チート奴隷使いですが文句ありますか

無謀突撃娘

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傭兵家業2

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「バラード周辺のモンスターは大体排除しました、周辺警備のための資金や物資なども不足しておらずこの場所の治安は安定して来ています」

バラードに派遣されているアラールからの重役や傭兵ギルド職員らとミリオンとエリスを同席させて話をする。仕事の方は文句の付けようのないすばらしい結果だと嘘偽り無く褒めてくれた。貴族らは独自に戦力を持っていて何かと都市の運営に面倒な口出しをしてくるので悩みのタネだったそうだ。向こうから戦いを仕掛けさせてその勢力を大幅に削ったことについては依頼内容外の問題だったが不問にしてくれた。現時点で総人数は400人以上の人数の戦力は大隊に区分されるそうなので情報を更新する。

今後の方針は両都市間の警備と周囲の脅威の優先的な排除が優先される、貿易の安定化のために商人や要人の警備も含まれることになる。契約期間終了まではこの調子で仕事を捌いて欲しいそうだ、もちろん高額な依頼は優先的に来るし資金や資源や物資などの補充などは最優先でされる。

「今後のことを考えてこちら側から会計などを出向させたいと思いますがどうでしょうか?」

人数分の金などが大きいため計算が速く確実な営業が出来る人物を斡旋したいとの申し出だった、今までは自分らがその運用を管理していたが正直金銭感覚などが分かりづらく所持品の数の管理や販売などを考慮するとそういう人材が欲しいと思っていたのだ。

「その人物を受け入れる条件として『運営に口を出さない』『奴隷に害を与えない』『数字を誤魔化さない』『内部情報を売ったりしない』を守ってもらいます」

「分かりました」

すぐさま人材の選別を開始して半月後に派遣してくれるそうだ。これ以上の人数増加は現時点では不可能である、カインやエレンなど奴隷に子供らが経験を積んで能力が向上したというのもあるが自分の指揮能力では全員の統率だけで精一杯というのが最大の理由だ。『ガーガス・オルタネイト・システムマスター』に人数などの上限は存在しないが大人数の情報を同時処理するとどうしても気分が悪くなってしまう。

「支援してくださるのはありがたいのですがどうしてもいくつか欲しい材料があります」

武器はこのままで良いが白兵戦をする子供らにもっと強力な装備を作成したいと考えているし手榴弾やグレネードボム、指向性爆弾なども作成したい。材料の木炭や硫黄や硝石などもこの世界に存在していることは確認済みでさほど値段が高くなく大量に手に入れることが出来る。『火薬兵器』の技術が存在しないので一から作ることになるがクロスボウでは歯が立たない敵が相手として出てくることも考えている。

(こっちの戦力は子供しかいない、爆発範囲や威力を調整しておき子供らでも装備させればもっと効率的に敵を倒せるようになる。こんな子供にこれほどの装備を与えることはあまり良くないと思うがモンスターの脅威を考えれば装備が強力であるに越したことは無いからな)

さすがに技術的な問題で銃火器は作成不可能なのだ。弾の製作には時間が掛かりすぎてしまうし弾頭や薬莢も製作が複雑すぎるしコストが矢よりも桁違いに高い。

現時点ではクロスボウの一斉射撃で大半の敵を倒せるので装備はこのままの方が良いだろう、装填や反動も少ないし軽く取り扱いが容易いし。

話を終えて奴隷の子供らの所に帰る。

「ハクロウ、お帰りなさい」

子供らは元気に出迎えてくれた。何か匂いがすると思って見てみると、

「これは美味しそうだ」

簡単なクッキーやお茶などが多くあった。

「あっ、これは、その」

どうやら勝手に料理を作ったことを咎められると思ったのか俯く。そんな子供らを笑顔で頭を撫でながら、

「たまにはこういうのも良いよね、戦闘続きであり君らは子供なのだから甘い物が食べたくなるから」

穏やかに話すと子供達から満面の笑顔が出てくる、せっかくなので一緒に食べることにした。うん、簡単だけど甘くて美味しい。砂糖などを使うお菓子は高級品なので安く手に入らないかなと考えてしまう。

「情報統合システムの数値変更、部隊ごとの戦力数値化、現時点で可能な戦術再設定・・・」

部屋に戻り『ガーガス・オルタネイト・システムマスター』の設定項目を弄る、前の世界でも個人個人の志向に会わせて設定変更がいくらでも可能だった、簡略化する人もいれば複雑化する人もいた。部隊規模の大きさに合わせて項目を弄る必要があったのだ。

「部隊を分散させての広範囲制圧が可能、現時点の殲滅速度および脅威度、先導するリーダー設定・・・」

人数が増えて一人一人の戦闘能力を数値化して把握する、まだまだ満足する数字ではないがこの辺りの敵が相手ならば各部隊の命令を少し簡略化させて情報更新の速度を早くしたほうが良いだろう。不安材料はこの装備でも歯が立たない敵との遭遇が問題だった。現時点ではいないがこれから先現れる可能性は決して無視できる物ではない。

「命令コマンド設定、奴隷らからの情報をデータバンクに登録、現時点で不足している人材優先度・・・」

戦闘兵は足りているし生産兵もこれ以上必要が無いとなると衛生兵が圧倒的に少ないな、治癒術を使える人間が殆どいないしエリスだけというのは非常に頭を悩ませる問題だ。各自治療薬を配っているが軍隊というのは集団で行動するため何か流行り病にかかるとあっと言う間に広がってしまう。この世界の医療技術はさほど高いとは思えないから抗生剤などを作成する必要があるな。

「薬物の合成知識の引き出し、火薬調合率の獲得、武器種による発展のリストの引き出し・・・」

現時点の戦力を数値化する、ギリギリ2割が接近戦用装備で残りはクロスボウ装備だ、製作した『ファングダガー』を全員に装備させているが現時点ではそれ以外の装備が少なすぎるが戦力のほぼ全てが子供ということを考えて見てももっと良い装備が必要だな。剣と盾だと安定するが大型モンスター相手だと押し負けるし時間がかかる、槍や薙刀だとリーチと非力さをカバーできるが持ち運びが面倒だし小回りが効きにくいし弓は論外だ子供の非力さだとまず役に立たない。

「う~ん」

接近戦で活躍している子供らには武器を新調しておこうと思うがそれ以外はそのままで良いな。過去から現代の装備の一覧を見回したが魔力付与をした名剣や魔剣などの類しか勝てる装備が無い。このクロスボウの連続射撃に耐えられる頑丈な敵など現時点では確認されていない。

