オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

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エクリプス辺境伯家5

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 そうして各種族に技術を教えてから一月ほどたち完成品を持ってきてもらった。

「「「どうぞ、ご確認ください」」」

 ポーションに織物に武器や防具など。材料は育てるか鉱山の方から優先的に回してもらった。どれも文句の付けようのない出来だ。

「みんな良くがんばってくれたね」

 ねぎらいの言葉をかける。

「「「ありがとうございます」」」

 これである程度大丈夫だろうと思う。装備はユーフォリアたちの者たちに振り分けてポーションや織物などはリースリットたちに販売させる。資源は豊富だが現金が足りないのだ。通貨を偽造するわけにいかないし。

「リーヴリル様に会いたいとの方が来ています」

「一体誰なのかな」

「どうやら南部諸侯軍のようです。どうやら連れてきた他種族たちのことで文句があるようで」

 やはりその問題だ。向こうからすればいきなり労働力を無断で奪ってきたのだから何かしら言って来るだろうとは予測していた。

 今現在、南部には他の種族はいないも同然だ。差別がひどすぎて他国からも来ないし待遇は最悪だ。だが、軍事力が強いためなかなか制止できない状態だ。だけどわたしが大多数の種族を亡命させたので兵力はがた落ちで労働力なども回らない。

 どうにかして連れて帰りたいのだろうしこの肥沃的な領地も是非とも欲しいのだろう。

「会うから連れてきて」

 話をして改心したのなら交易を繋ごうと思うしダメならこちらにも考えがある。

 ユーフォリア達を集めて南部諸侯軍の人達と会う。向こうは完全装備の者が30人と文官系の人が30人と半々だった。開始早々挨拶などもなく怒号が飛び交う。

「われらの国の労働者を無断で連れて行くなど侵略以外何者でもない!すぐさま返せ!もちろん賠償としてこの領地の権限もすべて寄越せ!」

「ふざけないでください!あんなのが統治といえません!あなたたちこそわたし達を理不尽な立場においた賠償をしなさい!」

 いきなりこれである。どちらにも言い分があるので黙って進めさせる。とりあえず恨み辛みなど言い争ってもらうしかない。一通り文句を言い合ってから。

「彼らは生活に困窮してたから亡命した。たとえ領主がなんと言おうとそこに生まれたからといって永住しなくてはいけないという法は存在しない。彼らはもうこの領地の民。それを奪おうというならそれなりの覚悟があるのですよね?」

 ユーフォリアが強めに言う。

「彼らの生活環境は人権無視もはなはだしかった。他国に行かれても別に不思議じゃない。それを押さえつけようというならただの横暴だよ。そんなこともわからないの」

 リースリットも同意する。

「ふん!ダンジョンだけしかない国の王女たちがえらそうに言うな!我らの軍事力ならこのような領地などすぐさま制圧できる、それを話し合いで解決しようという我らに感謝しろ」

 その言葉でカチンと来る。

「そんなに自信があるならやってみるといいよ。いつでも受けてたつから」

「ちょっと、リーヴリル」

「ああ、戦がしたいのか?そうなのか?だったら今すぐにでも始めてやる!覚悟しておくことだな!」

 そうして売り言葉に買い言葉で宣戦布告して武装した人達は帰っていった。残された人達はオロオロとうろたえている。

「南部の人間族ってどうして短気で好戦的なんだろう」

「「あなたたちは帰らないのですか?」」

 ユーフォリアとリースリットが残された人たちに尋ねる。もうすでに宣戦布告は終わっているので帰ると思うのだが。

「実は我らは戦争など反対派なのです。亡命した種族たちの気持ちもある程度分かりますしこの肥沃的な土地を見て愕然としました。これほど短期間で発展したとは信じられませんが現実です。
 それほどの力を持つ方が領主では器が違いすぎます、だから我らハインケル公爵を筆頭とした穏健派は戦争を避けて友好的に付き合うべきだと言ったのですがルスード伯爵が激怒しながら諸侯軍を動かしたのです」

