうなのである……」
回り過ぎて風に酔ってしまったポチなのであった。
そんな調子だったので、一行がお城にたどり着いたときには、ポチはべっちゃりと地面につぶれてしまった。
「死ぬ……」
ポチはこんなにたくさん飛んだのは初めてであるが、お城まで飛びきったのだ。
「やればできるではないか」
青い竜がポチを褒めてくれているが、今は正直褒め言葉より水がほしいポチであった。
「ポチすごーい! あのくるくる回るのかっこよかったよ!」
ポチが目を回していたのを知ってか知らずか、コニーがそんなことを言ってくるが、それにも抗議する元気がない。
「ほらポチ、水だよ」
そんなとき、空気を読んでくれるのはいつだってピートである。ポチの言葉が分からずとも、気持ちを察してくれるありがたい存在である。
「あ、そうだ。ポチおやつ食べる?」
コニーが自分の背中のリュックから、りんごのパイを出した。コニーたちは青い竜の背中で食べたらしい。
運動をしてお腹が空いたポチは、コニーにもらったりんごのパイを有難く食べた。そんなコニーとポチの様子を、五メートル離れたところで王子様が見ていた。
ちなみに、対人恐怖症の王子様は、コニーたちと一緒に青い竜の背中に乗ってきた。巨大な竜の背中とはいえ、五メートルの距離をとるのは無理である。それゆえに近距離での長時間の他人との接触に疲れた王子様も、ポチと似たり寄ったりな状態であった。
こうして、一名と一匹がグロッキー気味な状況で、一同は城に到着したのであった。
Sideコニー
お城は広かった。
都のおじさんの家に行ったときも、そのお屋敷の広さにビックリしたが、お城はそのおじさんの家がいくつはいるのか数え切れない大きさであった。
青い竜で着陸したのはお城の裏手であったが、せっかくなので正面の門から入城しようということになり、わざわざ正面門まで回ってきた。いわばお城を半周ぐるっと回ったわけであり、非常に遠かった。
コニーはものめずらしさにお城の門の辺りをきょろきょろと眺めていた。
「大きいねぇ、ポチ」
コニーはおやつを食べて復活したポチに話しかける。
「建物内を移動するだけで日が暮れそうである」
ポチもお城の広さに驚いたのか、あんぐりと口をあけている。
そんな一行の様子を、門番の二人が興味深そうに観察している。この時対人恐怖所の王子様は、もうすぐ死にそうな顔をしていたので、既にお城に入っていた。
コニーは城の敷地内に何かを見つけた。
「にーちゃん、あそこに何かある」
コニーがたたたっと走り寄った先には、厳ついひげを生やしたおじさんの銅像があった。
「おひげふさふさー、あたまぴかぴかー」
コニーとポチが、銅像を台座の下から眺めている。
「初代国王の銅像だそうだよ」
ピートが門番たちから聞いたらしい情報を教えてくれた。
「このぴかぴかが、いちばんはじめの王様だって」
「光り輝いているのである、頭が」
微妙に失礼なコニーとポチである。
この時コニーは台座の上に、ポチは銅像の頭によじ登っていた。子供のすることだから、と門番たちも細かいことを言わずにいた。
それがいけなかったのだ。
「握手握手」
手を差し出したポーズの初代国王の銅像の手を、コニーが握った。
バキッ!
