俺のからだ、音で躾けられてます――宮廷演奏家の甘すぎる日々

もにもに子

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第一章〜アルマンの調律〜

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「っ……や……やだ、やめて……っ……もう……」

声が掠れていた。

それでも音は止まらない。
アルマンの指先がふわりと空をなぞるたびに、旋律が変わり、ロロの身体がそれに応える。

胸元の突起はすっかり固く尖り、ひく、ひくと呼吸のたびに痙攣していた。

脚の内側は熱に濡れ、奥がきゅう、と反射的に締まるたび、ロロは苦しげに息を吐く。

「っ……ん、んあっ……っ……!」

身体が火照って重く、吊られた腕が痺れて感覚が曖昧になる。

それでも――

奥の奥、触れられていないそこだけが、あまりにも鮮明に疼いていた。

「もう……もうだめ……っ……っ、あ……あああっ……!」

音が跳ねる。
ぎゅっと締めつけるような強い低音が腹の底に響き、鼓膜ではなく、骨が共鳴する。

瞬間、ロロの身体が大きく跳ねた。

「――っああっ、あああああっ♡!!」

果てた。

脚の間から、ぬるりとしたものが溢れ、肌をつたって滴る。
吊るされた体は震えを繰り返し、やがて、ふっと力が抜けた。

「っ、は……あ……ぁ……」

息が、浅い。
喉が、焼けるほど渇いている。
なのに、ロロは言葉を紡げなかった。

ただ、果てたあとの余韻に呑まれ、天井から吊るされたまま、微かに揺れていた。

音が止んだ。

旋律はいつの間にか終わり、部屋には静寂が戻っていた。

「……立派な反応だったよ。感度、リズム、そして――余韻。すべてが美しかった」

アルマンの声が、静かに、陶酔を含んで響いた。

「これだけ素直に“果てた”のは、君が初めてだ」

その言葉に、ロロはぎゅっと目を閉じた。

言い返す気力もなかった。

身体の奥にはまだ余韻が残っていて、熱が冷めないまま、汗と快感の名残を肌にまとっていた。

「……殺す……ぜってぇ、こんなこと……おぼえてろ……」

かすれた声が、震えながら漏れる。

アルマンは笑わなかった。

ただ、どこまでも丁寧に、静かに、ロロの姿を見つめていた。

「もちろん、忘れないさ。君の“音”は、すべて私の中に記録されている」

部屋の空気が、冷たくなった気がした。

汗ばんだロロの肌にその冷気が触れ、ひときわ強く震えが走った。

吊られたままの身体で、果ててしまったこと。

誰にも触れられていないのに、身体の芯まで暴かれてしまったこと。

そのすべてが、音と共に――深く、深く刻まれていた。
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