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後日談 クリストフ編 新婚旅行へ行こう!

10 新たな始まり

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 帰りは船の旅を満喫することができました。

 甲板で素晴らしい景色を見ながらお茶も楽しんだし、珍しいレアリテ国のスイーツが並ぶアフタヌーンティーにも参加した。
 ケーキバイキングを思い出して、私はとてもうれしくなった。
 さらに夕食はレストランの大きな窓から月を見ながらクリス様とのんびりと夕食も堪能した。
 
 この船は多くの貴族が利用するので、本当に設備が充実していてとても楽しかった。
 行きに全く船を楽しむことができなかったので、私は少しはしゃいでしまった。

 それでも、ちゃんとクリス様とベットの中で愛を深めるための時間を過ごしたことだけはご報告しておきます。

 そうして私たちの幸せな新婚旅行は幕を閉じたのだった。


+++


 新婚旅行が終わるとまた私たちは忙しい日々に戻った。

 相変わらずお忙しいクリス様とは夜にお会いできない日もあったが、新婚旅行でたっぷりと愛を深めたからか、以前よりは不安になるということもなくなった。(やはり会えないのは寂しいが……)

 だが、私も演奏会に出席したり、夜会に出席したりととても忙しかったので、新婚旅行に行ったことなど遠い昔のことにように思えていた。



 そして、新婚旅行が終わって数ヵ月が過ぎた頃。

 エミリーが私の顔を心配そうにのぞき込んできた。

「ベルナデット様……お加減が悪いのですか?」

 実はここ最近頻繁に身体が重くなることがあった。
 疲れがたまっただけだろうと、早く寝たりすることで体調を誤魔化していた。
 だが、今日は誤魔化すことができないほど身体が怠かった。
 心無しか熱っぽくもあった。

(これは本格的に風邪をこじらせてしまったわね……お薬を貰って休ませてもらいましょう)

「ええ。なんだか、身体が重くて……」

 いつもは曖昧にごまかしているが、今日は正直に答えることにした。

「大変!! 疲れが出てんですよ。今日はお部屋でお休み下さい。
 お医者様をお呼び致します」

「ありがとう。申し訳ないけどお願いするわ」

 私は休むことでスケジュールを調整しなければいけなくなる文官の方に心の中であやまるとゆっくりと部屋に向かった。

(クリス様に風邪がうつるとよくないから寝室を分けて貰った方がいいわね)

 後でエミリーに言伝をお願いしようと思いながら私は「ふ~~~」とベットに横になった。



 +++


 トントントントン。

「はい」

 どうやら私は寝ていたようで、急いで返事をした。
 扉が開いて、エミリーとお医者様と侍女が数人部屋に入ってきた。

「失礼致します。ベルナデット様」

「先生、ありがとうございます」

「いえ。では、失礼致します」

 診察が終わると、お医者様がにっこりと笑った。

「これはこれは、ご懐妊おめでとうございます」





「え?」






 私は思わず間抜けな声を出してしまった。

 ゴカイニン?

 五回人?
 誤解認?
 五階任?

 ご懐妊?!

「先生!! それってお腹に赤ちゃんがいるということですか?!」

 私は気が動転してしまって当たり前のことを先生に尋ねてしまった。

「はい。ですので、無理をせずにゆっくりと休んで下さい。
 また見せて下さい」

「……はい」

 お医者様が部屋を出ると、私は自分のお腹を撫でてみた。

(ここに赤ちゃん……?)

 全然実感はわかないが、心当たりはある。
 きっと新婚旅行だ。
 
 あの時あれだけ子供でできることをしたのだ。
 子供が出来てもおかしくない。
 むしろ、当たり前の結果だ。

 私がお腹を撫でながらぼんやりと新婚旅行のことを考えていると、凄まじい音で誰かが近づいてきた。


 ドタドタドタ!!



 バタン!!!




「え? クリス様?!」

 こんな時間にここにいるはずもないお忙しいはずのクリス様が息を切らしながら私に近づいてきた。

「はぁ~、はぁ~、はぁ~~~!! ベル!! 聞いたぞ!!
 子供が出来たって?!」

クリス様が大股で近づいてきて私の手を握った。

「はい」

「そうか!! よかった!! ベルとの子供!!」

 クリス様が恐る恐る、私の顔を見た。

「お腹に触れてもいい?」

「はい。もちろんです」

「じゃあ」

 クリス様は優しい手付きで私のお腹に触れると愛おしそうにお腹を撫でた。

「名前、決めないとな。
 後、ベルの予定はしばらく全部キャンセルしよう。
 父上たちは恐らくもう報告されているはずだな。
 だから女王陛下にご報告をして、それから公爵にも報告だな……それから……」

「ご迷惑おかけして申し訳ありません」

「何を言っているの?
 迷惑なわけがない!!
 こんな幸せなことのために動ける私は幸せだ!!
 ベル、困ったことがあったらなんでも言ってね。
 なくてもなんでも言ってね。
 ああ~~私の愛するベルのお腹に私たちの子供がいるなんて!!
 これほど嬉しいことはない!!
 愛してるよ。ベル!!
 ああ~~ベル何かしてほしいことはないのか?
 なんでも言ってくれ!!」

 クリス様はとても喜んでくれていたので私も嬉しくなった。

「ではクリス様……我儘を言ってもいいですか?」

「うん!! もちろん!! 何?」

「……キスしてくれませんか?」

 クリス様は嬉しそうにそしてまるで羽のように優しく私を抱きしめた。

「そんなのいつでも」

チュッ♡

「ベル。今日は仕事早く終わらせるから!!」

「ふふふ。はい」

 私は忙しそうに走って部屋を出て行くクリス様を見送って、もう一度お腹に触れた。

「ふふふ、早くあなたに会いたいわ」



 そしてそれから数か月後。
 無事にクリス様の目の色と髪の色を引き継いだ可愛い女の子が産まれたのだった。




+++





イリュジオン国 国王クリストフ、王妃ベルナデット。

2人の王子と3人の王女に恵まれる。

クリストフは賢王として小国であったイリュジオン国を大国と肩を並べることができるほどに発展させた。
現在のイリュジオン国の国の繁栄の礎を築いた王であることはあまりにも有名である。
そんな賢王の唯一の弱点と言われるほど、王に溺愛された王妃ベルナデットもまたこの国の教育を大きく躍進させた人物だ。
王と王妃の仲の良さは国内外でも有名で皆の憧れとなった王と王妃であった。





――……イリュジオン国史より抜粋










クリストフ ルート 【 ルートオールクリア!! 】



 

クリストフルート完全完結致しました!!
皆様、長い間この2人を応援して下さってありがとうございました。

この後はサミュエル後日談。エリック後日談を公開する予定ですので、ぜひお立ち寄り下さい。


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