小気味良い音がした。
門番たちが音に気付いて振り返った時には、コニーの手には肩からもげた銅像の腕が握られていた。
「な、なっ……!」
門番たちが声にならない声を上げる。
「……」
「……」
コニーとポチはちょっと考えた。
そしてピートを振り返る。
「にーちゃん、銅像が壊れてた」
「うむ、壊れていたのだ」
コニーはもげた銅像の腕をぶんぶん振り回す。それを見た門番たちの表情は青くなった。
ピートも、ちょっと考えた。
「すみません、壊れていたみたいです」
さわやか笑顔で門番たちに報告する。
「今のは、あの少年が壊した……」
「「「壊れていました」」」
当然、こんな言い訳が通るわけもなく。コニーに、銅像接近禁止令が出された。
コニーの両親を始めとした村人たちに見送られ、一行は城へと向かった。優雅に空を飛ぶ青い竜を、村人たちは羨ましそうに眺めていた。
しかしポチは城までの空の道のりを、単独飛行をすることになった。何事も練習だそうだ。
「ポチがんばれー!」
青い竜の背中で、コニーが応援してくれている。
しかし、風に巻かれてくるくると回っているポチは、正直コニーの声援など聞こえてはいなかった。
「目が回るうぅ……」
特訓の成果で高い場所を飛べるようにはなったのだが、いかんせん風に遊ばれてしまう。はっきりいって風になめられていると言ってもいいだろう。
「竜としての威厳が足りないのではないか?」
青い竜はそんなポチの飛びっぷりを見て、かわいそうな子を見るような目をする。
「吐きそうなのである……」
回り過ぎて風に酔ってしまったポチなのであった。
そんな調子だったので、一行がお城にたどり着いたときには、ポチはべっちゃりと地面につぶれてしまった。
「死ぬ……」
ポチはこんなにたくさん飛んだのは初めてであるが、お城まで飛びきったのだ。
「やればできるではないか」
青い竜がポチを褒めてくれているが、今は正直褒め言葉より水がほしいポチであった。
「ポチすごーい! あのくるくる回るのかっこよかったよ!」
ポチが目を回していたのを知ってか知らずか、コニーがそんなことを言ってくるが、それにも抗議する元気がない。
「ほらポチ、水だよ」
そんなとき、空気を読んでくれるのはいつだってピートである。ポチの言葉が分からずとも、気持ちを察してくれるありがたい存在である。
「あ、そうだ。ポチおやつ食べる?」
コニーが自分の背中のリュックから、りんごのパイを出した。コニーたちは青い竜の背中で食べたらしい。
運動をしてお腹が空いたポチは、コニーにもらったりんごのパイを有難く食べた。そんなコニーとポチの様子を、五メートル離れたところで王子様が見ていた。
ちなみに、対人恐怖症の王子様は、コニーたちと一緒に青い竜の背中に乗ってきた。巨大な竜の背中とはいえ、五メートルの距離をとるのは無理である。それゆえに近距離での長時間の他人との接触に疲れた王子様も、ポチと似たり寄ったりな状態であった。
こうして、一名と一匹がグロッキー気味な状況で、一同は城に到着したのであった。
Sideコニー
お城は広かった。
都のおじさんの家に行ったときも、そのお屋敷の広さにビックリしたが、お城はそのおじさんの家がいくつはいるのか数え切れない大きさであった。
青い竜で着陸したのはお城の裏手であったが、せっかくなので正面の門から入城しようということになり、わざわざ正面門まで回ってきた。いわばお城を半周ぐるっと回ったわけであり、非常に遠かった。
コニーはものめずらしさにお城の門の辺りをきょろきょろと眺めていた。
「大きいねぇ、ポチ」
コニーはおやつを食べて復活したポチに話しかける。
「建物内を移動するだけで日が暮れそうである」
ポチもお城の広さに驚いたのか、あんぐりと口をあけている。
そんな一行の様子を、門番の二人が興味深そうに観察している。この時対人恐怖所の王子様は、もうすぐ死にそうな顔をしていたので、既にお城に入っていた。
コニーは城の敷地内に何かを見つけた。
「にーちゃん、あそこに何かある」
コニーがたたたっと走り寄った先には、厳ついひげを生やしたおじさんの銅像があった。
「おひげふさふさー、あたまぴかぴかー」
コニーとポチが、銅像を台座の下から眺めている。
「初代国王の銅像だそうだよ」
ピートが門番たちから聞いたらしい情報を教えてくれた。
「このぴかぴかが、いちばんはじめの王様だって」
「光り輝いているのである、頭が」
微妙に失礼なコニーとポチである。
この時コニーは台座の上に、ポチは銅像の頭によじ登っていた。子供のすることだから、と門番たちも細かいことを言わずにいた。
それがいけなかったのだ。
「握手握手」
手を差し出したポーズの初代国王の銅像の手を、コニーが握った。
バキッ!
小気味良い音がした。
門番たちが音に気付いて振り返った時には、コニーの手には肩からもげた銅像の腕が握られていた。
「な、なっ……!」
門番たちが声にならない声を上げる。
「……」
「……」
コニーとポチはちょっと考えた。
そしてピートを振り返る。
「にーちゃん、銅像が壊れてた」
「うむ、壊れていたのだ」
コニーはもげた銅像の腕をぶんぶん振り回す。それを見た門番たちの表情は青くなった。
ピートも、ちょっと考えた。
「すみません、壊れていたみたいです」
さわやか笑顔で門番たちに報告する。
「今のは、あの少年が壊した……」
「「「壊れていました」」」
当然、こんな言い訳が通るわけもなく。コニーに、銅像接近禁止令が出された。
1
あなたにおすすめの小説
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる