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第二章 お飾りの王太子妃、国内にて
5 チームお飾りの正妃の復活(2)
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みんなが集まって、これからの行動方針が決定した。
まずは、騎士として様々な場所に行ったことのあるガルドとシーズルス領出身のラウルが中心になって経路を絞ることになった。
そして、ジーニアスとアドラーが招待客の把握。そして、リリアが持ち物などの準備をすることになった。
現在、先ほどまでみんなが集まっていた食卓では、ガルドとラウルが二人で地図を挟んでルートの話し合いをしていた。
「ん~~この道だとかなりギリギリになりますね。ラウル、この道はどうですか?」
ガルドの問いかけに、ラウルが真剣に答えていた。
「この道は凶悪な野生動物の住処がある。狼や熊、夜鳥……近付かない方が無難だ」
そして、手前のソファでは、ジーニアスとアドラーが招待客の確認をしていた。
「この方々は、貴族ではありませんが今回の造船に多大な寄付をしてくださった商家の皆様ですので、別途確認した方が良いと思います。中には男爵候補として名前が上がっている方も数名いらっしゃいます」
ジーニアスは、夜会や披露式などの招待客のリストを持参して、アドラーと打合せをしていた。アドラーも丁寧に確認しているようだった。
「そうですね……この方たちは?」
そして、リリアは私が持って行く荷物を確認してくれている。
みんな真剣に計画を立てている中。
私はというと……鬼のブラッド先生から『船と海路』の歴史について学んでいた。
「ちょっと待ってブラッド。少し休憩しようよ~~。こんなに一気に覚えられないよ!!」
ブラッドの怒涛の知識攻撃に音を上げていると、ブラッド先生が呆れたように言い放った。
「本来なら、すでに学び終えている内容だ。このくらい覚えなくてはクローディア殿が恥をかくことになる」
うっ……! ブラッド先生……厳しいです……
「次だ……」
ブラッドが私をジロリと見ながら言ったので、私も再び本に目を向けたのだった。
「は……い」
◆
クローディアたちが、執務室で船の披露式に行くための準備をしていた時。
リリアはクローディアの旅行用品の確認をするために侍女長を訪ねて、侍女の控室にいた。
今の時間は控室には、侍女長のカトレアしかいなかったので、リリアはカトレアと二人で話をしていた。
「リリア、遠征を引き受けてくれてありがとう。誰もいなかったから、私が行こうと思っていたのよ」
カトレアは優しく目を細めながら言った。そんなカトレアにリリアは少し驚きながら口を開いた。
「カトレア侍女長自らですか? ふふふ、クローディア様が聞いたら、恐縮すると思いますよ」
「そうね~~クローディア様、随分と変わられたわ………でも体調面や精神面だけじゃなくて、不安なところもあるから、リリア同行してくれてよかったわ。きっとアリア様もこの状況ならご自分で行かれた気がするから血は争えないわね」
リリアは少し考えて答えた。
「母は……迷わず行ったでしょうね」
リリアの母は元王宮の侍女長に史上最年少で就任したエリート侍女だった。結婚と同時に侍女を辞めてルラック子爵領に嫁いだ。その後、彼女が嫁いだルラック子爵領からは優秀な侍女や執事が多く排出され、現在でも多くの侍女や執事希望者がルラック子爵領を訪れて、リリアの母アリアの教えを受けている。
リリアが若くして王太子妃クローディア付きの侍女に就任したり、アドラーの礼儀作法が陛下から絶賛された裏には、元侍女長アリアの存在があったのだ。
「ふふふ。アリア様が張り切って同行される姿が目に浮かぶわ」
「……私も浮かびます」
カトレアが懐かしそうに目を細めた。普段のカトレアはこんな話はしないが、今はリリアと二人なので話をしてくれているのだろう。
「今回、長旅なので酔い止めや胃薬などの薬を持参したいのですが、薬師への依頼許可を頂けますか?」
実は、侍女がクローディアのために勝手に王宮の薬師から薬を用意して貰うことは出来ない。遠征などの場合のみ、侍女長の印とクローディアの印が在れば薬を貰える。リリアはすでにクローディアの印はもらっていたのだ。
「ああ。もちろんよ。最近、薬師の方が変わったの、凄く美形な方なのよ」
「へぇ~~美形……」
リリアはその手の話題が苦手だったので、軽く相槌を打った。
「ふふふ。アドラー様を見慣れているリリアにとっては、そうでもないかしら?」
「男性の美醜は剣技でしかわからないので、なんとも言えませんが……」
リリアが素直に答えると、カトレアが思い出したように言った。
「そうだったわ……リリアはそんな子だったわ……。とにかくみんな一度薬師の方に会うと、何かと通うようになる娘が多いのよ。リリアは大丈夫だと思うけれど、用事のある時だけにしてね」
「はい。もちろんです」
リリアが答えると、カトレアは侍女長の印を押してくれた。
