ざまぁ対象の悪役令嬢は穏やかな日常を所望します

たぬきち25番

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第六章 最強チーム、強大国へ

34 秘密の部屋

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「……おかしいわ」

「何がおかしいのだ?」

 私はブラッドと見つけた隠し扉付近に煙を近づけた。
 すると煙は隠す扉の付近だけ空気の流れがあるようにゆらゆら揺れた。だが、この部屋のドアノブのついていた壁一面がゆらゆら揺れている。

「ジーニアス、ありがとう。助かったわ」

「いえ、お役に立ててよかった」

 私はジーニアスに香を返すと考え込んだ。そしてドアノブ付近を押さえてみたがビクともしない。

「私がやってみます」

「お願いね」

「はい」

 アドラーに代わりに押さえてもらったがビクともしない。
 ドアノブはカモフラージュだろうか?

「待って、ドアノブ??」

 私はこれまで西洋風の建物ばかりだったので忘れていた。この大きさでこの形……
 私は、押すのではなく横に力を入れてスライドした。すると壁だと思わたものが動き始めた。

「まさか、横にずらすのか!? クローディア様お手伝いいたします!!」

 アドラーが手伝ってくれたので、一気に壁が横にスライドして壁が消え去った。

「え? これは?」

 目の前にはぼんやりと淡く光る壁。
 さらに部屋の中心部には両手を広げた長さよりも大きな丸い石の器が置いてある。

「クローディア……本当にとんでもないな」

 ダグラスが目を丸くした。
 
「ですがこれは……何でしょうか? 中が空洞になっていますが……」

 フィルガルドが眉を寄せた。
 そしてブラッドが口を開いた。

「これは……噴水ではないか?」

 ブラッドの言葉ですぐに私も石の器を見た。

「確かに、そう言われてみると水は入っていないけど噴水に見えるわ」

 私が眉を寄せていると、同じように石の器をリリアがじっと見つめていた。

「リリア、どうしたの?」

 私がリリアに尋ねるとすぐに答えてくれた。

「はい、この石……ダラパイス国の噴水に使われていた物と同じです。あまり見たこともない特殊な石のようですので少し気になって……」

「え? 石が同じ?」

 え? あれ? もしかしてここ、ダラパイス国の噴水と同じ?

 そしてアドラーが呟いた。

「ダラパイス国の噴水の仕掛けは、水を止めることが条件でしたよね……」

「ええ……そう……水……」

 私はじっと石の器を見ていた。
 リリアの言う通り、この石はダラパイス国の噴水に使われていた石と同じようにランプを当てると輝いていた。
 今は、水は入っていない。

 本当に似ている……水を入れたら……何が起こるの?

「確か……ダラパイス国の水の調節の仕組みは建物の外にありました」

 アドラーが口を開いたので、私はみんなを見ながら言った。

「では、もう一度ここに何か隠されてないか念入りに確認して外に出ましょう」

「ああ」

 それから私たちは室内をくまなく探したが何も見つからなかった。
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