馬などに乗るという戦法もあるが不安定な馬の上でクロスボウで射撃攻撃なんてどう考えても不可能だし身軽に動くことが出来なくなる。結局現時点で戦術はほぼ完成されているので指揮官しだいというのが正しい答えだった。

(もう少し自分の戦術の有効範囲を広げるか・・・)

奴隷の子供らは戦術単位としてグループで構成して動かしているが一人一人の性格も違うし考え方も違う、命令を徹底させていても時々個人の考えが主張されてしまい迂闊な行動をしたりする。子供であるし訓練の時間の短さからある程度は仕方ないがそれは現時点ではだ、今後のことを考えるとどんな状況下でも自分の命令を最優先とするように徹底させなくてはいけないしダメージを与えていないのに無闇に敵前に出たりなどすればあっと言う間に殺されてしまう。接近戦用の装備作成をする。

『ディーテ・ランス』 長さ1・5メートルほどの槍 突く薙ぐなど槍と薙刀の両方の性能を備えている かなり軽いが強度は非常に高い

『マルチソード』 80センチほどの片刃剣 突きだけでなく切ることも考慮されている 形状は日本刀に近い 子供でも扱いやすいように調整されている

良い材料が中々手に入らないので当座しのぎになる。これを接近戦用に子供らに装備させるがさすがに全員に装備させると大半が邪魔で無駄になるのでキチンと必要な数だけにする。後は戦術運用の命令理解度がもう少し高くしたい。戦場では先手を取れるかどうかで8割方優勢に慣れるのかどうかが決まる、この辺りをもっと徹底させて訓練をする必要性があると考えていた時ミリオンらが部屋に来た。

「どうかしたの?」

システムを弄るのを止めて来た理由を聞く。

「他の都市から傭兵団などが来ており会って欲しいとのことです」

なぜ会う必要があるのだろうか?

「両都市間で連携を取るためにはもっと傭兵団を雇う必要があるそうです、現時点では私達以外信頼できる傭兵団が存在しないので選別を手伝って欲しいと」

そういうことか、たしかにそのとうりだ。今までは自分が上手くほぼ全ての依頼を捌いていたが人数はこれ以上増やすのは不可能だし契約期間終了した後のことを考えるとどうしても後任が必要である。戦力を分散すれば確固撃破の危険性を考えると他の傭兵団を雇う必要性があった。

「わかった、すぐに行こう」

平原に集まったのは900人前後の傭兵達だった。規模も所属もいくつか分かれている。全部で11の傭兵団となるらしい、アラールの都市側からはいくつかの選別条件を出していてそれをクリアしてきたのだそうだ。内容は知らないが自分らが基準となっていてとりあえずほぼ全て採用することになっているが、

『ある程度は援助するが結果を出せなければ契約金を減らしたり支払いそのものをしない』

アラールは事前にそう伝えたそうだ。傭兵家業は結果が全てであり他者が忌み嫌う『暴力』を商品として売っている。モンスターや敵に話し合いなどの選択肢はほぼ存在しないので問答無用で殲滅するしかなくゲリラまがいのことをしている傭兵も少なくない。大金を支払うのだから契約主は審査を甘くすることは出来ないのだ。何の意味も無く金や物資を要求し損害を出し無用の死人を出す傭兵団は明確な前例がいたので審査から撥ね飛ばしている。

ザッと見たがそれなりの経験を積んでいるようであり雇っても問題ないことをアラールの依頼主に伝える。現時点ではどうしても人数不足だし自分らを基準に審査を通ったのだから問題などは起こしにくいと判断した。

(さてさて、こいつらはどのように活躍してくれるんだろうね?)

他の傭兵団にちょっと興味が出てきたのだった。

ここから雇った傭兵達は二つの線引きに分けられることになる。

8割はキッチリと仕事を捌いた、多少損害を出すこともあったが想定範囲より少なめであり連携を取りながら味方の被害を抑え敵を確実に倒していくし契約内容を反故にすることはなかった。他の傭兵と交流を深め交代制を導入し休暇できる日を捻出するなど戦力維持もちゃんと計算した。彼らの部隊には優先的に資金や物資や装備の援助を決定し負傷者には治療薬の提供や医者を派遣するなど関係を深める努力をした。

2割は残念ながら傭兵として実力不足だった、ある程度まではどうにかなったが日数を重ねるごとに疲労が蓄積していきそれは負傷者という形で現れてしまう。勝手に追加要員を都市に募集したり街中でも乱暴な行為が目立つなど住民からの感情は悪化していく一方だった。当然援助も日を重ねるごとに少なくなり始め最後は完全に傭兵団として使い物にならなくなった。

「こんな苛酷な条件で酷使しやがって!」

自分らは運用で出来なくなった傭兵団のリーダーらと話し合う会議に同席している。そういう愚か者は追い出せば良いだけなのだがゲリラや山賊などになられると始末が面倒であり何とか話し合いで解決したいのだが現実はそうはならない。相手は使い捨てられたと契約内容を無視し多額の金額を要求してきたが、

「あなた達は契約内容をちゃんと理解してサインしたのですか?まだ雇用期間を終えていないにも関わらずに違反金など出せるはずもないでしょう。先に説明しておいたはずです、結果を出せなければ契約金の支払いをしない場合も有ると。自分勝手に戦い利益を分けようとしないからこうなったのですよ?書類内容を無視してるのはそちらです。文句があるなら裁判で戦いましょうか!」

こちら側には何の問題ないことを伝える。その内容は雇用主と雇用者だけしか確認できないようになっていてどうだか分からないが8割がキチンと仕事を捌いていることを考えると自分らほどに苛酷ではないようだ。自分らには他の傭兵とは比べ物にならないほど大規模である分援助も莫大だがその分だけ危険度も高い。魔物討伐はもちろん商人らの用心棒や要人の警護など仕事は山ほどある。

契約内容の一つとして、

「奴隷とはいえ乱暴狼藉は絶対にしない」

と断言するほど内容を厳守させている。むこうにもこちらにもそれを徹底させていて破れば問答無用で契約破棄ができるようにしてある。奴隷などただの処理要員などと考えている愚か者が多くそうしなければ毒牙にかかる子供が後を絶たないからだ。自分か買い主なのだから当然だが賄賂を渡せばどうにかなるという考えの奴らもいる可能性があるのでそういう場合は残念だが『警告』させてもらう。

