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翔の事情と後悔
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「こういう仕事だろう。世界を飛び回って、日本に留まっている日や時間のほうが少ないくらいだ。あのときみたいに、休暇があっても海外で過ごすことも多いし」
確かにそうだろうと思った。
果歩もあのとき、業務のあとならフライト先で休日になっても普通だろう、と納得したのだ。
「だから、寂しい思いをさせてしまったことも多くて……。そばにいてやれないことや、不満に思わせてしまうのが申し訳ないと、何度も思ったし、それで実際、別れもあった」
翔の声が、言葉通り、申し訳なさそうな響きになる。
優しい翔だ、心からすまないと思って、悔いているのだろう。
「そのために、俺自身も傷ついていたのかもしれない……あ、悪い。自分のせいなのに、そう思う資格なんてないよな」
でもそんなふうに言うので、果歩はすぐ首を振った。やわらかく否定する。
「そんなことはないよ。お別れは……どういう理由でも傷つくよ」
自分のことをちょっと思い出してしまって、果歩は言った。
あのハワイ旅行のきっかけになった、元カレとの破綻を久しぶりに思い出した。
もう二年以上前のことだ。
あのときの痛みと同じか、それ以上のものを翔は感じたのだ。
気持ちはよくわかる。責められるはずがない。
「ありがとう。……うん、だから、もう恋人は作りたくない、なんて思っていた時期だったんだ」
少し無理をしたようだったが、翔は笑ってくれた。
でもそのあと続いた言葉は、悲しいものだった。
そんな気持ちを感じれば、そういう思考になっても仕方がないと果歩も思った。
確かにそうだろうと思った。
果歩もあのとき、業務のあとならフライト先で休日になっても普通だろう、と納得したのだ。
「だから、寂しい思いをさせてしまったことも多くて……。そばにいてやれないことや、不満に思わせてしまうのが申し訳ないと、何度も思ったし、それで実際、別れもあった」
翔の声が、言葉通り、申し訳なさそうな響きになる。
優しい翔だ、心からすまないと思って、悔いているのだろう。
「そのために、俺自身も傷ついていたのかもしれない……あ、悪い。自分のせいなのに、そう思う資格なんてないよな」
でもそんなふうに言うので、果歩はすぐ首を振った。やわらかく否定する。
「そんなことはないよ。お別れは……どういう理由でも傷つくよ」
自分のことをちょっと思い出してしまって、果歩は言った。
あのハワイ旅行のきっかけになった、元カレとの破綻を久しぶりに思い出した。
もう二年以上前のことだ。
あのときの痛みと同じか、それ以上のものを翔は感じたのだ。
気持ちはよくわかる。責められるはずがない。
「ありがとう。……うん、だから、もう恋人は作りたくない、なんて思っていた時期だったんだ」
少し無理をしたようだったが、翔は笑ってくれた。
でもそのあと続いた言葉は、悲しいものだった。
そんな気持ちを感じれば、そういう思考になっても仕方がないと果歩も思った。
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