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第二章 お飾りの王太子妃、国内にて
22 クイーンイザベラ号お披露目式(7)
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ラウルは、アドラーの剣が鎖で巻かれたのを少し離れた所から見ていた。
「アドラー!! くっ!! 武器粉砕か!! 待ってろ!!」
すぐにでも駆け付けたかったが、今、自分がここを動けば、二人共窮地に陥る。
つまり、アドラーの元に向かうには――目の前の敵を全て片付ける必要がある。
ラウルは、自分に焦るな、焦るな、と言い聞かせながら剣をきつく握った。
騎士団最強であるラウルは、戦場で仲間から助けてくれ、と懇願されることも多い。もちろん、仲間はいつでも助けたい。だが状況や戦局を見極めなければ、誰も助けることが出来ないばかりか、部隊壊滅の危険もあるのだ。騎士団最強であるがゆえ、ラウルはいつだって騎士団の最後の希望なのだ。
――ラウルの敗北は騎士団の士気に繋がる。
ラウルはそれを十分に理解しており、自分が倒れていては、部隊の士気にも影響し、救える命も救えなくなるということをわかっているので、常に冷静さを保つようにしている。
ラウルは大きく息を吐くと、剣を握りしめ、自分に向かって来る剣士の剣をただただ力任せに払い落した。そして、その剣を踏みつけ、踵で後ろに蹴る。剣を失った剣士は殴りかかって来るので、そのまま剣の柄で殴り返して、気を失わせた。
ラウルの剣は速さ、力、技術全てを兼ねそろえた理想の剣だ。だが、全てを平等に兼ね備えているからこそ、傭兵集団というようなそれそれが、己の持ち味を生かして攻撃を仕掛けてくるような戦いでは、どう対処するべきかの悩みが生まれる。
今回は、効率がいいとはいえないが、力任せに着実に、敵の人数を減らしていったのだった。
――もっと、自分の剣の活かした戦いをしなければ、この状況より過酷な状況で仲間を守れない!!
ラウルは結局、最後に残った目の前の敵を剣技というよりも敵も力でねじ伏せた。
自分の目の前から敵が消えて、ふとアドラーに目を移すと、アドラーは剣の粉砕を免れたようだった。
「よかった……」
辺りを見渡すと、船上に立っている敵は、後三人。アドラーは高度な剣術で間合を活かして、一対一になるように上手く戦っている。ラウルはアドラーの速さと間合いの取り方にはいつも舌を巻いていた。
自分ももっと、戦い方を考える必要がある。
ラウルは一瞬そう思ったが、急いで、アドラーが戦っている男の後ろの男に向かって、船を移動した。
このままいけば、アドラーと挟みうちのようになる。
アドラーの後ろにいた男も、ラウルの存在に気付いた。アドラーを警戒していた剣士は、すぐにラウルに向かって剣を向けた。
この剣士も、アドラーと似た剣速を戦いに利用するタイプの剣士だった。
「あいつら、もうやられたのか!! くっ!! すぐに終わらせる!!」
船の上の戦いに慣れているのか、男の剣は想像以上に早かった。速さで攻撃に力を乗せ、間合を一気に詰めるタイプの剣士。厄介だが、ラウルにとってはこの程度のスピードはさほど問題でもなかった。
「残念だったな。生憎と、俺はもっと速い剣を知っているんでね。ついでに間合を計算されるっていう、イヤな相手をな」
ラウルは、男の剣を防ぐとその勢いで、相手の剣を叩きつけた。
その衝撃で、男の剣は二つに折れてしまったのだった。
「アドラー!! くっ!! 武器粉砕か!! 待ってろ!!」
すぐにでも駆け付けたかったが、今、自分がここを動けば、二人共窮地に陥る。
つまり、アドラーの元に向かうには――目の前の敵を全て片付ける必要がある。
ラウルは、自分に焦るな、焦るな、と言い聞かせながら剣をきつく握った。
騎士団最強であるラウルは、戦場で仲間から助けてくれ、と懇願されることも多い。もちろん、仲間はいつでも助けたい。だが状況や戦局を見極めなければ、誰も助けることが出来ないばかりか、部隊壊滅の危険もあるのだ。騎士団最強であるがゆえ、ラウルはいつだって騎士団の最後の希望なのだ。
――ラウルの敗北は騎士団の士気に繋がる。
ラウルはそれを十分に理解しており、自分が倒れていては、部隊の士気にも影響し、救える命も救えなくなるということをわかっているので、常に冷静さを保つようにしている。
ラウルは大きく息を吐くと、剣を握りしめ、自分に向かって来る剣士の剣をただただ力任せに払い落した。そして、その剣を踏みつけ、踵で後ろに蹴る。剣を失った剣士は殴りかかって来るので、そのまま剣の柄で殴り返して、気を失わせた。
ラウルの剣は速さ、力、技術全てを兼ねそろえた理想の剣だ。だが、全てを平等に兼ね備えているからこそ、傭兵集団というようなそれそれが、己の持ち味を生かして攻撃を仕掛けてくるような戦いでは、どう対処するべきかの悩みが生まれる。
今回は、効率がいいとはいえないが、力任せに着実に、敵の人数を減らしていったのだった。
――もっと、自分の剣の活かした戦いをしなければ、この状況より過酷な状況で仲間を守れない!!
ラウルは結局、最後に残った目の前の敵を剣技というよりも敵も力でねじ伏せた。
自分の目の前から敵が消えて、ふとアドラーに目を移すと、アドラーは剣の粉砕を免れたようだった。
「よかった……」
辺りを見渡すと、船上に立っている敵は、後三人。アドラーは高度な剣術で間合を活かして、一対一になるように上手く戦っている。ラウルはアドラーの速さと間合いの取り方にはいつも舌を巻いていた。
自分ももっと、戦い方を考える必要がある。
ラウルは一瞬そう思ったが、急いで、アドラーが戦っている男の後ろの男に向かって、船を移動した。
このままいけば、アドラーと挟みうちのようになる。
アドラーの後ろにいた男も、ラウルの存在に気付いた。アドラーを警戒していた剣士は、すぐにラウルに向かって剣を向けた。
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「あいつら、もうやられたのか!! くっ!! すぐに終わらせる!!」
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「残念だったな。生憎と、俺はもっと速い剣を知っているんでね。ついでに間合を計算されるっていう、イヤな相手をな」
ラウルは、男の剣を防ぐとその勢いで、相手の剣を叩きつけた。
その衝撃で、男の剣は二つに折れてしまったのだった。
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