都市側にもギルド側にもそれをキチンと伝えているし仕事は誰よりも確実に早く大量に捌いているのでむこうからの信頼も厚い。さすがに手が届かない仕事も存在する、特に素材採取を専門とする傭兵団だ。『資源の友達』という傭兵団は戦闘能力はそれほど高くないが素材獲得や加工技術ではこちらの一段上を行くほど優秀であり質も量も文句がつけようが無いほど高い。今までは戦闘能力の低さから危険地帯への派遣が難しかったがこの都市の統治体制が変化したことを聞いて部隊を派遣してきた。

主に自分らと連携を取りこちらは警備をむこうは採取と住み分けを行なって仕事をしている、自分らの部隊にもある程度は人数を確保しているが経験不足な子供らなので非常に勉強させられるしむこうも格安の雇用費で安全に仕事ができるので共存共栄が成り立っている。

さすがに全部の場所の面倒を見るのは不可能なので互いの利益を食い合わないように傭兵らに仕事を分配する必要があるので傭兵ギルドは大忙しだがその分だけ都市の平和が保たれている。

今後は優秀で信頼できる傭兵団を選別していく重要性を再確認したので無駄に損失を出す傭兵などには仕事を少なくしていく方針にしたそうだ。

で、こいつらの処分をどうするのかの話に戻る。

「他の傭兵達はキッチリと仕事をこなしていますよ。もちろん損害が出ることもありますが他の傭兵らと連携を取りながら不足している部分を理解し援護しあっています。もはや一部隊の傭兵団だけで受けられる仕事に限界が出ているのです」

「俺らだってこんなことは言いたくねぇけど資金不足なんだよ、人員を新しく募集したいから前金を出してくれよ、頼む!」

向こうは頭を下げてくるが、

「『無色の壁』の方々」

ギルド職員は無表情に言い放つ。

「最近そこそこ働いたらワザと形だけの負傷者を出して人員補充と説明してだけ金を取って逃げる傭兵団の噂を聞きまして警戒を強めているのですよ。傭兵は金が全てですが契約主に嘘をついて金を騙し取ろうという愚か者を排除するために規則を少し変えましてね、まさかあなた達がその張本人ではないでしょうね?」

「!?」

相手の表情が一変する。

自分らがアラールと契約する時に傭兵ギルド規則を徹底的に見直ししたのだ。内容はそれなりに出来上がっているが荒い部分が多くあり契約からの逃げ道がいくつか存在することを発見した。ワザと見せかけの負傷者を出して戦力維持を不可能にし人員補充と説明してだけ金を受け取ったら姿を晦ますという逃げ道などをギルド職員らに説明したのだ。

その辺りは金を支払ったのだからキチンと仕事をするだろうという人の心理があり原本の規則にはその辺りに触れている項目がなかった。そのためいくつかの項目をギルド職員らの承認の元内容を書き改め中央本部に送り試験的に変えていたのだ。その矢先にいくつかの場所で似たようなことが起こっていることが判明し傭兵らに極秘裏に調査を始めたのだ。

傭兵らの承諾無しに調査することになるが書類項目を真っ当な物にしなければビジネスとして裏切り裏切られる行為が多発してしまう。金が関わっているからこそ互いの納得の上で契約しなければいけないのだ。

「負傷者が出てしまい戦力が減少したのならそちらで補充のための資金を出してください、依頼主がそんなことまでは面倒は見ません。負傷者などの治療費だって安くはないのですからね。これからは人数と実力に見合った仕事をしてください。こちらで負傷者が治り次第そちらに報告しますから復帰させ仕事をしてください。イチイチそんなことで呼び出さないでください」

「・・・」

「文句がありそうですね?不満があるなら契約破棄しましょうか、契約金や違反金の支払いは互いに無しにしますが治療を受けている傭兵らはそのまま追い出すか日数や負傷に見合う治療費をそちらで支払ってもらいますからね。そのことは契約内容にキチンと書かれていますから」

思い描いていた絵図が破り捨てられたことに言葉が出てこない。

「こちらとしても無駄な傭兵らに消えてもらいたいのですよ。奴隷などで編成された無意味な傭兵団の資料は溜まっていく一方で整理が出来ません。依頼主の善意につけこんで金を騙し取る傭兵などギルドの評価を下げて依頼主からの信頼を損ないますからね」

「・・・・・・」

相手はどこかしら怒りの表情となっていく。

「傭兵の仕事は腐るほどありますが仕事を斡旋するこちらの立場を考えたことがありますか?規則を無視する愚か者がいるから健全な傭兵らが色眼鏡で見られるのです。そういうのを排除するのがこちらの仕事なのですよ。依頼主を騙せば重罪だという実例が存在しますので」

「『白狼』はリーダー以外奴隷で構成されてるんだろ!そいつらなんかいつ逃げ出すかわからねぇぞ!そいつらなんかより俺らのほうを優遇してくれよ!!」

問題をこちらに振られるがギルド職員淡々と説明する。

「確かにその可能性があるので中央ギルドから近々経験豊富な重役をこちらに派遣することが決定しています、金や権力などで動く人物ではないことは確かなので冷静に評価を出してくれるでしょうから。高評価を貰えば中央からさらに優秀な傭兵団がこちらに派遣される可能性が高くなります。この辺りも結構物騒ですし優秀な傭兵は多く確保したいしむこうからも稼げる場所が増えるのは喜ぶべきことなので利害は一致しています」

もはや数だけを揃えた傭兵団など必要ないと断言される。

「そちらにも色々事情はあるとおもいますが思いどおりにならないからと言って仕事を放棄するなど許しませんよ?ある程度前金を支払ってますし事前説明もしました、それを今更出来ませんなど逃げるようでしたら罪人として指名手配し大陸中の傭兵ギルドに情報を送って二度と傭兵として仕事を出来なくしますから」

「なんだと!」

傭兵ギルドには内部資料としていくつかの区分がある、『ネームカラー』と呼ばれているそれは色で傭兵団の信頼度を現していて白から始まり黒まで分けられてる。白金は文句なしで実力があり契約を反故しない最高の評価、金は非常に優秀、銀はかなり優秀、青はとても優秀、青紫はそれなりに優秀、紫はやや優秀、紫緑は少し優秀、緑は普通、黄緑は少し劣る、黄は注意となり依頼が限定され始める、黄土はさらに注意、橙は警戒、赤黄になるとさらに警戒、赤になるともはや汚れ仕事しか来なくなる、黒になると世界中で指名手配となる。

