出会いは突然に〜愛人の行方〜

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12.初デート

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水槽の中を、大小様々な魚が優雅に泳いでいる。



そう、ここは水族館。



本田さんにどこに行きたいか尋ねられた時、思い浮かんだのが水族館だった。



色とりどりの魚たちが優雅に泳ぐ姿に、思わず見入ってしまう。



隣にいる本田さんが声をかけてくる。









「水族館はよく来るのか?」



「はい、月に1回は必ず」



「そうか」



その声がいつもより柔らかくて少し戸惑う。



最初の俺様な口調とは雲泥の差だ。



あの出会いから、今こうして恋人になっているなんて、あの頃の私には想像もつかなかった。



時折感じる甘い雰囲気には、まだ慣れることができない。









大きな水槽の前で足を止めたとき、本田さんが手を差し出してきた。



私はその手にそっと、自分の手を重ねた。



本田さんのリードでトンネル水槽へと進む。



サメやエイが頭上をゆっくりと泳いでいる。









「なあ、亜美。そろそろ名前で呼んでくれないか?」



その言葉に、私は思わず足を止めた。



すぐに返事ができない。



上司になって以降、ずっと『本田さん』と呼んできた私にとって、彼を『晃』と呼ぶのは、まだ少しハードルが高かった。



「……じゃあ、晃さんでいいですか?」



「さんはいらない。晃でいい」









何とも本田さんらしい、いや、晃らしい言い方だ。



次はクラゲの展示室。水槽の中でクラゲがふわふわと漂っていた。



幻想的な光景に見とれていると、晃が私の隣に並ぶ。



「綺麗だな」



「本当に……幻想的」



私たちはしばらくその光景に見入っていた。









ショーからふれあい体験まで一通り堪能して、水族館を後にする。



晃にお土産はいいのかと聞かれたが、入場券だけで十分だった。



駐車場で車に乗り込む。



車の心地よい振動にうつらうつらしていると、いつの間にか本田さんのマンションに到着していた。
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