出会いは突然に〜愛人の行方〜

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15.何でこんなことに

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私がソファから立ち上がりかけているのを見て、晃が鼻を鳴らした。



そして、手首を掴むとそのまま寝室まで連れて行かれ、放り投げられるようにしてベッドに倒された。



晃が立ったまま私を見下ろす。その視線が冷たくて、訳もなく悲しくなる。そのまま、何も言わずにトップスを脱がし始めた。



「な、何してるんですか……!? ん、んむっ……!」



体を押し退けるよりも先に口を塞がれ、乱暴に口内に舌を入れられる。



顎を手で固定され、逃げることができない。









口内を余すことなく舌で蹂躙され、溢れた唾液が口から零れた。



晃は片手であっという間にブラを外すと、胸を鷲掴みして揉みしだいてくる。



その手つきに、いつもの優しさはなかった。



「いたっ! 痛い、って、晃……!」



口から悲鳴が漏れる。晃は真顔のまま顔を胸に近づけると、思い切り乳首を噛んだ。



「いっ!」



晃のこんな乱暴な姿は見たことがない。初めてのあの夜でさえ、もっと優しかった。



乱暴な行為に、悲しくて涙が滲む。



あまりの痛さに、背中を叩いて抗議する。



晃は胸だけでなく、首や鎖骨付近、内腿に至るまで全身をくまなく噛んでくる。



これだけ強く噛まれると、全身に痕が残るだろう。



こんな無理やり、嫌がるようなことをする人ではなかったはずなのに……。どうして?



あの告白は嘘で、騙されたのかと思うと、痛みとは違う涙が出てくる。









晃がふっと顔を上げ、私の左手を取る。



そして、薬指を口に含むと強く噛んだ。指にくっきりと痕が付く。



「い、ぃ……っ!!」



痛みで声が出ない。



解放された手を、もう片方の手で守るように握りしめた。



「何を考えているんですか!?」



涙を拭っていると、スカートはそのままで、パンツだけを脱がされる。



「ちょっと晃!」



名前を呼んでも、目線を合わせてくれない。晃の目はほの暗く濁っていた。



晃は割れ目を一瞬なぞった後、鞄から何かを取り出した。



冷たい何かを互いの下半身に塗ると、前戯らしい前戯もないまま、晃の熱いモノが私の中に入って来た。









初めての時は、ゆっくりと時間をかけて入れてくれた。それでもかなり痛かったけど、晃の愛情と優しさを感じられたから我慢できたのに。今日は、この前のような愛情や優しさなんて微塵も感じられなかった。ただ、無理やり入れられただけ。