現在では青以上に評価されるのは古参の傭兵でも非常に難しく年単位の貢献度と各都市の重役や傭兵ギルドの正式な許可がなければ不可能なのだ。ちなみに自分らは現段階では青紫色だとか。本当だとこれを教えるのはよほど信頼されてないと不可能だ。ここでキチンと仕事をしている傭兵らは大半が緑色である。それだけ自分らの仕事が真面目だという証拠だ。

こいつらはここに来る前での評価は黄土色であり他の場所でも問題を起こしていたのでギルド職員らは警戒して情報を集めていた。

傭兵ギルドの一番恐ろしい部分はどこよりも早い情報量とその更新数にある、イチイチ現地調査などしなくても大半の情報があらゆる所から入ってくる、王族や貴族や大商人や富豪や農民から奴隷まであらゆる手を尽くして正確な情報収集をしてそれを日々更新している。

傭兵団の依頼の受注数や達成率などは綿密に査定され優秀だとそれだけ優遇される、実際自分らは都市一番設備と警備が整った場所を優先的に使うことができるし一部情報の開示などもしてもらえる。最初は一部の例外を除いて緑から始まる。どこでも同じだが上には行きづらく下に行くのは容易い。他者からの信頼は目に見えないので結果と行動が全てだからだ。

こいつらの仕事の評価はかなり先の段階から見られていて今回の問題からネームカラーを下げる判断を下した。これでさらに仕事が受けにくくなってしまった。自業自得ではあるのだがこれには世界中で信頼できる傭兵らが減っているという事情も存在する。難民は数多く存在して奴隷として売られることも当たり前、経済は悪化の一途であり大半がど素人の戦術でしかなくまともにモンスターと戦えないのだ。中央ギルドから、

『もはや数任せではモンスターという脅威には対抗できなくなった!一刻も早く優秀な戦術家の発掘を急げ、身分や生まれなどどうでも良い!必要なのは最低限の兵数でも最大の戦果を稼げるほど実戦本意の指揮官である!!』

世界各地に伝令が飛び出し目の色を変えて探し回ったがそんな人物など砂漠で砂金を探すほど無理難題だった。各地の傭兵ギルド幹部らも真っ当に依頼をこなせる傭兵が少なくなり始めているのを実感していて何とか有望な傭兵らに優先的に仕事を回して凌いでいたが日増しに増えていく書類に嫌気が差し始めていた。

「アラールに奴隷の子供らを指揮して誰よりも上手く大量の依頼を捌く傭兵団が存在する!」

アラールの都市が自分らに大規模援助を出したと同時に中央ギルドに報告、最初はデマカセだと思っていたそうだが信頼できるギルド職員らを自分らに付けさせたのはこういう理由があると説明してもらえた。もちろん言った人間を口外しないように念押しされて。

ギルド職員が言った中央ギルドの重役が来るのはおそらく自分らの評価が正当な物かどうか確認するためだろう。だが、自分の戦術はあくまで奴隷の子供らが忠実に守るから成り立っているし他の人には形だけでしか使用できない。ある程度まではどうにか教えられるが戦場は紙の上で動いているわけではない、互いに生死を掛けているのだから1秒先に何が起こるかなど予想できない。

「・・・こちらとしても出す物はもう出してますから現時点での戦力で出来る仕事をこなして下さい。聞けば仲間らの看病をこちらに任せて遊び呆けているそうではありませんか。契約破りは重罪ですよ、その辺りはそれなりに傭兵をしてるので分かっているはずです」

「クッ」

彼らにはもはや逃げ場がないことを確信すると、

「じゃあ、契約を破棄するわ」

アッサリと仲間らを売り飛ばした!

「あいつらはそっちで面倒見てくれや、じゃあな」

「ま、待ちなさい!」

職員らを邪魔だと思い強引に腕を振り切って出て行く、ここまでアッサリと仲間を見捨てるとはどういう思考をしているのだ?

「どうしますか?」

職員らも意外な反応に混乱していた。

「とりあえず身柄を確保しましょう」

すぐさま病院に向かい彼らの仲間を全員拘束する判断をするが、

「俺らは全員『緊急臨時雇用』で傭兵をしてるんだ、お前らには面倒を見る必要があるんだぜ?」

ヘラヘラと笑いながら言い放つ。その言葉を聞いて確信した、こいつらは法の抜け道を常時使っている犯罪人だと。

『緊急臨時雇用』の制度は自力での生活は不可能だと判断された人物にだけ認定される制度だ、基準はかなり曖昧で病院で書類を貰い都市に認定されれば良いだけで犯罪者らが最後の逃げ道として用意する手段でこれを出されると墓場まで面倒を見ないといけない。そのため闇医者が書類を偽造することもある。

「クッ、こいつら!どこまでも問題ばかりを・・・」

職員らは歯噛みをしている、さすがに想定外の事態だと。

「大丈夫ですよ、こんなこともあろうかと対策しておきましたから」

エッ?と全員意外そうだった。

「自分が『奴隷使い』ということを忘れていませんか?」

「奴隷使いだと・・・、そうか!その手がありましたね!こいつらが犯罪者だと分かった以上遠慮する必要がありません、どうかお願いします!!」

ギルド職員らはすぐさまこちらの考えを理解してくれた。

「あなた達は雇用主から『緊急臨時雇用』として雇われていると言いましたね?」

「ケッケッ、そうだよぉ」

「先ほど雇用主からあなた達をどうにでもしてよいと言葉を貰いました」

「・・・それがどうかしたか?」

「では、この場で『白狼』のリーダーに奴隷として売却することにします!」

「!?」

あまりにも予想外の答えに目を白黒させる。一見すると完全な逃げ道に思われるが僅かだが止められる場所があるのだ。

「『緊急臨時雇用』に認定された者は雇い主がその責任を放棄した場合に限り優先的に奴隷使いが買うことが許される、この世界中で当たり前にある法律ですから知らないとは言わせませんよ?」

さすがにこの答えに全員の顔から血の気が引いていく、最悪の職業である自分にまで来る所に落ちてしまうなど普通ではありえないのだから。何らかの形で奴隷は売り買いされるがこれは本当にどうしようもない奴だけを保護する法律だがこれを利用させてもらう。こいつらのような奴らが二度と現れないために喜んで悪役になろう。

