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迷子の竜、お城に行く
狩りに行こう!前編
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Sideコニー
銅像を壊したことを叱られた。
王子様が取りなそうとしてくれたけれど、騎士団長という人が納得しなかった。
「初代国王の銅像を壊すなど、我が国を貶めようとする他国からの密偵か!?」
唾を飛ばさんばかりに妙な言いがかりで責められ、コニーはむくれる。
「形あるものはいつか壊れるって、かーちゃんが言ってたもん」
「うむ、壊れやすい銅像が悪いのである」
反省の様子を見せないコニーたちに、騎士団長が顔を真っ赤にする。
ちなみにこの様子を、五メートル離れた場所から、王子様がオロオロと眺めている。
コニーと騎士団長のの間に、ピートが割って入った。
「まあまあ、弟は魔力を無意識に怪力に使う癖がありまして。都にいる時もいろいろ壊したらしく、伯父が大層苦労したようです。
それを知らなくても、気を配らなかった私や周囲も悪い。
弟たちが大切な銅像によじ登ったのを、門番の方々も止めませんでしたし」
ピートはそう言ってにっこりと笑った。
暗にそっちにも落ち度があることを言われ、騎士団長はぐっと言葉に詰まる。
緊張状態の場で、騎士団の副団長が発言した。
「王子様の友人といえど、お咎めなしとはできません。
なのでここは明日、コニー殿に騎士団の仕事である、山での害獣退治を手伝ってもらうことにしましょう。
連帯責任として、兄のピート殿と契約竜にも」
「……そうか、それはいい考えだな」
副団長の発案に、騎士団長は勢いを取り戻す。これは騎士団の仕事の中で、過酷なことで有名なのだ。途中で音を上げて泣いて謝れば、許してやらないこともないなどと考えていた。
王子様も、コニーたちが恐ろしいことを強いられるのではと、プルプル震えていた。
一方のコニーたちはと言えば。
「がいじゅーたいじ、ってなに?」
コニーの疑問に、ピートが答える。
「獣を間引くことだよ。裏山でたまにするだろう?」
「なんだあれかぁ」
「ピクニックであるな」
このような調子で、至って呑気なものであった。
翌日の朝。
「おはよーございます!」
コニーは元気に騎士の人たちに挨拶をした。騎士たちはみんな、仕事に子供が同行することに納得していないようで、ムッツリとした表情でコニーたちを見ている。
その中でも騎士団長が、苦いものを飲み込んだような顔で、コニーに尋ねてきた。
「……ずいぶんと身軽だな」
騎士団長がそんな質問をする。
コニーたちの格好は至って身軽だ。いつも裏山で遊ぶ時の汚れてもいい服に、山の実りを採るためのカゴを背負っていた。装備らしきものは、コニーが魔術師の杖を持ち、ピートは腰に剣を下げているだけだ。
一方の騎士たちは、一人を除いて金属鎧をフル装備で、ガシャガシャと音を立てている。見た目とても重そうだし、鎧の音で獣が逃げそうだと、コニーは思った。
ちなみにポチの装備は背中のリュックのみで、中には王子様が用意してくれた豪華な弁当が入っている。
「いつもこんなもんだし、ねー」
「たいていこんな格好であるな」
コニーとポチは、顔を見合わせて頷き合う。
これに、騎士団長が怒った。
「遊びに行くのではない!」
真っ赤な顔で唾を飛ばすのに、ピートがにこりと笑顔で言った。
「そんな重装備では、できるものもできませんよ」
「なっ、なんだと!!」
顔を真っ赤にする騎士団長だったが。
「団長、そろそろ出発の時間です」
副団長が冷静に声をかけた。
「ふんっ!」
騎士団長はコニーたちをギロリと睨んで、騎士たちの元へ行った。その後を、涼しい顔をした副団長が追う。
「怒りっぽい人だなぁ」
ピートは肩を竦めた。