「あぐぁ……ふ、ぅう……っ!」



私に出来るのは、深呼吸をして痛さをどうにか逃がす事だけ。



晃との力の差を思い知ると同時に、いつもは加減をしてくれていたことを知る。



――もっと他の場面で、優しさを実感したかった。



前回よりも痛みが少ないのは、晃に塗られた液体が痛みを和らげてくれているからだろう。









パンパンというリズミカルな音が響く。



前回は落ち着くまで待ってくれたのに、今日はそんな様子が全くなかった。



動きは滑らかだけど、気持ちよさとは程遠い。



私が何かしたのなら謝るから、こんな虚しい行為はもうやめてほしい。



晃の動きが速くなる。









「うっ、あ……っ……」



晃の激しい動きに、一瞬気を失っていた。



喉の渇きを感じるが、水をくれる気配はない。



奥まで捩じ込まれたモノは、淡々と私の中を擦っていく。



気を失ったと気づいていただろうに、動きは止まらない。



少しでも私を見てほしくて、晃を引き寄せようとする。



その時、ガリッと背中を引っ掻いてしまったが、意外な事に怒られることはなかった。



晃は気持ちよくなっているみたいだけど、私はイけそうにない。気持ちが追いついていない。



「避妊具はしてます、よね?」



「さぁな」



あまりにも無責任な発言に唖然として、後退りしようとする。



「はぁ、そう暴れるな。付けた。お前が見ていなかっただけだ」



安堵で、体の力が抜ける。



「本当は付けたくなかったんだがな。お前が誰のものか分からせてやる」



……何を言っているの? 晃の言葉の意味を考えようとするが、頭が働かない。









晃は終わりに向かってさらに腰の動きを激しくする。



お互いの肌がぶつかるたびに、乾いた音が鳴る。



奥ばかりを突かれて、少し苦しい。私の口から漏れるのは、断じて嬌声ではない。









「……はっ、そろそろ出すぞ」



前回は、終わりが来ることに少し寂しさも感じていた。



でも、今日は早く終わって欲しかった。晃から目を逸らすと、それが気に食わなかったのか、その大きな手で私の頬を掴む。



お前の男は俺だと言わんばかりだ。









そして、大きく腰を引いた晃は、最後に強く突いた。



「あっ!?」



「……く、っ」



晃は余韻に浸るように、しばらくそこから動かなかった。イッたはずなのに、その顔には苛立ちが見て取れる。



避妊具はしてると聞いたけど、本当なのか不安になった。









――次は何をされるんだろう。怯えを隠しながら、じっと晃を見つめる。



やっと目が合った。



「……随分とひどい顔だな」



「だ、誰のせいで……!」



晃は自身を引き抜くと、髪の毛を掻き上げた。









「なんで……こんな乱暴なことをしたんですか?」



「亜美は飯島をどう思ってる?」



「は?」



何でここで飯島くんが出てくるのか分からず、思わず素っ頓狂な声をあげた。



「何で飯島くん?」



「いいから答えろ」



「かわいい後輩ですけど?」



こう言っても晃は硬い表情のまま。



「もし飯島に告白をされたらどうする」



「告白……!? そんなことあるわけないじゃないですか! あってもお断りします!」



それを聞いた晃は、ホッとしたように肩の力を抜き、静かにため息をついた。



その反応が少し気になり、思わず晃の顔を覗き込んだ。









「あいつの指導係にお前を推薦したことを、何度後悔したことか」



そう言いながら、彼は私を見つめた。



最近、晃がやけにイライラしていたのは確かだ。



今の流れから察するに、私と飯島くんのことが原因だった?



「どうしてですか?」



不思議に思って尋ねたが、晃は呆れたように私を見るだけ。









小さくため息を漏らすと、口を開いた。



「……本当に気づいてないのか? 飯島はお前の事が好きなんだぞ」



その言葉に、一瞬頭が真っ白になった。



飯島くんが私を好き? 全く気がつかなかった。



だって、彼と私の関係性は、新人とその教育係。それ以上でも以下でもない。



あまりにも意外な話に戸惑う私を、晃はじっと見つめてくる。









「飯島がお前にアプローチしているのを何度も見たぞ」



全く気づいていなかったので、ただただ驚く。



言われてみると、何度も食事に誘われたり、手を触れられたり。



あれが彼からのアプローチだったらしい。









私が気づかず接していたことで、晃を心配させていたことに気づき、申し訳なく思う。



自分の鈍感さが嫌になる。









「……すみません。私、全然気づいていませんでした」



思わず謝ると、晃は私をチラリと見た後、視線を逸らした。



そして、ぽつりと謝罪の言葉を口にする。



「……俺も悪かった。嫉妬で我を忘れてしまったんだ」









その言葉で、ふと胸が温かくなった。



嫉妬で我を忘れるほど、私を愛してくれていると感じられたから。



不謹慎だけど、そのことが無性に嬉しかった。



私の口から、自然と笑みが零れる。



そんな晃を見つめつつ、今一番伝えたい言葉を口にする。



「愛しています」



すると、彼の目が一瞬驚いたように見開かれた。



次の瞬間、晃の口元に笑みが浮かぶのが分かった。



その顔を見て、私の頬も自然と綻ぶ。









「でも、今度何か心配事があったら、まず言葉で教えてください!」



「……あぁ、本当にすまなかった」



バツが悪そうな晃が可愛く見える。



無理やりされたショックはまだ消えていない。



でも、その出来事がきっかけでお互いの気持ちを再確認できた気がした。
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