「一人最低500万ギニーから始めさせてもらいますよ、買う方は一人だけしかいませんが生きていればどうにかなるでしょう。色々と聞きたいことも沢山あるので殺したりは絶対にしませんから安心して買われてください。ここまで保護されたのだから何の憂いもなく買われてくれるでしょうからね」

ギルド職員らは問題が全て解決したと大喜びだ。奴隷からの解放までに積み立てる金額は購入額の最低10倍、こんな大金で買われてしまったらどうやっても返済は不可能だ。

「ま、待ってくれ!さっきのは間違いだ!」

「ここにいる大人数が証人ですよ、逃げられると思わないでくださいね!」

周囲にはかなり多くの人がいるのでもはや誤魔化すのは不可能だ。

「一人500万ギニーなんて法外すぎる!そいつに全員分も出せるわけがねぇよ!」

彼らもあまりにも法外な値段に文句を付けるが、

「所詮奴隷の売買など紙切れと言葉の上だけです、【奴隷化】してしまえば逆らうことなど不可能です」

残酷に断言する。もはや全員には悪夢以外ないだろう、今までの悪事のツケが全て回ってきたのだ。

「分かりました、全員購入します」

「ありがとうございます!早速【奴隷化】して主が誰なのかきちんとしてください、そうしなければ逃げ出してしまいますからね」

ギルド職員全員からどす黒い笑いが出てくる、こいつらには今までかなりの悪事があるようなのでその証人として色々聞き出す必要があるのだろう。もはやこいつらには法の裁きなど必要がない場所まで行ってもらう事にするか。

「クソッ!」

懐から隠し持っていた短剣で襲い掛かってくるが護衛の子供らに押さえ込まれる。

「ハクロウに手出しはさせませんよ」

「このガキが~!」

「何だ、結構動けるじゃないか。戦力として組み込む気は無いけど都市のために奉仕してもらおうかな」

「い・・・、嫌だ~~!」

彼ら全員を【奴隷化】する。全員で35人。もはや自分には隠し事が出来なくなりただただひたすらに命令されたことしか出来なくするほど自由を奪い取る。全員がヘッドサークレットを装着し、

「フフフフ~、さぁお仕置きの時間ですよ!ハクロウ様、こいつらはこっちで衣食住を用意して仕事に励んでもらいますから手を煩わせはしません。まずはギルドの方で沢山お話をしましょうねぇ~」

ギルド職員らの命令を絶対に守ると設定して後のことを任せる。

「ヒィッ!こ、こんなのは人権無視だ!」

「奴隷が何を言っているのですか?文句があるなら売り払った雇い主に言いなさい。損失がそれなりにあるのでまずは体で『誠意』を見せてもらいましょうか!」

さすがにここからの話は子供らには見せられないことになった。

「あいつらは全員最悪の人物でした」

単純明快にそれだけ報告された。よほど悪事を重ねていたようで裁判費用も時間すらももったいない事だそうで、

「面倒の方はよろしく」

こちらも深くは聞かなかった。別に彼らがどうなろうと関心がない。因果応報とも自業自得とも言葉に出来るが奴隷使いの自分にも後ろ暗い部分があるからだ。いまだに奴隷の子供らを使い戦闘に明け暮れている自分にはあいつらのやっていることは大声で犯罪だと言えないのだから。この世界では自分らのような奴隷使いは存在しないそうだ。大半が悪職業であるためまずなりたがらないし普通に考えればそんなことなど時間とお金の無駄以外説明が出来ないそうだ。それを現実でしている自分は良くも悪くも注目されているということでもある。

「は、始めまして!『白狼』にギルドより会計役として派遣され、され、ました。リッテルと、も、も申します!」

偉く舌を噛みながら自己紹介をされる。女性のビーストでさほど年は高くないと思う。

「初めまして、自分がハクロウだ」

仲間らを紹介する。

「ほ、本当に、奴隷の子供らで構成されているんですね!」

椅子に座らせて落ち着かせる。

「とりあえずこれを見てもらおうか」

数字を書き込んだ書類を見せる。

「これは?」

それは今後強力な敵に対抗する為に必要な装備を作成するための原材料を書いた物だった。

「大まかな数字をこちらで出しているけど君が仕事ができるのかどうかこれで判断する」

会計役が数字に弱いのでは何の意味もないし安く購入できるのならばそちらのほうが良い、すぐさま算盤を取り出して計算を始める。30分ほどで計算を終わる。

「これでどうでしょうか?」

「・・・フムフム、大体こちらの予想どうりの金額、すぐにでも仕事を始めてもらうよ」

「分かりました!」

結構細かな数字が多かったがそれも含めて計算してあるのでかなり優秀だった。

「木炭などはともかく硫黄やマッカ石(硝石)は何に使うのですか?それもこんな大量に?」

この世界ではかなりの量が手に入るが殆ど無意味だと捨て値で売られている。

「その辺りは秘密ということで」

「ギルド本部から戦闘などに関しては一切口を出すなと厳命されていますが明確な証拠がないと予算が通りませんよ?」

優秀な会計役なので無意味な物に出す金は無いと判断される。試作品であるが実物を見せることにした。

ドッカ~ン

「は、は、はわわ~!な、なな、なんですかこれは!!」

突然の爆音に完全に腰を抜かしてしまい目の前の現実が信じられないと動揺を隠し切れない。

「こ、ここ、これ、これは!兵器の概念を変えてしまいますよ!!」

それなりに大きな岩を相手に試したがもう少し量を調整する必要があるな。

「早速これを量産し」

「ダメ」

残念だが今はまだこれを他の傭兵団に渡す気はないのだ。そこらじゅうでこんなのが使われたら大量虐殺の道具になるかもしれない。

「色々秘密が出来てしまったねぇ、そう思わない?」

【洗脳】で彼女の記憶などを変えてしまう。こんなことなどしたくないのだが彼女はあまりにも賢すぎる、この技術を他に売ったり出来ないように変えてしまう。何度も段階的にしてすぐさま記憶を出し入れできないようにする。万が一この【洗脳】を解こうとする場合を考えて『キーワード』を設定して自己防衛もできるようにしておく。そばにカインらがいたがこの子らは自分には逆らえないしそもそもそんなメリットなど存在しない。他の場所の奴隷の生活は非常に厳しくて苛酷だという事を知っているからだ。ここだと衣食住は元より生き抜くための知恵や技術なども教えているし服や靴なども買ってあげるし時々ではあるが高価な果物なども食べさせてもらえる。奴隷だが生活待遇は普通の平民より高い。