「ありがとうございました。それでは失礼致します」
「ええ。お願いね」
リリアは侍女の控室を出ると、薬草保管室に向かった。
部屋の前には3人の侍女が中の様子を窺っていた。
「何をしているの?」
リリアが尋ねると、ドアの前にいた1人が答えた。
「え? その……マリーがお腹が痛いっていうから、一緒に付き添って来たのよ」
「そうよ」
他の侍女も「うんうん」とうなずいていた。リリアはこれが侍女長のカトレアが言っていたことかと思った。
「リリアはどうしてここに? クローディア様、また具合が悪いの?」
クローディアは数日部屋に籠っていたので、城中に『クローディアは体調が優れない』という噂が広がっていた。 ブラッドの指示でその噂を放置するように言われているので、リリアは噂を否定は出来ない。だから、手短に伝えた。
「遠征の準備なの。薬師の方に用があるのだけど、入れるかしら?」
「ええ!! 大変ね。私も付きそうわ!!」
「私も!!」
扉の前にいた侍女が皆付き添いを希望した。
「これ、侍女長印のある案件なの……わかるでしょ?」
侍女たちにとって、侍女長とは一番逆らえない相手でもある。侍女長が背後にいるのなら、関わらない方がいいと瞬時に悟った。
「あ、そうなの。では、私たちはこれで」
「そうね!! まだ仕事があったんだ」
すると中から、お腹が痛いと言っていたのに、薬師に楽しそうに話しかけていたマリーも素早く出て来た。
「じゃあね。リリア」
侍女たちは、そそくさとその場から去って行った。リリアはため息を付くと、薬草保管室に入って扉を閉めた。
「こんにちは。君は初めての方ですね」
「こんにちは、はじめまして」
リリアは男性薬師の顔をじっと見た。確かに顔は整っているが、兄のアドラーや、ラウルに比べれば一般的な顔だ。しかも最近リリアは超絶美形だと名高いブラッドや、フィルガルド殿下の顔まで見ているので、本気でこの男性の顔の美醜がわからなかった。ただ、この男性の笑顔は胡散臭いと思った。
「クローディア様の遠征のための薬を用意して下さい。内容はこちらで、これが書類です」
リリアが書類を渡すと男性の瞳の奥が怪しく光った気がした。
「クローディア王太子妃様の……」
そう呟いた後に男性はリリアの顔を見て、にっこりと微笑んだ。
「少々お待ちください。ご準備いたします。そういえば、フィルガルド殿下もご出席されるのですね」
「え? そうなのですか?」
「はい。殿下の付きの侍女の方が薬を取りにいらっしゃいましたので」
「……なぜそれを私に?」
「ただの……世間話ですよ」
リリアは薬草保管室内のソファに座った。そして、リリアは男性の片方の口角が怪しく上がったのを目撃して、眉を顰めたのだった。
まずは、騎士として様々な場所に行ったことのあるガルドとシーズルス領出身のラウルが中心になって経路を絞ることになった。
そして、ジーニアスとアドラーが招待客の把握。そして、リリアが持ち物などの準備をすることになった。
現在、先ほどまでみんなが集まっていた食卓では、ガルドとラウルが二人で地図を挟んでルートの話し合いをしていた。
「ん~~この道だとかなりギリギリになりますね。ラウル、この道はどうですか?」
ガルドの問いかけに、ラウルが真剣に答えていた。
「この道は凶悪な野生動物の住処がある。狼や熊、夜鳥……近付かない方が無難だ」
そして、手前のソファでは、ジーニアスとアドラーが招待客の確認をしていた。
「この方々は、貴族ではありませんが今回の造船に多大な寄付をしてくださった商家の皆様ですので、別途確認した方が良いと思います。中には男爵候補として名前が上がっている方も数名いらっしゃいます」
ジーニアスは、夜会や披露式などの招待客のリストを持参して、アドラーと打合せをしていた。アドラーも丁寧に確認しているようだった。
「そうですね……この方たちは?」
そして、リリアは私が持って行く荷物を確認してくれている。
みんな真剣に計画を立てている中。
私はというと……鬼のブラッド先生から『船と海路』の歴史について学んでいた。
「ちょっと待ってブラッド。少し休憩しようよ~~。こんなに一気に覚えられないよ!!」
ブラッドの怒涛の知識攻撃に音を上げていると、ブラッド先生が呆れたように言い放った。
「本来なら、すでに学び終えている内容だ。このくらい覚えなくてはクローディア殿が恥をかくことになる」
うっ……! ブラッド先生……厳しいです……
「次だ……」
ブラッドが私をジロリと見ながら言ったので、私も再び本に目を向けたのだった。
「は……い」
◆
クローディアたちが、執務室で船の披露式に行くための準備をしていた時。
リリアはクローディアの旅行用品の確認をするために侍女長を訪ねて、侍女の控室にいた。
今の時間は控室には、侍女長のカトレアしかいなかったので、リリアはカトレアと二人で話をしていた。
「リリア、遠征を引き受けてくれてありがとう。誰もいなかったから、私が行こうと思っていたのよ」