こんなことがあっても全く気にしないコニーとポチは、どこで弁当を食べるといいか、絶景スポットを厳選していた。
銅像を壊したことを叱られた。
王子様が取りなそうとしてくれたけれど、騎士団長という人が納得しなかった。
「初代国王の銅像を壊すなど、我が国を貶めようとする他国からの密偵か!?」
唾を飛ばさんばかりに妙な言いがかりで責められ、コニーはむくれる。
「形あるものはいつか壊れるって、かーちゃんが言ってたもん」
「うむ、壊れやすい銅像が悪いのである」
反省の様子を見せないコニーたちに、騎士団長が顔を真っ赤にする。
ちなみにこの様子を、五メートル離れた場所から、王子様がオロオロと眺めている。
コニーと騎士団長のの間に、ピートが割って入った。
「まあまあ、弟は魔力を無意識に怪力に使う癖がありまして。都にいる時もいろいろ壊したらしく、伯父が大層苦労したようです。
それを知らなくても、気を配らなかった私や周囲も悪い。
弟たちが大切な銅像によじ登ったのを、門番の方々も止めませんでしたし」
ピートはそう言ってにっこりと笑った。
暗にそっちにも落ち度があることを言われ、騎士団長はぐっと言葉に詰まる。
緊張状態の場で、騎士団の副団長が発言した。
「王子様の友人といえど、お咎めなしとはできません。
なのでここは明日、コニー殿に騎士団の仕事である、山での害獣退治を手伝ってもらうことにしましょう。
連帯責任として、兄のピート殿と契約竜にも」
「……そうか、それはいい考えだな」
副団長の発案に、騎士団長は勢いを取り戻す。これは騎士団の仕事の中で、過酷なことで有名なのだ。途中で音を上げて泣いて謝れば、許してやらないこともないなどと考えていた。
王子様も、コニーたちが恐ろしいことを強いられるのではと、プルプル震えていた。
一方のコニーたちはと言えば。
「がいじゅーたいじ、ってなに?」
コニーの疑問に、ピートが答える。
「獣を間引くことだよ。裏山でたまにするだろう?」
「なんだあれかぁ」
「ピクニックであるな」
このような調子で、至って呑気なものであった。
翌日の朝。
「おはよーございます!」
コニーは元気に騎士の人たちに挨拶をした。騎士たちはみんな、仕事に子供が同行することに納得していないようで、ムッツリとした表情でコニーたちを見ている。
その中でも騎士団長が、苦いものを飲み込んだような顔で、コニーに尋ねてきた。
「……ずいぶんと身軽だな」
騎士団長がそんな質問をする。
コニーたちの格好は至って身軽だ。いつも裏山で遊ぶ時の汚れてもいい服に、山の実りを採るためのカゴを背負っていた。装備らしきものは、コニーが魔術師の杖を持ち、ピートは腰に剣を下げているだけだ。
一方の騎士たちは、一人を除いて金属鎧をフル装備で、ガシャガシャと音を立てている。見た目とても重そうだし、鎧の音で獣が逃げそうだと、コニーは思った。
ちなみにポチの装備は背中のリュックのみで、中には王子様が用意してくれた豪華な弁当が入っている。
「いつもこんなもんだし、ねー」
「たいていこんな格好であるな」
コニーとポチは、顔を見合わせて頷き合う。
これに、騎士団長が怒った。
「遊びに行くのではない!」
真っ赤な顔で唾を飛ばすのに、ピートがにこりと笑顔で言った。
「そんな重装備では、できるものもできませんよ」
「なっ、なんだと!!」
顔を真っ赤にする騎士団長だったが。
「団長、そろそろ出発の時間です」
副団長が冷静に声をかけた。
「ふんっ!」
騎士団長はコニーたちをギロリと睨んで、騎士たちの元へ行った。その後を、涼しい顔をした副団長が追う。
「怒りっぽい人だなぁ」
ピートは肩を竦めた。
こんなことがあっても全く気にしないコニーとポチは、どこで弁当を食べるといいか、絶景スポットを厳選していた。
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