最初に買ったこの子らの借金返済はほぼ終わっているので開放してあげることも出来るが、

「今ここで奴隷から解放されたとしても所持金不足でまた奴隷となってしまうだけです。支払いが終えればその分だけ出て行くときに貰えるお金が多くなりますしいつかは自分らも一軍の将となる大望があります。優れた指揮官であるハクロウからもっともっと勉強したいのです!」

全員一致でこのまま奴隷として従うことにした。まぁ、このぐらいどうということでもないし面倒は見るけどさ。この辺りから奴隷らが自分を見る目が変わり始めてしまった。色々と話を聞いたりして戦術理解度を高めてくれたり熱心に訓練してくれるのは嬉しいが色仕掛けを覚えろとは言ってないぞ?

ミリオンなど一部を除けば全員16歳以下、一応この世界では成人の資格はあるらしいがこの子らが今後生きていくために必要な勉強を少し増やすことにした。『ガーガス・オルタネイト・システムマスター』である自分は前の世界で遊んでいた仮想戦場を再現する。7日ほどで大体の戦場は構築された。

「これは一体なんですか?」

突然頭の中に戦場と統率する部隊などが出てきて多少混乱している。

「この世界には優秀な指揮官が居ない、だから、ここから指揮官を育てることにした!各自30分交代で二つの部隊を指揮してもらう。結果判定は『どれだけ自軍を優勢にし敵軍を劣勢にする』かだけだ。最初は簡単なイエスかノーかだけだがそれだけの判断で味方が全員死ぬかどうかも有り得るのだから真面目にしてもらうぞ!戦場は遊びではない、互いが生死を賭けていることを忘れるな。今日勝たなければ明日勝つという保障など存在しない。自分は最低限のことしか教えないから自分以外の判断も考慮して動かせ!」!

「「「「は、はいっ!」」」」

これが将来の指揮官候補生の選別であることを自覚させてから勉強させる。

「ヒィッ!味方が大半死んだ!」「負傷者を確保したら狙撃された!「何でそんなところに敵が待ち伏せている!」「ただ前に動かしただけなのに横から攻撃が来た!」

残念だが現時点では完全にど素人だった、『ガーガス・オルタネイト・システム』は単純な前進や後退だけですら死亡の危険性が存在する。それだけリアルということなのだ。今までのモンスターなどの情報で仮想戦場を構築していてこちらの数が有利の時もあれば不利な時も存在する。その時その時に最優先となる選択肢も一つではない、必ずしも要請に答える必要が無い場合もあるのだ。今までは自分の指揮で勝って来たがこれがこの世界の現実なのである。

「もう一回お願いします!」

「戦場に2回目など存在するはずがないだろう!目の前で死んだ味方に『次があるさ』などと言えるのか?自分以外の誰かが何とかしてくれるのか?不利な戦場から逃げ出した指揮官の後始末は誰がする?指揮官が信じれるのは自分自身の判断だけだ!兵士はただそれに従うのみ、今までは自分の判断が正しかったから生き抜いてきたがもし自分が倒れたら誰が指揮を執るんだ!!」

「「「「・・・・・・」」」」

残念だが2回目というのは戦場では絶対に存在しない。『後悔先に立たず』の言葉どうりすでに終わってしまったことを後悔しても死人は蘇らない。

無力、絶望、悲劇、色々言葉はあるが指揮官と言うのは華々しく見えるが孤独でもあるのだ。その不始末を押し付けられれば誰でも逃げたくなるがそれでは味方は皆殺しになるしかない。こんな子供らにそんな現実など見せたくはないがもし自分が何かの不注意で死んだらこんな状態では誰かが何とか出来る訳がない。モンスターに殺されるか運良く逃げられたとしてもまた奴隷として売り飛ばされる以外選択肢が出てこない。

「指揮官が愚かだとこれほどまで簡単に無駄な死人が出るのですね」

カインが呟く。

「・・・君らはまだ子供であるから学習力が高い、これは仮想戦場だから良いが現実だったら本当の全滅だ。可能な限り選択肢を広げろ!華々しく負けるより泥に塗れても勝つことを考えろ!有利な戦場である時も不利な戦場である時も自分で出来る仕事を引き出せ!例え目の前で死人が出ても表情を変えず堂々としていろ!例え味方を騙してでも良いから敵を倒せ!次は3日後に行なう」

子供らを置いて出て行く。

「ハクロウ、あんな子供らにこんなに重い物を背負わせるのはどうかと思いますが・・・」

エリスが側に近づいてきて話をする。

「もし自分もっと高齢だったら、もし子供らが年を重ねていたら、そう思う時もあるけど『今』という現実は変わらない。こういう教育はもう少し後でも良いのが普通だけど指揮官の質も量も最悪、他の人に問題解決が出来ないなら自分がするしか方法が無い。後は彼らがどう受け止めるかだけ」

残念だがもはや指揮官不足は末期状態なのだ、今日死ぬか明日死ぬかだけでしかない。こんな荒療治しか方法が無いのだ。

「各地では正規軍が敗走を重ねている現実が憎いですよ。なぜこうなる前に手が打てなかったのでしょうか。戦の神はなぜこの事態を放置しているのでしょう?この世界には神はいないのでしょうか?」

司祭である彼女は最初こんな子供らを奴隷として買い戦わせていることに嫌悪と罪悪感を感じていたが少しずつ薄れ始めていた。事情はあまり話してくれないが権力争いで敗れたため奴隷として売られてここで生活するようになってから変化し始めている。自分は別に神様など信仰してない、神が存在するとすれば自分自身の中だけだ。