 全員に悲壮感が漂っている。あの伯爵様は予想どおり火種となったようだ。

「わたし達としては戦など反対なのです。なのでこちらの提案を聞いてはもらえませんか」

「聞くだけならタダだし言うだけいってみて」

 1時間ほどかけて説明される。

「領主の鞍替えか」

「はい。わたし達はこの領地近くの土地を治めている貴族です。正直南部でも派閥があり穏健派のハインケル公爵はこれ以上他国の外交が悪化することを悩んでおられます。先ほど話をした人達は攻戦派のナタリー公爵の部下たちです。このくらいなら武力で解決できると考えている愚か者たちです。わたし達はなんとか戦争を回避したいと考えていてそちらが勝利すれば無条件で同盟関係を結び交易を行いたいと思います」

「シャナ。彼らの話をどう受け止める」

「むずかしいのう。亡命した者たちもいずれは南部に戻らせようと考えておるしハインケル公爵は評判の良い貴族じゃ。あそこでは差別などないし他の種族もおる。ここは彼らに恩を売るほうが良いと思う」

「それで、戦になった場合は誰が責任を取るの?」

「もちろんナタリー公爵を初めとした軍部至上主義者たちに責任を取らせ貴族家の改易です。捕虜などを捕らえれば和解金も軍部の方に回します。それで軍事力を縮小し他国との外交関係の改善と交易を行い経済を立て直そうと思います
 またこちらで産出される品々についても取り扱いたく思います」

 それ以外の条件もこちらに有利なものばかりだった、よほど軍部の暴走が許せないのだろう。

「それでハインケル公爵に賛同してくれる貴族家はどれくらいいる?」

「20家です。すでにハインケル公爵と貴族家の連名書がここにあります」

 羊皮紙を渡される。

「えらく準備がいいね。これは自国の貴族を滅ぼすことになることが理解できてるの?」

「かまいません。もうこの国の軍部の横暴は限度を超えていますし話をしてエクリプス辺境伯様は争いを好まない温和な方だと感じましたので。ここで大敗して一度国を壊してから新しい未来に向かうべきなのだと思いました。リーヴリル様にも統治の方に力を貸していただければ嬉しいです」

 こういう人たちもいて苦労しているようだ。

「すでに宣戦布告されたからには勝つよ。これは証拠としてわたしが預かる。戦が終わった後の戦後処理でこれから南部とどういう付き合いをするか話し合いたいからそのときに会談をしたいと伝えて。
 それと援軍は必要ない。こちらの兵力だけで解決する。軍部の動きを偵察を放っていつでも動けるようにしておいて。向こうが攻めて来たらすぐにでも背後を断てる様にしておいてほしい。条件はそれだけだよ」

 全員が騒然とする。

「少なくとも5万の兵を動員するはずですが大丈夫なのですか?我らが加わった方が確実だと思いますが?」

「出来るだけ戦死者を出さずに捕虜にするから安心して。余りに殺しすぎると南部に敵対感情が生まれてしまう。分かってるとは思うけどこの兵士たちや指揮官には適切な罰を与えるから。
 そちらもおおっぴらに動けないようだし向こうが進軍するまで手は出さなくていい。わたしがそのくらいの数で倒されるなんてありえないしここの兵士たちにも軍功が付くから高い報奨金を出せるから楽しいし」

「楽しいですか?」

首をかしげている全員。

「戦は嫌いだけどこういう状況だと楽しいと思うのはわたしだけなのかな?困難に立ち向かうのが面白いだなんて。とりあえずこっちはこっちで何とかするからそちらはあえて傍観しておいて。実際に人を殺めるなんてあまり好きではないけど」

 嬉しそうな顔を浮かべるリーヴリル、最後まで考えていることが分からない全員だった。
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