出会いは突然に〜愛人の行方〜

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18.結婚式

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結婚式を前に、緊張がピークに達していた。



真っ白なドレスは驚くほど軽やかなのに、心の中は大荒れだ。









「亜美さん、準備はいいですか?」



控え室のスタッフがそっと声をかけてくれる。



頷くと大きく深呼吸をした。



会場への道を歩きながら、今日が人生の大きな節目であることを改めて実感する。









バージンロードを歩き出した瞬間、静寂を切り裂くような拍手が沸き起こった。



ゆっくりと晃の元に進んで行く。



今日の彼はいつもの3割増しでカッコいい。



晃の瞳がこちらを捉えた瞬間、彼が息を呑んだのが分かる。









「綺麗だ」



小さく呟かれたその言葉は、確かに私の耳に届いた。



胸の奥がじんと熱くなる。









式は淡々と進んで、誓いの言葉を交わす時が訪れる。



神父の声に導かれるようにして、晃が私の左手を取った。



指輪がゆっくりと薬指を通る。



涙が溢れそうになるのを必死にこらえた。









次は私が晃に指輪をはめる番。指が震える。



目が合うと、互いに照れ笑いを浮かべた。









披露宴では笑い声が溢れ、祝福ムードに包まれていた。



ウェディングケーキにナイフを入れる瞬間、会場中にシャッター音が響く。



ケーキを食べさせ合う場面では、晃の口の端にケーキがついて、新郎側の友人席からはやし立てる声が聞こえた。



会社関係では、資料課の有志が余興を披露してくれ、盛り上がった。









「亜美さん、素敵です……!」



友人との談笑中、飯島くんが声をかけてくれた。



少し苦笑いを浮かべている。



「悔しいですけど、本田部長なら納得です。幸せになってください」



その言葉で、自分の鈍感さやそれに纏わるあれこれを思い出した。



「ありがとう。これからもよろしくね」



飯島くんは口元に笑みを浮かべながらお辞儀をすると、席に戻っていった。









それを見届けると晃に向き合う。



晃が微笑みながら私を見ていた。



「亜美、死ぬまで一緒にいよう」



そう言いながら、私に口づけする。



すると、会場中で拍手が鳴り響き、慌てて周りを見回した。



知らないうちに注目を浴びていたようだ。



その視線は温かく、私たちを優しく見守ってくれていた。
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