3日後に仮想戦場を出すと全員の表情が一変する。

「(なるほど・・・、そう来たか!これに気が付いたのは非常に良い決断だ!今までの経験からかそれとも誰かアイデアを出したか分からないがこれなら評価できるぞ!)」

実は仮想戦場で敵側は自分が指揮を執っているが相手は400人以上の人数が判断している。子供とはいえ手を抜けばどちらに勝敗が転んでもおかしくないように絶妙なバランスを保っているのだ。相手の子供らは一番目の手としたのは戦死者となった味方の回収を安全確保が終わってからしたのだ。普通だと目の前で味方が死ねばすぐにでも助けを求めたがるが敵味方の攻撃が入り乱れている状態では無意味に損害を増やすだけ、そのため優先順位を低くした。2番目の手は偵察の人数を増やし敵の情報を可能な限り獲得することだ。敵の位置情報などを把握することは常に行なわなくてはいけない。3番目の手はあえて味方を死角に待機させ敵を狙撃させるという物、これだけでも敵に見つからなければ一方的に攻撃できる。4番目の手はキチンと移動ルートを確保させるという物、安全確保が出来ていない道はいつ敵から攻撃されてもおかしくないので当然だ。最後の手は部隊の役割を3つに分けたことである、これが一番大きな収穫だ。

ここは仮想戦場であるため現実には死人が出ないことを逆手に取りあえて一部捨て駒として運用して次の戦場で有利な判断を出すために切り捨てたこと。前の世界でも王を討ち取るために他の駒で追い詰める必要があるのでいくつかの部隊はあえて切り捨ててデータ収集だけとして動かした。当然その部隊は壊滅的打撃を受けるが敵位置の情報や移動ルートなどを手に入れられるので決して無駄ではない。他の2部隊も手に入れた情報を反映させて動かしている。残念ながらまだまだ動かし方が雑であり自分を追い詰めるにはいたらなかったが格段に進歩していた。

「ど、どうでしょうか?」

子供らは不安の色で一杯だった。結局こちらの温存していた戦力に壊滅させられたのだ。

「合格点は与えられない、それは自分らが分かっているはず。結局壊滅したのだから前と同じ」

このままでは見捨てられると涙を浮かべている子供らもいたが自分も無慈悲ではない。

「評価すべき場所はちゃんと見ていたよ。優先順位の判断を見直しに偵察兵を出したりと・・・、色々自分らで考えて判断し進歩した。ギリギリ不合格点からの回避ということで少しだけ豪華な食事にしようか!」

全員が満面の笑顔になる、その日は焼肉パーティとした。肉は高いが子供らの成長に比べれば安いものだった。

いつもどうりにモンスター討伐などの仕事を行なうが全員の顔には自信が出ているように感じる。あれから定期的に仮想戦場で戦うことを行なっている。いつも同じ戦場など有りえないし状況は常に更新されているからだ。こちら1人に対してむこうは400人以上で考えている。前に指揮していた人の状況を判断してその後どう挽回するのか、無事な部隊をどのように動かすかなどなど勉強不足な部分もあるのでどうしても時間が必要なのだ。毎日行なえば良いと思うかもしれないがそうすると『一度失敗しても次で取り返せる』と固定観念が出来てしまう。間を空けて二度と同じことが出来ないようにして考えさせる時間を与えるのも必要なのだ。

それにこちらにもメリットが存在する、仮想戦場の情報が瞬く間に更新されるので対戦相手に困らないのだ。指揮官として常に上に立ち続けるにはとにかく敵がいなければどうしようもない。自分と同じことが出来る存在はいないので子供らと戦うことは油断するなという戒めでもある。

そうして仕事をこなしているとギルド本部から呼び出される。

「この人がそうですか?」

見た感じ壮年の男性のようだが何者なのだろうか?

「ハクロウ、こちらは中央ギルドから派遣された戦術研究家のヴァトラーです」

よろしく、と握手される。

「非常に若いな。聞いていた話ではもっとゴツい人物かと思っていたが仮面を被り体は細いし・・・、本当に本人なのかな?」

疑惑をもたれるが別に気にする必要などない。

「自分は『奴隷使い』です。戦力は奴隷から成り立っています。どのように評価を出すのか分かりませんが子供らに訓練をしなくてはならないので」

行く事を告げると引き止められる。

「何か?」

「他の指揮官のように渡す物はないのか?」

賄賂を渡せということか。自分は軍人でもなんでもない、悪しき慣習がそこにハッキリと存在した。

「先に明言しておきますがそんな『モノ』で買いたいのならば勝利以外欲しくありません。何を期待しているのか分かりかねますが」

「・・・」

こちらに突き刺すように視線を送ってくる。文句がありそうだな。

「優れた戦術家だと聞いていたが世の中のことに無頓着ではないかな?」

「お前のような『クズ』が戦術家だと世の中にはさぞ金がばら撒かれているのだろうな」

「!」

それで激昂される。こういう相手には感情を高ぶらせないと本音が聞けないのだ。

「戦術家がクズだと?」

「あなたが言う戦術とは正面から堂々と名乗りを上げて突撃することですか?勇敢に死ねば名誉なのですか?それで後ろにいる味方に死んでから謝罪すれば許されるのですか?敗走する味方に励ましの言葉を送れば戦争に負けたことが無かったことになりますか?」

「・・・」

「敵を調べずに戦って勝っても負けても何も手に入りませんよ?脅威に対抗したいのならば『自分できることを知るべき』だと思います。数の平押しで勝てる状況などほんの一部なのですからね。山の頂点に立ちたければ何よりも失敗した原因を徹底的に洗い出すことですからね」

「・・・・・・」

最初の傲慢な態度はナリを潜めジックリとこちらを観察している。

「たとえば、この辺りには元沼地が多く雨が降れば姿を現します。それを知らずに戦わせることなど出来ないでしょう。配下の兵士に事前確認させることは常識ですよ?」

「!」

さすがにこの情報には驚いている、自分が事前に確認したが結構な場所に元沼地があり雨が降れば姿を現す場所が数多くある。子供らにはその場所を徹底的に教えている。機動力が落ちればそれだけ自由がなくなるのだから。

「聞くがこの場所で敵を無力化するには最善の策は?」

「単純明快ならいくつかの溝を掘りそこに水を流すことでしょうか?この辺りは平地が多く飛行型の魔物がいないので結構足止めできますよ、そこに弓矢を大量に打ち込めばほぼ無力化できます」

かなり興味津々のようだ。

「・・・現時点で最優先配備する装備は?」

「先に言いましたが弓矢の配備をもっと増やすべきですね。矢の消耗が激しいので回収する手間はありますが遠距離から一方的に攻撃できる恩恵は大きいですしさほど技術が必要でなく簡単な長弓が望ましいでしょう」