カトレアは優しく目を細めながら言った。そんなカトレアにリリアは少し驚きながら口を開いた。
「カトレア侍女長自らですか? ふふふ、クローディア様が聞いたら、恐縮すると思いますよ」
「そうね~~クローディア様、随分と変わられたわ………でも体調面や精神面だけじゃなくて、不安なところもあるから、リリア同行してくれてよかったわ。きっとアリア様もこの状況ならご自分で行かれた気がするから血は争えないわね」
リリアは少し考えて答えた。
「母は……迷わず行ったでしょうね」
リリアの母は元王宮の侍女長に史上最年少で就任したエリート侍女だった。結婚と同時に侍女を辞めてルラック子爵領に嫁いだ。その後、彼女が嫁いだルラック子爵領からは優秀な侍女や執事が多く排出され、現在でも多くの侍女や執事希望者がルラック子爵領を訪れて、リリアの母アリアの教えを受けている。
リリアが若くして王太子妃クローディア付きの侍女に就任したり、アドラーの礼儀作法が陛下から絶賛された裏には、元侍女長アリアの存在があったのだ。
「ふふふ。アリア様が張り切って同行される姿が目に浮かぶわ」
「……私も浮かびます」
カトレアが懐かしそうに目を細めた。普段のカトレアはこんな話はしないが、今はリリアと二人なので話をしてくれているのだろう。
「今回、長旅なので酔い止めや胃薬などの薬を持参したいのですが、薬師への依頼許可を頂けますか?」
実は、侍女がクローディアのために勝手に王宮の薬師から薬を用意して貰うことは出来ない。遠征などの場合のみ、侍女長の印とクローディアの印が在れば薬を貰える。リリアはすでにクローディアの印はもらっていたのだ。
「ああ。もちろんよ。最近、薬師の方が変わったの、凄く美形な方なのよ」
「へぇ~~美形……」
リリアはその手の話題が苦手だったので、軽く相槌を打った。
「ふふふ。アドラー様を見慣れているリリアにとっては、そうでもないかしら?」
「男性の美醜は剣技でしかわからないので、なんとも言えませんが……」
リリアが素直に答えると、カトレアが思い出したように言った。
「そうだったわ……リリアはそんな子だったわ……。とにかくみんな一度薬師の方に会うと、何かと通うようになる娘が多いのよ。リリアは大丈夫だと思うけれど、用事のある時だけにしてね」
「はい。もちろんです」
リリアが答えると、カトレアは侍女長の印を押してくれた。
「ありがとうございました。それでは失礼致します」
「ええ。お願いね」
リリアは侍女の控室を出ると、薬草保管室に向かった。
部屋の前には3人の侍女が中の様子を窺っていた。
「何をしているの?」
リリアが尋ねると、ドアの前にいた1人が答えた。
「え? その……マリーがお腹が痛いっていうから、一緒に付き添って来たのよ」
「そうよ」
他の侍女も「うんうん」とうなずいていた。リリアはこれが侍女長のカトレアが言っていたことかと思った。
「リリアはどうしてここに? クローディア様、また具合が悪いの?」
クローディアは数日部屋に籠っていたので、城中に『クローディアは体調が優れない』という噂が広がっていた。 ブラッドの指示でその噂を放置するように言われているので、リリアは噂を否定は出来ない。だから、手短に伝えた。
「遠征の準備なの。薬師の方に用があるのだけど、入れるかしら?」
「ええ!! 大変ね。私も付きそうわ!!」
「私も!!」
扉の前にいた侍女が皆付き添いを希望した。
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侍女たちにとって、侍女長とは一番逆らえない相手でもある。侍女長が背後にいるのなら、関わらない方がいいと瞬時に悟った。
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「じゃあね。リリア」
侍女たちは、そそくさとその場から去って行った。リリアはため息を付くと、薬草保管室に入って扉を閉めた。
「こんにちは。君は初めての方ですね」
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リリアは男性薬師の顔をじっと見た。確かに顔は整っているが、兄のアドラーや、ラウルに比べれば一般的な顔だ。しかも最近リリアは超絶美形だと名高いブラッドや、フィルガルド殿下の顔まで見ているので、本気でこの男性の顔の美醜がわからなかった。ただ、この男性の笑顔は胡散臭いと思った。
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そう呟いた後に男性はリリアの顔を見て、にっこりと微笑んだ。
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「え? そうなのですか?」
「はい。殿下の付きの侍女の方が薬を取りにいらっしゃいましたので」
「……なぜそれを私に?」
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