この世界の装備には『短弓』と『長弓』しかなく有効射程が長い後者のほうが遥かに有利だ。

「話はこれで終わりですか?」

早く子供らの所に行きたいのだがまだ引き止める。

「あなたが言ったことはこの世界の常識を否定しておりますぞ?」

「戦場に常識など無ければ安全地帯も存在しません。ただの醜い殺し合いに礼節など持ち込んだからと言って相手が守る保障はどこにありますか?騎士だとかは『礼に始まり礼に終わる』などと言いますが魔物が守ってくれますか?そんなのは物語の中か王族らの前でしてください。イチイチ相手が確認している時間ですら他の敵は待ってくれないのです」

この都市にも騎士がいるがそんな馬鹿げた考えに染まりきっていて戦力外だと思っている。無駄以外表現しようが無い。

「指揮官は貴族としての威厳と品格が求められる、平民風情が出来る仕事ではない」

「古来から貧富の差に関係なく優れた将は出てきます、そんな狭い視野では無能な人物ばかりで責任の押し付け合いになりますよ」

どこの世界でもそういうのは本人次第だ、もし貴族の全員が指揮官になったら今頃は内乱になっているだろう。

「貴殿は礼儀など存在しない野蛮人だ!この『奴隷使い』め!」

逆鱗に触れたようだが何の意味も無い。

「その礼儀を守って惨たらしく殺された仲間にどのように顔向けできるのですか!」

この戦術家とやらも他の貴族や騎士などの醜い慣習に染まりきっている。これ以上の説明は無意味で問答無用で殴り飛ばす。

「お、おまえ!」

馬乗りになりナイフを首元近くに刺す。

「礼儀は礼儀、別にそれは否定しませんがそれで守れるのは今の時代の戦場には何もありません。現実ではその礼儀を守っていたために攻撃される危険性があるのですよ。それにこだわって部隊を壊滅させたら誰が責任を取りますか?あなたが自刃すれば死んだ仲間が生き返りますか?それでいいならあなただけで戦ってください」

もはや理解しあうのは不可能だと判断して無視することにした。こんな無意味な話し合いの時間の分だけ脅威が迫っているかもしれないことを考えると矛先のない感情が出てくる。



~その後の展開~

「フフフ、現在の常識を完全否定し優先的な脅威の排除だけしか頭にない、とんでもない男じゃのぅ。見栄えばかりしか見るべきところが無い貴族出身の指揮官なぞよりも遥かに優れている。非常に好感が持てるぞ」

「ヴァトラー様、いくらなんでもこのような評価の仕方はどうかと思われますが・・・、彼の印象を損ねてまで本音を聞きだそうとするなど。もう少し穏便にしてもらえませんか?現在この都市の防衛戦力はほぼ彼一人で保っているのですから」

ギルド職員は冷や汗を大量に流していた。戦術研究家という言葉は間違いではないがこの辺り一帯を治めているヴァトラー・レムヒア=グリムレムルフェルテ公爵家当主本人である。

「まぁ、相手を知っておいても展開は同じだっただろうよ。普通は萎縮するものだがむこうには本物の殺意があった。報告では穏便な性格だと聞いておったが意外と激しいな。奴隷使いというのは無知で傲慢な性格が多いが全てにおいて現実をもっとも理解しておる」

この世界の戦術が未熟すぎることを反論も許さぬほど突いてきていた。その上で優先的に装備する武器や地形情報からもっとも有効な対策まで短時間で出したのだ。今までこんな男は見たことが無い。

「領地の貴族らの勢力を削ったのは何も意味がなかったわけではないのだな」

そもそも直接会うことにした理由の発端はハクロウが戦って勢力を削った貴族らの懇願だった。自分の家族や子供らを指揮官として押し込もうとしたが無能をあらわにして追い出したのだ、それに怒り兵を集めて侵攻したが壊滅状態になり多額の金を取られ勢力が削られてしまい、

「礼儀を知らない『奴隷使い』の傭兵を殺すために公爵様の軍を貸してください!」

話を聞けば4倍ほどの戦力で攻めながら負けたそうであり公爵本人はその貴族らをさほど好いておらずむしろ追い払った傭兵のほうに非常に興味を持った。既存の戦法ではただの数任せによる突撃だけしかなく自分を含め戦法の改革に着手しようと考えていた、こちらの数が多ければ勝つ可能性は高いが逆だと難しくなり負傷者も数多く出てしまう。色々考えたが打開策が出なかった、そういう中で彼が出てきたのだ。ギルドの方に彼の書類をこちらに出されるたびに非常に喜んでいたのだ。

「彼を何とかして自軍に迎え入れたい」

奴隷使いはもっとも嫌われている悪職業であるがここまでの結果を出しているのなら別に問題などなかった、それほど状況は危険なのである。色々問題も出るだろうが独立部隊として運用すれば良いだけだ。

「彼の第一印象は最悪ですよ、どうするのですか」

「最悪でもなければ彼の頭からは簡単に無くなってしまうであろうよ。彼の意見を取り入れて弓兵の配備を増やしこの都市にも出来る限り援助しよう」

公爵本人も以前からこの都市の領主らが私腹を肥やしていた事実は掴んでいたが内部争いで無駄に兵を失うだけだと判断して放置していた。彼には感謝しているのだが統治者として公然と礼を言うことは出来ない。こちらにも問題の解決を無意味に引き延ばした後ろめたさがあったからだ。

「彼の今後の予定はどうなっている?」

「奴隷らに軽く訓練を施したあとモンスターが固まっている場所に向かい殲滅するそうです」

どうやら彼の実力を目の前で見れる数少ないチャンスのようだ。

「付いて行くことはできるか?」

「ま、まさか公爵様本人が警備もつけずにむかう気ですか!」

ギルド職員は血の気が引く。

「どうしても彼が指揮を執っているところを目の前で見たいのだよ。言葉だけならどうとでも言えるからな、もし本物なら『ネームカラー』を一つ以上上げるようにするぞ。悪い取引ではなかろう」

その場所の影響力と発展はどれだけ優秀な信頼できる傭兵らを抱えているかで決まる、本来だと上げるのは難しいのだが公爵様本人に認められれば審査など完全に飛ばして通るだろう。

「さてさて、どのようにしてあれだけの数の魔物を倒してくれるのかのぅ。今から楽しみじゃ!」

子供のようにはしゃいでいる公爵様、もはや誰も止めることができなかった。後でキチンと正体を明かすように言うが守ってもらえるのか非常に不安なのであった。
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